鍾乳洞というのはそれだけでファンタジックな感じがしますが、この小説は全編にそういう雰囲気を持った物語でした。
主人公は水没鍾乳洞で遭難したという友人を捜しに、迷路のような鍾乳洞に入ります。
背負ったボンベと道しるべのザイルに命を託して進む水の中で、彼はそこに生息する不思議な生物に出会います。
全長3メートル、半透明のピンクの皮膚、頭頂には呼吸孔があるその生物を、イクティと名付け、不思議な交流を始めます。
こういう雰囲気は好きだし、古代に外界から切り離されて生き残ってきたらしい生物の最後の個体イクティとの交流は魅力的でしたが、しかし終盤の彼の過激な行動は、小市民の私にはちょっと受け入れられませんでした。
水の汚れによってイクティが弱っていくときの、長谷川の焦りは理解できるのですが。
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アクアリウム (新潮文庫 し 38-1) 文庫 – 1996/7/1
篠田 節子
(著)
- 本の長さ317ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1996/7/1
- ISBN-104101484112
- ISBN-13978-4101484112
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1996/7/1)
- 発売日 : 1996/7/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 317ページ
- ISBN-10 : 4101484112
- ISBN-13 : 978-4101484112
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,980,873位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
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東京都生まれ。東京学芸大学卒。1990年『絹の変容』で第三回小説すばる新人賞を受賞。97年『ゴサイタン―神の座―』で第十回山本周五郎賞を、『女たちのジハード』で第百十七回直木賞を受賞。2009年『仮想儀礼』で第二十二回柴田錬三郎賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 スターバト・マーテル (ISBN-13: 978-4334926977)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年4月24日に日本でレビュー済み
斜に構えた篠田節子らしい作品。
山の中の地中湖に生きるイルカ(?)。
開発と自然保護運動の癒着。
本当は、ああもしたい、こうもしたいという思いがありながら、
発行禁止にならないぎりぎりのところで思いとどまった感がある。
主人公が公務員というところも元公務員の篠田節子らしい。
反対運動の現地の伊丹という女性が著者の影なのかもしれない。
最初に「株式会社スコラ」というところから出ている。講談社の企画子会社的なものだろうか。
出版社はつぶれても、作品は残る。残った作品に編集部の迷いが残ったままのような気がする。
山の中の地中湖に生きるイルカ(?)。
開発と自然保護運動の癒着。
本当は、ああもしたい、こうもしたいという思いがありながら、
発行禁止にならないぎりぎりのところで思いとどまった感がある。
主人公が公務員というところも元公務員の篠田節子らしい。
反対運動の現地の伊丹という女性が著者の影なのかもしれない。
最初に「株式会社スコラ」というところから出ている。講談社の企画子会社的なものだろうか。
出版社はつぶれても、作品は残る。残った作品に編集部の迷いが残ったままのような気がする。
2014年8月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本の書き出しはさすがに上手い。作者の筆力の高さが表れている。
「男を翻弄する一見無邪気な女性」「イルカ(のような生き物)との不思議な交歓」「環境団体の実態や人間模様」など主題にすべきような好題材をふんだんに持ちながら最後は主人公の意味不明な暴走によって幕を閉じるという何とも不出来な本。ちゃんとプロットを組んでから書いたのだろうか。
本の中ほどで宇神勝臣が「君が、なぜそんなに入れ込んでいるのか、あえて聞かないことにするが、1つ忠告しておく。あれは危険な生き物だ。
」というくだりがあるが,この線で行って欲しかった。頼む,篠田節子,もう一回書いてくれ。
「男を翻弄する一見無邪気な女性」「イルカ(のような生き物)との不思議な交歓」「環境団体の実態や人間模様」など主題にすべきような好題材をふんだんに持ちながら最後は主人公の意味不明な暴走によって幕を閉じるという何とも不出来な本。ちゃんとプロットを組んでから書いたのだろうか。
本の中ほどで宇神勝臣が「君が、なぜそんなに入れ込んでいるのか、あえて聞かないことにするが、1つ忠告しておく。あれは危険な生き物だ。
」というくだりがあるが,この線で行って欲しかった。頼む,篠田節子,もう一回書いてくれ。
2006年5月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どこまでが現実でどこまでが幻想なのかが不明瞭な不思議な感覚が本書を支配する。その事に酔う事の出来る作品だ。しかしイクティの生命力はこの地域の自然環境の息吹を象徴している様にも思える。イクティは一度死んだが、最終局面で少し生命力を吹き返したのかも知れないと想像してしまう。正人はイクティに魅せられたと同時に、自然環境にも魅せられた。
魅せられた正人の行動はけっして正義ではない。しかし本書は道路建設に伴う環境破壊の非正義性を描き、さらにそれに対抗する環境保護団体の馴れ合い的行動を皮肉る。これが社会の仕組みだと言ってしまえば達観し過ぎだが、社会はいたる所で馴れ合って、儀式を行ってシャンシャンシャンという側面があるのは事実だ。正人はそれを逸脱する程「魅せられた」と言える。
著者の長編作品は、最終局面ではたたみ込む様な展開をみせているものが多い。本書では終盤ではサスペンス的であり手に汗握る。本書には質の高い幻想性と厳しい現実が同居する。
魅せられた正人の行動はけっして正義ではない。しかし本書は道路建設に伴う環境破壊の非正義性を描き、さらにそれに対抗する環境保護団体の馴れ合い的行動を皮肉る。これが社会の仕組みだと言ってしまえば達観し過ぎだが、社会はいたる所で馴れ合って、儀式を行ってシャンシャンシャンという側面があるのは事実だ。正人はそれを逸脱する程「魅せられた」と言える。
著者の長編作品は、最終局面ではたたみ込む様な展開をみせているものが多い。本書では終盤ではサスペンス的であり手に汗握る。本書には質の高い幻想性と厳しい現実が同居する。
2014年11月2日に日本でレビュー済み
消えた友人を追って訪れた地底湖で出会った不思議な生物との奇妙な物語と、
序盤はかなり引き込まれる作品なのだが、中盤以降そういった幻想的な雰囲気は失われ
現実的な話題に終始し、不思議な生物などどこへいったのやらといった感じで、
最終的には現実9:幻想1程度の割合のなんともいえない作品として終わる
環境保護を訴えたいのなら、あそこまで能力をもった動物は出すべきではなかったのではないだろうか
不思議生物との交流を期待した自分には、あまり満足のいく展開ではなかった
ファンタジックな展開を期待する人にはあまりお勧めできないかもしれない
序盤はかなり引き込まれる作品なのだが、中盤以降そういった幻想的な雰囲気は失われ
現実的な話題に終始し、不思議な生物などどこへいったのやらといった感じで、
最終的には現実9:幻想1程度の割合のなんともいえない作品として終わる
環境保護を訴えたいのなら、あそこまで能力をもった動物は出すべきではなかったのではないだろうか
不思議生物との交流を期待した自分には、あまり満足のいく展開ではなかった
ファンタジックな展開を期待する人にはあまりお勧めできないかもしれない
2015年8月3日に日本でレビュー済み
自分には理解できない世界だった。楽しめる部分もなく、「訳分からん」としか言い様がない。
煙に巻かれた感じ。
煙に巻かれた感じ。
2011年8月9日に日本でレビュー済み
東京都多摩区役所?に勤務する長谷川正人は、奥多摩の地底湖で、そこに棲む謎の生物を見つけ、それは人と交信出来る頭脳を持っており、洞窟内で迷っている正人を助けてくれ、正人はこの生物をイクテイと名づける。
一方、近くを観光道路が通るため、工事の影響で洞窟が危機に瀕し、反対運動に正人も加わることとなる。自然保護運動も、それを利用し有名になろうとする人々の、ある点で妥協するなあなあの闘争により、イクテイは無視されて、憤った正人は極端な行動をとる。
「・・・人さえ入り込まなければ、道路を通したりさえしなければ、森はこんな風に平和なのだ。予定調和的な静けさの中で、あるものは餌になり、あるものは種ごと滅びていくとしても。」のくだりは、作者の思いが込められているかのようだ。
八王子市役所出身であり、その山岳部員でもあったという篠田の体験が、随所に生かされており、私も長く親しんできた多摩地区や、奥多摩の山々が舞台だし、何時も林道でずたずたになったこの辺の山々に心を痛めて来ただけに、サスペンスとファンタジーの要素を持ってはいるが、環境問題告発書でもあり、考えさせられた。
一方、近くを観光道路が通るため、工事の影響で洞窟が危機に瀕し、反対運動に正人も加わることとなる。自然保護運動も、それを利用し有名になろうとする人々の、ある点で妥協するなあなあの闘争により、イクテイは無視されて、憤った正人は極端な行動をとる。
「・・・人さえ入り込まなければ、道路を通したりさえしなければ、森はこんな風に平和なのだ。予定調和的な静けさの中で、あるものは餌になり、あるものは種ごと滅びていくとしても。」のくだりは、作者の思いが込められているかのようだ。
八王子市役所出身であり、その山岳部員でもあったという篠田の体験が、随所に生かされており、私も長く親しんできた多摩地区や、奥多摩の山々が舞台だし、何時も林道でずたずたになったこの辺の山々に心を痛めて来ただけに、サスペンスとファンタジーの要素を持ってはいるが、環境問題告発書でもあり、考えさせられた。
2012年3月14日に日本でレビュー済み
……メルヒェンとしても、話が進むほどにメルトダウンして行く。実直な公務員がファナティックな性格に変貌する部分も、本来なら圧倒的な説得性がなければならないのに、その肝心の部分がメルヒェン頼みでは…。その合間合間に、モトカノだという身勝手で非常識なバカ女が出て来て鼻白むこと夥しい。どうやら筆者の同性フォビアが、ストレートに出てしまったようだ。唯一緊迫感を感じるのは潜水のシーンだが、読了後のざらついた後味の悪さは如何ともし難い。筆者の作品なら、他を選ぶに如くはないか。映像化されていないのが救い(笑)。