中学生のときに、本屋で隠れてエッチな本を読むような背徳感すら感じた。
正直、ドストエフスキーは一度読み出してもどっかで投げ出して、結局2−3年かけて読んで、
最初の方の内容は忘れてました、でも一応読みました的な読書が多い。
実は本書もそうで、半分まで読んでほったらかし。その後2年後に読んだら話がつかめず、最初から読んだ。
本作は中盤まではいつものドストエフスキー。題材がとっつきやすいので、まだ読みやすいが。
しかし中盤、キーパーソーンの老婆がルーレットで勝負しだしたり、主人公の独白が続くようになると、
毎日の通勤の片道で30ページとか進むようになった。いつもは20ページ弱とか。
堕ちる老婆や関係者を、主人公は極めて客観的に見ていながらも、本人自身もある女性のことに関しては異常になってしまう。
他人から「将来ロシアを背負う人材になりえる」とい言われる主人公はおそらく賢い青年である。
しかし、終盤では客観性とは相反する主人公となる。
ちなみに主人公、ルーレットで破滅しようとしているときでさえ、
ある男にそれを指摘され、その状況を理解しながらも、やはり破滅の方を選択してしまう。
この男とのやり取りのシーンはルーレットのシーン以上にぞくぞくした。
今風にいうとマンガのカイジのような世界が続く。
いっそのこと、センター試験の現代文にでも使えばいいと思う。
あまりにもはらはらしたのでページを折っておいた箇所がある。下記から始まるやりとり。
巻末の解説にある本書の誕生も非常に興味深い。
「人間ってやつは最良の友人が自分に対して卑下になっているのを見るのを好むものです。友情の基盤になるのもたいていの場合卑下ですから。そしてそれは聡明な人なら誰でも知っている古くからの真実ですよ。(略)。どうなんですあなたは博打をやめるつもりなんですか?」「ああ、あんなものすぐにやめますよ。ただ。。。」
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賭博者 (新潮文庫) 文庫 – 1979/2/22
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購入オプションとあわせ買い
19歳年下の女性・アポリナーリヤとの被虐的な旅、
その最中、文豪は狂ったように賭博に興じた。実話をベースに生まれた作品。
ドイツの観光地に滞在する将軍家の家庭教師アレクセイは、ルーレットの魅力にとりつかれ、女性たちに翻弄されて、やがて破滅への道を歩んでいく――。ドストエフスキーは、本書に描かれたのとほぼ同一の体験をしており、己れ自身の経験に裏打ちされた叙述は、賭博という行為を通じて人間の深層心理を鋭く照射していく。ドストエフスキーの全著作の中でも特異な位置を占める作品になっている。
本文より
玉が溝にとびこんだ。
「ゼロ!」ディーラーが叫んだ。
「どうだえ!!!」狂ったような勝ち誇った様子で、お祖母さんはわたしをふり返った。
わたし自身、賭博狂だった。まさにこの瞬間、わたしはそのことを感じた。手足がふるえ、頭ががんとなった。もちろん、十回かそこらのうちにゼロが三度出るなどというのは、めったにないケースである。しかし、この場合、特におどろくほどのことは何もないのだ……。(第十章)
ドストエフスキー Фёдор М.Достоевский(1821-1881)
19世紀ロシア文学を代表する世界的巨匠。父はモスクワの慈善病院の医師。1846年の処女作『貧しき人びと』が絶賛を受けるが、1849年、空想的社会主義に関係して逮捕され、シベリアに流刑。この時持病の癲癇が悪化した。出獄すると『死の家の記録』等で復帰。1861年の農奴解放前後の過渡的矛盾の只中にあって、鋭い直観で時代状況の本質を捉え、『地下室の手記』を皮切りに『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』等、「現代の予言書」とまでよばれた文学を創造した。
原卓也(1930-2004)
東京生れ。東京外国語大学ロシア語科卒。同大教授、学長を歴任。トルストイ、チェホフ、ドストエフスキー等の翻訳多数。著書に『スターリン批判とソビエト文学』等。
その最中、文豪は狂ったように賭博に興じた。実話をベースに生まれた作品。
ドイツの観光地に滞在する将軍家の家庭教師アレクセイは、ルーレットの魅力にとりつかれ、女性たちに翻弄されて、やがて破滅への道を歩んでいく――。ドストエフスキーは、本書に描かれたのとほぼ同一の体験をしており、己れ自身の経験に裏打ちされた叙述は、賭博という行為を通じて人間の深層心理を鋭く照射していく。ドストエフスキーの全著作の中でも特異な位置を占める作品になっている。
本文より
玉が溝にとびこんだ。
「ゼロ!」ディーラーが叫んだ。
「どうだえ!!!」狂ったような勝ち誇った様子で、お祖母さんはわたしをふり返った。
わたし自身、賭博狂だった。まさにこの瞬間、わたしはそのことを感じた。手足がふるえ、頭ががんとなった。もちろん、十回かそこらのうちにゼロが三度出るなどというのは、めったにないケースである。しかし、この場合、特におどろくほどのことは何もないのだ……。(第十章)
ドストエフスキー Фёдор М.Достоевский(1821-1881)
19世紀ロシア文学を代表する世界的巨匠。父はモスクワの慈善病院の医師。1846年の処女作『貧しき人びと』が絶賛を受けるが、1849年、空想的社会主義に関係して逮捕され、シベリアに流刑。この時持病の癲癇が悪化した。出獄すると『死の家の記録』等で復帰。1861年の農奴解放前後の過渡的矛盾の只中にあって、鋭い直観で時代状況の本質を捉え、『地下室の手記』を皮切りに『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』等、「現代の予言書」とまでよばれた文学を創造した。
原卓也(1930-2004)
東京生れ。東京外国語大学ロシア語科卒。同大教授、学長を歴任。トルストイ、チェホフ、ドストエフスキー等の翻訳多数。著書に『スターリン批判とソビエト文学』等。
- 本の長さ317ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1979/2/22
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104102010084
- ISBN-13978-4102010082
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白痴〔上〕 | 白痴〔下〕 | 貧しき人びと | 永遠の夫 | 賭博者 | 地下室の手記 | |
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【新潮文】ドストエフスキー 作品 | 白痴と呼ばれる純真なムイシュキン公爵を襲う悲しい破局……作者の”無条件に美しい人間”を創造しようとした意図が結実した傑作。 | 世間から侮㚽の目で見られている小心で善良な小役人マカール・ジェーヴシキンと薄幸の乙女ワーレンカの不幸な恋を描いた処女作。 | 妻は次々と愛人を替えていくのに、その妻にしがみついているしか能のない”永遠の夫”トルソーツキイの深層心理を鮮やかに照射する。 | 賭博の魔力にとりつかれ身を滅ぼしていく青年を通して、ロシア人に特有の病的性格を浮彫りにする。著者の体験にもとづく異色作品。 | 極端な自意識過剰から地下に閉じこもった男の独白を通して、理性による社会改造を否定し、人間の非合理的な本性を主張する異色作。 |
カラマーゾフの兄弟〔上〕 | カラマーゾフの兄弟〔中〕 | カラマーゾフの兄弟〔下〕 | 悪霊〔上〕 | 悪霊〔下〕 | 死の家の記録 | |
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カラマーゾフの三人兄弟を中心に、十九世紀のロシア社会に生きる人間の愛憎うずまく地獄絵を描き、人間と神の問題を追究した大作。 | 無神論的革命思想を悪霊に見立て、それに憑かれた人々の破滅を実在の事件をもとに描く。文豪の、文学的思想的探究の頂点に立つ大作。 | 地獄さながらの獄内の生活、悽惨目を覆う笞刑、野獣のような状態に陥った犯罪者の心理──著者のシベリア流刑の体験と見聞の記録。 |
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青年貴族アリョーシャと清純な娘ナターシャの悲恋を中心に、農奴解放、ブルジョア社会へ移り変わる混乱の時代に生きた人々を描く。 | 独自の犯罪哲学によって、高利貸の老婆を殺し財産を奪った貧しい学生ラスコーリニコフ。良心の呵責に苦しむ彼の魂の遍歴を辿る名作。 | ロシア社会の混乱を背景に、「父と子」の葛藤、未成年の魂の遍歴を描きながら人間の救済を追求するドストエフスキー円熟期の名作。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1979/2/22)
- 発売日 : 1979/2/22
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 317ページ
- ISBN-10 : 4102010084
- ISBN-13 : 978-4102010082
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 139,300位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 130位ロシア・ソビエト文学 (本)
- - 3,028位新潮文庫
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年11月15日に日本でレビュー済み
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巻末の解説を読むと、著者が経済的理由から急いで書いたものだという。
他の作品のように、ロシアの思想がどうだという話は出てこないので、
確かに突貫工事で仕上げた作品かとは思う。
ネタばれはしたくないのでここには書かないが、
これはおそらく著者の自伝的小説だろう。
最後の1章に著者の思いが凝縮されている。
ドストエフスキーの中では異色の作品で、
これはこれで面白い。
他の作品のように、ロシアの思想がどうだという話は出てこないので、
確かに突貫工事で仕上げた作品かとは思う。
ネタばれはしたくないのでここには書かないが、
これはおそらく著者の自伝的小説だろう。
最後の1章に著者の思いが凝縮されている。
ドストエフスキーの中では異色の作品で、
これはこれで面白い。
2011年9月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ドストエフスキーの『賭博者』(Игрок)を読み始めた。
ウキペディア・ロシア版によると、1863年にドイツのバーデン・バーデンという都市を訪れ、ギャンブルで自分のお金だけでなく、同行した女友達のお金もなくしたらしい。そして、すぐに本を書き上げるからと出版社に泣きつき、契約してできたのが、このイグロック(賭博者)だとか。
そんなわけだから、とてもリアリティーに溢れている作品なのだろう。
速く書きあげなければいけないので、口述筆記による著作となり、その速記を担当した女性と結婚した。さらに、驚くべきことに、お金がはいるとヨーロッパにハネムーンにでかけ、またバーデンバーデンに立ち寄り、すべての金をすった。その後は奥さんとギャンブルをしない約束を交わし、10年間はしなかったとか。
俺も株で大損して、汗水流し働き、また株に手を出す。ドストエフスキーにとても共感を憶えてしまう。
・・・・・・
『賭博者』を読み終えた。借金のかたに執筆契約をしたドストエフスキーが26日で書きあげた本だ。口述筆記であるのが文体に影響しているのかどうかは分からないが、「カラマーゾフ」のような重厚感はない。読み物としては手軽に楽しめる。
ギャンブルと女で身を滅ぼす − 何百年も聞きならされた言葉だが、実際にその顛末を一部始終目にしたり、どういう心理的状況が働いて破滅をもたらしたかをつぶさに知っている人は数少ないと思う。傍らにいる者たちは、原因と結果だけをみて早急に結論づける。途中経過は重要でないかのように。しかし、俺が思うに、プロセスこそ重要である。そこに英知が隠されている。女で身を滅ぼすものもいれば、幸せになるものもいる。ギャンブルで全財産を失う者もいれば、巨万の富を築く者もいる。ある原因はまったく異なる結果をもたらすものだ。原因はどうあれ、いかに考え、いかに行動をとるかが結果を左右する。ギャンブルや女でなくともこの世には身を滅ぼす要因はいくらでもあるのだ。愚か者だけでなく、賢明な者さえ破滅することはしばしばある。
羹に懲りて膾を吹く人生よりも、どっぷりギャンブルや女につかる方がいいことも偉大な作家が示している。破滅から這いあがれるだけの強さは破滅を経験した者や破滅の淵を覗いたものにしか得られない。
死刑宣告、シベリアでの10年の流刑、ルーレットでの破産、妻の死、若き女性への失恋、これが偉大な作品群を残したドストエフスキーの私生活だ。その都度彼は這いあがってきた。その苦悩の過程で魂は磨かれたのだ。自分自身も含めて愚かな者たちをたくさん見てきただろう。ドストエフスキーはさまざま悲劇を通じて我々に人生の真理を問いかける。
俺の株式投資の師匠はドストエフスキーだ。株式投資を始めようと思う者に告ぐ。「株入門本」や「経済本」を捨て去り、『罪と罰』を手に取りなさいと。
ウキペディア・ロシア版によると、1863年にドイツのバーデン・バーデンという都市を訪れ、ギャンブルで自分のお金だけでなく、同行した女友達のお金もなくしたらしい。そして、すぐに本を書き上げるからと出版社に泣きつき、契約してできたのが、このイグロック(賭博者)だとか。
そんなわけだから、とてもリアリティーに溢れている作品なのだろう。
速く書きあげなければいけないので、口述筆記による著作となり、その速記を担当した女性と結婚した。さらに、驚くべきことに、お金がはいるとヨーロッパにハネムーンにでかけ、またバーデンバーデンに立ち寄り、すべての金をすった。その後は奥さんとギャンブルをしない約束を交わし、10年間はしなかったとか。
俺も株で大損して、汗水流し働き、また株に手を出す。ドストエフスキーにとても共感を憶えてしまう。
・・・・・・
『賭博者』を読み終えた。借金のかたに執筆契約をしたドストエフスキーが26日で書きあげた本だ。口述筆記であるのが文体に影響しているのかどうかは分からないが、「カラマーゾフ」のような重厚感はない。読み物としては手軽に楽しめる。
ギャンブルと女で身を滅ぼす − 何百年も聞きならされた言葉だが、実際にその顛末を一部始終目にしたり、どういう心理的状況が働いて破滅をもたらしたかをつぶさに知っている人は数少ないと思う。傍らにいる者たちは、原因と結果だけをみて早急に結論づける。途中経過は重要でないかのように。しかし、俺が思うに、プロセスこそ重要である。そこに英知が隠されている。女で身を滅ぼすものもいれば、幸せになるものもいる。ギャンブルで全財産を失う者もいれば、巨万の富を築く者もいる。ある原因はまったく異なる結果をもたらすものだ。原因はどうあれ、いかに考え、いかに行動をとるかが結果を左右する。ギャンブルや女でなくともこの世には身を滅ぼす要因はいくらでもあるのだ。愚か者だけでなく、賢明な者さえ破滅することはしばしばある。
羹に懲りて膾を吹く人生よりも、どっぷりギャンブルや女につかる方がいいことも偉大な作家が示している。破滅から這いあがれるだけの強さは破滅を経験した者や破滅の淵を覗いたものにしか得られない。
死刑宣告、シベリアでの10年の流刑、ルーレットでの破産、妻の死、若き女性への失恋、これが偉大な作品群を残したドストエフスキーの私生活だ。その都度彼は這いあがってきた。その苦悩の過程で魂は磨かれたのだ。自分自身も含めて愚かな者たちをたくさん見てきただろう。ドストエフスキーはさまざま悲劇を通じて我々に人生の真理を問いかける。
俺の株式投資の師匠はドストエフスキーだ。株式投資を始めようと思う者に告ぐ。「株入門本」や「経済本」を捨て去り、『罪と罰』を手に取りなさいと。
2023年1月26日に日本でレビュー済み
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作家の名前につられ購入したけど文体がちょっと特殊で進まない。まだ進捗20%くらい。「賭博者」の真髄まではまだまだ。
2020年11月9日に日本でレビュー済み
すごく狂気じみた作品であるし、登場人物のほぼ全てが不幸せな末路を辿る(物質的にも精神的にも)という、救いのない話であるのだが面白い。読み始めたらほとんどノンストップで読めてしまった。
ストーリー・人物描写ともに、衝動的で刹那的な魅力を持っている。決して高潔な文章とはいえないが、心を掴んで離さない傑作であることは疑いようがない。
心理の解釈もいろいろ考えられるものがある。自暴自棄に陥った人間のタナトスと言われればそんな気もするし、善意のかけちがいが産んだ悲劇ともとれる。ちょっとドストエフスキー本人に聞かないとここは分からない。
しかし分からないにせよ、予想される行動帰結としてなんとなく納得できてしまうのがすごいし、恐ろしいところだ。
たとえばポリーナ。彼女は将軍家が破滅したあと、大金を与えてデ・グリューとの関係を取り持たせようとした主人公を強く非難した。
これはなぜか。考えうるケースがいろいろある。自らを「金によって関係をむなしく修復しようとする存在」とみなした主人公に嫌悪を抱いたか、愛する主人公にある種見放されたのが耐えられなかったか……。
しかし、何であろうと、僕とて主人公と同じことをされたら多分嫌になる。そこだけは納得できるし、そういうシーンがこの小説にはいくつもある。
人の心理を鋭く照射した作品でなくてはなし得ない技法が、この小説を最大に面白くしている要因なのだろう。
とにかくオススメする。これだけは言いたい。
ストーリー・人物描写ともに、衝動的で刹那的な魅力を持っている。決して高潔な文章とはいえないが、心を掴んで離さない傑作であることは疑いようがない。
心理の解釈もいろいろ考えられるものがある。自暴自棄に陥った人間のタナトスと言われればそんな気もするし、善意のかけちがいが産んだ悲劇ともとれる。ちょっとドストエフスキー本人に聞かないとここは分からない。
しかし分からないにせよ、予想される行動帰結としてなんとなく納得できてしまうのがすごいし、恐ろしいところだ。
たとえばポリーナ。彼女は将軍家が破滅したあと、大金を与えてデ・グリューとの関係を取り持たせようとした主人公を強く非難した。
これはなぜか。考えうるケースがいろいろある。自らを「金によって関係をむなしく修復しようとする存在」とみなした主人公に嫌悪を抱いたか、愛する主人公にある種見放されたのが耐えられなかったか……。
しかし、何であろうと、僕とて主人公と同じことをされたら多分嫌になる。そこだけは納得できるし、そういうシーンがこの小説にはいくつもある。
人の心理を鋭く照射した作品でなくてはなし得ない技法が、この小説を最大に面白くしている要因なのだろう。
とにかくオススメする。これだけは言いたい。
2020年8月17日に日本でレビュー済み
主人公や大富豪のおばあさんが、ルーレットにハマって身を滅ぼしていく話。
当時は娯楽が少なかったのもあるのかもしれない。
現代だったら、アマゾンのレビュー書いたり、SNSやったりで、たまに「いいね」もらって楽しめばいいのにと、余計なことを思った笑
ルーレットや、それらの影響で脳からでる脳内物質は、多分同じですよ。
当時は娯楽が少なかったのもあるのかもしれない。
現代だったら、アマゾンのレビュー書いたり、SNSやったりで、たまに「いいね」もらって楽しめばいいのにと、余計なことを思った笑
ルーレットや、それらの影響で脳からでる脳内物質は、多分同じですよ。
2018年3月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
何回も同じところに賭けてそれが当たるところに博打の本質があり、それが確率的に破滅の原因であることが暗示される。
2018年9月15日に日本でレビュー済み
主人公(アレクセイ)は「将軍」に雇われている家庭教師。将軍は、祖母の遺産が転がり込むのをアテにしている。アレクセイは将軍の義理の娘であるポリーナに惚れている。ポリーナは美人で高慢。アレクセイのことなどなんともおもっていない。将軍は55歳なのだが30も年下のマドモアゼル・ブランシェに惚れている。それだけに金が欲しい。しかし、将軍の財産はすっかり抵当に入っている。将軍やアレクセイらは、賭博の街にいる。
死にかけていると思われた祖母が突然あらわれる。祖母は、ルーレットをはじめていきなりビギナーズラック。大儲けをするのだが、調子に乗ってゲームを続けると負けが続く。将軍は気が気ではない。祖母は大損をしてしまう。こうして将軍の夢も潰える。巻き添えを食らうようにポリーナも破産。
絶望したポリーナを救うため、アレクセイはカジノに出かけて大勝負をする。そして大勝。ポリーナに金を渡すとポリーナは、甘えたり、蔑んだりと動転するが、結局、アレクセイの金は受け取らず。
その後、祖母は亡くなり、将軍も脳卒中で死んだらしい。アレクセイは貧乏になるのだが、根性を貫き通しさえすれば、1時間で運命を変えることができる、大切なのは根性、と決意する。
死にかけていると思われた祖母が突然あらわれる。祖母は、ルーレットをはじめていきなりビギナーズラック。大儲けをするのだが、調子に乗ってゲームを続けると負けが続く。将軍は気が気ではない。祖母は大損をしてしまう。こうして将軍の夢も潰える。巻き添えを食らうようにポリーナも破産。
絶望したポリーナを救うため、アレクセイはカジノに出かけて大勝負をする。そして大勝。ポリーナに金を渡すとポリーナは、甘えたり、蔑んだりと動転するが、結局、アレクセイの金は受け取らず。
その後、祖母は亡くなり、将軍も脳卒中で死んだらしい。アレクセイは貧乏になるのだが、根性を貫き通しさえすれば、1時間で運命を変えることができる、大切なのは根性、と決意する。