きょうから寝るまえの読書は、新潮文庫の『サキ短篇集』だ。サキのこの短篇集はむかし読んだことがあると思うけれど、1作しか憶えていない。主人公が身動きできない状況で、遠くで吠える狼の声を聞く物語だ。
1作目は、「二十日鼠」主人公は中年の男。電車で二十日鼠に服のなかに入られて上半身裸になった。婦人がひとりいて、眠っていたのだが目を覚ましたのだった。男は恥ずかしさのために急いで服を着た。ところが、さいごにわかるのだが、女性は目が見えなかったのである。
2作目は、「平和的玩具(おもちや)」子どもたちに玩具を与えたら、子どもらはすぐにそれらを戦争の玩具としてつくりかえてしまった。
3作目は、「肥(ふと)った牡牛(おうし)」牛の絵を描いてばかりいる画家のところへ、自分の家の庭に牛が入り込んだので追い出してほしいと、夫人が言った。しかし画家はかまわず牛を観察した。牛は夫人の部屋にまで入った。画家はその様子をキャンバスに描いた。その絵は世間で高い評価を得た。画家は夫人にプレゼントを渡したが、夫人の機嫌は直らなかった。
4作目は、「狼(おおかみ)少年」自分の領地の森に怪しい少年がいた。話しかけると、森のなかの動物たちを食べていると言う。人間の肉も食べたと言う。おれの森に入るなと言うと、主人公の領主の家にきた。叔母は少年のことが気に入った様子だった。ある日、幼児を少年に預けたところ、少年と幼児の姿が消えた。二度と現われることはなかった。
5作目は、「話上手」電車のなかで子どもたちに話を聞かせているおばさんがいた。しかしどうもその話はおもしろくなかったようで、同席していたおじさんの残酷なお話の方がおもしろかったようだった。
6作目は、「七番目の若鶏(わかどり)」通勤仲間になにかおもしろい話をしようとして作り話をして受けた。しかし、じっさいに起こった不思議な話も作り話だと思われてしまった。主人公はそういうわけで通勤時間を少し早めにしたのだった。
7作目は、「運命」主人公は流浪の身であったが、ある屋敷に行きあたると、その屋敷で行方不明になっていた主人と間違われた。間違えられたまま数か月が過ぎ、その主人を憎んでいる相手が現われた。そしてその相手に殺された。
8作目は、「開いた窓」開いた窓から、沼で死んだ3人の人間が戻ってくると信じている夫人がいた。その話の通り、3人の人間が窓から戻ってきたので、話を聞いていた男が驚いて家から出て行ったという話。
9作目は、「宵闇(よいやみ)」石鹸を買いに出たと言う青年は、自分が泊まるはずのホテルがどこにあるかわからないという。手持ちの金もない。主人公は、では、その石鹸はどこにあるのかと尋ねる。青年は石鹸を持っていなかった。数刻して、石鹸が落ちているのを見つけて青年を探して、いくらかの金を与えた。ところが、そのあと、ひとりの紳士がそこらじゅうを何かを探しているのを見た。聞いたら、買った石鹸を落としたのだと言う。
10作目は、「ビザンチン風オムレツ」社会主義を信奉する裕福な夫人が自分のパーティーを開こうとすると、召使たちがストライキに入った。食事の支度をする者たちも料理をする者たちもストライキに入った。夫人は二度と社会主義を信奉しなかった。
11作目は、「休養」家が雨のために沼地のようになった。シャモと豚が騒いでる。選挙に出ている男に女性が言う。とにかく、きょう一日だけでも選挙のことからあなたを解放できましたわねと。
12作目は、「マルメロの木」見事なマルメロの木が庭に植わっている家に住む夫人は、家賃が溜まっていた。それを助けるために、ある女が作り話をしてただで家を借りられるようにしたという話。
13作目は、「親米家」絵を描いて売りに出していた青年がいた。絵はいっこうに売れなかった。しかし、ある日、青年はレストランで見事に豪勢な食事をしたのであった。人々は、絵が売れたのだと思い、青年の持っている絵を価値あるものと思って買いあさったのであった。しかし、真相は、青年の実家にアメリカ人の車がぶつかって、その補償金が両親に入ったので、親からの送金で、豪勢な食事をしただけだったのである。
14作目は、「十三人目」連れ子が5人いる男と、連れ子が8人いる女が結婚について話している。合計13人いる連れ子の13という数字がよくないという話になった。しかし、男の連れ子が4人だったことがわかり無事、結婚の話がまとまった。
15作目は、「家庭」妻を娶らなければならない独身男が主人公。はじめに思っていた女性とは異なる女性と結婚することになった。
16作目は、「セルノグラツの狼(おおかみ)」男爵一家はひとつの城を買った。家庭教師が城についての言い伝えを言う。セルノグラツ家の者が城で死ぬときには、森中の狼が吠え、庭の木が倒れると。男爵はなぜそんな言い伝えを知っているのかと家庭教師の女に言うと、女はセルノグラツ家の末裔だと言うのであった。男爵一家はその話を信じなかったが、家庭教師の女が病気で倒れて死んだときに、狼が吠え、木が裂けて倒れたのであった。
17作目は、「おせっかい」これが、ぼくの憶えていた短篇だった。森の領地を争っていた両家の主たち、ふたりが森で同時に一本の木の下敷きになった。ふたりはもう領地争いはやめようという話になった。ところで、ふたりは部下たちがくると思っていたのだが、見えるところにいたものたちは狼たちだった。そうか、この短篇のさいごのところだけを憶えていたのだった。しかも、記憶のなかでは、身動きできないのはひとりだと思っていたのであった。記憶とは、なんと、あてにできないものであろうか。
18作目は、「ある殺人犯の告白」教誨師に死刑直前の男が、自分が無実であることを告白した。巡り合わせが悪くて死刑になるのだった。教誨師は、だれにでもそうなることがあると思ったのであった。
19作目は、「ラプロシュカの霊魂」けちで有名なラプロシュカからお金を借りた主人公。半年かそこらじゅうに返すよと言うと、絶望して、ラプロシュカは死んだ。そのあと、主人公が行く先々で、ラプロシュカの幽霊は出没する。主人公がいくばくかの金を教会に寄付すると、ラプロシュカの幽霊は主人公に挨拶して、その後、二度と現われなかった。
20作目は、「七つのクリーム壺」盗癖のある貴族がいて、その貴族と間違えて、客の荷物から銀のクリーム壺を盗った主人公とその妻は、客が盗癖のある貴族と違っていたのを知ると、妻は夫のいないあいだに客に、主人に盗癖があると説明した。それは秘密にしておいてくださいねと言っておいたのだが、世間には知られてしまったのであった。
さいごの21作目は、「盲点」偉い人が殺されたのだが、犯人らしき者は料理人しかいなかった。証拠がなくて訴追されなかったのだが、その後、一通の手紙が出てきて、その料理人が犯人としか思われないことになったのだが、その証拠の手紙を渡されたひとは、その手紙を暖炉の火にくべたのであった。なんでその男をかばおうとするのか尋ねると、殺人はありふれているが、その料理人の腕はありふれたものではないのでねと言われた。
プライム無料体験をお試しいただけます
プライム無料体験で、この注文から無料配送特典をご利用いただけます。
非会員 | プライム会員 | |
---|---|---|
通常配送 | ¥410 - ¥450* | 無料 |
お急ぎ便 | ¥510 - ¥550 | |
お届け日時指定便 | ¥510 - ¥650 |
*Amazon.co.jp発送商品の注文額 ¥3,500以上は非会員も無料
無料体験はいつでもキャンセルできます。30日のプライム無料体験をぜひお試しください。
¥605¥605 税込
発送元: Amazon.co.jp 販売者: Amazon.co.jp
¥605¥605 税込
発送元: Amazon.co.jp
販売者: Amazon.co.jp
¥22¥22 税込
配送料 ¥257 6月6日-7日にお届け
発送元: フルタク(古本宅配買取センター) 販売者: フルタク(古本宅配買取センター)
¥22¥22 税込
配送料 ¥257 6月6日-7日にお届け
発送元: フルタク(古本宅配買取センター)
販売者: フルタク(古本宅配買取センター)
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
サキ短編集 (新潮文庫) 文庫 – 1958/3/18
{"desktop_buybox_group_1":[{"displayPrice":"¥605","priceAmount":605.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"605","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"i76dsyQhZhBctkpptJGKRWNO94hPufY9rg5Z4bAtNZ5xe9QrzL5yuqSURnbEHW%2BPDQw4UU6QnPb4T3z7TcBz4DaShnWmCY69UpwlFAFCzcO8kAUD8WOAUe2kNmQCOaO3","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"NEW","aapiBuyingOptionIndex":0}, {"displayPrice":"¥22","priceAmount":22.00,"currencySymbol":"¥","integerValue":"22","decimalSeparator":null,"fractionalValue":null,"symbolPosition":"left","hasSpace":false,"showFractionalPartIfEmpty":true,"offerListingId":"i76dsyQhZhBctkpptJGKRWNO94hPufY9nwAWOPNSWPkkjxineKeLrqbjdtswliZ5w2pUAXcXO%2F95JWw5zWLKta72cG1wfVHn4Fh%2BEiChOP9v0M5OToNrmTtgcTiKnOvVUJoS7uI3k8MHeoebcZOYE3lhKW1rEh%2F5QShRiZFVwX7PCtErTWhm%2Fw%3D%3D","locale":"ja-JP","buyingOptionType":"USED","aapiBuyingOptionIndex":1}]}
購入オプションとあわせ買い
O・ヘンリ最大のライバル!残酷、非情、ユーモア、ペーソス、諷刺、
かなりブラックな短編が好きなあなたへ――。思わず唸る、救いのないどんでん返し21連発。
ビルマで生れ、幼時に母と死別して故国イギリスの厳格な伯母の手で育てられたサキ。豊かな海外旅行の経験をもとにして、ユーモアとウィットの糖衣の下に、人の心を凍らせるような諷刺を隠した彼の作品は、ブラックユーモアと呼ぶにふさわしい後味を残して、読者の心に焼きつく。「開いた窓」や「おせっかい」など、日本のSFやホラー作品にも多大な影響をあたえた代表的短編21編。
目次
二十日鼠(The Mouse)
平和的玩具(The Toys of peace)
肥った牡牛(The Stalled Ox)
狼少年(Gabriel-Ernest)
話上手(The Story-Teller)
七番目の若鶏(The Seventh Pullet)
運命(The Hounds of Fate)
開いた窓(The Open Window)
宵闇(Dusk)
ビザンチン風オムレツ(The Byzantine Omelette)
休養(The Lull)
マルメロの木(The Quince Tree)
親米家(On Approval)
十三人目(The Baker's Dozen)
家庭(Tea)
セルノグラツの狼(The Wolves of Cernogratz)
おせっかい(The Interlopers)
ある殺人犯の告白(The Lost Sanjak)
ラプロシュカの霊魂(The Soul of Laploshka)
七つのクリーム壺(The Seven Cream Jugs)
盲点(The Blind Spot)
解説:中村能三
本書収録「おせっかい」より
二人の仇敵は、ながい間無言のまま、睨みあっていた。たがいに手には鉄砲を持ち、心には憎悪を抱き、そして、先ず考えるのは相手を殺すことであった。一生いだきつづけた情熱に、全力をふるわせる機会が到来したのだ。しかし、限界をもうけた文明の道徳律の下で成長した人間は、家庭や名誉を犯されないかぎり、そうやすやすと、隣人を、冷酷に、一言も口をきかず、射ち殺す勇気が出せるものではない。そして、瞬間の逡巡から、行動にうつる前に、自然の暴力が二人を圧倒してしまった。……
サキ(1870-1916)
イギリスの作家。本名ヘクター・ヒュー・マンロー。「モーニング・ポスト」の海外特派員を務め、1904年に短編集『レジノルド』を刊行。他に『獣と超獣』等の短編集があり、欧米ではO・ヘンリと並ぶ短編の名手と評されている。第一次大戦で戦死。
中村能三(1903-1981)
福岡生れ。旧制福岡高校中退。職業翻訳家の草分けとして、戦前から多数の翻訳を手掛けた。『オリバー・ツイスト』等の訳書がある。
かなりブラックな短編が好きなあなたへ――。思わず唸る、救いのないどんでん返し21連発。
ビルマで生れ、幼時に母と死別して故国イギリスの厳格な伯母の手で育てられたサキ。豊かな海外旅行の経験をもとにして、ユーモアとウィットの糖衣の下に、人の心を凍らせるような諷刺を隠した彼の作品は、ブラックユーモアと呼ぶにふさわしい後味を残して、読者の心に焼きつく。「開いた窓」や「おせっかい」など、日本のSFやホラー作品にも多大な影響をあたえた代表的短編21編。
目次
二十日鼠(The Mouse)
平和的玩具(The Toys of peace)
肥った牡牛(The Stalled Ox)
狼少年(Gabriel-Ernest)
話上手(The Story-Teller)
七番目の若鶏(The Seventh Pullet)
運命(The Hounds of Fate)
開いた窓(The Open Window)
宵闇(Dusk)
ビザンチン風オムレツ(The Byzantine Omelette)
休養(The Lull)
マルメロの木(The Quince Tree)
親米家(On Approval)
十三人目(The Baker's Dozen)
家庭(Tea)
セルノグラツの狼(The Wolves of Cernogratz)
おせっかい(The Interlopers)
ある殺人犯の告白(The Lost Sanjak)
ラプロシュカの霊魂(The Soul of Laploshka)
七つのクリーム壺(The Seven Cream Jugs)
盲点(The Blind Spot)
解説:中村能三
本書収録「おせっかい」より
二人の仇敵は、ながい間無言のまま、睨みあっていた。たがいに手には鉄砲を持ち、心には憎悪を抱き、そして、先ず考えるのは相手を殺すことであった。一生いだきつづけた情熱に、全力をふるわせる機会が到来したのだ。しかし、限界をもうけた文明の道徳律の下で成長した人間は、家庭や名誉を犯されないかぎり、そうやすやすと、隣人を、冷酷に、一言も口をきかず、射ち殺す勇気が出せるものではない。そして、瞬間の逡巡から、行動にうつる前に、自然の暴力が二人を圧倒してしまった。……
サキ(1870-1916)
イギリスの作家。本名ヘクター・ヒュー・マンロー。「モーニング・ポスト」の海外特派員を務め、1904年に短編集『レジノルド』を刊行。他に『獣と超獣』等の短編集があり、欧米ではO・ヘンリと並ぶ短編の名手と評されている。第一次大戦で戦死。
中村能三(1903-1981)
福岡生れ。旧制福岡高校中退。職業翻訳家の草分けとして、戦前から多数の翻訳を手掛けた。『オリバー・ツイスト』等の訳書がある。
- 本の長さ225ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1958/3/18
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104102026010
- ISBN-13978-4102026014
よく一緒に購入されている商品
¥880¥880
最短で6月5日 水曜日のお届け予定です
残り15点(入荷予定あり)
¥880¥880
最短で6月5日 水曜日のお届け予定です
残り12点(入荷予定あり)
総額:
当社の価格を見るには、これら商品をカートに追加してください。
ポイントの合計:
pt
もう一度お試しください
追加されました
一緒に購入する商品を選択してください。
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1958/3/18)
- 発売日 : 1958/3/18
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 225ページ
- ISBN-10 : 4102026010
- ISBN-13 : 978-4102026014
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 104,965位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2022年11月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ツイッターで、オススメされていて 読んでみました。翻訳文体は古いのですが 読みにくいことはなく、今 二周目です。
先ずは、一読あれ
先ずは、一読あれ
2022年5月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
8年ほど前に読んだ田内初義氏翻訳の『サキ短編集』(1979年講談社文庫)を読んだのだが、中村能三氏翻訳の『サキ短編集』(1958年新潮文庫)に興味をもったので入手して読むことにした。
内容が重なることは承知していたがすべての短編ではないことに期待して読み始めた。
サキの短編は135編もあるが、翻訳者の好みで選ぶのが通例であり、本書には21編を選んであった。
田内初義氏翻訳の『サキ短編集』のなかと同じ短編が本書には8編ありました。
訳者のよってタイトルが異なるのは英語翻訳の違いだろう。
例えば「Dusk」という短編を、田内氏は「たそがれ」としているが、中村氏は「宵闇」としている。
「二十日鼠」(田内氏タイトル「二十日ねずみ」)という短編を両氏の訳を読み比べてもて田内氏のほうがその場の状況を訳者流に可笑しく描写していたが、本書中村氏の翻訳に可笑しみを感じることがなかった。
同じ短編でも訳者が感じたものを読者に伝えるテクニックでこんなにも違ってくるのかと思ってしまいました。
他の短編もすべて読み比べてはいませんが、概して田内氏のほうが優れた翻訳をしているように思いました。
本書の短編を読み終え、中村氏の翻訳した日本語が古臭く感じてしまったのは評者だけでしょうか。
内容が重なることは承知していたがすべての短編ではないことに期待して読み始めた。
サキの短編は135編もあるが、翻訳者の好みで選ぶのが通例であり、本書には21編を選んであった。
田内初義氏翻訳の『サキ短編集』のなかと同じ短編が本書には8編ありました。
訳者のよってタイトルが異なるのは英語翻訳の違いだろう。
例えば「Dusk」という短編を、田内氏は「たそがれ」としているが、中村氏は「宵闇」としている。
「二十日鼠」(田内氏タイトル「二十日ねずみ」)という短編を両氏の訳を読み比べてもて田内氏のほうがその場の状況を訳者流に可笑しく描写していたが、本書中村氏の翻訳に可笑しみを感じることがなかった。
同じ短編でも訳者が感じたものを読者に伝えるテクニックでこんなにも違ってくるのかと思ってしまいました。
他の短編もすべて読み比べてはいませんが、概して田内氏のほうが優れた翻訳をしているように思いました。
本書の短編を読み終え、中村氏の翻訳した日本語が古臭く感じてしまったのは評者だけでしょうか。
2021年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
Oヘンリーと並ぶ短編作家と聞くが、その味わいはスティーブン・キングを彷彿させるウィットとユーモア、ブラックな価値観に溢れている。貞淑さや優れたものに対する逆説的発想はまさに真の人間性の探究のようである。
2019年5月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この小説家と彼の作品についてはたくさんのすぐれた評が寄せられていて、わたしが付け加えることはなにもありません。
わたしは小学校6年のときにこの文庫本を本屋で立ち読みしました。どの作品も面白かったけれど、なかんずく『肥った牡牛』に惹かれました。
今回も購入してまずその話を読んだのですが「あれ?」と思う所がありました。いちばん最後の部分が記憶と一致しないのです。この話の主人公は画家なのですが、あまりうだつの上がらない生活ぶりです。それが画壇の頂上に登りつめてゆく経緯の設定が絶品なのですが、並んで主人公の描いた大作の題名が出てきます。50年前に読んだときには、あとふたつみっつ、作品名が出てきたように記憶するのです。わたしはその絵の題を見て思わず噴き出してしまったのです。そこが割愛されている。こはいかにしつることどもぞや。
先日図書館に行って原書を閲覧してもこの本と違いはありませんでした。もしかして井伏鱒二の『山椒魚』事件みたいなことでもあったのでしょうか。浩瀚な識者のご教示をお待ちしています。
わたしは小学校6年のときにこの文庫本を本屋で立ち読みしました。どの作品も面白かったけれど、なかんずく『肥った牡牛』に惹かれました。
今回も購入してまずその話を読んだのですが「あれ?」と思う所がありました。いちばん最後の部分が記憶と一致しないのです。この話の主人公は画家なのですが、あまりうだつの上がらない生活ぶりです。それが画壇の頂上に登りつめてゆく経緯の設定が絶品なのですが、並んで主人公の描いた大作の題名が出てきます。50年前に読んだときには、あとふたつみっつ、作品名が出てきたように記憶するのです。わたしはその絵の題を見て思わず噴き出してしまったのです。そこが割愛されている。こはいかにしつることどもぞや。
先日図書館に行って原書を閲覧してもこの本と違いはありませんでした。もしかして井伏鱒二の『山椒魚』事件みたいなことでもあったのでしょうか。浩瀚な識者のご教示をお待ちしています。
2016年3月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
大人の短編集でした。シニカルな所がなんとも言えず面白かったです。
2016年11月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
池澤春菜の本に出ていたからだったっけ、とにかく購入。
一話目の冒頭部分を読んで――「あれ、見覚えがある? オチも知ってる?」
二十数年前に一話だけ読んで「なんじゃコラ」と思った本だった。
まあ、二話目以降は読んでいないので、完全な損ではないが……。
とにかく〝普通〟です。
一話目の冒頭部分を読んで――「あれ、見覚えがある? オチも知ってる?」
二十数年前に一話だけ読んで「なんじゃコラ」と思った本だった。
まあ、二話目以降は読んでいないので、完全な損ではないが……。
とにかく〝普通〟です。
2016年9月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
私はこの手の短編集はロアルト・ダール、とこのサキに尽きると思っています。この中の「開いた窓」は私の最も好きな作品で最高傑作だと信じています。
中学生くらいから読めますのでぜひお読みください。虜になっても責任は持ちかねますがね^^。
中学生くらいから読めますのでぜひお読みください。虜になっても責任は持ちかねますがね^^。