ディケンズの『二都物語』は世界で最も読まれている小説だそうです。
この小説のどこがそれ程世界中の人々を惹きつけるのか、興味を持って読みましたが、翻訳特有の造語と思える読み方がわからないような熟語が目につきまして少し閉口しました。
それでも、それらを凌駕する魅力溢れる物語であることは十分に伝わってきました。
フランス革命は現代からみれば、共和制という人類の進歩を推し進めた偉大な事業であったと評価できます。
しかしこの大事業をやり遂げるためにどれ程の犠牲を必要としたか。
まさに地獄を一度通過しなければ、辿りつけないような場所にフランス革命はあったのでしょう。
そのような時であっても、人は神のように振る舞えることを物語は語っているのではないかと思いました。
翻訳の中野好夫さんが巻末に解説を伏しておられるのを読んで、腑に落ちる部分も多々ありましたので少し紹介しておきます。
中野さんの世代の人にとってディケンズは学生時代のテキストとして使われ、ヴィクトリア王朝の栄華を感じられ憧れた文学だそうです。
ところが、訳出するにあたって改めて文章を見て、よくもまあこの本をテキストに使ったな、と呆れてしまいます。
英語の上達には全く役に立ちそうにない、文章だというのです。
俗語、スラングの類が相当多いのでしょうね。
また構成力がディケンズは落ちると冷たく仰っています。
(ディケンズはストーリテラーとしての魅力は語られる半面、構成力はしばしば批判を受けています)
それでも面白いには面白く、面白い話を追っていく感じで読めば良いのではないか、といったことが書かれています。
何となく、翻訳をするのに四苦八苦している中野さんの姿が頭をよぎりました。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
二都物語 (下巻) (新潮文庫) 文庫 – 1967/1/30
パリに革命の火が燃え上がる。ルーシーと結ばれて幸せな生活を送るダーニーに、かつての忠実な召使いから救いを求める手紙が……。運命に導かれるようにフランスへ向い、捕えられ、死刑の判決を下されるダーニー。刑執行の日、カートンは愛する人のために、彼女の夫の身代りとなって自ら断頭台の人となる。大革命を挟む激動の時代を背景に描く、ディケンズの作品中最も名高い大作。
- 本の長さ357ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1967/1/30
- ISBN-104102030042
- ISBN-13978-4102030042
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1967/1/30)
- 発売日 : 1967/1/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 357ページ
- ISBN-10 : 4102030042
- ISBN-13 : 978-4102030042
- Amazon 売れ筋ランキング: - 120,096位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
星5つ中3.7つ
5つのうち3.7つ
全体的な星の数と星別のパーセンテージの内訳を計算するにあたり、単純平均は使用されていません。当システムでは、レビューがどの程度新しいか、レビュー担当者がAmazonで購入したかどうかなど、特定の要素をより重視しています。 詳細はこちら
17グローバルレーティング
虚偽のレビューは一切容認しません
私たちの目標は、すべてのレビューを信頼性の高い、有益なものにすることです。だからこそ、私たちはテクノロジーと人間の調査員の両方を活用して、お客様が偽のレビューを見る前にブロックしています。 詳細はこちら
コミュニティガイドラインに違反するAmazonアカウントはブロックされます。また、レビューを購入した出品者をブロックし、そのようなレビューを投稿した当事者に対して法的措置を取ります。 報告方法について学ぶ
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2014年6月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2013年11月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
二都物語の舞台を見るために購入しましたが、読みにくくてリタイアしました。
自分の根気が足りないためです。
残念。
自分の根気が足りないためです。
残念。
2010年6月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とっても読ませる作品。良書。
ただし、気分がめいっている時は厳しいかも。
ただし、気分がめいっている時は厳しいかも。
2012年8月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
美しく晴れた朝、ルーシーとダーニーは教会で結婚式を挙げた。幸せな新夫婦は新婚旅行に。しかし父マネット医師の様子は異常だった。8年のうちにルーシーには母親そっくりのかわいい金髪の娘が生まれ、ルーシーと名付けられる。男の子は幼くして死んだ。2人とも、カートンによくなつき、一家には愛が溢れていた。
だが、ダーニーの秘密はバーサッドの口からドファルジュに洩れていた。彼は高慢な貴族サン・テヴレモンドの甥なのたが、貴族制を嫌って英国に亡命していたのだ。フランスでは革命が最高潮に達し、国王や貴族がギロチンで処刑される。共和国の名のもとに民衆は貴族への復讐に殺気立つ。ダーニーは元使用人の手紙に釣り出されて渡仏、捕えられ、ラ・フォルス監獄に送られる。
人民裁判で彼は死刑を宣告される。サン・テヴレモンド侯爵こそ、マダム・ドファルジュの一家に暴行を加えて殺害した仇敵だったのだ。侯爵は瀕死の姉弟を診察したマネット医師を、バスチーユに幽閉したのだ。カートンはルーシーや幼い娘も血祭りにあげられる、と気づき、愛する彼女と、彼女の<いとしいもの>のために、自分が犠牲になる決心をする。彼等の出国の手筈を整えてから、彼はバーサッドを使って監獄に入り、麻薬でダーニーを失神させ、服を取り換え、カートンの服を着たダーニーを連れ出させて、自分が残る。二人の容貌が似ていることを利用したのだ。翌日サン・テヴレモンドとしてギロチンにかけられる彼を支えるのは「われは甦りなり、生命なり。我を信ずる者は死ぬるとも生くべし」という聖句とルーシーへの思い、そして、やがて彼女に男の子が授かり、カートンと名付けられて立派な弁護士になるだろうという<甦り>の夢である。
だが、ダーニーの秘密はバーサッドの口からドファルジュに洩れていた。彼は高慢な貴族サン・テヴレモンドの甥なのたが、貴族制を嫌って英国に亡命していたのだ。フランスでは革命が最高潮に達し、国王や貴族がギロチンで処刑される。共和国の名のもとに民衆は貴族への復讐に殺気立つ。ダーニーは元使用人の手紙に釣り出されて渡仏、捕えられ、ラ・フォルス監獄に送られる。
人民裁判で彼は死刑を宣告される。サン・テヴレモンド侯爵こそ、マダム・ドファルジュの一家に暴行を加えて殺害した仇敵だったのだ。侯爵は瀕死の姉弟を診察したマネット医師を、バスチーユに幽閉したのだ。カートンはルーシーや幼い娘も血祭りにあげられる、と気づき、愛する彼女と、彼女の<いとしいもの>のために、自分が犠牲になる決心をする。彼等の出国の手筈を整えてから、彼はバーサッドを使って監獄に入り、麻薬でダーニーを失神させ、服を取り換え、カートンの服を着たダーニーを連れ出させて、自分が残る。二人の容貌が似ていることを利用したのだ。翌日サン・テヴレモンドとしてギロチンにかけられる彼を支えるのは「われは甦りなり、生命なり。我を信ずる者は死ぬるとも生くべし」という聖句とルーシーへの思い、そして、やがて彼女に男の子が授かり、カートンと名付けられて立派な弁護士になるだろうという<甦り>の夢である。
2013年6月28日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
いろいろな意味で、上質の大衆小説といえると思います。もともとは分冊販売で、読者の反応を見ながら書き進めていったそうで、章ごとに山場を作っていて場面展開が早く、サスペンス・タッチの味付けも充分ある。まさにページターナーです。状況描写がリアルで、200年ほど前のロンドンとパリの様子が、映像を見ているかのように具体的なイメージとして浮かび上がってくる。
しかし、それだけにプロットが強引でご都合主義的なところがあり、その不自然さは否めません。最もつらいのは、人物描写がステレオタイプであること。心理描写が弱いのは、書かれたのは1859年であることを考えれば仕方ないかもしれませんが、ヒロインのルーシーは地上の天使のごとく、非の打ち所がない完璧な女性として描かれているし、チャールズもまた、品行方正、清く正しい青年になっています。身代わりとなって死んでいくシドニーに共感を覚えたいのですが、なぜ彼が酒に溺れる厭世家になってしまったのか、その背景が説明されていないので物足りない。ルーシーへの思慕、チャールズへの友情という、シドニーの心情が全く描かれていないので、彼の言動が唐突すぎて理解するのが難しいです。他の登場人物も善悪の割り振りが明確で、最後までそれが覆されることはありません。エンタメ小説として気楽に読むのが良いかと思いました。
しかし、それだけにプロットが強引でご都合主義的なところがあり、その不自然さは否めません。最もつらいのは、人物描写がステレオタイプであること。心理描写が弱いのは、書かれたのは1859年であることを考えれば仕方ないかもしれませんが、ヒロインのルーシーは地上の天使のごとく、非の打ち所がない完璧な女性として描かれているし、チャールズもまた、品行方正、清く正しい青年になっています。身代わりとなって死んでいくシドニーに共感を覚えたいのですが、なぜ彼が酒に溺れる厭世家になってしまったのか、その背景が説明されていないので物足りない。ルーシーへの思慕、チャールズへの友情という、シドニーの心情が全く描かれていないので、彼の言動が唐突すぎて理解するのが難しいです。他の登場人物も善悪の割り振りが明確で、最後までそれが覆されることはありません。エンタメ小説として気楽に読むのが良いかと思いました。
2016年9月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
写真とは違う古い版が送られてきてガッカリでした。はっきり言って違う商品です。
2008年7月25日に日本でレビュー済み
ディケンズはイギリスでは夏目漱石のような文豪と読んだ後で知りました。
なので、最初はロマンチックな恋愛冒険ものと思い込んでました。
途中まではそんな感じなのですが、終わりが近付くにつれ絶望的な展開になっていきます。
最後は泣けます。
フランス革命文学の中では私はこれが一番好きです。
なので、最初はロマンチックな恋愛冒険ものと思い込んでました。
途中まではそんな感じなのですが、終わりが近付くにつれ絶望的な展開になっていきます。
最後は泣けます。
フランス革命文学の中では私はこれが一番好きです。
2016年7月24日に日本でレビュー済み
ルーシーは、情け深いという設定なら、カートンの行動に対しての想いはどうなんだろう。自分の家族だけ、で寝覚めが悪くないだろうか?読み込みが足らないんだろうか?