私たちは成長するにつれ感情を抑制する術を学び、子供の時のように誰彼構わず喧嘩を仕掛けるようなことはしない。当たり前の話だ。たとえば大人は癪に触る人と話していたからといって「私は君の言動には我慢がならない。よって君を殴る」などとは言えない。
しかし人間嫌いの主人公アルセルトはいわゆる八方美人が蔓延る社交界に憤怒の怒りを燃やし、1人雄々しく立ち向かっていく。もちろん時代が、風習が、常識がそれを許すはずがないのだがその生き様には心を震わされずにはいられない。
P14フィラント しかし、社交界の一員である以上は、慣習上、世間一般の礼儀作法は守らんけりゃならんよ。
アルセルト いや、断じてそんなことはない。そんな虚偽の友情を恥ずかしげもなく交換する手合いは、容赦なく懲戒しなけりゃならん。人間は人間でありたいのだ。どんな場合にも、僕等の心の奥底を僕等の言葉であらわしたいのだ。僕等の心がそのまま僕等の言葉でありたいのだ。僕等の感情を口先ばかりの挨拶でおおいたくはないのだ。
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人間ぎらい (新潮文庫) 文庫 – 1952/3/18
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人間の犯す、ありとあらゆる恐ろしい所行も、
あなたの不実な仕打ちにくらべたらなんでもないんだ――。
欺瞞に満ちた社交界が許せない青年が、それでも恋に落ちてしまった相手とは……。
涙と笑いで描く古典の傑作!
主人公のアルセストは世間知らずの純真な青年貴族であり、虚偽に満ちた社交界に激しい憤りさえいだいているが、皮肉にも彼は社交界の悪風に染まったコケットな未亡人、セリメーヌを恋してしまう――。
誠実であろうとするがゆえに俗世間との調和を失い、恋にも破れて人間ぎらいになってゆくアルセストの悲劇を、涙と笑いの中に描いた、作者の性格喜劇の随一とされる傑作。
本文より
アルセスト 僕にこんな侮辱を加えた以上は、もう覚悟なさい。僕はもう、僕のものじゃない。憤怒が僕の全身をつかんでいるんです。あなたに致命の一撃を加えられて、僕の頭はもう理性じゃどうにもならない。僕は正当な怒りにまかせて行動するきりです。どんなことをしようと、その責任は負いません。
セリメーヌ でもいったい、どうしてそうまっ赤になっていらっしゃるの。あなたは、分別をおなくしになったの。
アルセスト そうです。なくしてしまいました。あなたの美しい顔を見ているうちに、みじめにも……。(第四幕第三場)
モリエール Moliere(1622-1673)
フランスの俳優、喜劇作家。本名ジャン=バチスト・ポクラン。オルレアン大学で弁護士の資格を取るが、女優と恋に落ち、劇団を結成。13年余りの巡業生活の後、1659年に風刺劇「才女気取り」で成功を収め、パリに定着した。「ドン・ジュアン」「守銭奴」「人間ぎらい」など、現在も国立劇場コメディ・フランセーズで上演される作品を数多く残している。
内藤濯(1883-1977)
熊本市生れ。1910(明治43)年東京帝国大学仏文科卒。サン=テグジュペリ『星の王子さま』デュエム『つきの オペラ』等の訳書がある。
あなたの不実な仕打ちにくらべたらなんでもないんだ――。
欺瞞に満ちた社交界が許せない青年が、それでも恋に落ちてしまった相手とは……。
涙と笑いで描く古典の傑作!
主人公のアルセストは世間知らずの純真な青年貴族であり、虚偽に満ちた社交界に激しい憤りさえいだいているが、皮肉にも彼は社交界の悪風に染まったコケットな未亡人、セリメーヌを恋してしまう――。
誠実であろうとするがゆえに俗世間との調和を失い、恋にも破れて人間ぎらいになってゆくアルセストの悲劇を、涙と笑いの中に描いた、作者の性格喜劇の随一とされる傑作。
本文より
アルセスト 僕にこんな侮辱を加えた以上は、もう覚悟なさい。僕はもう、僕のものじゃない。憤怒が僕の全身をつかんでいるんです。あなたに致命の一撃を加えられて、僕の頭はもう理性じゃどうにもならない。僕は正当な怒りにまかせて行動するきりです。どんなことをしようと、その責任は負いません。
セリメーヌ でもいったい、どうしてそうまっ赤になっていらっしゃるの。あなたは、分別をおなくしになったの。
アルセスト そうです。なくしてしまいました。あなたの美しい顔を見ているうちに、みじめにも……。(第四幕第三場)
モリエール Moliere(1622-1673)
フランスの俳優、喜劇作家。本名ジャン=バチスト・ポクラン。オルレアン大学で弁護士の資格を取るが、女優と恋に落ち、劇団を結成。13年余りの巡業生活の後、1659年に風刺劇「才女気取り」で成功を収め、パリに定着した。「ドン・ジュアン」「守銭奴」「人間ぎらい」など、現在も国立劇場コメディ・フランセーズで上演される作品を数多く残している。
内藤濯(1883-1977)
熊本市生れ。1910(明治43)年東京帝国大学仏文科卒。サン=テグジュペリ『星の王子さま』デュエム『つきの オペラ』等の訳書がある。
- ISBN-104102059016
- ISBN-13978-4102059012
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日1952/3/18
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ161ページ
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1952/3/18)
- 発売日 : 1952/3/18
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 161ページ
- ISBN-10 : 4102059016
- ISBN-13 : 978-4102059012
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 222,274位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 24位フランスの戯曲・シナリオ
- - 4,369位新潮文庫
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年4月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
原文や他の訳を知らないのですが、主人公のアルセストが堅物過ぎるように感じた。訳の問題とは断定できないけど、これでいいのかな?
2019年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
"どこに行っても、卑しい阿諛追従ばかりだ。奸計ばかりだ。もう我慢ができん。腹が立つ。僕は今日から、全人類にむかってまともに反抗してかかる覚悟だ。"鋭い風刺の込められた喜劇にてフランス古典喜劇を完成させたとされる著者による1666年初演、性格喜劇の傑作にして作品転換の基点にもなった本書は、時代を超越した魅力に溢れる【人間の明るさと暗さ】が見事にブレンドされた悲喜劇。
個人的には、少し後に活躍したイングランド、シェークスピアの作品に触れる機会は多くも、尾崎紅葉により1886年に国内紹介された著者の作品にはこれまで触れる機会がなかった事から今回本書を手にとったのですが。
初めて『星の王子さま』と訳した事でも知られる訳者が素晴らしいのか、やや時代がかった言い回しで終始展開されていく【拗らせ男子】(よく言えば純真)と【腹黒女子】(同じく、よく言えばコケティシュな若い未亡人)の恋愛を軸にしたシンプルな物語である本書。約350年前のフランスで上演されていたとは思えないくらいに古臭さが全くなく、それこそ舞台を現代日本、配役を京都辺りの【腐れ大学生と謎めいた女性】としても全く違和感がない(あれ、○見登美彦作品みたい?)【普通に喜劇として面白い】事にびっくりしました。
中でもお気に入りの場面は、ヒロインの未亡人が女友人と繰り広げる(お互いに)【相手の為を思って】と前置きした上で、オブラートに包み込んで?【ページ一杯に怒涛の如く繰り広げられる】中傷合戦。"いつの時代も女子怖ー"と、まるで当時の観客になった気分で、腹を抱えて笑ってしまいました。(全国の淑女の皆様、お気持ちを害されたら小生の不徳の致すところ。心よりお詫びします)
たまには喜劇でスッキリしたい誰か、拗らせ男子物語が好きな誰かにオススメ。
個人的には、少し後に活躍したイングランド、シェークスピアの作品に触れる機会は多くも、尾崎紅葉により1886年に国内紹介された著者の作品にはこれまで触れる機会がなかった事から今回本書を手にとったのですが。
初めて『星の王子さま』と訳した事でも知られる訳者が素晴らしいのか、やや時代がかった言い回しで終始展開されていく【拗らせ男子】(よく言えば純真)と【腹黒女子】(同じく、よく言えばコケティシュな若い未亡人)の恋愛を軸にしたシンプルな物語である本書。約350年前のフランスで上演されていたとは思えないくらいに古臭さが全くなく、それこそ舞台を現代日本、配役を京都辺りの【腐れ大学生と謎めいた女性】としても全く違和感がない(あれ、○見登美彦作品みたい?)【普通に喜劇として面白い】事にびっくりしました。
中でもお気に入りの場面は、ヒロインの未亡人が女友人と繰り広げる(お互いに)【相手の為を思って】と前置きした上で、オブラートに包み込んで?【ページ一杯に怒涛の如く繰り広げられる】中傷合戦。"いつの時代も女子怖ー"と、まるで当時の観客になった気分で、腹を抱えて笑ってしまいました。(全国の淑女の皆様、お気持ちを害されたら小生の不徳の致すところ。心よりお詫びします)
たまには喜劇でスッキリしたい誰か、拗らせ男子物語が好きな誰かにオススメ。
2019年9月1日に日本でレビュー済み
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エッカーマン『ゲーテとの対話』でゲーテがしきりにモリエールを激賞するので、読んだ。
うーん、確かに素晴らしい作品。物語の筋としては完璧としか言いようがない。喜劇の名作として有名だが、読んでいて喜劇というよりも悲劇に近い感覚を覚え、この作品においては悲劇と喜劇が同時に成立しているのか?と考えさせられたが、巻末の解説で訳者の内藤濯が同じようなことを書いていたので、やはりそういうことなのだろう。
完璧な構成を持つ戯曲ではるが、どのように演出するか、どのように俳優が演じるかによって、喜劇的にもなれば悲劇的にもなる作品ではないだろうか。これに比較的近いのが、山田洋次監督の喜劇『男はつらいよ』シリーズの中の初期作品群だ。渥美清が喜劇的に演じてはいるが、あらすじだけを見ると考え方によってはこれも悲劇である。優れた作品においては喜劇と悲劇は紙一重なのかもしれない。『人間ぎらい』の初演で主人公アルセストを演じたのはモリエール本人らしいが、さて、初演は喜劇だったのか悲劇だったのか。想像が膨らんでいく。
うーん、確かに素晴らしい作品。物語の筋としては完璧としか言いようがない。喜劇の名作として有名だが、読んでいて喜劇というよりも悲劇に近い感覚を覚え、この作品においては悲劇と喜劇が同時に成立しているのか?と考えさせられたが、巻末の解説で訳者の内藤濯が同じようなことを書いていたので、やはりそういうことなのだろう。
完璧な構成を持つ戯曲ではるが、どのように演出するか、どのように俳優が演じるかによって、喜劇的にもなれば悲劇的にもなる作品ではないだろうか。これに比較的近いのが、山田洋次監督の喜劇『男はつらいよ』シリーズの中の初期作品群だ。渥美清が喜劇的に演じてはいるが、あらすじだけを見ると考え方によってはこれも悲劇である。優れた作品においては喜劇と悲劇は紙一重なのかもしれない。『人間ぎらい』の初演で主人公アルセストを演じたのはモリエール本人らしいが、さて、初演は喜劇だったのか悲劇だったのか。想像が膨らんでいく。
2015年1月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ついに探し出したぞ。今まで、文学者だか演劇屋だか知らないが、隠してやがったな。
新潮文庫の名訳である。完全なる古典というものが存在するのだとしたら、この戯曲のことだ。
この近代フランスの戯曲こそ、万民が世界中で読むべき名作である。
百万部刷って世界中の子供に読ませろ。完全なる古典だ。ハムレットを超えている。
社交界の恋愛劇である。
「人間ぎらい」の主人公アルセストは、恋敵にも恋愛相手にも文句をつけまくり、
恋愛相手に文句をつけまくる。
セリエーヌに対して、誰が好きなのかをはっきりしないあなたは悪い人だと迫る。
これは恋愛至上主義のフランス主義、古典主義の最たる果実とわたしには思える。
思えば、「めぞん一刻」でも、誰が好きかをはっきりさせないと響子さんは責められていた。
最後、失恋劇として終わるのも、モリエールの「人間ぎらい」はゲーテもディケンズもトルストイもスタンダールも、
先取りしているとわたしには感じられたものであるが。
新潮文庫の名訳である。完全なる古典というものが存在するのだとしたら、この戯曲のことだ。
この近代フランスの戯曲こそ、万民が世界中で読むべき名作である。
百万部刷って世界中の子供に読ませろ。完全なる古典だ。ハムレットを超えている。
社交界の恋愛劇である。
「人間ぎらい」の主人公アルセストは、恋敵にも恋愛相手にも文句をつけまくり、
恋愛相手に文句をつけまくる。
セリエーヌに対して、誰が好きなのかをはっきりしないあなたは悪い人だと迫る。
これは恋愛至上主義のフランス主義、古典主義の最たる果実とわたしには思える。
思えば、「めぞん一刻」でも、誰が好きかをはっきりさせないと響子さんは責められていた。
最後、失恋劇として終わるのも、モリエールの「人間ぎらい」はゲーテもディケンズもトルストイもスタンダールも、
先取りしているとわたしには感じられたものであるが。
2012年1月15日に日本でレビュー済み
人間ぎらいであるアルセストが自分が一番嫌いな人間の類いである社交界の女性、セリメーヌに対して恋心を抱いている矛盾が面白い。
フィラントとエリアントが希望となり、ただの悲劇ではなく、喜劇的な面を見せて終わるのもよかった。
ストーリーの運び、場面構成が上手いと思った。
アルセストがオロントの詩を悉く貶す場面は可笑しかった。
フィラントとエリアントが希望となり、ただの悲劇ではなく、喜劇的な面を見せて終わるのもよかった。
ストーリーの運び、場面構成が上手いと思った。
アルセストがオロントの詩を悉く貶す場面は可笑しかった。
2016年9月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
こうゆう本には不慣れだからか、読んで数ページでやめた。
セリフじゃね?
セリフじゃね?
2017年11月13日に日本でレビュー済み
あのゲーテが「毎年、2〜3篇の作品を読み続けている」というほど讃えたのがモリエール。ひとつぐらいは読まなきゃと、手に取ってみました。
ゲーテは言いました、「モリエールは本当に偉大だから、繰り返し読むたびに、今更のように感嘆させられる。その喜劇は悲劇と紙一重で、誰も彼の真似をしようなどという勇気のある者はいない。われわれのような小粒の人間は、こういうものの偉大さを、心の中にしまっておくことなどできないから、ときどきそこへ帰って行って、その印象を心に蘇らせることが大事なのだ(「ゲーテとの対話)」。なんという賛辞でしょう。
本作は、世間知らずの純真な青年が、百戦錬磨の美貌の未亡人に恋し、結局、裏切られ人間不信にも陥っていく、というストーリー。喜劇仕立てながら、人間社会の厳しい定めが鋭く描かれています。確かに、古色蒼然たる雰囲気もありますけれど、セリフの一つ一つは極めて明解。テンポも良く、決して飽きさせずにラストまで引っ張って行ってくれます。どの時代も、世の中に裏と表はつきものということで、思いのほか現代性も兼ね備えたテーマ設定。「フランス文学の至宝」とすら言われるのも納得できるところでした。
ゲーテは、「偉大なものに常に立ち戻ること」の大切さを述べており、その筆頭に挙げるモリエールの一連の作品を嗜むような、心の豊かさを持てたらいいなと思った次第です。
ゲーテは言いました、「モリエールは本当に偉大だから、繰り返し読むたびに、今更のように感嘆させられる。その喜劇は悲劇と紙一重で、誰も彼の真似をしようなどという勇気のある者はいない。われわれのような小粒の人間は、こういうものの偉大さを、心の中にしまっておくことなどできないから、ときどきそこへ帰って行って、その印象を心に蘇らせることが大事なのだ(「ゲーテとの対話)」。なんという賛辞でしょう。
本作は、世間知らずの純真な青年が、百戦錬磨の美貌の未亡人に恋し、結局、裏切られ人間不信にも陥っていく、というストーリー。喜劇仕立てながら、人間社会の厳しい定めが鋭く描かれています。確かに、古色蒼然たる雰囲気もありますけれど、セリフの一つ一つは極めて明解。テンポも良く、決して飽きさせずにラストまで引っ張って行ってくれます。どの時代も、世の中に裏と表はつきものということで、思いのほか現代性も兼ね備えたテーマ設定。「フランス文学の至宝」とすら言われるのも納得できるところでした。
ゲーテは、「偉大なものに常に立ち戻ること」の大切さを述べており、その筆頭に挙げるモリエールの一連の作品を嗜むような、心の豊かさを持てたらいいなと思った次第です。