3つの戯曲それぞれに味わいがありました。
その中で、特に「まじめが肝心」が気に入りました。
軽妙な会話、虚偽から生じる混乱、そして導き出された真実など、色々と楽しめました。
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サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇 (新潮文庫) 文庫 – 1953/4/10
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大正2(1913)年、島村抱月演出、松井須磨子主演、帝国劇場で上演。
昭和35(1960)年には三島由紀夫の演出で文学座が上演した。
聖書に材をとった、戦慄の悲劇。
月の妖しく美しい夜、ユダヤ王ヘロデの王宮に死を賭したサロメの乱舞。血のしたたる預言者ヨカナーンの生首に、女の淫蕩の血はたぎる……。怪奇と幻想と恐怖とで世紀末文学を代表する『サロメ』。夫の情婦といわれる女が臆面もなく舞踏会に姿を現すが、はたして夫人は? 皮肉の才気に富んだ風俗喜劇『ウィンダミア卿夫人の扇』。ワイルド劇の頂点を示す『まじめが肝心』の3編。
【目次】
サロメ(SALOME)
ウィンダミア卿夫人の扇(LADY WINDERMERE'S FAN)
まじめが肝心(THE IMPORTANCE OF BEING EARNEST)
訳者解説
本書収録「サロメ」より
ヨカナーン なにゆえこの女は化粧した瞼の下から、あの金色の目でわたしを見るのだ? この女がなにものであるか、わしは知らぬ。この女がなにものであるか、知りたいとも思わぬ。去れ、女よ。この女ではない、わたしの話したいのは。
サロメ あたしはユダヤの王女、ヘロデヤの娘、サロメだよ。
ヨカナーン さがれ! バビロンの娘! 主に選ばれた者に近よるな。おまえの母は邪悪の酒で地上をみたし、その罪業の叫びは神の耳にさえとどいておるぞ。……
※バビロン…古代バビロニア王国の首都で、繁栄と淫蕩をもって知られた。
ワイルド Wilde,Oscar(1854-1900)
ダブリンに生れ、同地の大学を経てオクスフォード大学に学ぶ。「芸術のための芸術」を唱えて唯美主義、芸術至上主義に基づく活動を展開し、フランスやアメリカにまで名を知られた。小説『ドリアン・グレイの肖像』や『ウィンダミア卿夫人の扇』など一連の喜劇作品、世紀末文学の代表とされる悲劇『サロメ』などで文名高く時代の寵児となるも、男色罪による獄中生活の後は不遇な晩年を送った。
西村孝次(1907-2004)
京都市生れ。東北大学英文科卒業。49~78年、明治大学教授。19世紀末から20世紀にかけての英国作家について、多くの翻訳やエッセイを著している。
昭和35(1960)年には三島由紀夫の演出で文学座が上演した。
聖書に材をとった、戦慄の悲劇。
月の妖しく美しい夜、ユダヤ王ヘロデの王宮に死を賭したサロメの乱舞。血のしたたる預言者ヨカナーンの生首に、女の淫蕩の血はたぎる……。怪奇と幻想と恐怖とで世紀末文学を代表する『サロメ』。夫の情婦といわれる女が臆面もなく舞踏会に姿を現すが、はたして夫人は? 皮肉の才気に富んだ風俗喜劇『ウィンダミア卿夫人の扇』。ワイルド劇の頂点を示す『まじめが肝心』の3編。
【目次】
サロメ(SALOME)
ウィンダミア卿夫人の扇(LADY WINDERMERE'S FAN)
まじめが肝心(THE IMPORTANCE OF BEING EARNEST)
訳者解説
本書収録「サロメ」より
ヨカナーン なにゆえこの女は化粧した瞼の下から、あの金色の目でわたしを見るのだ? この女がなにものであるか、わしは知らぬ。この女がなにものであるか、知りたいとも思わぬ。去れ、女よ。この女ではない、わたしの話したいのは。
サロメ あたしはユダヤの王女、ヘロデヤの娘、サロメだよ。
ヨカナーン さがれ! バビロンの娘! 主に選ばれた者に近よるな。おまえの母は邪悪の酒で地上をみたし、その罪業の叫びは神の耳にさえとどいておるぞ。……
※バビロン…古代バビロニア王国の首都で、繁栄と淫蕩をもって知られた。
ワイルド Wilde,Oscar(1854-1900)
ダブリンに生れ、同地の大学を経てオクスフォード大学に学ぶ。「芸術のための芸術」を唱えて唯美主義、芸術至上主義に基づく活動を展開し、フランスやアメリカにまで名を知られた。小説『ドリアン・グレイの肖像』や『ウィンダミア卿夫人の扇』など一連の喜劇作品、世紀末文学の代表とされる悲劇『サロメ』などで文名高く時代の寵児となるも、男色罪による獄中生活の後は不遇な晩年を送った。
西村孝次(1907-2004)
京都市生れ。東北大学英文科卒業。49~78年、明治大学教授。19世紀末から20世紀にかけての英国作家について、多くの翻訳やエッセイを著している。
- ISBN-10410208102X
- ISBN-13978-4102081020
- 版改
- 出版社新潮社
- 発売日1953/4/10
- 言語日本語
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- 本の長さ355ページ
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対象商品: サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇 (新潮文庫)
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出版社より
ドリアン・グレイの肖像 | サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇 | 幸福な王子 | |
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カスタマーレビュー |
5つ星のうち4.0
135
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5つ星のうち4.1
34
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5つ星のうち4.3
113
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価格 | ¥781¥781 | ¥605¥605 | ¥693¥693 |
【新潮文庫】ワイルド 作品 | 快楽主義者ヘンリー卿の感化で背徳の生活にふける美青年ドリアン。彼の重ねる罪悪はすべて肖像に現われ次第に醜く変っていく……。 | 月の妖しく美しい夜、ユダヤ王ヘロデの王宮に死を賭したサロメの乱舞──怪奇と幻想の「サロメ」等、著者の才能が発揮された戯曲集。 | 死の悲しみにまさる愛の美しさを高らかに謳いあげた名作「幸福な王子」。大きな人間愛にあふれ、著者独特の諷刺をきかせた作品集。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1953/4/10)
- 発売日 : 1953/4/10
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 355ページ
- ISBN-10 : 410208102X
- ISBN-13 : 978-4102081020
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 46,222位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 4位フランスの戯曲・シナリオ
- - 23位イギリス・アメリカの戯曲・シナリオ
- - 331位英米文学研究
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2019年5月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
オペラの原作として書かれたであろうサロメを除いてウィンダミアン卿婦人の扇、真面目が肝心を読むと作者は芸術至上主義とかいった一般向けのイメージや写真からくる印象とは違って受ける台本を簡単に書いてしまえる快活で愉快な戯作者という一面もあったのではないかという印象でした。
2016年9月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
皆で読むのにどうかと思いましたが、内容が面白かったので、好評でした。
2023年9月18日に日本でレビュー済み
本書には、オスカー・ワイルド(1854-1900)の3つの戯曲「サロメ」「ウィンダミア卿夫人の扇」「まじめが肝心」が収められています。
作品とすれば、収録三篇のなかでなにより「まじめが肝心」こそがいちばんの傑作というべきものです。
「サロメ」は内容に衝撃的なところもあってその話題性からたぶんいちばんよく知られている作品かと思われますが、問題作ではあっても評者には傑作とは思えません。
「ウィンダミア卿夫人の扇」はまあ一種の人情劇ですが、話の重要なポイントにしてかつ劇の進行にあって転換点でもあるアーリン夫人の改心がやや唐突な感じがぬぐいきれません。
「まじめが肝心」(1895年初演)は喜劇です。
面白い喜劇を書くのは劇作家でもなかなかむずかしいものがあります。しかしワイルドのこの作品はとても才気に溢れ機知にも富んでいて、たんに読むだけでも面白いものがあります。舞台上演するとどうなるのだろうという興味も強くかきたてられます。
劇の進行とともにふたりの男性登場人物たちの名前と実体、嘘と真実、仮面と素顔があれこれ面白おかしく入れかわりながらも、ついに、かれらの実体、真実、素顔の露見という一見最悪の事態に向かおうとするまさに最後のところでその露見がハッピーエンドへと入れかわるという巧みな劇の構成に舌を巻きます。もちろんそこにはたっぷりとご都合主義がありますが、喜劇なので、面白さに気をとられ、それはあまり気になりません。
ちなみに、この「まじめが肝心」は、ずっと昔、岩波文庫で「嘘から出た誠」のタイトルのもとその翻訳が出ていました(現在絶版)。劇の内容にもそくしたうまいタイトルのつけかただと思わずにはいられませんが、原語に忠実な翻訳が求められる現代では本書におけるように「まじめが肝心」が広くこの戯曲のタイトルとして定着しています。
いっぽう本文庫のタイトルそのものは『サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇 』になっていて、いちばんの傑作「まじめが肝心」がタイトルから外されているのはやはり残念です。
まあ「まじめが肝心」という一見ちょっと地味なタイトルでは売れない、読者の興味をそそりにくいという出版社の判断があったのでしょうが、そういう扱いだと文庫の買い手や読み手に「まじめが肝心」が三作のなかでマイナーな作品という予断をあたえてしまわないかとこちらは要らぬ心配までしたくなります。
評者は、「まじめが肝心」は今回はじめて読んだのですが、とにかく面白かったので、その後舞台上演を撮った動画をさがし、そのいくつか異なる演出を愉しんだしだい。
作品とすれば、収録三篇のなかでなにより「まじめが肝心」こそがいちばんの傑作というべきものです。
「サロメ」は内容に衝撃的なところもあってその話題性からたぶんいちばんよく知られている作品かと思われますが、問題作ではあっても評者には傑作とは思えません。
「ウィンダミア卿夫人の扇」はまあ一種の人情劇ですが、話の重要なポイントにしてかつ劇の進行にあって転換点でもあるアーリン夫人の改心がやや唐突な感じがぬぐいきれません。
「まじめが肝心」(1895年初演)は喜劇です。
面白い喜劇を書くのは劇作家でもなかなかむずかしいものがあります。しかしワイルドのこの作品はとても才気に溢れ機知にも富んでいて、たんに読むだけでも面白いものがあります。舞台上演するとどうなるのだろうという興味も強くかきたてられます。
劇の進行とともにふたりの男性登場人物たちの名前と実体、嘘と真実、仮面と素顔があれこれ面白おかしく入れかわりながらも、ついに、かれらの実体、真実、素顔の露見という一見最悪の事態に向かおうとするまさに最後のところでその露見がハッピーエンドへと入れかわるという巧みな劇の構成に舌を巻きます。もちろんそこにはたっぷりとご都合主義がありますが、喜劇なので、面白さに気をとられ、それはあまり気になりません。
ちなみに、この「まじめが肝心」は、ずっと昔、岩波文庫で「嘘から出た誠」のタイトルのもとその翻訳が出ていました(現在絶版)。劇の内容にもそくしたうまいタイトルのつけかただと思わずにはいられませんが、原語に忠実な翻訳が求められる現代では本書におけるように「まじめが肝心」が広くこの戯曲のタイトルとして定着しています。
いっぽう本文庫のタイトルそのものは『サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇 』になっていて、いちばんの傑作「まじめが肝心」がタイトルから外されているのはやはり残念です。
まあ「まじめが肝心」という一見ちょっと地味なタイトルでは売れない、読者の興味をそそりにくいという出版社の判断があったのでしょうが、そういう扱いだと文庫の買い手や読み手に「まじめが肝心」が三作のなかでマイナーな作品という予断をあたえてしまわないかとこちらは要らぬ心配までしたくなります。
評者は、「まじめが肝心」は今回はじめて読んだのですが、とにかく面白かったので、その後舞台上演を撮った動画をさがし、そのいくつか異なる演出を愉しんだしだい。
2013年1月13日に日本でレビュー済み
イギリス20世紀の劇作家・知者・詩人オスカー・ワイルドの代表的戯曲3編がまとめて編まれた文庫版です。
ワイルドは『幸福の王子』などの童話、『社会主義下の人間の魂』などの社会批評、『ドリアン・グレイの肖像』等の小説、そして本書に収められているような戯曲群と、<二つの顔を持つヤヌス>どころではない非常に多彩な顔を持っている上に、ホイットマン、バーネット、ユゴーなど様々な国の芸術家と親交があり、社会的には人種差別に反対するなど活動の幅も広く、人生自体が読み応えのある物語というか同国の詩人バイロンばりにドラマチックなまさに<世界は舞台、人は役者>を地で言った感のある、噛めば噛むほど面白くなる芸術家です。
わたしはこの、機知に富み、皮肉屋で、おしゃべりで、ちょっと悪ぶってるダンディなんだけど、奇抜なファッションゆえ社交界では引かれ(寵児だった時期もありますが)、妻子ある身で貴族のボンボンダメ男・ボビーに尽くしてしまい不当な裁判に巻き込まれ入獄、終いにはパリで貧困の中死去してしまうけれども、しかしひどく―本当に泣けてくるくらい―純粋で、正直で、不器用で、心が優しくて、友情に篤い、高貴なる青の魂と詩情咲く深紅の星を輝かせるこの男、痛ましくも信念強きこの美の殉教者に対して、妙に深い愛着を抱いています。
奥さんのコンスタンスさんや息子さんたちはヴィクトリア朝道徳観の下で、ワイルドの行状のために苦労をさせられたわけですし、無論ワイルドには突っ込みどころが色々ありますが、息子たちには愛情深くて童話物語を作って読んであげたり、獄中でも会いたがっていたそうですし、コンスタンスさんも出来た女性だったのでしょうがワイルドを「かわいそうなオスカー」といってひどく恨んでいたのではないようです。個性的で純粋で優しい人間であったのは間違いないでしょう。何より、ボビーに裏切られパリでひとり困窮に苦しんだ時でも、自殺をしなかったことは偉いと思います。彼はどんなにどん底にあっても生きることを愛していたのですし、またこのことは―われわれはワイルドの鋭い皮肉や機知に気を取られがちですけれども、それらと同時に作品の中に確かに現れているワイルドの信仰心というものが、ほんもののつよいものだったことを感じさせます。
『ウィンダミア卿夫人の扇』は原文と併読。『サロメ』『真面目が肝心』はこれから原文にトライします(笑)。全集を持っている癖にまだ読めていない作品が結構あって申し訳ない状態・・。
さて、『ウィンダミア卿夫人の扇』一読して、実にワイルドらしい作品だなあと感動しました。皮肉と冗談と風刺と軽薄、真剣さと誠実と純粋と自己犠牲が渾然としています。<表面的・世俗的・常識的>な人物と<誠実・正直・献身的>な人物の対比はワイルドに多いですね。それと同時に、<真実は滅多に純粋なことなどなく、単純であることは決してない>という言葉を残しているワイルドだけあり、極端な善人と悪人ではなく様々な縁に触れて善と悪の間を行き来する人間のこころを、格言のようなワイルド一流の台詞や劇の効果的な構成を含めて巧みに描き出していています。ワイルドの社会と人間に対する鋭い洞察と、優しい信頼を感じる作品でした。それにしても、どんなに風刺や皮肉を効かせたものでも、またそれが悲劇でも喜劇でも、作品の奥、世人の眼には隠れた孤独な花園で薔薇のように美しく咲いている純粋な愛、献身的な真実の愛に対するワイルドの崇敬の念はいつもわたしを感動させます。
人生は、まだ開かない薔薇の希望―美しきものはとこしえに喜びなるかな!ワイルドの気高い魂を宿した素晴らしい作品のおかげで、萎れかけた元気も蘇る心地がしました。上質の芸術作品に触れる喜び、志賀直哉も随筆でこの<高いものに触れる喜び>を語っていましたが、全身を駆け抜けるようなこのような歓喜は何物にも代えがたいものだと、つくづく感謝したく思います。
未読の方、きっと退屈することはありませんので、ぜひご一読を。
ワイルドは『幸福の王子』などの童話、『社会主義下の人間の魂』などの社会批評、『ドリアン・グレイの肖像』等の小説、そして本書に収められているような戯曲群と、<二つの顔を持つヤヌス>どころではない非常に多彩な顔を持っている上に、ホイットマン、バーネット、ユゴーなど様々な国の芸術家と親交があり、社会的には人種差別に反対するなど活動の幅も広く、人生自体が読み応えのある物語というか同国の詩人バイロンばりにドラマチックなまさに<世界は舞台、人は役者>を地で言った感のある、噛めば噛むほど面白くなる芸術家です。
わたしはこの、機知に富み、皮肉屋で、おしゃべりで、ちょっと悪ぶってるダンディなんだけど、奇抜なファッションゆえ社交界では引かれ(寵児だった時期もありますが)、妻子ある身で貴族のボンボンダメ男・ボビーに尽くしてしまい不当な裁判に巻き込まれ入獄、終いにはパリで貧困の中死去してしまうけれども、しかしひどく―本当に泣けてくるくらい―純粋で、正直で、不器用で、心が優しくて、友情に篤い、高貴なる青の魂と詩情咲く深紅の星を輝かせるこの男、痛ましくも信念強きこの美の殉教者に対して、妙に深い愛着を抱いています。
奥さんのコンスタンスさんや息子さんたちはヴィクトリア朝道徳観の下で、ワイルドの行状のために苦労をさせられたわけですし、無論ワイルドには突っ込みどころが色々ありますが、息子たちには愛情深くて童話物語を作って読んであげたり、獄中でも会いたがっていたそうですし、コンスタンスさんも出来た女性だったのでしょうがワイルドを「かわいそうなオスカー」といってひどく恨んでいたのではないようです。個性的で純粋で優しい人間であったのは間違いないでしょう。何より、ボビーに裏切られパリでひとり困窮に苦しんだ時でも、自殺をしなかったことは偉いと思います。彼はどんなにどん底にあっても生きることを愛していたのですし、またこのことは―われわれはワイルドの鋭い皮肉や機知に気を取られがちですけれども、それらと同時に作品の中に確かに現れているワイルドの信仰心というものが、ほんもののつよいものだったことを感じさせます。
『ウィンダミア卿夫人の扇』は原文と併読。『サロメ』『真面目が肝心』はこれから原文にトライします(笑)。全集を持っている癖にまだ読めていない作品が結構あって申し訳ない状態・・。
さて、『ウィンダミア卿夫人の扇』一読して、実にワイルドらしい作品だなあと感動しました。皮肉と冗談と風刺と軽薄、真剣さと誠実と純粋と自己犠牲が渾然としています。<表面的・世俗的・常識的>な人物と<誠実・正直・献身的>な人物の対比はワイルドに多いですね。それと同時に、<真実は滅多に純粋なことなどなく、単純であることは決してない>という言葉を残しているワイルドだけあり、極端な善人と悪人ではなく様々な縁に触れて善と悪の間を行き来する人間のこころを、格言のようなワイルド一流の台詞や劇の効果的な構成を含めて巧みに描き出していています。ワイルドの社会と人間に対する鋭い洞察と、優しい信頼を感じる作品でした。それにしても、どんなに風刺や皮肉を効かせたものでも、またそれが悲劇でも喜劇でも、作品の奥、世人の眼には隠れた孤独な花園で薔薇のように美しく咲いている純粋な愛、献身的な真実の愛に対するワイルドの崇敬の念はいつもわたしを感動させます。
人生は、まだ開かない薔薇の希望―美しきものはとこしえに喜びなるかな!ワイルドの気高い魂を宿した素晴らしい作品のおかげで、萎れかけた元気も蘇る心地がしました。上質の芸術作品に触れる喜び、志賀直哉も随筆でこの<高いものに触れる喜び>を語っていましたが、全身を駆け抜けるようなこのような歓喜は何物にも代えがたいものだと、つくづく感謝したく思います。
未読の方、きっと退屈することはありませんので、ぜひご一読を。
2013年10月13日に日本でレビュー済み
『サロメ』以外、イギリスが舞台です。どれもオシャレなお話。
個人的に一番好きなのは、『真面目が肝心』。
主人公達は、周りに向かって架空の友人をでっち上げ、その架空の友人は病弱で思わしくないから看病しなくてはならないとか言って、ウザい親戚とかの来訪を頻繁に阻止し、楽しい日々を送ってて、
そういう架空の人間をでっち上げて責任逃れすることを「バンベリーする」と言ってるんですが、学生時代に架空の親族の葬式を何度でっち上げて休んだか分からず、
友人達には「バンベリー主義者だ!」と言って開き直ってた人間としては、超思い出の作品(笑)
久しぶりに再読しましたが、何度読んでも、ほんと面白いです!!
バンベリー主義者達が最後はちゃんとハッピーエンドなのが、特にいい。
で、とにかく、いい感じのオシャレ田園文学ってやつなんで、未読の方は是非。
でも、いい子はバンベっちゃダメですよ。
個人的に一番好きなのは、『真面目が肝心』。
主人公達は、周りに向かって架空の友人をでっち上げ、その架空の友人は病弱で思わしくないから看病しなくてはならないとか言って、ウザい親戚とかの来訪を頻繁に阻止し、楽しい日々を送ってて、
そういう架空の人間をでっち上げて責任逃れすることを「バンベリーする」と言ってるんですが、学生時代に架空の親族の葬式を何度でっち上げて休んだか分からず、
友人達には「バンベリー主義者だ!」と言って開き直ってた人間としては、超思い出の作品(笑)
久しぶりに再読しましたが、何度読んでも、ほんと面白いです!!
バンベリー主義者達が最後はちゃんとハッピーエンドなのが、特にいい。
で、とにかく、いい感じのオシャレ田園文学ってやつなんで、未読の方は是非。
でも、いい子はバンベっちゃダメですよ。
2012年12月23日に日本でレビュー済み
岩波版と新潮版の2つを読んでみました。
新潮版はなんだか訳し方がクドイ印象を受けました。
岩波版は無駄が無く、妖しく美しい訳という印象を受けました。
個人的には岩波版をお勧めします。
新潮版はなんだか訳し方がクドイ印象を受けました。
岩波版は無駄が無く、妖しく美しい訳という印象を受けました。
個人的には岩波版をお勧めします。
2010年12月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
『サロメ』『ウィンダミア卿夫人の扇』『まじめが肝心』の三つが
収録されているのですが、どの作品もおもしろいです!
気品があり、物語が開けたまま終わり、読んでいて気持ちがいいです。
これはおすすめです。
収録されているのですが、どの作品もおもしろいです!
気品があり、物語が開けたまま終わり、読んでいて気持ちがいいです。
これはおすすめです。