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遠い声 遠い部屋 (新潮文庫) 文庫 – 1971/8/3
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心は万物(すべてのもの)よりも偽るものにして甚(はなは)だ悪(あし)し
誰(たれ)かこれを知るをえんや――エレミヤ記 第17章
カポーティを「天才少年作家」と位置付けた、眩いばかりの処女長編。
父親を探してアメリカ南部の小さな町を訪れたジョエルを主人公に、近づきつつある大人の世界を予感して怯えるひとりの少年の、屈折した心理と移ろいやすい感情を見事に捉えた半自伝的な処女長編。戦後アメリカ文学界に彗星のごとく登場したカポーティにより、新鮮な言語感覚と幻想に満ちた文体で構成されたこの小説は、発表当時から大きな波紋を呼び起した記念碑的作品である。
本文冒頭より
ヌーン・シティへ行こうと思う旅行者は、今のところ何とか自分で方法を講ずるよりほかに手がない。バスも汽車もその方角へは通じていない。もっとも隣町のパラダイス・チャペルへは、週に六日、チャベリイ・テレビン油会社のトラックが郵便物の受取りと物資の補給に来ている。したがって時には、ヌーン・シティのほうへ行く者は、このトラックの運転手サム・ラドクリフに頼みこんで乗せて行ってもらうという手もあったわけである。
本書「解説」より
一見、話の筋も不明確な、気まぐれに構成された物語のように思えるであろうが、この作品を解く鍵は、随所に目立たぬようしかし確実に埋められている。それらを注意深く一つ一つ掘り起こしてゆくならば、文体と同様、この物語がきわめて周到な計算にもとづいて組み立てられていることがわかるはずである。
――河野一郎(訳者)
トルーマン・カポーティ(1924-1984)
ニューオリンズ生まれ。19歳のときに執筆した「ミリアム」でO・ヘンリ賞を受賞。1948年『遠い声 遠い部屋』を刊行し、「早熟の天才」と絶賛を浴びる。著書に『夜の樹』『草の竪琴』『ティファニーで朝食を』『冷血』『叶えられた祈り』など。晩年はアルコールと薬物中毒に苦しみ、1984年に死去。
河野一郎
1930年、大阪府生れ。英文学者、比較文学者、翻訳家。東京外国語大学、フェリス女学院大学名誉教授。専門は現代イギリス文学。カポーティ『遠い声 遠い部屋』、E・ブロンテ『嵐が丘』、『ロレンス短篇集』、『対訳英米童謡集』など多くの訳書がある。
誰(たれ)かこれを知るをえんや――エレミヤ記 第17章
カポーティを「天才少年作家」と位置付けた、眩いばかりの処女長編。
父親を探してアメリカ南部の小さな町を訪れたジョエルを主人公に、近づきつつある大人の世界を予感して怯えるひとりの少年の、屈折した心理と移ろいやすい感情を見事に捉えた半自伝的な処女長編。戦後アメリカ文学界に彗星のごとく登場したカポーティにより、新鮮な言語感覚と幻想に満ちた文体で構成されたこの小説は、発表当時から大きな波紋を呼び起した記念碑的作品である。
本文冒頭より
ヌーン・シティへ行こうと思う旅行者は、今のところ何とか自分で方法を講ずるよりほかに手がない。バスも汽車もその方角へは通じていない。もっとも隣町のパラダイス・チャペルへは、週に六日、チャベリイ・テレビン油会社のトラックが郵便物の受取りと物資の補給に来ている。したがって時には、ヌーン・シティのほうへ行く者は、このトラックの運転手サム・ラドクリフに頼みこんで乗せて行ってもらうという手もあったわけである。
本書「解説」より
一見、話の筋も不明確な、気まぐれに構成された物語のように思えるであろうが、この作品を解く鍵は、随所に目立たぬようしかし確実に埋められている。それらを注意深く一つ一つ掘り起こしてゆくならば、文体と同様、この物語がきわめて周到な計算にもとづいて組み立てられていることがわかるはずである。
――河野一郎(訳者)
トルーマン・カポーティ(1924-1984)
ニューオリンズ生まれ。19歳のときに執筆した「ミリアム」でO・ヘンリ賞を受賞。1948年『遠い声 遠い部屋』を刊行し、「早熟の天才」と絶賛を浴びる。著書に『夜の樹』『草の竪琴』『ティファニーで朝食を』『冷血』『叶えられた祈り』など。晩年はアルコールと薬物中毒に苦しみ、1984年に死去。
河野一郎
1930年、大阪府生れ。英文学者、比較文学者、翻訳家。東京外国語大学、フェリス女学院大学名誉教授。専門は現代イギリス文学。カポーティ『遠い声 遠い部屋』、E・ブロンテ『嵐が丘』、『ロレンス短篇集』、『対訳英米童謡集』など多くの訳書がある。
- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1971/8/3
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104102095020
- ISBN-13978-4102095027
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対象商品: 遠い声 遠い部屋 (新潮文庫)
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出版社より
遠い声遠い部屋 | 夜の樹 | 冷血 | 叶えられた祈り | ティファニーで朝食を | ここから世界が始まる トルーマン・カポーティ初期短篇集 | |
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カスタマーレビュー |
5つ星のうち3.9
39
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5つ星のうち4.0
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5つ星のうち4.1
105
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5つ星のうち3.5
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5つ星のうち4.4
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5つ星のうち4.3
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【新潮文庫】トルーマン・カポーティ 作品 | 傷つきやすい豊かな感受性をもった少年が、自我を見出すまでの精神的成長の途上でたどる、さまざまな心の葛藤を描いた処女長編。 | 旅行中に不気味な夫婦と出会った女子大生。人間の孤独や不安を鮮かに捉えた表題作など、お洒落で哀しいショート・ストーリー 9 編。 | カンザスの片田舎で起きた一家四人惨殺事件。事件発生から犯人の処刑までを綿密に再現した衝撃のノンフィクション・ノヴェル! | ハイソサエティの退廃的な生活にあこがれるニヒルな青年。セレブたちが激怒し、自ら最高傑作と称しながらも未完に終わった遺作。 | 気まぐれで可憐なヒロイン、ホリーが再び世界を魅了する。カポーティ永遠の名作がみずみずしい新訳を得て新世紀に踏み出す。 | 社会の外縁に住まう者に共感し、仄暗い祝祭性を取り出した14篇。天才の名をほしいままにしたその手腕の原点を堪能する選集。 |
登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1971/8/3)
- 発売日 : 1971/8/3
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 288ページ
- ISBN-10 : 4102095020
- ISBN-13 : 978-4102095027
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 92,758位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年1月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
支離滅裂。なんだか主人公が顕在意識と潜在意識を境なく行ったり来たりしてるみたいで、論理的な一貫性を見出すのが難しかった。加えてジェンダーマイノリティのことを言いたいのか、少年と父親の繋がりに注目してほしいのか、テーマがブレてるような気もしなくもなかった。
それともそれら全部ひっくるめて人間の多面性やフロイト的無意識を描きたかったのだろうか。
ただただ文章は美しかった。詩的で。文章の美しさは原文でも楽しめる。
この作品はギャツビーのようにアメリカ特有の問題を抱えているわけでもなければ、ライ麦畑のようにいつの時代にも大衆(pop)に共感される尾崎豊的精神を含んでいるわけでもない。ただただ、芸術。
それともそれら全部ひっくるめて人間の多面性やフロイト的無意識を描きたかったのだろうか。
ただただ文章は美しかった。詩的で。文章の美しさは原文でも楽しめる。
この作品はギャツビーのようにアメリカ特有の問題を抱えているわけでもなければ、ライ麦畑のようにいつの時代にも大衆(pop)に共感される尾崎豊的精神を含んでいるわけでもない。ただただ、芸術。
2015年12月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
原題『Other Voices Other Rooms』。1948年、出版はトルーマン・カポーティ24歳。
著者初めての長篇小説。「Other」は「遠い」と訳されている。リアリズムとシュルレ
アリスムを併せ持った小説と云われている。著者の繊細で幽玄な描写は読者を不思議な
世界へ誘う。じっくり読ませ考えさせる作品である。文章の美しさに天才と謳われた彼
の力量がいかんなく発揮されている。
「遠い声、部屋」は、過去の繁栄と凋落、華やかさと苦々しさの記憶、思い出であろ
う。また、著者の心の叫び、無意識からの表出である。
「昔のことだ、と草は言った、行ってしまった、と空は言った、死んでしまった、と森
は言った、だが世の移り変わりを嘆く哀悼の歌は、夜鷹にまかせられた。」。まるで、
能舞台を見ているような深遠な台詞だ。作品のすべてを象徴している言葉である。
暑い六月から十月にかけての物語。昔「ふっといなくなった」父の居所を探し求め、
そこで数奇な経験をする十三歳少年ジョエルが主人公である。ニューオーリンズからヌ
ーンシティー(架空の都市だろう。従って、冒頭の意味深い文章となる)のスカイリズ・
ランディングを目指す。スカイリズ邸は、さびれて静まり返り、壁の中や天井裏の囁き
が聞こえ、複雑な物音がする奇妙な屋敷である。
甥のランドルフと父の妻エイミイ、女黒人奴隷ズーが暮らしている。
ランドルフは「芸術家」らしいが喘息もちで青カケスの青い羽根を集め、厚紙に張り、
死んだ小鳥が好きな人物。女装し「奇妙な女」としてジョエルを虜にしていく性倒錯者。
しかし、教養があり、多くの箴言をジョエルに残している。
エイミイは父エドワード・R・サムソンを看病しているヒステリックな女性。左手に
常時手袋をし、義手であることを推測させる描写がある。
サンソムは、身障者であり、「赤いテニスボール」を落とすことが彼の意思伝達手段、
合図である。なぜ、身障者になってしまったのかは後半でランドルフから語られる。
ズーは、アコーディオンを弾きながら祖父ジーザース・フィーバーと祈祷会を開いて
いる狂信者であるが、ジョエルには優しく接し、「雪のあるところに行きたい」と云う。
スカイリ家ゆかりの「クラウド・ホテル」、今は廃墟同然でリトル・サンシャインが
隠者、まじない師として住んでいる。「遠い声が遠い部屋が、失われ遠くかすんだ声」
に呼び戻されたのだ。ジョエルが、繁栄した当時の華やかなホテルの舞踏会を空想する
場面は音楽とダンスに興じる人びとのざわめきが聞こえてきそうである。
お転婆で中性的な赤毛のアイダベル、十三歳。ジョエルと八月の「巡回ショウ」でメ
リーゴーランドやフェリス観覧車を楽しむ光景や河で裸水浴する二人のたわむれに思春
期特有の甘くせつない香りが漂う。
「遠い声遠い部屋」は「時間」「空間」を意味し、作中人物が各々体験を語り、ジョ
エル少年が聞く構図になっている。その回想話にジョエルが夢想する華やかで幻想的な
表現は、著者独特のシュールな描写として色彩を添えている。
また、「鏡」が多く登場する。ジョエルが「内面」を覗き見る鏡、枕元にある鏡にう
つる毒蛇のような父サンソムの目、ランドルフの「鏡とナルシス」の話など象徴的な役
割を果たしている。
表紙にある旧約聖書エレミヤ記十七章に云われているように、人の心はとらえ難く病
んでいる。誰にもそれはわからない。神だけが知り尽くしている。
ジョエルを可愛がるランドルフの真意は何か。ジョエルが書いた親友やエレン叔母への
手紙を破棄し、エレンからきた手紙も見せず、廃墟のホテルに誘い込む。(手紙のこと
は物語を注意深く読むと暗示されている)
ランドルフは、ジョエルに遠い未来からの声も聞かせず、あるべき遠い部屋も約束せ
ず、羽根を切り取られた飛べないきれいな鳥として飼っていくのだろうか。
訳者の河野一郎が難解な描写を解りやすい表現にしている。名訳である。
著者初めての長篇小説。「Other」は「遠い」と訳されている。リアリズムとシュルレ
アリスムを併せ持った小説と云われている。著者の繊細で幽玄な描写は読者を不思議な
世界へ誘う。じっくり読ませ考えさせる作品である。文章の美しさに天才と謳われた彼
の力量がいかんなく発揮されている。
「遠い声、部屋」は、過去の繁栄と凋落、華やかさと苦々しさの記憶、思い出であろ
う。また、著者の心の叫び、無意識からの表出である。
「昔のことだ、と草は言った、行ってしまった、と空は言った、死んでしまった、と森
は言った、だが世の移り変わりを嘆く哀悼の歌は、夜鷹にまかせられた。」。まるで、
能舞台を見ているような深遠な台詞だ。作品のすべてを象徴している言葉である。
暑い六月から十月にかけての物語。昔「ふっといなくなった」父の居所を探し求め、
そこで数奇な経験をする十三歳少年ジョエルが主人公である。ニューオーリンズからヌ
ーンシティー(架空の都市だろう。従って、冒頭の意味深い文章となる)のスカイリズ・
ランディングを目指す。スカイリズ邸は、さびれて静まり返り、壁の中や天井裏の囁き
が聞こえ、複雑な物音がする奇妙な屋敷である。
甥のランドルフと父の妻エイミイ、女黒人奴隷ズーが暮らしている。
ランドルフは「芸術家」らしいが喘息もちで青カケスの青い羽根を集め、厚紙に張り、
死んだ小鳥が好きな人物。女装し「奇妙な女」としてジョエルを虜にしていく性倒錯者。
しかし、教養があり、多くの箴言をジョエルに残している。
エイミイは父エドワード・R・サムソンを看病しているヒステリックな女性。左手に
常時手袋をし、義手であることを推測させる描写がある。
サンソムは、身障者であり、「赤いテニスボール」を落とすことが彼の意思伝達手段、
合図である。なぜ、身障者になってしまったのかは後半でランドルフから語られる。
ズーは、アコーディオンを弾きながら祖父ジーザース・フィーバーと祈祷会を開いて
いる狂信者であるが、ジョエルには優しく接し、「雪のあるところに行きたい」と云う。
スカイリ家ゆかりの「クラウド・ホテル」、今は廃墟同然でリトル・サンシャインが
隠者、まじない師として住んでいる。「遠い声が遠い部屋が、失われ遠くかすんだ声」
に呼び戻されたのだ。ジョエルが、繁栄した当時の華やかなホテルの舞踏会を空想する
場面は音楽とダンスに興じる人びとのざわめきが聞こえてきそうである。
お転婆で中性的な赤毛のアイダベル、十三歳。ジョエルと八月の「巡回ショウ」でメ
リーゴーランドやフェリス観覧車を楽しむ光景や河で裸水浴する二人のたわむれに思春
期特有の甘くせつない香りが漂う。
「遠い声遠い部屋」は「時間」「空間」を意味し、作中人物が各々体験を語り、ジョ
エル少年が聞く構図になっている。その回想話にジョエルが夢想する華やかで幻想的な
表現は、著者独特のシュールな描写として色彩を添えている。
また、「鏡」が多く登場する。ジョエルが「内面」を覗き見る鏡、枕元にある鏡にう
つる毒蛇のような父サンソムの目、ランドルフの「鏡とナルシス」の話など象徴的な役
割を果たしている。
表紙にある旧約聖書エレミヤ記十七章に云われているように、人の心はとらえ難く病
んでいる。誰にもそれはわからない。神だけが知り尽くしている。
ジョエルを可愛がるランドルフの真意は何か。ジョエルが書いた親友やエレン叔母への
手紙を破棄し、エレンからきた手紙も見せず、廃墟のホテルに誘い込む。(手紙のこと
は物語を注意深く読むと暗示されている)
ランドルフは、ジョエルに遠い未来からの声も聞かせず、あるべき遠い部屋も約束せ
ず、羽根を切り取られた飛べないきれいな鳥として飼っていくのだろうか。
訳者の河野一郎が難解な描写を解りやすい表現にしている。名訳である。
2021年7月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アメリカ映画を見ているような、そんな印象があります。とても映像的で、後半のたたみかけるような展開はずっと心にひっかかり、何べんでも読み直したくなるような、久しぶりにいい本に出合えたと思える作品でした。
2018年8月7日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
瑞々しさ、ミステリー、幻想…遠隔の田舎でエキセントリックな人々に囲まれ、謎解きのような出来事が展開していく。子供の自分になって読んでいる自分にふと気づく。
2022年5月30日に日本でレビュー済み
前に進めない人、というのがテーマか
で、停滞している人というのは「自分についての荒唐無稽な夢を見る」
精神や身体に問題があるように見える彼らは、現実的な路線をとれない(とりたくない)故に
夢を語ることに慣れると、それなりに楽しくてそこに埋没してしまう
仲間もいるし
自分もそういう経験があるのでそう思いました
で、停滞している人というのは「自分についての荒唐無稽な夢を見る」
精神や身体に問題があるように見える彼らは、現実的な路線をとれない(とりたくない)故に
夢を語ることに慣れると、それなりに楽しくてそこに埋没してしまう
仲間もいるし
自分もそういう経験があるのでそう思いました