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ペスト (新潮文庫) ペーパーバック – 1969/10/30

4.0 5つ星のうち4.0 3,302個の評価

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発表されるや爆発的な熱狂をもって迎えられた、
『異邦人』に続くカミュの小説第二作。


アルジェリアのオラン市で、ある朝、医師のリウーは鼠の死体をいくつか発見する。ついで原因不明の熱病者が続出、ペストの発生である。外部と遮断された孤立状態のなかで、必死に「悪」と闘う市民たちの姿を年代記風に淡々と描くことで、人間性を蝕む「不条理」と直面した時に示される人間の諸相や、過ぎ去ったばかりの対ナチス闘争での体験を寓意的に描き込み圧倒的共感を呼んだ長編。

本文冒頭より
この記録の主題をなす奇異な事件は、一九四*年、オラン(訳注 アルジェリアの要港)に起った。通常というには少々けたはずれの事件なのに、起った場所がそれにふさわしくないというのが一般の意見である。最初見た眼には、オランはなるほど通常の町であり、アルジェリア海岸におけるフランスの一県庁所在地以上の何ものでもない。
町それ自身、なんとしても、みすぼらしい町といわねばならぬ。見たところただ平穏な町であり、地球上どこにでもある他の多くの商業都市と違っている点に気づくためには、多少の時日を要する。

本書「解説」より
ペストに襲われ、外部とまったく遮断された一都市のなかで悪疫と戦う市民たちの記録という体裁をとったこの物語において、ペストの害毒はあらゆる種類の人生の悪の象徴として感じとられることができる。死や病や苦痛など、人生の根源的な不条理をそれに置きかえてみることもできれば、人間内部の悪徳や弱さや、あるいは貧苦、戦争、全体主義などの政治悪の象徴をそこに見いだすこともできよう。たしかにこの作品はそういうふうに書かれており、そしてなによりも、終ったばかりの戦争のなまなましい体験が、読者にとってこの象徴をほとんど象徴に感じさせないほどの迫力あるものにし、それがこの作品の大きな成功の理由となったことは疑いがない。
――宮崎嶺雄(訳者)

カミュ(1913-1960)
アルジェリア生れ。フランス人入植者の父が幼時に戦死、不自由な子供時代を送る。高等中学(リセ)の師の影響で文学に目覚める。アルジェ大学卒業後、新聞記者となり、第2次大戦時は反戦記事を書き活躍。またアマチュア劇団の活動に情熱を注ぐ。1942年『異邦人』が絶賛され、『ペスト』『カリギュラ』等で地位を固めるが、1951年『反抗的人間』を巡りサルトルと論争し、次第に孤立。以後、持病の肺病と闘いつつ、『転落』等を発表。1957年ノーベル文学賞受賞。1960年1月パリ近郊において交通事故で死亡。

宮崎嶺雄(1908-1980)
東京生れ。東京帝大心理学科中退。岸田国士に師事、バルザック、サンド、メリメ、カミュ等、多くの仏文学を翻訳紹介。1941年、フランス文学賞受賞。戦後創元社編集長を務めた。


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異邦人 シーシュポスの神話 ペスト 幸福な死
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【新潮文庫】カミュ 作品 太陽が眩しくてアラビア人を殺し、死刑判決を受けたのちも自分は幸福であると確信する主人公ムルソー。不条理をテーマにした名作。 ギリシアの神話に寓して”不条理”の理論を追究した哲学的エッセイで、カミュの世界を支えている根本思想が展開されている。 ペストに襲われ孤立した町の中で悪疫と戦う市民たちの姿を描いて、あらゆる人生の悪に立ち向うための連帯感の確立を追う代表作。 平凡な青年メルソーは、富裕な身体障害者の”時間は金で購われる”という主張に従い、彼を殺し金を奪う。『異邦人』誕生の秘密を解く作品。
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革命家反抗か―カミュ=サルトル論争― 転落・追放と王国 最初の人間
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人間はいかにして「歴史を生きる」ことができるか──鋭く対立するサルトルとカミュの間にたたかわされた、存在の根本に迫る論争。 暗いオランダの風土を舞台に、過去という楽園から現在の孤独地獄に転落したクラマンスの懊悩を捉えた「転落」と「追放と王国」を併録。 突然の交通事故で世を去ったカミュ。事故現場には未完の自伝的小説が──。戦後最年少でノーベル文学賞を受賞した天才作家の遺作。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社; 改版 (1969/10/30)
  • 発売日 ‏ : ‎ 1969/10/30
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • ペーパーバック ‏ : ‎ 476ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4102114033
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4102114032
  • 寸法 ‏ : ‎ 14.8 x 10.5 x 2 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 3,302個の評価

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アルベール・カミュ
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感染症拡大する社会の中での個々の在り方
5 星
感染症拡大する社会の中での個々の在り方
現代の時事にも当てはまる小説でした。在宅テレワークの合間に読みましたが考えさせられる書物でした。電子版書籍で読みました。
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上位レビュー、対象国: 日本

2024年4月8日に日本でレビュー済み
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怖ろしい感染症が街を侵食していく不気味さが淡々と描かれており、
まさに自分が、そこに居合わせたかの様な緊迫感に襲われる。
ペーパーバック版は、50年前の本より文字も大きくなっているので老眼にはありがたい。
宮崎先生の翻訳は解り難いが格調高くかっこいい。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2023年5月24日に日本でレビュー済み
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コロナ禍の緊急事態宣言下に読みました。
いろいろ考えさせられました。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2021年10月9日に日本でレビュー済み
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今はメッセージもビデオ通話もいつでも使えて、小説の世界とは状況は異なるけど、とても共感出来る内容。
日本の家族・友人から離れた小さな国で過ごして1年以上、人間的な温かみが徐々にもぎ取られ、記憶も希望もだんだんなくなっていく...。
小説最期の駅のホームのシーンが印象的で、パンデミックが終わってからは一瞬なんだろうなぁと思った。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2020年6月25日に日本でレビュー済み
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ペスト、あるいはコロナとは何か
 緊急事態宣言が解除され、自粛生活が和らぎ、消費・経済活動を中心に日常生活が少しずつ回復しつつある現在、本作はわれわれに何を問いかけているだろうか。
 ペストによる感染拡大は作品中、様々な比喩をまとい、決して1つの意味に限定することはできないのだが、敢えて1つの定義をしてみると、本文中の次の一節が最も的確だと思われる。完全に外部から遮断されたオラン市に暮らす人々について、「ペストが市の門を閉鎖した瞬間から、彼らはもう別離のなかでだけ生き、すべてを忘れさせてくれる人間的な温かみをもぎ取られてしまっていたのである」(p. 442)。つまり、ペストがもたらすものとは、人と人との孤絶した状況なのである。
 それと同様に、新型コロナウイルスの感染拡大が終息しない現在の状況も、感染対策や情報通信技術の発達などによって状況は全く同様ではないものの、やはり人と人の距離が生まれ、断絶すら見られる。例えば、感染防止のために最期を看取ることのできない遺族にとっては、死の悲しみがより悲痛なものとなるだろう。また、病院での面会禁止や、福祉施設での訪問制限などもまた、人と人とが近づくことのできない、深刻な別離の状況を生み出している。あるいは、感染者やその家族に対する差別的な言動も、ペスト的である、と言えるだろう。
 そのように、『ペスト』と今の社会状況を近づけて捉えた時、作品の描き出す人間への慈しみ、批判、共感などを含めた普遍的な洞察は、今の局面においても、内省を深めるために必要なものである。本作によって、感染防止や所得の保証といった自己防衛のための観点とは異なり、他者を含めた広く、また倫理的な深い視点で、人間という存在を見つめることになるだろう。また、随所に見られる豊かな表現も本作の特徴であり、読書そのものの楽しさを再発見させてくれる。

人間への深いまなざし
 『ペスト』の読後の感想として、まず挙げたい点は、作品が人間に関する鋭い洞察に満ちている、という点である。語り手は、あらゆる場面において、災禍における人間の取り得る行動と心理とを様々に描き出す。主人公である医師リウーは、危険を顧みず患者の治療に当たる。新聞記者ランベールは、恋人に会うためにオラン市から何とか逃れ出ようといくつも交渉を試みる。さらには、個人のみならず、機械的で事務的な対応を繰り返す行政という社会的な側面や、ペストの感染拡大にともない心情の変化する市民という集団の行動や心理もまた見事に描き出している。
 さらには、そのような複数の要素だけではなく、それぞれがまた変化に富んだ様相を見せる点も、本作の味わいであることも付け加えておきたい。一例だけを挙げると、ペストの終息まで医師としての使命を果たし続けた医師リウーであるが、時には「自分が恐怖にとりつかれていることを認めた」。そして、感染の危険を冒して、「人間的な温かみに触れたい」思いから、人の大勢いるカフェに二度も入った(p. 85)。また、リウーが少年を看取る場面は、克明な描写と簡潔な文体が悲惨さをより色濃くする、読み手は小説中で最も感情を揺さぶられ、胸を締め上げられる場面であるが、「ありとあらゆる人間から同時に発せられたかと思われるほど非人間的な悲鳴」を聞き、リウーは耐え難くなり、その場を逃れようとさえする(p. 315-21)。後述するが、夜の海ではまた、リウーがペストの惨禍から解放され、波に揺られながら束の間の幸福に包まれる場面も描かれる。
 リウーの場合に顕著なように、本作では人間に対する豊饒な心理的な洞察がここかしこに見られ、危機的な状況における人間の行動や心理を読者に追体験させる。

連帯のための行動
 作品中、訳語のせいか、それとも原語がそうなのか、一読してすぐには理解しにくい箇所がいくつか見られるが、リウーとランベールの対話における「抽象」と「事実」という二つの言葉の対立もその一つであろう。ランベールはオラン市を脱出して妻に会うために、ペストに罹患していない証明書をリウーに書いてもらうよう依頼する。しかし、リウーは職務上の倫理観からそれを断る。すると、ランベールは「あなたには理解できないんです。あなたのいっているのは、理性の言葉だ。あなたは抽象の世界にいるんです」とリウーを非難する。それに対してリウーは落ち着いた様子で、「明白な事実の言葉を話している」と答える(p. 126)。つまり、ランベールの利己的な願望に対するリウーの返答が一般論であり、ランベールにとっては何ら手だてが得られないという苛立ちだけが残される。そこで用いられる「抽象」と「事実」というそれぞれ対立する語が、日常的に用いる意味に合致しないように思われるのである。
 「抽象」という語について、フランス文学者である中条昌平が本書を取り上げた『NHK 100分 de 名著』(2018)では二つの意味がある、とされている。それは医師リウーに見られるような貫徹した「理念」と、ペストという現実を越え出たかのような「非現実性」である。しかし、私はむしろリウーの述べた「事実」という言葉に注目したい。ペストという不条理にあって、「非現実性」を克服するものが、例えば医師リウーの行動である。また、リウーとともに行動をするタルーやランベール、あるいは日々淡々と統計業務をこなすグランも、それぞれにペストという災禍における己の役割を果たしており、そういった行動が作品中では不条理に立ち向かう行為として描かれている。私はそのような現実に飲み込まれまいと対処する具体的な行動が、ランベールの言う「抽象」に対してリウーの発した「事実」という言葉の意味合いである、と考える。そして、その「事実」には倫理的な価値が込められており、その価値とは他者との連帯である。ペストのもたらす人間同士の孤絶した状態を反転させることで、その意味は自ずと浮かび上がるだろう。
 リウーの言う「事実」とは、つまりある行動が別離状態に置かれた他者と他者の関係を回復し、そしてそれを目的として個人個人の役割を果たす、という行動を指している。リウーにしてもまたグランにしても、決して誰かからの目立つような賛辞が送られるわけではなく、黙々と己の使命として受け入れているかのようにペストに立ち向かう。ただ静かな賛辞だけが、読者によってペストに抗い行動する人々に送られるだけである。
なお、中条昌平の『NHK 100分 de 名著』(2018)は優れた解説書である。物語の進行に沿いながら、『ペスト』を読み解くための解説が的確に述べられ、印象的な場面も十分に盛り込まれている。やや古めかしい訳語などから『ペスト』を読み続けられそうもない、という人も本作の醍醐味を味わえる一冊である。

『ヴェニスに死す』との比較
 『ペスト』と同じく、トーマス・マンによる『ヴェニスに死す』もまたイタリアのヴェネツィアにおけるコレラの感染拡大を背景とした小説である。人間の価値ある行動を問うたカミュの作品に対して、マンの作品は古典的な美への憧れを主題とし、耽美的な傾向を見せる。しかしながら、部分的に共通するモチーフがあり、興味深い。
例えば、海。カミュは次のように夜の海を描き、リウーとタルーの幸福感の広がりを海の遥かさに重ね合わせる。
 水は膨れ上がっては、またゆるやかに下降して行った。この静かな海の息づきが、水
面に油のような反射を明滅させていた。彼らの前には夜の闇がはてしなく広がっていた。リウーは、指の下にあばたの岩肌を感じながら、異常な幸福感に満たされていた。(『ペスト』p. 382)
 ここで「異常な幸福感」という表現が奇異に映るかもしれないが、決して単純な幸福に満たされないところが『ペスト』の面白さでもある。ペストの恐怖、また日中の猛暑からほんの束の間解放されながらも、リウーは決してその恐ろしさを完全に忘れ去ることができないでいるのである。つまり、果てしなく広がる幸福が、明日死ぬかもしれないという恐怖とリウーの中に同時に現れ、その複雑さが「異常な幸福感」として抱かれる。
 一方で、マンにとって海はあらゆるものを超越した「完全なもの」として表現される。

「完全なものにもたれて休息したいというのは、優秀なものをえようと努める者のあこがれだ。そして、虚無とは完全なものの一形態ではなかろうか」(『ヴェニスに死す』p. 62)

 カミュと比較すると、マンの描く海は現実を越えた崇高で、唯一無二の存在である。その点、カミュの描く海は上下に揺れ続け、海を泳ぐ登場人物の複雑な心理と一体となるのでる。なお、ヴィスコンティによる映画『ヴェニスに死す』(1971)もまた、主人公アッシェンバッハがヴェネツィアに向けて船出をする冒頭の海のシーンは、マーラーの交響曲第5番第4楽章アダージェットが水面のたゆたいを表現するかのようで印象的である。一度でもその映画を観た人は、アダージェットを聞けば、ヴィスコンティの描くあの夕暮れ時の物憂い海を思い出すだろう。
 さて、次に言葉についてのカミュとマンの比較である。本作の中では、言葉に関する考察もされている。役人であるグランは「幾晩も幾週間もすっかりつぶしちまうことがありますからね、言葉1つのために……。しかもそれが時には単なる接続詞一つだったりするんです」(p. 150)と、まるでフランスの作家フロベールを思わせるような口ぶりをする。しかし、実際は創作の冒頭の一節を何度も苦吟しているだけであり、最終的には、余分な修飾語を取り除き、簡素な文体へと至る。それは心の迷いを振り切ることのできたグランの心境でもあるのかもしれない。あるいはまた、作家カミュ自身の文体に関する簡潔さへの志向を示している、と言えるかもしれない。
 また、ペストが町を覆い尽くしていく1つの過程として、本作では「最も真実な悲しみが、会話の陳腐な語法に翻訳されることが通例となったのである」(p. 109)と述べられ、人々が用いる言葉の変化としてペストの一側面を巧みに描き出す。ペストによって個人的な感情は話すにしても、あるいはまた聞くにしても削ぎ落とされていく。隔離された人々は苦悩のために集団化し、互いに慰め合うための共通語を見出すのである。それは一般化された言葉の選択、それ以上でもそれ以下でもない言葉遣い、すなわち誰にでもその語が指すものが理解されないことはない「陳腐な語法」となる。
 では、マンは言葉についてどのように描いているか。美少年タッジオを一目見たアッシェンバッハは、その美しさに魅せられる。

「自分が頭の中で見た、そして精神的な美の立像として人々に表示した、あのなよやかな形態を、彼が冷徹な情 熱にあふれながら、言語という大理石塊から解き放つとき、その意志とは常に彼のうちにもはたらいてはいないのか」(『ヴェニスに死す』p. 89)

 ここでも海と同様に、大理石という比喩からも理解されるように言葉というものが、マンの作品では固定化された不動のものであることが分かる。カミュは言葉の用いられ方を個人の心境、あるいはペストという社会的な現象の側面として多様に描いていることが分かる。

希薄化する死
 ペストの蔓延が深刻化する中、次々に人が亡くなり、遺体の埋葬が行政としての1つの課題となる。それは新型コロナウイルスによってもたらされる災禍と同じであるが、作品中では次第に埋葬は簡素化されていき、やがて人気のない夜の電車で遺体は臨時に作られた墓地へと移動させられ、次のような冷酷な処理に至る。

「死体の動揺がまだすっかり落ち着かないうちに、シャベルの石灰がその顔にたたきつけられ、そして土がそれを、ますます深く掘るようになった穴の中に、全く無名のかたちでおおってしまうのであった」(p. 262)

 まるで物を廃棄するような埋葬の場面である。そのように大勢の人がなくなり、埋葬が簡略化されていく中で、市民の持っていた死への恐怖感は薄らいでいく。公表される死者数に対する「正確な知識というものは、明らかに興味をそそるものであるにもかかわらず、人々が決して心を向けようとしないものでさえある」(p. 112)という反応にもそのことは表れている。私たちは連帯する他者たった一人であっても、死の重み、あるいは生命の危機的な状況を、数値化された統計として単純に把握することはできないはずであるが、僅かな期間でも事態が続けば、その悲惨さに飼いならされてしまう。
 しかしながら、やはりカミュの描き出すものは一様ではなく、死を弔うとする人々の行動も見られるのである。電車で遺体を運ぶようになると、近くを通る電車に花を投げ入れる人が現れる。そして、「夏の夜のなかでなおも揺れながら、花と死体の荷を積んで行く車の音が聞こえるのであった」(p. 263)。その一節は、花に縁どられた鮮明な死が暗闇を走り抜ける列車の音から喚起される秀逸な表現であるのみならず、死者を何らかの方法で追悼しようという、ささやかではあるが無機的な死への、つまりペストへの抗い、という本作のテーマとも一致を見せている。

 『ペスト』は、カミュの洞察に満ちた多様な表現とともに、人間の存在を危機的な状況において誠実に見つめる。その誠実さは疑いの余地なく終始一貫しており、楽観的でさえあるように思われるのだが、しかしそれでも新型コロナウイルスの感染拡大が止まない今の世界でいかに行動すべきかを考える1つの指標となる。その行動とは決して大げさなものではなく、目の前の現実に埋没しない、連帯のために個人ができる日々のささやかな行動である。

【関連書籍】
中条省平(2018)『NHK 100分 de 名著』NHK出版(アルベール・カミュ『ペスト』)。
トオマス・マン(実吉捷郎訳)(1939)『ヴェニスに死す』岩波書店(岩波文庫赤434-1)。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2021年6月7日に日本でレビュー済み
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若干43歳でノーベル文学賞を受賞したアルジェリア出身のアルベール・カミュはドイツ占領下の仏パリの伝説のレジスタンスであり、第二次大戦中の1941年に書き始められた本著が上梓されたのは大戦終結2年後の1947年、カミュが34歳の時でした。

若きカミュは自ら劇団を立ち上げドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟のイワンを自ら演じるなどドストエフスキーを敬愛していましたが、ドストエフスキーと同じく時代を超えて読み継がれるべき文学者であり、本書ペストはコロナ下(ペスト下)の現在にこそ再考されるべきカミュの最高峰の文学です。

以下に今の日本だからこそ、より心に響く言葉を文中からご紹介します。

・文頭「ある種の監禁状態を他のある種のそれによって表現することは、何であれ実際に存在するあるものを、存在しないあるものによって表現することと同じくらいに、理にかなったことである。」(ダニエル・デフォー)

・いったい新聞記者というものは本当のことを言えるのか、それを知りたいと思った。(医師の主人公リウー)

・毎日の仕事の中にこそ、確実なものがある。その余のものは、とりに足らぬ繋がりと衝動に左右されるのであり、そんなものに足をとどめてはいられない。肝要なことを自分の職務をよく果たすこと。(リウー)

・この種の正確な知識というものは、明らかに興味をそそるものであるにもかかわらず、人々が決して心を向けようとしないものでさえある。いわば、比較の基準が欠けていたのである。

・ずいぶんあなたを愛してましたわ。でも、今ではもう疲れてしまいましたの・・・。出ていくことを幸福だと思っていませんけれど、でも、なにも幸福である必要はないんですわ。もう一度やり直すためには。(老官吏グランの元妻ジャーヌ)~略~ ただ、彼(グラン)は相変わらず彼女のことを考えていた。彼の望むところといえば、彼女に一通の手紙を書いて自分の釈明をすることである。

・この世のあらゆる病気がそうだという意味で、ペストにもいい効能がある、人の眼を開かせ、考えざるをえなくさせる。(リウー)

・彼リウーもあるがままの被造世界と戦うことによって、真理の路上にあると信じているのだ。

・世間に存在する悪は、ほとんど常に無知に由来するものであり、善き意思も、豊かな知識がなければ、悪意と同じくらい多くの被害を与えることがありうる。~略~ 最も救いのない悪徳とは、自らすべてを知っていると信じ、そこで自ら人を殺す権利を認めるような無知の、悪徳にほかならぬのである。殺人者の魂は盲目なのであり、ありうる限りの明識なくては、真の善良さも美しい愛も存在しない。

・ただ芸術家のみが、ものを見るすべを知っているのです。(老官吏グラン)

・みんな誰でもそういうものさ。ただ機会を与えてやることが必要なのだ。(リウーの分身的なタル―)

・勇気っていうことをです。(スペイン戦争の敗者側に参加した)今では、僕は人間が偉大な行為をなしうることを知っています。しかし、もしその人間が偉大な感情を抱きえないなら、それは僕には興味のない人間です。(新聞記者ランベール)

・これは誠実さの問題なんです。こんな考え方はあるいは笑われるかもしれませんが、しかしペストと戦う唯一の方法は、誠実さということです。僕の場合には、つまり自分の(医師としての)職務を果たすことだと心得ています。(リウー)

・世には神について解釈しうるものと、解釈しえないものがある。(パルヌー神父)

・神への愛は困難な愛であります。それは自我の全面的な放棄と、わが身の蔑視を前提としております。しかし、この愛のみが、子供の苦しみと死を消し去ることができるのであり、この愛のみがともかくそれを必要なものーーー理解することが不可能なるがゆえに、そしてただそれを望む以外にはなしえないがゆえに必要なものーーーとなしうるのです。(パルヌー神父)

・そうして、僕はこう考えたーーー差し当り、少なくとも僕に関するかぎりは、僕はこのいまわしい虐殺にそれこそたった一つのーーーいいかい、たった一つのだよーーー根拠でも与えるようなことは絶対に拒否しようと。そうなんだ。僕はこの頑強な盲目的態度を選んだのだ、もっとはっきり見極めがつくまでのこととしてね。(タル―)

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5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2022年8月1日に日本でレビュー済み
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昔と現在の感染症に対する様子が違いがわかり面白かったです。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2024年1月1日に日本でレビュー済み
コロナの時に読もう、読みたいと思っていましたが、実際にコロナの主治医を二年間。
主治医と感染管理。あまりにも多忙で、読めずにいました。

「この四日間に、熱病は驚異的な躍進を示した」
「このペストがあなたにとって果たしてどう言うものになるか」「際限なく続く敗北です」
「役所なんて当てにはなりませんよ。てんで、人の話を理解できるような連中じゃありませんから」
「風が起こり、ペストの蔓延した市中にいく日も吹き続けた」
「事実上、この八月の半ばというこの時期には、ペストが一切を覆い尽くしたと言って良かった」
「棺がその頃には数少なくなり、屍衣にする布も、墓地内の場所も足りなくなったのである」
「それも別にその必要があるわけでもなく、むしろ現在自分の置かれている無力な無為状態から脱するために、少年の脈をとってみた」
「時と共に増大する食料補給の困難の結果として、その他にも種々不安の的となる問題がありえた。投機がその間に介入してきて、通常の市場には欠乏している第一級の必需品などがまるで作り物みたいな値段で売られていた」
「本当の医師という範疇があっていいだろう」
「鼠の死体は一体も発見されていなかった」

 100点。
 カミュが描いた記録小説です。記録小説の描き手としては明らかに吉村昭に劣ります。
 なにしろ読みにくい。不要な文章の修飾が読みにくく、冗長なものとなってます。
 しかし、それらの欠点を凌駕するペストの恐怖、残酷さ、人々の感情があまりにもリアルです。
 ここで描かれたことがかなりコロナウイルス感染流行でも再現されたと思います。
 改めて、人間って学習しないんだなと。そう思いました。
 読みにくさが−10点。でも、貴重な記録小説。お読みください。
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