”ねえ、あいつらさえあたしをこんな風にしなかったら、あたしは修道院に行っていつも神さまにお祈りをあげていただろうと思うのよ”高級娼婦でありつつ無知で無垢なナナと彼女の魅力にとりつかれた男たちの破滅を描き”真実を描くためにあらゆる美化を否定する”自然主義の文学の始まりとされる本書は救われない退廃さが印象的。
個人的には、この作品でナナのモデルの一人とされる「実在の高級娼婦」のコーラ・パールを知り、その人生のあまりの酷似さにびっくりしたり、本書内での劇場や競馬場での描写に同時代で著者とも親交のあった印象派グループ。特にドガの絵画が脳内に浮かんだりしました。そして、この作品自体がゾラの9000ページに及ぶ「ルーゴン・マカール叢書」の一部というのにも驚き。
退廃的なファム・ファタールものが好きな誰か。あるいは19世紀のパリを感じたい誰かにオススメ。
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