10代の頃、コクトー経由で著者の名を知り、本書を手にした
のだが、シュールレアリストとしての価値は別として、著作が
無味無臭に近いコクトーより、ジュネの方が遥かに黒い味わい
があって面白いじゃないか、と驚嘆したのを覚えている。
ボードレールが『巴里の憂鬱』のエピローグに、神を信じぬ
俗人の知らぬ快楽を知っている者として強盗や娼婦を挙げて
いるが、泥棒で男娼だったジュネは、正に彼の哲学を継承する
者であると云える。
盗みを決行する際の描写が、プログラムされた道徳を、その
道徳がある故に却って、非日常的な享楽を引き出す因子として
作用させている様が痛快である。アルトーの表現を借りれば、
正に心が裏返しになるような愉悦であろう。
ジュネは、<曇りない意識>という精華を咲かせるのが奇麗に
磨き上げられたものではなく、寧ろ穢土であることに何処迄も
自覚的だった実存であろう。
個人的に、文学の面白さを知りたいならこの本を読め、と
云い切れる程の絶作であるように思われる。至高の小説だ。
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泥棒日記 (新潮文庫) 文庫 – 1968/10/2
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言語の力によって現実世界の価値をことごとく転倒させ、幻想と夢魔のイメージで描き出される壮麗な倒錯の世界。――裏切り、盗み、乞食、男色。父なし子として生れ、母にも捨てられ、泥棒をしながらヨーロッパ各地を放浪し、前半生のほとんどを牢獄におくったジュネ。終身禁固となるところをサルトルらの運動によって特赦を受けた怪物作家の、もっとも自伝的な色彩の濃い代表作。
- 本の長さ426ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1968/10/2
- 寸法14.8 x 10.5 x 2 cm
- ISBN-104102119019
- ISBN-13978-4102119013
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 改版 (1968/10/2)
- 発売日 : 1968/10/2
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 426ページ
- ISBN-10 : 4102119019
- ISBN-13 : 978-4102119013
- 寸法 : 14.8 x 10.5 x 2 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 80,421位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 130位フランス文学 (本)
- - 1,762位新潮文庫
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2022年6月2日に日本でレビュー済み
〇 「泥棒日記さえあればほかに本はいらない」と言った作家があってずっと気になっていたところ、まとまった自由時間ができたので読んでみることにした。
〇 感じるところが三つあった。第一は、視点というものの決定性。人は誰でも自分を中心にして周囲の世界を眺める。ジャンジュネは「社会からはみ出したもの」の視点で世界を見ている。そうすると、ふつうの世界の「罪」は「栄光」になり、「悲惨」が「幸福」になる。円の中心をどこに置くかというのは決定的な違いを生むということが分かった。そうした中心を人工的に設定できるのが詩人と作家なのだろう。もちろんジャンジュネにとっては他の選択は考えられなかったのであろうが。
〇 第二は、ジャンジュネの文章作成技術。貧窮と犯罪のなかで過ごした半生の間に、どのようにしてこれだけの語彙と抽象的概念を学び、これを駆使して文章を飾り立てる技術を身に付けたのだろう。これにはほんとうに驚き感服した。
〇 第三は、装飾多き文章の幻惑効果。この作品の絢爛たる語彙と華麗なレトリックを削ぎ落したら、あとに何が残るのだろう。ジャンジュネはここで何を語ろうとしたのか?小説のなかには卑劣な恥ずべき行為を美しい言葉で描いてみせるものも多いが、この作品もそんな類のものではないかという気がした。
〇 つまり、この作品はなかなか立派なものだと思う。しかしジャンジュネの描く世界に共感できたかと問われればノンである。理解も共感もできないが、さりとて世評の高い作品を否定し去るほどの確信も持てない。したがって「敬して遠ざける」というのがいちばん無難な態度だろうということで3星。ちなみに翻訳はよい、大健闘なのではないだろうか。
〇 感じるところが三つあった。第一は、視点というものの決定性。人は誰でも自分を中心にして周囲の世界を眺める。ジャンジュネは「社会からはみ出したもの」の視点で世界を見ている。そうすると、ふつうの世界の「罪」は「栄光」になり、「悲惨」が「幸福」になる。円の中心をどこに置くかというのは決定的な違いを生むということが分かった。そうした中心を人工的に設定できるのが詩人と作家なのだろう。もちろんジャンジュネにとっては他の選択は考えられなかったのであろうが。
〇 第二は、ジャンジュネの文章作成技術。貧窮と犯罪のなかで過ごした半生の間に、どのようにしてこれだけの語彙と抽象的概念を学び、これを駆使して文章を飾り立てる技術を身に付けたのだろう。これにはほんとうに驚き感服した。
〇 第三は、装飾多き文章の幻惑効果。この作品の絢爛たる語彙と華麗なレトリックを削ぎ落したら、あとに何が残るのだろう。ジャンジュネはここで何を語ろうとしたのか?小説のなかには卑劣な恥ずべき行為を美しい言葉で描いてみせるものも多いが、この作品もそんな類のものではないかという気がした。
〇 つまり、この作品はなかなか立派なものだと思う。しかしジャンジュネの描く世界に共感できたかと問われればノンである。理解も共感もできないが、さりとて世評の高い作品を否定し去るほどの確信も持てない。したがって「敬して遠ざける」というのがいちばん無難な態度だろうということで3星。ちなみに翻訳はよい、大健闘なのではないだろうか。
2015年2月23日に日本でレビュー済み
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この度は、ありがとう御座いました。また、何かありましたら、よろしくお願いします。
2013年10月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
僕らが普通唾棄すべきものとしてしか見ていないものが、ジャンジュネの口から語られるとき、まったく違った輝きを放ってそれは僕たちの前に立ち現れて僕らを混乱させる。彼は王宮を牢獄に対比させる。この対比が最も象徴的だ。そこには同じものが堅固に守られている、と彼はいいたいのだ。つまり、高貴で大切なものが、そこにある証拠だとでもいうように。
汚辱がいかにして宝石になりえたかを、サルトルは解説せざるを得なかった。そこにある新しい目から眺められた真実に、サルトルが屈服した証拠だ、と僕には思えた。
汚辱がいかにして宝石になりえたかを、サルトルは解説せざるを得なかった。そこにある新しい目から眺められた真実に、サルトルが屈服した証拠だ、と僕には思えた。
2011年5月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
人間のいるところ、犯罪者も変態もいる。そういうアウトローがいかに生きてゆくか。
ジュネは実体験で培った感性と独特な論法で、アウトローの立場と生活を聖化する。その穢土を豪奢なものにする文章力は驚くべきものである。
ある種ニーチェ的とも言える。三島由紀夫と通ずるところがあるが、私は椎名麟三も想起した。もっとも椎名はクリスチャンでヒューマニスティックだから、人生を肯定するとは言っても立場が全然違うのだ。
語り手は本当に男が好きなようだ。
全体を見ると、少々一本調子で物語になっていないところもあるが、重要なのは穢土をきらびやかにする感性と論全体なのであるから、読み応えがあるに変わりない。
自分の宿命から逃げて引っ込んで生きる人もいるだろう。ジュネは宿命をとにもかくにも楽しもうとしているかのようだ。あるいは、知らず知らず順応するものかも知れないが。
自分のためにどうしても世界を変えてしまいたい人にお勧めです。
ジュネは実体験で培った感性と独特な論法で、アウトローの立場と生活を聖化する。その穢土を豪奢なものにする文章力は驚くべきものである。
ある種ニーチェ的とも言える。三島由紀夫と通ずるところがあるが、私は椎名麟三も想起した。もっとも椎名はクリスチャンでヒューマニスティックだから、人生を肯定するとは言っても立場が全然違うのだ。
語り手は本当に男が好きなようだ。
全体を見ると、少々一本調子で物語になっていないところもあるが、重要なのは穢土をきらびやかにする感性と論全体なのであるから、読み応えがあるに変わりない。
自分の宿命から逃げて引っ込んで生きる人もいるだろう。ジュネは宿命をとにもかくにも楽しもうとしているかのようだ。あるいは、知らず知らず順応するものかも知れないが。
自分のためにどうしても世界を変えてしまいたい人にお勧めです。
2018年2月14日に日本でレビュー済み
読了したのは高校生の頃でしたが、世界が違って見えました。
目に映るいままで汚いと思っていたもの達が、ことごとく美しいのです。
ジュネはひたすら私のような凡人には醜いとしか思えない世界を美しく描写します。
本書の中の泥棒、裏切り、男色のような行為は美しく、神聖にすら思えます。
平凡だった世界が、一冊の本でここまで変わるとは…。僕はヘテロの男性ですが、もう少しで同性愛者になるところでした。
ゲイ作家と呼ばれる作家のものをいくつか読んでみましたが、単なる恋愛物か、社会に認められないゲイである自分、に焦点を当てたものばかりで、このような素晴らしい体験ができなかったためかも。
目に映るいままで汚いと思っていたもの達が、ことごとく美しいのです。
ジュネはひたすら私のような凡人には醜いとしか思えない世界を美しく描写します。
本書の中の泥棒、裏切り、男色のような行為は美しく、神聖にすら思えます。
平凡だった世界が、一冊の本でここまで変わるとは…。僕はヘテロの男性ですが、もう少しで同性愛者になるところでした。
ゲイ作家と呼ばれる作家のものをいくつか読んでみましたが、単なる恋愛物か、社会に認められないゲイである自分、に焦点を当てたものばかりで、このような素晴らしい体験ができなかったためかも。
2022年12月7日に日本でレビュー済み
横尾忠則が新宿紀伊国屋にて万引きする一冊。社長である田辺茂一が、この本を万引きするなんてと感心していた。
2011年2月4日に日本でレビュー済み
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ジュネの文学的位置付けとか、フランス文学の修飾の美学とか、どうもそういう看板に気合負けして未読でした。昔「なしくずしの死」と「さかしま」で自分の感受性のなさを痛感した(いまいち理解できなかった)からってのもありますが。
結論から言うと、読みやすかった。そして面白かった。多分、現代文学や漫画を読みなれているひとならそれほど「目新しい」とは感じないと思う。つまりそれだけ影響力が強かったってことだろう。
なんといっても、思考の流れが美しい。ポエジーに関しては理解がないので触れないけれど、どことなく宗教的な美しさを感じた。もっとも、ジュネのいう「価値の逆転」は作品を「発表」したことで、自ら破綻してしまったのではないか、という印象はあるけれど。
主人公の愛する男たちがそれぞれ魅力的で、思想は全く抜きで恋愛譚として読んでも面白いんじゃないかと思う。
結論から言うと、読みやすかった。そして面白かった。多分、現代文学や漫画を読みなれているひとならそれほど「目新しい」とは感じないと思う。つまりそれだけ影響力が強かったってことだろう。
なんといっても、思考の流れが美しい。ポエジーに関しては理解がないので触れないけれど、どことなく宗教的な美しさを感じた。もっとも、ジュネのいう「価値の逆転」は作品を「発表」したことで、自ら破綻してしまったのではないか、という印象はあるけれど。
主人公の愛する男たちがそれぞれ魅力的で、思想は全く抜きで恋愛譚として読んでも面白いんじゃないかと思う。