元新聞記者で、その後、様々な文学賞を受賞している金薫(キムフン)が、豊臣秀吉が朝鮮半島に攻め行った時、日本の軍を破り、海戦で戦死した「李舜臣(イスンシン)」について書いた小説、原題は「刀の詩(うた)」。
日本語訳は、拉致被害者で、現在は訳者としても活躍中の蓮池薫さん。
私は、この本を読んで、原文でも読んでみたくて購入した。
文章は切れ味が良い。
日本の時代小説も好きだが、日本のものより、空気がはっているように感じた。
だからといって、ただ男性的なのでなく、戦の話なのに詩のような文章が連なっていたりして、それが却って胸をふるわせた。
付録で、李舜臣の年普や人物について書かれているのもいいです。
先日、読んだ本に、韓国人に一番知られているのは豊臣秀吉で、それはこの時の戦のせいだと書かれていたが、この話には、朝鮮半島側の話しかほぼ載っていない。
李舜臣は、戦で手柄をたてながら、敵ではなく味方におとしめられ、監獄に入れられた。
出獄すると待っていたものは、またもや戦で、自らの息子や信頼する部下たちまで失う。
半島の人たちは難を逃れ、地は荒れて、食べ物も無く、自身の体も毎日の戦で疲れ果て病む。
海には敵か味方かわからない死者が漂って、描写は女性の私にも、吐きそうになるほどでなくソフトだけれど、無惨さに胸がしめつれけられて、日本人のしたことを知らされて悲しかった。
出てくる地名や武将には、全てにではないが、読みがなが添えられていて、文字もそれほど小さくなく、時々、日本の時代小説を読むと感じるあまりにも難しい表現もないので五百頁に満たないし、李舜臣の詩や付録にも頁が割いてあるので、すぐに読めました。
韓国に行くと、李舜臣の像が立っていますが、日本の方向を睨みつけているそうです。
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孤将 (新潮文庫) 文庫 – 2008/9/30
豊臣秀吉の軍勢が海から押し寄せてきた。二つの国の命運をかけた壬辰倭乱(文禄・慶長の役)が始まった。巧みな戦術と新兵器・亀甲船で戦国武将の前に立ちはだかる、李舜臣(イスンシン)。だが、彼の敵は眼前の日本軍だけではない。無能な同僚、浮世離れした王、傲慢で頼りにならぬ明軍。救国の英雄として語り継がれる将軍の孤独と苦悩を描き、韓国で五十万部を超えるベストセラーとなった、歴史長篇。
- 本の長さ440ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2008/9/30
- ISBN-104102169717
- ISBN-13978-4102169711
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登録情報
- 出版社 : 新潮社; 文庫版 (2008/9/30)
- 発売日 : 2008/9/30
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 440ページ
- ISBN-10 : 4102169717
- ISBN-13 : 978-4102169711
- Amazon 売れ筋ランキング: - 543,772位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2009年9月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2015年10月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あの帰国拉致被害者の一人、蓮池薫氏がその朝鮮語力を活かして翻訳者として活躍していると聞き、とりあえずどれか読んでみようと思い、手にしたのがこの一冊だった。秀吉による朝鮮出兵の時に、朝鮮側で孤軍奮闘したのがこの李舜臣(イ・スンシン)だったと言われている。
そういう動機から手にした本書だったが、読み出したら韓国でベストセラーになっただけあってなかなか面白かった。李舜臣の一人称で語られていく。短い文章で歯切れがよい。蓮池さんの翻訳も良かったのかもしれない。昨今のような反日的な描写は無く、李舜臣の周りは秀吉軍のみならず、唐の援軍や朝鮮の朝廷までもが実質的には敵だった。これが史実なら、ほとんど孤立無援の中で戦ったのは、英雄として祭り上げられているのも頷ける。
ただ殺戮のシーンが多過ぎる。韓国の朝鮮時代劇を見ていると、戦闘シーンは別にしても、拷問や処刑などで官僚や一般市民などを平気で殺す。やはりこの物語でも淡々と殺戮シーンが語られている。社会制度の違いと言えばそれまでだが、あまりに簡単に人を殺す人たちに辟易する。それでも当時の朝鮮では普通のことだのかもしれない。
訳者の蓮池さんも「あとがき」の中で
「なお、原書の日本に関する記述については史実と異なる点もあるが、韓国ではそう認識されているということから、原文どおり翻訳した」
と書いている。彼もそういうことを気にしながら翻訳していたと思うと、翻訳という作業もなかなか葛藤のある仕事なのかもしれない。著者の金薫自身も小説として読んで欲しいと書いている。
そういう動機から手にした本書だったが、読み出したら韓国でベストセラーになっただけあってなかなか面白かった。李舜臣の一人称で語られていく。短い文章で歯切れがよい。蓮池さんの翻訳も良かったのかもしれない。昨今のような反日的な描写は無く、李舜臣の周りは秀吉軍のみならず、唐の援軍や朝鮮の朝廷までもが実質的には敵だった。これが史実なら、ほとんど孤立無援の中で戦ったのは、英雄として祭り上げられているのも頷ける。
ただ殺戮のシーンが多過ぎる。韓国の朝鮮時代劇を見ていると、戦闘シーンは別にしても、拷問や処刑などで官僚や一般市民などを平気で殺す。やはりこの物語でも淡々と殺戮シーンが語られている。社会制度の違いと言えばそれまでだが、あまりに簡単に人を殺す人たちに辟易する。それでも当時の朝鮮では普通のことだのかもしれない。
訳者の蓮池さんも「あとがき」の中で
「なお、原書の日本に関する記述については史実と異なる点もあるが、韓国ではそう認識されているということから、原文どおり翻訳した」
と書いている。彼もそういうことを気にしながら翻訳していたと思うと、翻訳という作業もなかなか葛藤のある仕事なのかもしれない。著者の金薫自身も小説として読んで欲しいと書いている。
2014年9月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
本の内容は見て、アァでしたが、本の程度良さは流石アマゾンですね!
2014年6月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この小説は、李舜臣という英雄の内面を想定し、深く描き出すものとして優れたものです。もちろん、心理描写や情景描写はフィクションであっても壬申倭乱という歴史的な事実の中でのもので迫力を感じます。また、蓮池薫さんが訳しているという点も興味深いです。
2005年6月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
出来るだけ多くの方に読んで頂きたい本です。
漢字が多く、人名・地名は当然日本語読みとは違うので、始めはとっつきにくく感じられるかもしれません。
(ルビは振ってあります。)
しかし、読み始めるとグイグイ引き込まれて行きました。
センテンスが短く、テンポ良く書かれているので、思ったより読み易かったです。
日本武将の様子を、相手側の視点で読めるのはとても興味深い。
戦闘シーンは具体的な描写が多く、臨場感溢れます。
同時に、一人の人間の心の叫び、その叫びから見る風景は、
具体的でありながら情感溢れ、繊細です。
蓮池薫さんの訳は、想像を遥かに超えて素晴らしいものでした。
次回作にも期待が高まります。
権力が抱える矛盾、その権力の下で生きる一個の人間の存在がいかに微小なものか、
その中で個人としての誇りを保ち続ける事が如何に困難であり、また崇高な事か。
切なさや虚しさに涙する反面、揺るぎない希望(・・を持つ事への希望)を感じさせてくれる本でした。
大軍で攻め入った秀吉勢を押しとどめたのはどんな人物だったのかを知りたかったのですが、
更に深い深い人間世界の矛盾と絶望、それを超えたところにある光を見せてもらえたこの本に感謝です。
漢字が多く、人名・地名は当然日本語読みとは違うので、始めはとっつきにくく感じられるかもしれません。
(ルビは振ってあります。)
しかし、読み始めるとグイグイ引き込まれて行きました。
センテンスが短く、テンポ良く書かれているので、思ったより読み易かったです。
日本武将の様子を、相手側の視点で読めるのはとても興味深い。
戦闘シーンは具体的な描写が多く、臨場感溢れます。
同時に、一人の人間の心の叫び、その叫びから見る風景は、
具体的でありながら情感溢れ、繊細です。
蓮池薫さんの訳は、想像を遥かに超えて素晴らしいものでした。
次回作にも期待が高まります。
権力が抱える矛盾、その権力の下で生きる一個の人間の存在がいかに微小なものか、
その中で個人としての誇りを保ち続ける事が如何に困難であり、また崇高な事か。
切なさや虚しさに涙する反面、揺るぎない希望(・・を持つ事への希望)を感じさせてくれる本でした。
大軍で攻め入った秀吉勢を押しとどめたのはどんな人物だったのかを知りたかったのですが、
更に深い深い人間世界の矛盾と絶望、それを超えたところにある光を見せてもらえたこの本に感謝です。
2014年2月9日に日本でレビュー済み
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一度読み始めると思いのほかサクサクと読了できた。
李舜臣の一人称で内面世界が語られ、戦場のリアルな現実、風景描写がこと細かく描かれる。
しかし基本的には常勝将軍、李舜臣という観点でストーリーは展開していく。
韓国人には救国の英雄なのだが、次のことを指摘しておきたい。
①実際のところ主戦場は陸上戦闘であり、日本軍の主敵は明軍であったこと。
②李舜臣=常勝将軍説はあくまで神話であって、朝鮮水軍の局地的な勝利はあったが(何をもって日本、あるいは朝鮮の勝利とすべきかという問題はある)慶長の役の開戦当初に漆川梁で朝鮮水軍が壊滅したため、その後の制海権はむしろ日本水軍にあったこと。
朝鮮・明水軍勝利とされる最後の露梁海戦ですら、李舜臣と明の副将鄧子劉が戦死しており、朝鮮水軍勝利説には疑問符が付くのである。
つまるところ、戦争の大局に影響を与えたとは思えない水軍の将軍(他に英雄となりうる朝鮮人はゼロ)を延々と一人称で語られても、
興味のない人には苦痛でしかないかもしれない。
李舜臣の一人称で内面世界が語られ、戦場のリアルな現実、風景描写がこと細かく描かれる。
しかし基本的には常勝将軍、李舜臣という観点でストーリーは展開していく。
韓国人には救国の英雄なのだが、次のことを指摘しておきたい。
①実際のところ主戦場は陸上戦闘であり、日本軍の主敵は明軍であったこと。
②李舜臣=常勝将軍説はあくまで神話であって、朝鮮水軍の局地的な勝利はあったが(何をもって日本、あるいは朝鮮の勝利とすべきかという問題はある)慶長の役の開戦当初に漆川梁で朝鮮水軍が壊滅したため、その後の制海権はむしろ日本水軍にあったこと。
朝鮮・明水軍勝利とされる最後の露梁海戦ですら、李舜臣と明の副将鄧子劉が戦死しており、朝鮮水軍勝利説には疑問符が付くのである。
つまるところ、戦争の大局に影響を与えたとは思えない水軍の将軍(他に英雄となりうる朝鮮人はゼロ)を延々と一人称で語られても、
興味のない人には苦痛でしかないかもしれない。
2011年8月7日に日本でレビュー済み
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歴史小説ですが、主人公李舜臣の、有能なる将としての苦悩、人としての葛藤を内面からえぐっている作品です。臨場感ある描写が見事。蓮池薫氏の翻訳も良かったからでしょうか。
壬申の乱(朝鮮出兵)を、反対の韓国側からの視点で読んでみたかったのですが、驚くほど公平な立場をとっています。
壬申の乱(朝鮮出兵)を、反対の韓国側からの視点で読んでみたかったのですが、驚くほど公平な立場をとっています。
2009年10月13日に日本でレビュー済み
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DVDでやっと見切った長編TVドラマの原作を読んでみたいと買い求めました。テレビでは脚色されて部分があるのでしょうが、史実からかけ離れないよう忠実に書かれているので違った意味で新鮮に読み進めています。現在尊敬されている李将軍の偶像は少々オーバーかなと思います。