上巻390ページに続き、下巻は590ページ。20代半ば、アメリカでの映画の大成功から、戦後アメリカを追われスイスに落ち着くまで。
映画がヒットするかどうかは、蓋を開けてみないとわからない。『キッド』も『黄金狂時代』も『街の灯』も『モダンタイムス』もそうだった。その一喜一憂のさまが描かれている。ヒトラーとファシズムを糾弾した『独裁者』もそう。上映の妨害の動きはアメリカ国内にもあった。さらに戦後は『ライムライト』。赤狩りの嵐のなかで、チャップリンは国外追放にあい、『ライムライト』はアメリカでは上映禁止になった。かくしてチャップリンは、ナショナリズムの吹き荒れるアメリカを見限るのだ。
内向的で人見知りのはずなのに、驚くほどの数の人々が知己として登場する。俳優や映画関係者は言うまでもなく、20世紀の超有名人たち、アインシュタイン、ピカソ、バーナード・ショー、H・G・ウエルズ、……チャーチル、ルーズベルト、フルシチョフや周恩来まで。その交遊関係の広さと深さに圧倒されまくる。(なぜかヘレン・ケラーがいない! ヘレンの自伝にはチャップリンが出てくるのに。一緒の写真も撮っているのに!)
いくつもの女性遍歴、3度の結婚と離婚、言いがかりの認知訴訟のことも書かれている。そして最後に遭ったのがウーナ・オニール。結婚した時、彼女は18歳、チャップリン54歳。妻として最後までチャップリンを支え続けた。そのことだけで、ノーベル文学賞受賞者ユージン・オニールの娘だったことも、高校時代の彼氏がJ・D・サリンジャーだったことも、霞んでしまう。なお、この自伝はこの最愛の妻に捧げられている。
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チャップリン自伝 下巻 (新潮文庫 チ 2-2) 文庫 – 1992/12/1
栄光の日々
- 本の長さ590ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1992/12/1
- ISBN-10410218502X
- ISBN-13978-4102185025
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1992/12/1)
- 発売日 : 1992/12/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 590ページ
- ISBN-10 : 410218502X
- ISBN-13 : 978-4102185025
- Amazon 売れ筋ランキング: - 265,408位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2020年6月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
間違えて返品してしまったのでお金を振り込みたいです...本当に申し訳ありません。
本の状態はとても良く、大変満足しています!
本の状態はとても良く、大変満足しています!
2006年11月17日に日本でレビュー済み
喜劇王チャップリンの1910年年代から60年代までの自伝で、
日本で有名になっている作品は、だいたいこの時期に制作されたものです。
「犬の生活」「のらくら」「キッド」「独裁者」「巴里の女性」
「モダンタイムス」「殺人狂時代」などなど。制作の裏話や
苦労話、日本で暗殺されかけたこと、などの派手な話もありますが、
どちらかというと交友録のほうに重点が置かれているようです。
数え切れないほどの映画人のほかに、チャーチルやガンディーとの
交流などについても述懐していますが、誰に対しても気取ったり
へりくだったりしない。こういう自然なつきあい方が、みんなに
親しまれるキャラクターになったんだろうな、と思います。
チャップリンといえば、”ひょうきんで人なつっこい人物”
”おっちょこちょいの道化”など、スクリーン上のイメージが
先行しがちですが、少なくとも自分を語るときの彼はとても
クールで、飾り気のない語り口で飄々と自分の成功と失敗を
語っています。20世紀の空気を感じたい人にお勧め。
日本で有名になっている作品は、だいたいこの時期に制作されたものです。
「犬の生活」「のらくら」「キッド」「独裁者」「巴里の女性」
「モダンタイムス」「殺人狂時代」などなど。制作の裏話や
苦労話、日本で暗殺されかけたこと、などの派手な話もありますが、
どちらかというと交友録のほうに重点が置かれているようです。
数え切れないほどの映画人のほかに、チャーチルやガンディーとの
交流などについても述懐していますが、誰に対しても気取ったり
へりくだったりしない。こういう自然なつきあい方が、みんなに
親しまれるキャラクターになったんだろうな、と思います。
チャップリンといえば、”ひょうきんで人なつっこい人物”
”おっちょこちょいの道化”など、スクリーン上のイメージが
先行しがちですが、少なくとも自分を語るときの彼はとても
クールで、飾り気のない語り口で飄々と自分の成功と失敗を
語っています。20世紀の空気を感じたい人にお勧め。
2015年5月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
成功してからの後半生。2度に渡る離婚や、かなり奔放な女性関係、お金に対する煩さなど、チャップリンが自分について、かなり率直に語っていて面白い。チャップリンはまさにアメリカン・ドリームの体現者になったのだが、そのアメリカから追放されてしまうのは皮肉以外の何物でもない。若い頃の極貧生活が、チャップリンのマインドセットにリベラル色を吹き込んだのは否定できないだろう。また、富と名声に対するチャップリンの見解も興味深く、チャップリンは貧乏を礼賛する世間に風潮に公然と異を唱え、富と名声から多くを学んだと述べている。
本書の楽しみの一つが、チャップリンが同時代の有名人たちと積極的に交際し、その交際が本自伝に惜しみもなく書かれていることだろう。チャーチル、ガンジー、スタインベック、ニジンスキー、そして音楽好きのチャップリンらしく、ドビュッシー、ラフマニノフ、ストラヴィンスキーといった音楽家とも親交があったようだ。また、日本の読者にとって面白いのは、チャップリン訪日の際の記述だ。チャップリンは5・15事件のタイミングで訪日し、あやうく殺害されるところだったという。
非常に長い自伝ではあるが、特に下巻は面白かった。人生訓としても20世紀の記録としても貴重な自伝だと思う。
本書の楽しみの一つが、チャップリンが同時代の有名人たちと積極的に交際し、その交際が本自伝に惜しみもなく書かれていることだろう。チャーチル、ガンジー、スタインベック、ニジンスキー、そして音楽好きのチャップリンらしく、ドビュッシー、ラフマニノフ、ストラヴィンスキーといった音楽家とも親交があったようだ。また、日本の読者にとって面白いのは、チャップリン訪日の際の記述だ。チャップリンは5・15事件のタイミングで訪日し、あやうく殺害されるところだったという。
非常に長い自伝ではあるが、特に下巻は面白かった。人生訓としても20世紀の記録としても貴重な自伝だと思う。
2015年2月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
非常に綺麗で、古本特有の臭さもなかった。
お手製のカバーが付いており、心遣いが伝わってきた。
本は中々ボリュームがあり、読み応えがあります。オススメです。
お手製のカバーが付いており、心遣いが伝わってきた。
本は中々ボリュームがあり、読み応えがあります。オススメです。
2014年8月14日に日本でレビュー済み
下巻は上巻に比べて分厚いですが、通勤電車で毎日、チャップリンと出会えると思うとわくわくしました。残りのページが少なくなり寂しさを感じながらページをめくっていました。中野好夫氏の翻訳でスムーズに読み進められます。
冒頭、孤独についてで始まります。上下巻通じて基調にあるのは孤独のように思います。それは人間一般の孤独ではなく、チャップリンの孤独です。メディアを通じて超有名になり、映画を観た人は自分のことを知っているものの、自分は相手のことを知らない。行く先々で膨大な数の人々に囲まれ絶大な歓待を受けても、圧倒されて心が安まらず、あとで一人こっそり街中をぶらつく。
そして、新作の試写会や封切前に、観る人がどういう反応を示すか、心落ち着かず居ても立ってもいられない。
そういうチャップリンが親交を深めた数少ない友人、そして家族、中でも最後の奥様ウーナにいかに支えられていたかに触れています。
時代の流れで、サイレント映画からトーキー映画への移り変わりにチャップリンはどう対応したか。また、それぞれの作品に込めた思いやエピソードも知ることができます。
フランスの劇作家・劇音楽家協会会長のロジェ・フェルディナン氏からの手紙。これを読み進めるうちに涙で字が読みにくくなりました。まさしくチャップリンに対して思っていること、感じていることを代弁してくれているからです。時と場所を超えて、同じ思いをもった人がいることに驚きました。
解説は、淀川長治氏です。氏が8歳の頃からチャップリンの映画を観ていて、本当にチャップリンを大好きだったことが分かります。
冒頭、孤独についてで始まります。上下巻通じて基調にあるのは孤独のように思います。それは人間一般の孤独ではなく、チャップリンの孤独です。メディアを通じて超有名になり、映画を観た人は自分のことを知っているものの、自分は相手のことを知らない。行く先々で膨大な数の人々に囲まれ絶大な歓待を受けても、圧倒されて心が安まらず、あとで一人こっそり街中をぶらつく。
そして、新作の試写会や封切前に、観る人がどういう反応を示すか、心落ち着かず居ても立ってもいられない。
そういうチャップリンが親交を深めた数少ない友人、そして家族、中でも最後の奥様ウーナにいかに支えられていたかに触れています。
時代の流れで、サイレント映画からトーキー映画への移り変わりにチャップリンはどう対応したか。また、それぞれの作品に込めた思いやエピソードも知ることができます。
フランスの劇作家・劇音楽家協会会長のロジェ・フェルディナン氏からの手紙。これを読み進めるうちに涙で字が読みにくくなりました。まさしくチャップリンに対して思っていること、感じていることを代弁してくれているからです。時と場所を超えて、同じ思いをもった人がいることに驚きました。
解説は、淀川長治氏です。氏が8歳の頃からチャップリンの映画を観ていて、本当にチャップリンを大好きだったことが分かります。
2006年11月16日に日本でレビュー済み
チャップリンが自由と希望の国アメリカで大成功を収めるところから、アメリカを追われる身になるまでの後半生が、この下巻で克明に描かれています。上巻よりも人名がふんだんに出てくるので、この時代(20世紀前半)の人物/文化の予備知識がないと、ちょっと辛いかもしれません。(こういう意味でも、氏の記憶力にはホントに脱帽します) そこは気にせず流し読みして、チャップリン氏の発言に注目して読み進めれば良いかと思います。例えば、映画のアイディアの思いつき方について説明するくだりを読むと、これは研究者が新しい着想を得るための日々の心構えと共通するんだなぁ、と感心しました。
この下巻を読み終えると、アメリカという国は今も昔も変わらないんだぁ、と思ったりしました。チャップリンをこよなく愛した筈のアメリカが、チャップリンを追放するに至るまでの経緯を読むと、このような話は現代でも大いにあり得る話だと思いますね。(911事件以降の状況は、チャップリンが経験した「赤狩り時代」と相通じるモノがあるように思えました)
本書を読み終えたら、またチャップリンの映画DVD集(「ラヴ・チャップリン ! コレクターズ・エディション BOX 1&2」)を見たくなりました。今度は、今までとはまた違った楽しみ方が出来そうです。「人生には三つのものがあればいい。希望と勇気とsome money」、このチャップリンの名言を今一度噛みしめたいですね。
この下巻を読み終えると、アメリカという国は今も昔も変わらないんだぁ、と思ったりしました。チャップリンをこよなく愛した筈のアメリカが、チャップリンを追放するに至るまでの経緯を読むと、このような話は現代でも大いにあり得る話だと思いますね。(911事件以降の状況は、チャップリンが経験した「赤狩り時代」と相通じるモノがあるように思えました)
本書を読み終えたら、またチャップリンの映画DVD集(「ラヴ・チャップリン ! コレクターズ・エディション BOX 1&2」)を見たくなりました。今度は、今までとはまた違った楽しみ方が出来そうです。「人生には三つのものがあればいい。希望と勇気とsome money」、このチャップリンの名言を今一度噛みしめたいですね。