非常に美しい構成、美しい筆致、美しい物語、美しい訳文・・・・こんなに美しずくめなのに、嫌味な感じは微塵も受けない。天才カストラート・カルロ=ファリネッリは、去勢されたことで自分自身の存在意義に確信を持てない。しかし、弟の悩みなどどこ吹く風で、ファリネッリの兄・リッカルドは弟の才能を食い物にして享楽を貪る。そんな状況の中、ある二人の大物が兄弟の前に現れたことで、彼等の運命は変わり始める。なんといってもすばらしいのは、魅力的なプロット。国王フェリペ5世とファリネッリの絆や、ファリネッリを取り巻く人々の欲望と虚栄、など、これでもかというくらいつぼを抑えている。分かりやすくテンポの良い展開、魅力的なプロットそして、訳文とは思えないほど限りなく歪みの少ない流麗な文章。こんなに読みやすい外国の小説は珍しいのではないだろうか。
非常にお勧めできる一冊。
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カストラート (新潮文庫 コ 18-1) 文庫 – 1995/6/1
- 本の長さ225ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1995/6/1
- ISBN-104102460012
- ISBN-13978-4102460016
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1995/6/1)
- 発売日 : 1995/6/1
- 言語 : 日本語
- 文庫 : 225ページ
- ISBN-10 : 4102460012
- ISBN-13 : 978-4102460016
- Amazon 売れ筋ランキング: - 535,854位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 127位オペラ・声楽 (本)
- - 819位フランス文学 (本)
- - 7,910位新潮文庫
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年7月31日に日本でレビュー済み
教会による歪んだ価値観により、天使の歌声を消さないためだけに去勢された少年たち。
その中で歌手としての頂点を極めた一人のカストラートを描いた作品だった。
去勢されたという事実へのコンプレックス、それを補うための歌への情熱、そして彼をカストラートにした兄への愛憎。
それらの感情をむき出しに揺れ動く一人の人間だった。
幼いころに目の前で自殺したカストラート、そして嵐の中で疾走する馬のイメージが常につきまとっているかのようだ。
押しつぶされそうな彼を救ったのは、ヘンデルの曲と彼を愛した女の母性のような愛だった。
精神的に不安定なカストラート、弟を通して名声を得ていながらそれが自分のものでないことでより弟に執着するカストラートの兄、尊大さと粗暴のヘンデル、そしてカストラートを愛することで何かを得ようとしているようにも見える女。
どれもが近くにいてほしくないタイプなのにストーリーにはひきつけられるのはなぜだろう。
その不安定さからきているのかもしれない。
音楽にすべてを昇華させてほしかった。
その中で歌手としての頂点を極めた一人のカストラートを描いた作品だった。
去勢されたという事実へのコンプレックス、それを補うための歌への情熱、そして彼をカストラートにした兄への愛憎。
それらの感情をむき出しに揺れ動く一人の人間だった。
幼いころに目の前で自殺したカストラート、そして嵐の中で疾走する馬のイメージが常につきまとっているかのようだ。
押しつぶされそうな彼を救ったのは、ヘンデルの曲と彼を愛した女の母性のような愛だった。
精神的に不安定なカストラート、弟を通して名声を得ていながらそれが自分のものでないことでより弟に執着するカストラートの兄、尊大さと粗暴のヘンデル、そしてカストラートを愛することで何かを得ようとしているようにも見える女。
どれもが近くにいてほしくないタイプなのにストーリーにはひきつけられるのはなぜだろう。
その不安定さからきているのかもしれない。
音楽にすべてを昇華させてほしかった。