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僕の生活散歩 単行本 – 2010/5/1
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<「手触り」が三谷さんの作品には溢れている><「世界を手で触れる」感触がそこにはあって、だからなのか、作品を眺めているだけで、「見えないリアル」に触れられるような感覚を覚える>
伊坂幸太郎(芸術新潮2010年6月号より)
◆三谷龍二さんは1952年生れ。木工芸の仕事だけでなく、ベストセラー小説『朗読者』や伊坂幸太郎作品(『オー!ファーザー』『重力ピエロ』他)などの表紙作品も手がけています。
◆この本は、そんな三谷さんが、器を作る思い、暮しの周辺、青春の記憶などを綴った静謐な文章に、みずから描いた静物、風景画の数々をあわせたもの。季刊誌『住む。』の連載(1~30回分)をまとめたものですが、作品図版は今回新たに三谷さん自身が自宅の壁に掛けて、自然光のなかで撮影、さらに連載時にはなかった絵の部分拡大図(30点全て)や、工房や近所の散歩道などのスナップ写真も掲載しています。ポートレイトもセルフです。
◆以下は本書より。
<絵を描いたり、文を書いたり、というのは、興味のある対象物をあらためて「よく見る」ことだと思います。日々の雑事にかまけていると、あっという間に時間が経って、気がつくと季節も背中を素通りして過ぎて行きます。それでは人生が薄まってしまうような気がして、慌ただしい時間とは違ったもうひとつの時間を、意識的に持たなくては、と反省させられたのでした>
<道具は、時の経過の中でゆっくりと、使う人の手や暮らしに馴染んでゆく。使うことで、ものと人の距離は近づき、浸透し、いつのまにかその人の一部であるかのようになってゆく>
<手仕事の速度は、一般社会に比べて、全体にゆったりとした時間が流れるので、間にいろんな(仕事以外の)ことが入りやすくなる。(略)手に余るもの、手からこぼれ落ちるもの。手仕事の速度が篩となってくれる時もある。頭でなく、手が考えるゆっくりとした速度が、僕たちに教えてくれるものは多い>
<窓には、その人の心も映るのだろう>
<ところが、当時僕は小さな劇団に所属していたのだが、そこで、「薬缶を愛さないで、もっと人を愛せ」という、かなり強烈な言葉を言われたのだった>
<これは今になって思うことだけれど、どこかへ飛んでいってしまいそうな自分を、この現実につなぎ止める力、その力が「生活工芸」の仕事の中にあるように思う。生活工芸は具体的な日々の暮らしを見つめ、そこにある小さな問題を解決するために努力する仕事だ>
<多様な人たちを認めそれと関わるためには、鋭敏であるばかりでなく、時には鈍感であることも大切なことなのだ>
<籠を編む老人がこう言っていた。「頭はどんどんもの忘れしていくけど、手が覚えたものは忘れないね」と>
- 本の長さ137ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2010/5/1
- ISBN-104103001925
- ISBN-13978-4103001928
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2010/5/1)
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- 言語 : 日本語
- 単行本 : 137ページ
- ISBN-10 : 4103001925
- ISBN-13 : 978-4103001928
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