北杜夫は、熱狂的なタイガースファンになった理由について、終戦直後のタイガース黄金期を形成した藤村・別当・呉・金田・土井垣を中心とする「ダイナマイト打線」が、当時の旧制松本高校時のバンカラぶりに似合っていたと証言している。
いわば「阪神タイガース」とは彼にとって永遠の青春なのかもしれない。愛するチームに一喜一憂するのは北杜夫にとっては「若きウエルテル」になる貴重な瞬間であっただろう。
それにしても、この思い入れは一方ならぬ。躁状態であろうと鬱状態であろうと、心はラジオテレビから聞こえ来る阪神戦に心を寄せていたのだ。まさに「阪神狂」である。
ペナントレース観戦記や名選手の評論など、プロ野球の資料としても面白い。スポーツ関係の文学として実にユニークな作品である。
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マンボウ 阪神狂時代 単行本 – 2004/3/24
北 杜夫
(著)
- 本の長さ238ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2004/3/24
- ISBN-104103062355
- ISBN-13978-4103062356
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
さらば、腰痛とダメ虎の日々! 祝・優勝! 負けたり、勝ったり、負けたりしていた野球ファン人生の最期に、こんな幸せが…。虎キチ歴半世紀の鬱憤を笑い飛ばすエッセイ集。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2004/3/24)
- 発売日 : 2004/3/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 238ページ
- ISBN-10 : 4103062355
- ISBN-13 : 978-4103062356
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,151,164位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 28,367位スポーツ (本)
- - 31,910位エッセー・随筆 (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2006年4月18日に日本でレビュー済み
著者の文章が好きでもタイガースファンでなければ何の価値も無いかもしれません。でもタイガースファン、特に日本一以前からのファンであれば非常に著者の気持ちが分かり、自分のことのようで楽しめるのではないでしょうか。
2004年5月29日に日本でレビュー済み
本重量約380グラム。発行2004年。北杜夫による阪神タイガースの本。2003年、阪神優勝によって書かれたというのは予想が付くのだが、北ファンなら著者の心理状態に興味を持つはず。「はじめに」「おわりに」といったお約束の文章がない。目次は、1章・夢の快進撃2003、2章・鬱で迎えた「トホホな優勝」、3章・我が「タイガース人生」1962-1976、4章・それでもやめられない「タイガース人生」1977-1992、5章・猛虎「名・迷選手」列伝、6章・戦い終わって、腰痛くて。1章冒頭から「予定では、二〇世紀じゅうに死ぬはずでしたから」ではじまる。3章以降、1962年からいかに阪神を応援してきたかが試合日日記風に書かれている。細かい資料や行動が記されているので雑誌のエッセイだと思うのだが、初出は明記されていない。埴谷雄高が野球ファンだとか、テレビ・ラジオ観戦時の態度とジンクス、選手・監督・山藤章二との対談、負け投手へ精神診断を送りつける、甲子園で観戦、キャンプ地レポート、などなかなかバラエティーに富んでいる。表現が古めかしく、自己中心的な意見がどんどん出てくるが、そこが著者のファンには魅力ともいえる。「七回には、恒例の風船あげが行われたが、その風船がなんだか生殖機能も失いかけた私のザーメンのように見えた」p200にくすっと笑った。