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ローマ人の物語 (10) すべての道はローマに通ず 単行本 – 2001/12/20
塩野 七生
(著)
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すべての道はローマに通ず
- 本の長さ296ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2001/12/20
- 寸法15.5 x 3 x 20.5 cm
- ISBN-104103096195
- ISBN-13978-4103096191
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
ローマの偉大さはインフラストラクチャーの整備にあった。道路、橋、水道から、医療、教育に至るまで、「ローマの本質」を描き尽くした渾身の一冊。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2001/12/20)
- 発売日 : 2001/12/20
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 296ページ
- ISBN-10 : 4103096195
- ISBN-13 : 978-4103096191
- 寸法 : 15.5 x 3 x 20.5 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 125,597位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 46位古代ローマ史
- - 286位ヨーロッパ史一般の本
- カスタマーレビュー:
著者について
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1937年7月7日、東京生れ。
学習院大学文学部哲学科卒業後、イタリアに遊学。1968年に執筆活動を開始し、「ルネサンスの女たち」を「中央公論」誌に発表。初めての書下ろし長編『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』により1970年度毎日出版文化賞を受賞。この年からイタリアに住む。
1982年、『海の都の物語』によりサントリー学芸賞。1983年、菊池寛賞。1992年より、ローマ帝国興亡の歴史を描く「ローマ人の物語」にとりくむ(2006年に完結)。1993年、『ローマ人の物語I』により新潮学芸賞。1999年、司馬遼太郎賞。2002年、イタリア政府より国家功労勲章を授与される。2007年、文化功労者に選ばれる。2008-2009年、『ローマ亡き後の地中海世界』(上・下)を刊行。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年5月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
交通、水道といったハードインフラと医療や教育のソフトインフラを扱った一冊だった。これまでの九巻をダイジェストする部分も多く見られ、ローマ史が終盤に差し掛かかる小休止的な巻だったといえる。
特に地図、写真、挿絵が多く、曖昧に理解していた部分を見直す意味で非常に有用だった。
一方で、歴史の進展を扱わない例外的な部分として丸ごと一冊を割いているわけで、読者の評価は分かれるかもしれない。
特に地図、写真、挿絵が多く、曖昧に理解していた部分を見直す意味で非常に有用だった。
一方で、歴史の進展を扱わない例外的な部分として丸ごと一冊を割いているわけで、読者の評価は分かれるかもしれない。
2018年5月15日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
学生の頃、この本を読んでいます。
最近もう一度読みたいと考え、事情があり手放してしまった本書を古書でもう一度取り戻し読み直しました。
ローマのインフラ構築の歴史と考えは、現代にも大いに通じるもののある、優れたものであると思います。
特に高度成長から半世紀、本来であればインフラの再構築を急がねばならない我が国において、より身近に感じる部分もありました。
再読しても再発見のある、本当にエキサイティングな読み物であると思います。
最近もう一度読みたいと考え、事情があり手放してしまった本書を古書でもう一度取り戻し読み直しました。
ローマのインフラ構築の歴史と考えは、現代にも大いに通じるもののある、優れたものであると思います。
特に高度成長から半世紀、本来であればインフラの再構築を急がねばならない我が国において、より身近に感じる部分もありました。
再読しても再発見のある、本当にエキサイティングな読み物であると思います。
2018年1月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
これまでの9巻で、時系列で語られてきた古代ローマの歴史からすると、小休止にも映る作品である。
なぜならば、これ自体は物語ではなく、一見図録のようであり、建築に通じた人やそういう類いの人が読むものなのかと思ってしまう。しかし、塩野氏の筆を通じて古代ローマの歴史を追う人が、この巻を飛ばし読みしてしまうのはあまりにも勿体無く、どのようにローマ帝国が崩壊するのかを知る前に、なぜ繁栄したのかをインフラをとおして知っておくことは意義のあることであり、作者が10巻目に間に合わせるようにこのテーマを持ってきたのは偶然ではなかったのだと読了して感じるところだ。
このシリーズ「ローマ人の物語」を読む以前からもアッピア街道の存在や、街道の構造については知っていたし、ローマ水道も何となく凄いと知っていた。しかし、その時代においてどのような考えでそれらが作られ、使われ、整備・維持されてきたのかということは本書を通して初めて知り、そこまで思いを巡らせることで、9巻まで追ってきたローマ人の物語を読んで感じたことがより明るくなっていくようだった。本書は、道に限らず、橋、水道、医療、教育等まで描かれている。それらは全て古代ローマ人が考え、実行していたインフラの内容であるが、まるでわずか数世代前の時代のことかと錯覚してしまうほどに、ローマ帝国のインフラは現代に生きる我々にも通じていることばかりであることに驚かされる。
生き生きとした著者の描写と、付録されている多くの写真や図面を合わせて向き合うことで、きっと、時間を越えた古代ローマ人の思想に触れる体験をすることができる。
なぜならば、これ自体は物語ではなく、一見図録のようであり、建築に通じた人やそういう類いの人が読むものなのかと思ってしまう。しかし、塩野氏の筆を通じて古代ローマの歴史を追う人が、この巻を飛ばし読みしてしまうのはあまりにも勿体無く、どのようにローマ帝国が崩壊するのかを知る前に、なぜ繁栄したのかをインフラをとおして知っておくことは意義のあることであり、作者が10巻目に間に合わせるようにこのテーマを持ってきたのは偶然ではなかったのだと読了して感じるところだ。
このシリーズ「ローマ人の物語」を読む以前からもアッピア街道の存在や、街道の構造については知っていたし、ローマ水道も何となく凄いと知っていた。しかし、その時代においてどのような考えでそれらが作られ、使われ、整備・維持されてきたのかということは本書を通して初めて知り、そこまで思いを巡らせることで、9巻まで追ってきたローマ人の物語を読んで感じたことがより明るくなっていくようだった。本書は、道に限らず、橋、水道、医療、教育等まで描かれている。それらは全て古代ローマ人が考え、実行していたインフラの内容であるが、まるでわずか数世代前の時代のことかと錯覚してしまうほどに、ローマ帝国のインフラは現代に生きる我々にも通じていることばかりであることに驚かされる。
生き生きとした著者の描写と、付録されている多くの写真や図面を合わせて向き合うことで、きっと、時間を越えた古代ローマ人の思想に触れる体験をすることができる。
2018年9月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
個人の感想ですが、本の内容が、このシリーズにしては、悪かった。
2017年7月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
塩野氏の「ローマ人の物語」第10巻。本書は他の巻とは趣向を変え、「ローマ帝国のインフラストラクチャー」をテーマとして掲げ、その内容や社会的意義を紹介・考察したものだ。街道、橋、水道というハードなインフラに加え、医療、教育といったソフトなインフラにも触れられているが、副題にある通り、本書の内容の大半はやはり街道(ローマ街道)だ。
ローマ人は、帝国の隅々まで街道を張り巡らせてネットワーク化し、常にこのメンテナンスを怠らなかった。このネットワーク化による機能の飛躍的な向上に着目したこと自体が、ローマ人を現実的で合理的な民族に育てていくことにもなったと著者は主張する。他の巻でも繰り返し指摘されている通り、勝者による敗者の同化を通じ、ローマは強大化していく。帝国の運命共同体の形成に、ローマ街道が大きく貢献したという著者の指摘は、とても説得力がある。
本書では、街道や橋の美しい写真などがふんだんに使用される。街道の位置はカラーの地図が参照につけられ、橋、水道などとともにその構造や工事方法も解説されており、興味深い。
合理性という側面において、ローマ人は古代でも稀な民族だという。このことは帝国発展の一因でもあるが、インフラ整備の重要性を彼等が当たり前のように認識していたという事実に、読者は改めて驚くはずだ。2000年も前に、よくもまあこんな立派なものをいろいろと作ったもんだ、という率直な感想とともに。
ローマ人は、帝国の隅々まで街道を張り巡らせてネットワーク化し、常にこのメンテナンスを怠らなかった。このネットワーク化による機能の飛躍的な向上に着目したこと自体が、ローマ人を現実的で合理的な民族に育てていくことにもなったと著者は主張する。他の巻でも繰り返し指摘されている通り、勝者による敗者の同化を通じ、ローマは強大化していく。帝国の運命共同体の形成に、ローマ街道が大きく貢献したという著者の指摘は、とても説得力がある。
本書では、街道や橋の美しい写真などがふんだんに使用される。街道の位置はカラーの地図が参照につけられ、橋、水道などとともにその構造や工事方法も解説されており、興味深い。
合理性という側面において、ローマ人は古代でも稀な民族だという。このことは帝国発展の一因でもあるが、インフラ整備の重要性を彼等が当たり前のように認識していたという事実に、読者は改めて驚くはずだ。2000年も前に、よくもまあこんな立派なものをいろいろと作ったもんだ、という率直な感想とともに。
2022年9月11日に日本でレビュー済み
この本は彼女にとっても稀有の一書である。
この一作を提示したことで、「ローマ人の物語」は、誕生から解体までの経過をたどった「通史」から一頭地を抜く傑作となった。
塩野七生は1巻から「道路が国家の動脈であることは現代なら誰でも知っている」と書く。しかしこれは現代日本人でもどれだけ理解されているかははなはだ心許ない(というのは実は筆者は成人してもその意味に気づかなかったからであるが)
学習院大学哲学科という純粋な文科系を卒業しながら、塩野七生は20世紀のモーターサイクルによる物流の意味に覚醒したことは驚くべき事である。
それはエンジニアでも自明の理ではないかもしれない。エンジニアはそれを機械工学的な問題としてとらえるかもしれず、銀行家であれば、そこから見込める収益から考える為、そのインフラの持つ社会的意味をあわせて考えることが出来る視野を持つ人は、どの分野にかかわらずそれほどいないのかもしれない。
だが塩野七生は道路網が持つ意味を社会的に把握し、ついで、水道がもつ医学的・健康的、どのような社会を提供するか、という視点から、ふだん見過ごされがち水道と道路、教育と医学というインフラストラクチャーのみを扱う一書を、ローマの通史に投下することでその独自性を証明した。
歴史家は普通、興亡や戦争、法律体系、安全保障といった面からとらえがちである。
生活を支持する通常のインフラに着目した塩野七生は、田中角栄を生んだ土建国家でもある20世紀後半の日本国が、社会整備をその統治層では綿密に進めていた政策、そして大多数の日本人が眼前に見ていながらその国家経営のなかでの意味を意識できなかったインフラ整備を、ローマという古代に対して適用した。
20世紀後半の日本人が政策的に重視していたインフラを歴史家として展開したことにおいて、塩野七生は司馬遷にも、ギボンにも、ヨセフスにも、永井路子にもない「独自性」を備えたのである。
20世紀日本人はなにを重視したか、という事を明確に示すことによって、このシリーズは、他の文明、他の時代の子孫たちにおいても、彼らにとっての「異質性」を備えることになり、後世の検討と解釈を呼び覚まし、時代を超越した普遍性を兼ね備えることになった、と考えている。
「天才とは、新しい物を発見する人ではない。誰もが見ていながら、その意味に気づかない角度からものを見る人の事である」と4巻でカエサルについて彼女は書いている。
10巻の塩野七生は「誰もが見ながら、その意味に気づかない角度」から道路網、水道を見ている。
その意味は帝国末期の記述を見ればあきらかになる。ローマ時代末期、これらのインフラは破綻し、それを重視しなくなったキリスト教社会は、同時に閉鎖的であり、地方的であり、欧州全体に共通する宗教という別の「精神のインフラ」をもたらしたものの、政治的にも経済的にも社会的にも分断された「中世」になっていく。物理的な道路網は、ただの生活の道具だけではなく、帝国を持続させるためのシステムであり、またそのインフラによる物流が帝国を維持していた原因と結果でもあったことを言外に示している。
インフラとは世界帝国の運営に不可欠のシステムであり、彼女は明記していないが、それをネットワークとして張り巡らしていたからこそ、ローマがこれほど長期にわたって「世界帝国」でありえたことも示唆している。
この一書は、歴史記述を期待した読者には当て外れになったかもしれない。
だが、この一巻によって、「ローマ人の物語」は真の意味で20世紀日本人によるローマ解釈となった。
この後、12-13巻で展開する「非キリスト教者による、キリスト教導入の目的と意味の分析」という、政治における宗教の活用を意味を指摘した箇所、そして7巻の「ユリウス・クラウディウス王朝において効率性と実用性を獲得していく皇帝政」を解き明かした7巻とともに、この10巻は、15冊の連作でベスト3に入る傑作であり、タキトゥスの著書が一部失われたように、「ローマ人の物語」が全体を欠いた状態で後世に残る状態になったとしても、この10巻は7巻、13巻とともに、普遍に到達したゆえに後世も参照される古典となったと筆者は確信してはばからない。
連作全体を通観した結論で言えば、塩野七生とは、政治上では徹底した実用主義者であり、機能主義者だった。
彼女は政体についても、王制・貴族政・民主制どれも評価軸は「その時代に機能したか」という面でのみでこの連作を書いている(ローマ以前に著したルネサンス著作については、マキアヴェッリやチェーザレ、ヴェネツィア共和国という人物・国家の力量にフォーカスして書いているが)キリスト教導入も、社会安定・統治の必要性という機能面からのみ着目して書いていることに貫徹されており、この連作を通じて示された「実用主義者」という判断基準が、インフラストラクチャーという物理面にまで拡張されて示されたことで、この一巻は彼女の本質を象徴するとさえ言いえるのではないだろうか。
…この巻は塩野七生においても、その全著作のなかでベスト5に入ると思う。(他の4作は、他の評価軸になるし本人も重視しないかもだが、文学的完成度において「わが友マキアヴェッリ」と「神の代理人」、そして先程挙げた「ローマ人の物語」7巻と13巻。そして政治技術の分析として「海の都の物語」を第6位に考えている。蛇足。7位は「ギリシア人の物語 2巻」彼女はローマではその性向を控えたが、崩壊の快感を知っている人間である。記述が健康的なので気づきにくいが)
記述は読みやすい。そして内容は古典である。
稀有の書である。
この一作を提示したことで、「ローマ人の物語」は、誕生から解体までの経過をたどった「通史」から一頭地を抜く傑作となった。
塩野七生は1巻から「道路が国家の動脈であることは現代なら誰でも知っている」と書く。しかしこれは現代日本人でもどれだけ理解されているかははなはだ心許ない(というのは実は筆者は成人してもその意味に気づかなかったからであるが)
学習院大学哲学科という純粋な文科系を卒業しながら、塩野七生は20世紀のモーターサイクルによる物流の意味に覚醒したことは驚くべき事である。
それはエンジニアでも自明の理ではないかもしれない。エンジニアはそれを機械工学的な問題としてとらえるかもしれず、銀行家であれば、そこから見込める収益から考える為、そのインフラの持つ社会的意味をあわせて考えることが出来る視野を持つ人は、どの分野にかかわらずそれほどいないのかもしれない。
だが塩野七生は道路網が持つ意味を社会的に把握し、ついで、水道がもつ医学的・健康的、どのような社会を提供するか、という視点から、ふだん見過ごされがち水道と道路、教育と医学というインフラストラクチャーのみを扱う一書を、ローマの通史に投下することでその独自性を証明した。
歴史家は普通、興亡や戦争、法律体系、安全保障といった面からとらえがちである。
生活を支持する通常のインフラに着目した塩野七生は、田中角栄を生んだ土建国家でもある20世紀後半の日本国が、社会整備をその統治層では綿密に進めていた政策、そして大多数の日本人が眼前に見ていながらその国家経営のなかでの意味を意識できなかったインフラ整備を、ローマという古代に対して適用した。
20世紀後半の日本人が政策的に重視していたインフラを歴史家として展開したことにおいて、塩野七生は司馬遷にも、ギボンにも、ヨセフスにも、永井路子にもない「独自性」を備えたのである。
20世紀日本人はなにを重視したか、という事を明確に示すことによって、このシリーズは、他の文明、他の時代の子孫たちにおいても、彼らにとっての「異質性」を備えることになり、後世の検討と解釈を呼び覚まし、時代を超越した普遍性を兼ね備えることになった、と考えている。
「天才とは、新しい物を発見する人ではない。誰もが見ていながら、その意味に気づかない角度からものを見る人の事である」と4巻でカエサルについて彼女は書いている。
10巻の塩野七生は「誰もが見ながら、その意味に気づかない角度」から道路網、水道を見ている。
その意味は帝国末期の記述を見ればあきらかになる。ローマ時代末期、これらのインフラは破綻し、それを重視しなくなったキリスト教社会は、同時に閉鎖的であり、地方的であり、欧州全体に共通する宗教という別の「精神のインフラ」をもたらしたものの、政治的にも経済的にも社会的にも分断された「中世」になっていく。物理的な道路網は、ただの生活の道具だけではなく、帝国を持続させるためのシステムであり、またそのインフラによる物流が帝国を維持していた原因と結果でもあったことを言外に示している。
インフラとは世界帝国の運営に不可欠のシステムであり、彼女は明記していないが、それをネットワークとして張り巡らしていたからこそ、ローマがこれほど長期にわたって「世界帝国」でありえたことも示唆している。
この一書は、歴史記述を期待した読者には当て外れになったかもしれない。
だが、この一巻によって、「ローマ人の物語」は真の意味で20世紀日本人によるローマ解釈となった。
この後、12-13巻で展開する「非キリスト教者による、キリスト教導入の目的と意味の分析」という、政治における宗教の活用を意味を指摘した箇所、そして7巻の「ユリウス・クラウディウス王朝において効率性と実用性を獲得していく皇帝政」を解き明かした7巻とともに、この10巻は、15冊の連作でベスト3に入る傑作であり、タキトゥスの著書が一部失われたように、「ローマ人の物語」が全体を欠いた状態で後世に残る状態になったとしても、この10巻は7巻、13巻とともに、普遍に到達したゆえに後世も参照される古典となったと筆者は確信してはばからない。
連作全体を通観した結論で言えば、塩野七生とは、政治上では徹底した実用主義者であり、機能主義者だった。
彼女は政体についても、王制・貴族政・民主制どれも評価軸は「その時代に機能したか」という面でのみでこの連作を書いている(ローマ以前に著したルネサンス著作については、マキアヴェッリやチェーザレ、ヴェネツィア共和国という人物・国家の力量にフォーカスして書いているが)キリスト教導入も、社会安定・統治の必要性という機能面からのみ着目して書いていることに貫徹されており、この連作を通じて示された「実用主義者」という判断基準が、インフラストラクチャーという物理面にまで拡張されて示されたことで、この一巻は彼女の本質を象徴するとさえ言いえるのではないだろうか。
…この巻は塩野七生においても、その全著作のなかでベスト5に入ると思う。(他の4作は、他の評価軸になるし本人も重視しないかもだが、文学的完成度において「わが友マキアヴェッリ」と「神の代理人」、そして先程挙げた「ローマ人の物語」7巻と13巻。そして政治技術の分析として「海の都の物語」を第6位に考えている。蛇足。7位は「ギリシア人の物語 2巻」彼女はローマではその性向を控えたが、崩壊の快感を知っている人間である。記述が健康的なので気づきにくいが)
記述は読みやすい。そして内容は古典である。
稀有の書である。
2014年12月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
内容に関して名著であることは言うまでもないけど、電子書籍版の仕上がりが素晴らしいです。
シリーズの中でも抜きん出て図版が多い巻で、さらに見開きのカラー写真が何枚も含まれてます。
もちろん本文のテキストもたっぷり。
ローマ人の物語が電子化され始めたとき、一番心配だった巻で、固定レイアウトでもしかたないと思っていたのですが、
実物は完璧でした。
文字の大きさなどを変えられるし、目次からのリンクだけでなく巻末の写真や図版の出典からも該当ページに跳べます。
確認した端末全てで読みやすい表示が可能でした。
・スマートフォン4.7inch(1280x720)
・新旧Nexus7(1280x800と1920x1200)
・iPad Air
画面の大きな端末では、写真の拡大やリンクで跳べる分、単行本以上の出来です。
たいして大きくないスマートフォンでも読むのが苦にならない。
ローマ人の物語の分量に手を出しあぐねていた方も、置き場所気にせず読めるようになったので、是非読んで欲しいですね。
シリーズの中でも抜きん出て図版が多い巻で、さらに見開きのカラー写真が何枚も含まれてます。
もちろん本文のテキストもたっぷり。
ローマ人の物語が電子化され始めたとき、一番心配だった巻で、固定レイアウトでもしかたないと思っていたのですが、
実物は完璧でした。
文字の大きさなどを変えられるし、目次からのリンクだけでなく巻末の写真や図版の出典からも該当ページに跳べます。
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画面の大きな端末では、写真の拡大やリンクで跳べる分、単行本以上の出来です。
たいして大きくないスマートフォンでも読むのが苦にならない。
ローマ人の物語の分量に手を出しあぐねていた方も、置き場所気にせず読めるようになったので、是非読んで欲しいですね。