筆者は「ナンバー」の常連執筆者であり、気鋭のスポーツライターである。今著では、アメリカで、いかにスポーツが、人々の社会生活、ビジネス、政治、生き方と緊密状態にあるかを論ずる。大統領選注目の現在、いかに歴代大統領(候補）がプロスポーツとその地域との関わりを重視、利用してきたか、そして、4大プロスポーツ界（ＭＬＢ、ＮＢＡ、ＮＦＬ、ＮＨＬ）の名物オーナーなちの豪快かつ狡知なスポーツビジネス戦略の手法についても細かく触れられている。
3大プロスポーツに所属している選手たちの政治意識や絶対に避けては通れない人種融合政策、イングランド・プレミアリーグのクラブチーム買収に伴うビジネスだけでは計り知れない地元ファンとの軋轢らが紹介されているが、モチロン、そんなお堅い話ばかりではなくて、例えば、オバマとバスケット、ヒラリーとメジャーリーグ、アイゼンハワーとオーガスタナショナルＣＣ、スーパーボール前日のニクソンの忠告、反則だらけのビル・クリントンと言った雑学的知識を得れる。
終盤には全米５０州の地域別のスポーツへの嗜好、感情の差異が語られているが、これらを元に社会学的見地に立ってアメリカを考察する目論見があっても良かった。
総じて面白く読んだが、この内容なら新書サイズで十分と思えるので、★は厳しめ。
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