筒井ファンには待望の一冊。
連載がいつ単行本化されるか楽しみにしていたが、
掲載紙の終了と共に単行本化となった。
もともと筒井氏のエッセイの文体が好きなので、満足した。
本人も言っているが、丸くなった、あるいは
「気の細やかさ」が前面に出てきたなあ、と言う印象。
もともとモラリストであり真面目なのが、氏の魅力であるが、
ここで言う真面目とは、ある価値に対する「仁義切り度」である。
筒井氏の場合、大きい価値から小さい価値に対するまで
「かなり平均的に真面目」だ。
「社会的・反社会的」に対する「拘り方」にも、それが出ており、
「高み」から「相対化」「再構成」あるいは「罵倒」「無視」
するのとは方向性が異なるように私には感じられる。
現代の瑣末な事柄と思われるなかにも大切な要素が含まれているので、
そこにも目を向ける筒井氏の優しさも際立つのだが、
それにしても、もう少し「自分勝手」で良かったかな。
この本には詳しく出ていないが、文学賞選考の際のコメントなど、
文学と言うものを愛している故でもあろうが、
若手に対して「優し過ぎる」ような気もする。
それはそれとして、最近の筒井氏の文章は滋味深い感じがして、
この本にもそれが滲み出ており、良い意味で微笑ましく思えた。
演劇やテレビ出演の話も多く載っています。
お勧めです。
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笑犬樓の逆襲 単行本 – 2004/12/2
筒井 康隆
(著)
- 本の長さ351ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2004/12/2
- ISBN-104103145277
- ISBN-13978-4103145271
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2004/12/2)
- 発売日 : 2004/12/2
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 351ページ
- ISBN-10 : 4103145277
- ISBN-13 : 978-4103145271
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,167,646位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 17,001位近現代日本のエッセー・随筆
- - 102,771位ビジネス・経済 (本)
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著者について
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1934(昭和9)年、大阪市生れ。同志社大学卒。
1960年、弟3人とSF同人誌〈NULL〉を創刊。この雑誌が江戸川乱歩に認められ「お助け」が〈宝石〉に転載される。1965年、処女作品集『東海道戦争』を刊行。1981年、『虚人たち』で泉鏡花文学賞、1987年、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、1989(平成元)年、「ヨッパ谷への降下」で川端康成文学賞、1992年、『朝のガスパール』で日本SF大賞をそれぞれ受賞。1997年、パゾリーニ賞受賞。他に『家族八景』『邪眼鳥』『敵』『銀齢の果て』『ダンシング・ヴァニティ』など著書多数。1996年12月、3年3カ月に及んだ断筆を解除。2000年、『わたしのグランパ』で読売文学賞を受賞。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2022年1月29日に日本でレビュー済み
雑誌『噂の真相』に1998年頃から連載されたエッセイをまとめたもの。
今では考えられないが当時はマスコミ各社の差別用語に対する自主規制が発熱していた時期。
これに抗議して著者が断筆宣言したのはよく知るところである。
過度に敏感に反応しすぎたマスコミの勇み足には目を覆いたくなるものがある。
これにキッパリと切り込む著者。
赤裸々な近況報告も読みどころ。
今では考えられないが当時はマスコミ各社の差別用語に対する自主規制が発熱していた時期。
これに抗議して著者が断筆宣言したのはよく知るところである。
過度に敏感に反応しすぎたマスコミの勇み足には目を覆いたくなるものがある。
これにキッパリと切り込む著者。
赤裸々な近況報告も読みどころ。
2007年10月24日に日本でレビュー済み
世の中が狂ったように言葉狩りをしていた時期に、
それに流されずに立ち向かい、断筆宣言をした筒井氏は、本当に偉かったと思います。
一方的で極端な人間が変なことを言い出したら「それはおかしい」と普通の人が
ちゃんと声をあげなきゃなあ…と当時を思い出し、改めて思いました。
それに流されずに立ち向かい、断筆宣言をした筒井氏は、本当に偉かったと思います。
一方的で極端な人間が変なことを言い出したら「それはおかしい」と普通の人が
ちゃんと声をあげなきゃなあ…と当時を思い出し、改めて思いました。
2005年1月31日に日本でレビュー済み
今は亡き「噂の真相」に連載されていたエッセイをまとめた物。
バブル崩壊後の出版不況を反映していて物悲しい面もあるが、
役者としての才能を開花させ始めた時期とリンクしていて
芸能・放送業界の裏話など楽しく読める。
出版関係者は芸能関係者を小ばかにしていて、
逆に芸能関係者は出版関係者を軽蔑しているという両者の関係は、
二足のわらじを履いている筒井さんにしか見えない風景だと思う。
最近テレビで始まった「富豪刑事」。
あの名作をあんなにいじられた上に
原作にはない登場人物で出演しているご本人の気持ちを聞いてみたい。
バブル崩壊後の出版不況を反映していて物悲しい面もあるが、
役者としての才能を開花させ始めた時期とリンクしていて
芸能・放送業界の裏話など楽しく読める。
出版関係者は芸能関係者を小ばかにしていて、
逆に芸能関係者は出版関係者を軽蔑しているという両者の関係は、
二足のわらじを履いている筒井さんにしか見えない風景だと思う。
最近テレビで始まった「富豪刑事」。
あの名作をあんなにいじられた上に
原作にはない登場人物で出演しているご本人の気持ちを聞いてみたい。