彼女の私小説の完結編。
小生、履歴たる三部作もよまずにいきなり
本書から読んだ。萩原朔太郎の長女だったがために、薦められて
文筆業に入ったという著者。それまでは洋裁で生計を立てていた
という。こわいほどキリッとした顔立ちだった。顔は女の履歴でもある。
多摩美術大学の萩原朔美教授の母上である著者。その父、
萩原朔太郎が医家の長男として生まれついたことを本書で知った。
かかずにいたら発狂しかねない、そんな爆弾を抱えていないで
書けたのも彼女が朔太郎の娘だったからだ。
人生後半は幸せだったんではなかろうか。
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朔太郎とおだまきの花 単行本 – 2005/8/1
萩原 葉子
(著)
- 本の長さ157ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2005/8/1
- ISBN-104103168072
- ISBN-13978-4103168072
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2005/8/1)
- 発売日 : 2005/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 157ページ
- ISBN-10 : 4103168072
- ISBN-13 : 978-4103168072
- Amazon 売れ筋ランキング: - 831,579位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 210,222位文学・評論 (本)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2017年7月9日に日本でレビュー済み
萩原さんが本書の最後の原稿を編集者にFAXで送った翌日に萩原さんは急逝されたために、この本は萩原葉子さんの最後の本となってしまいました。
途中で投げ出す事なく、自分の仕事を最後まで終わらせてから亡くなった所に萩原葉子さんの人柄が偲ばれます。
萩原さんのご両親、ご親戚、皆さん、本来するべき、やるべき自分の仕事から逃げて逃げて逃げ続けた方ばかりです。萩原さんの父親である萩原朔太郎さんは家の長男であり家督としての役割や夫や父親としての役割から逃げて逃げて逃げ続けた人で、葉子さんの母親も朔太郎さんの妻である事はやめて、ふたりの娘の母親である事もやめて、妻、母親、嫁としての立場から逃げまくった人なわけです。
葉子さんの母親にとって娘ふたりは、自分の人生の邪魔者でしかなく、そういう態度が結果的には次女のアキコさんの脳膜炎とつながるわけですが、葉子さんの母親をそこまで追いつめた朔太郎さんやその家族の責任も見過ごしてはいけないと思います。
本書では葉子さんの母親がかなり父親の身内からは糾弾されているわけですが、朔太郎さんのご実家も朔太郎さんの父親以外、葉子さんの母親にたいしてのいじめやいびりは半端ではない上、肝心の夫も家に寄り付かないわけですから、葉子さんの母親が萩原家から逃げ出すのも仕方がないし、結婚したのがまだ17歳で、ふたりのむすめの母親になった時、まだ20やそこらなわけですから、葉子さんのお母さんばかり責めるのも・・・・・・。
葉子さんが8歳の時に両親が離婚したために、父親の実家へ戻り、そこで葉子さんのさらに苦渋の生活が始まるわけですが、葉子さんの不幸というものは周囲の大人達がやるべき事をやらない所から始まるわけです。
やらなくてはいい事はやって、やるべき事はやらない、世間体や外聞を気にしても、目の前の生きた人間に目を向ける事はない、みんなそれぞれ独自の世界、価値観を持っているわけですがそれを子供や他人に押し付けても不幸の再生産になるだけで、それを骨身にしみるほど痛感している葉子さんだからこそ、娘である事、姉である事、母親である事、作家である事をやめずに、責任をきちんと果たす、身近な親戚とは真逆の選択をする事で、葉子さんが持っている矜持を保とうとしたのかもしれないな~とも思います。
この本の軸はまぎれもなく萩原葉子さんで、葉子さんでないと書けない本なわけです。愛してもいない、信頼関係もない夫婦から生まれた鬼子として85歳の生涯を全うしたわけですが、母の娘として、息子の母親として、脳膜炎を患った妹の姉として、そして詩人として現実の世界とは違う次元に生きていた父親の娘としての役割を全うして(父親の足りない部分を補てんして)、やっと静かに目をつむる事が出来たのでしたら、こんな偉大な人生はないと思います。
葉子さんはこの人生に勝ったんだと思います、この世界に拮抗する自我を持った、父親を超える事ができた稀有な子供なんだと思います。
2017年7月21日 つけたしなのですが、萩原葉子さんは母親から愛されない、父親からも愛されない、祖母(父の母親)からも愛されない、夫からも愛されない人で、そもそも父の父が本人の意思を無視して決めた結婚により生まれた子供で、夫婦間の愛情がないまま、ただ慣習で結婚、慣習で出産と言う、子供の立場にしてはたまったもんじゃない状況で葉子さんは命を受けたわけです。
萩原朔太郎さんは父親や母親に逆らう事はしないのですが、その場にいない事で自分の意思を表明しているわけですが、葉子さんも妹のあきこさんも、生まれながらにして捨てられた子供、いらない子供、どっかに捨てて来いと言われる子供としてツライ子供時代を生きていくしかなかったわけです。
途中で投げ出す事なく、自分の仕事を最後まで終わらせてから亡くなった所に萩原葉子さんの人柄が偲ばれます。
萩原さんのご両親、ご親戚、皆さん、本来するべき、やるべき自分の仕事から逃げて逃げて逃げ続けた方ばかりです。萩原さんの父親である萩原朔太郎さんは家の長男であり家督としての役割や夫や父親としての役割から逃げて逃げて逃げ続けた人で、葉子さんの母親も朔太郎さんの妻である事はやめて、ふたりの娘の母親である事もやめて、妻、母親、嫁としての立場から逃げまくった人なわけです。
葉子さんの母親にとって娘ふたりは、自分の人生の邪魔者でしかなく、そういう態度が結果的には次女のアキコさんの脳膜炎とつながるわけですが、葉子さんの母親をそこまで追いつめた朔太郎さんやその家族の責任も見過ごしてはいけないと思います。
本書では葉子さんの母親がかなり父親の身内からは糾弾されているわけですが、朔太郎さんのご実家も朔太郎さんの父親以外、葉子さんの母親にたいしてのいじめやいびりは半端ではない上、肝心の夫も家に寄り付かないわけですから、葉子さんの母親が萩原家から逃げ出すのも仕方がないし、結婚したのがまだ17歳で、ふたりのむすめの母親になった時、まだ20やそこらなわけですから、葉子さんのお母さんばかり責めるのも・・・・・・。
葉子さんが8歳の時に両親が離婚したために、父親の実家へ戻り、そこで葉子さんのさらに苦渋の生活が始まるわけですが、葉子さんの不幸というものは周囲の大人達がやるべき事をやらない所から始まるわけです。
やらなくてはいい事はやって、やるべき事はやらない、世間体や外聞を気にしても、目の前の生きた人間に目を向ける事はない、みんなそれぞれ独自の世界、価値観を持っているわけですがそれを子供や他人に押し付けても不幸の再生産になるだけで、それを骨身にしみるほど痛感している葉子さんだからこそ、娘である事、姉である事、母親である事、作家である事をやめずに、責任をきちんと果たす、身近な親戚とは真逆の選択をする事で、葉子さんが持っている矜持を保とうとしたのかもしれないな~とも思います。
この本の軸はまぎれもなく萩原葉子さんで、葉子さんでないと書けない本なわけです。愛してもいない、信頼関係もない夫婦から生まれた鬼子として85歳の生涯を全うしたわけですが、母の娘として、息子の母親として、脳膜炎を患った妹の姉として、そして詩人として現実の世界とは違う次元に生きていた父親の娘としての役割を全うして(父親の足りない部分を補てんして)、やっと静かに目をつむる事が出来たのでしたら、こんな偉大な人生はないと思います。
葉子さんはこの人生に勝ったんだと思います、この世界に拮抗する自我を持った、父親を超える事ができた稀有な子供なんだと思います。
2017年7月21日 つけたしなのですが、萩原葉子さんは母親から愛されない、父親からも愛されない、祖母(父の母親)からも愛されない、夫からも愛されない人で、そもそも父の父が本人の意思を無視して決めた結婚により生まれた子供で、夫婦間の愛情がないまま、ただ慣習で結婚、慣習で出産と言う、子供の立場にしてはたまったもんじゃない状況で葉子さんは命を受けたわけです。
萩原朔太郎さんは父親や母親に逆らう事はしないのですが、その場にいない事で自分の意思を表明しているわけですが、葉子さんも妹のあきこさんも、生まれながらにして捨てられた子供、いらない子供、どっかに捨てて来いと言われる子供としてツライ子供時代を生きていくしかなかったわけです。
2020年2月18日に日本でレビュー済み
最近、作家の娘や息子の著書を読んでいる。森茉莉やしまおまほ、萩原葉子も然り。
医師の家に生まれたとは知っていたものの、いくら天才孤高の人とはいえ、葉子たちの父としては無関心で馬鹿長男。母親も勿論無関心なのだが、知りたくなかったなというのが一番なので星は2つ。
医師の家に生まれたとは知っていたものの、いくら天才孤高の人とはいえ、葉子たちの父としては無関心で馬鹿長男。母親も勿論無関心なのだが、知りたくなかったなというのが一番なので星は2つ。