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戦い続けた男の素顔: 宮部みゆきオリジナルセレクション (松本清張傑作選) 単行本 – 2009/7/1
- 本の長さ308ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2009/7/1
- ISBN-104103204362
- ISBN-13978-4103204367
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2009/7/1)
- 発売日 : 2009/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 308ページ
- ISBN-10 : 4103204362
- ISBN-13 : 978-4103204367
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,417,211位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 373,529位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
(1909-1992)小倉市(現・北九州市小倉北区)生れ。給仕、印刷工など種々の職を経て朝日新聞西部本社に入社。41歳で懸賞小説に応募、入選した『西郷札』が直木賞候補となり、1953(昭和28)年、『或る「小倉日記」伝』で芥川賞受賞。1958年の『点と線』は推理小説界に“社会派”の新風を生む。生涯を通じて旺盛な創作活動を展開し、その守備範囲は古代から現代まで多岐に亘った。
1960年生まれ。東京都出身。東京都立墨田川高校卒業。
法律事務所等に勤務の後、87年「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞してデビュー。
1992年 「龍は眠る」で第45回日本推理作家協会賞長編部門、 同年「本所深川ふしぎ草紙」で第13回吉川英治文学新人賞。1993年 「火車」で第6回山本周五郎賞。1997年 「蒲生邸事件」で第18回日本SF大賞。1999年 「理由」で第120回直木賞。2001年 「模倣犯」で毎日出版文化賞特別賞、第5回司馬遼太郎賞 、 第52回芸術選奨文部科学大臣賞文学部門をそれぞれ受賞。2007年 「名もなき毒」で第41回吉川英治文学賞受賞。2008年 英訳版『BRAVE STORY』でThe Batchelder Award 受賞。2022年 第70回菊池寛賞受賞。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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なかなか本屋では見つけられなかったかもしれません。
いまから読むのが楽しみです。
主人公の伊豆亨は、強大な影響力を誇る官学の大御所・谷岡冀山の弟子でありながら、「注目されるような研究もせず、論文も書かなかった。冀山の息のかかった学術専門雑誌に、たしか二、三回は出したことはあるが、短いもので、真面目ではあるが、注意を惹くようなものではなかった。真面目な故に彼の才能の乏しさを露呈したようなものだった。冀山の門下で、伊豆の先輩や同輩が力のこもった論文を次々と発表し、学界に認められてゆくのに、彼だけはとり残された。後輩も彼を追い抜いて行った。伊豆は女子大の平凡な教師が最もふさわしいようであり、当人もそれを自覚して少しもあせってはいないように見えた」。
教授とは言え、女子大の片隅で、歴史地理という地味で目立たない研究を続ける62歳の伊豆は、字が上手な女子大2年生の青山綾子に頼んで、自分の書いたものの清書や、資料の引き写しをしてもらうことにします。「綾子はそれほどの美人ではなかったが、眼の大きい、浅黒い顔で、肉づきのいい身体をしていた。彼女は、はじめ休みのたびに伊豆のところに来ては清書をしていたが、のちには寄宿舎に持って帰り、三日おきか一週間おきに出来ただけを届けに来た」。
日華事変当時、「伊豆を支えたのは青山綾子だった。女子大を卒業してからも半年は助手として東京に残ってくれた。伊豆は陽の目を見る当てもない原稿を虚しい気持で書いていったのだが、彼女のきれいな清書の文字を見るといくらか心が引き立てられた。・・・青山綾子が九州に帰ったのは、その年の秋だった」。
太平洋戦争の空襲が激しくなってきた頃、「思いがけなく九州から青山綾子の手紙が来た。私の住んでいる所はひどく田舎で、近くには軍需工場も無いし、ここまで空襲が行われるとは思われない。東京は大変だと聞いているが、心配になるのは先生の資料と原稿のことである。私は二年前に夫と離婚したから、先生さえよろしかったら、私の家に疎開してこられてはどうか。僅かながら畠を持っているので、先生がお食べになるくらいのことは何でもない、いい忘れたが、夫と別れてからの私は書道を子供に教えています。半分百姓をし、半分そんな生活で暮してきたが、先生もお年のことだし、のんびりした田舎で長生きして下さい、と書いてあった。四年ぶりに見る綾子の筆蹟であった。伊豆の妻が死んだことは知っているらしかった」。
九州北部の綾子の故郷で、40歳差の二人の生活が始まりました。
やがて戦争も終わり、伊豆が綾子の家に来て、いつの間にか3年が経過しました。「伊豆は自分に男としての能力が残っていたら、綾子にその身体を開かせることもできるだろう、そういう機会は毎日のようにある、もし、そんな結果になれば綾子との遠慮な距離も除(と)れてしまう、師弟の愛情が男女の愛情に変る、いつ彼女と離れるか分らない不安も消えるだろうと、ときどき思うことがあった。だが、それは結局は詮ない空想であった。彼はこの男女のままごとのような生活の永つづきを願うほかはなかった。その永続のくさびになるのが綾子が手伝ってくれている地誌稿の仕事だと思った。もはや、地誌の編纂は彼の学問的な意義から消えて、綾子との同棲が永つづきするための目的になっていた。単調で多少の危機を孕む生活が、それからも一年つづいた。(当地の)他人の屈辱的な眼つきに囲まれた中での小さな平和な生活だった。この平和はいつバランスが破れるか分らないうすい安定の上に立っていた」。
結末の強烈なとどめの一撃に、思わず絶句してしまいました。
6冊全てを読めば清張の全貌を知ることができるのだろうが、宮部の選択では清張の家系や生い立ちを下敷きとした
私小説的な趣を持つ作品が集められている。
中国地方(特に島根と瀬戸内方面)と北九州といった、彼の父祖の地と彼が生長した地域がきめ細かく描かれるが、
1・2作品ならともかく全てがこれらの色彩に彩られると、読みながらやや「くどい」と思う。
清張の文章は手馴れた読ませる作品ではあるが、毛色の違った作品も宮部自身選びたかっただろうし、読むほうもやや
物足りない。文庫のシリーズとして宮部の選んだ清張作品集(3巻セット)が出されているが、収録された作品タイトルを
見るとそちらの方がよさそうに思える。こちらは選集6巻全てでシリーズとして評価される本で、単品としては普通評価。
宮部みゆき氏は、未来に希望を感じられるような聡明な子どもを魅力的に描くのが巧い一方、容赦のない暗い描写をされることが時々ありますが、宮部氏のそんなダークサイドがこの作品を選ばせたんでしょうか。興味深いです。
短編ですが、数時間前に読んでまだ衝撃から立ち直れません。さすが松本清張。