心理学者の著者が文学作品について語るというと、心理学の理論をもとに作品を解釈することを想像するが、この本はまったく異なる視点から書かれている。
つまり、副題にあるように、村上春樹の作品を心理療法の中でクライエントが語る夢のように、つまり未知なるものとして捉えて、その未知の世界の中に自らが入っていって、内側からその意味について考えていこうという本なのである。
『1Q84』を軸とした個々の作品の丁寧な読みと、平易な言葉を使って展開される深い考察はとても新鮮で、読んでいて非常にわくわくさせられる。
さらにこの本のユニークな点は、村上春樹の世界‘について’論じているようでいて、実は村上春樹の世界‘を通して’見えてくる現代人の意識というのがもう一つの(実は主の)テーマになっているところである。その意味では文学論というよりは現代意識論と言えるのかもしれない。村上春樹の愛読者はもちろんのこと、必ずしもそうでなくても現代意識論として充分楽しめる本である。
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村上春樹の「物語」: 夢テキストとして読み解く 単行本 – 2011/8/31
河合 俊雄
(著)
- ISBN-104103308613
- ISBN-13978-4103308614
- 出版社新潮社
- 発売日2011/8/31
- 言語日本語
- 寸法13.9 x 2.2 x 19.7 cm
- 本の長さ252ページ
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2011/8/31)
- 発売日 : 2011/8/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 252ページ
- ISBN-10 : 4103308613
- ISBN-13 : 978-4103308614
- 寸法 : 13.9 x 2.2 x 19.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 305,819位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 58,616位ノンフィクション (本)
- - 85,692位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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河合俊雄(かわい としお)
1957年生まれ。1982年京都大学大学院教育学研究科修士課程修了。Ph.D.(チュー
リッヒ大学、1987年)、ユング派分析家資格取得(1990年)。甲南大学助教授、京都
大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻助教授(心理臨床学講座)を経て、現在、京
都大学こころの未来研究センター教授。主な著書に、『心理臨床の理論』(岩波書
店)『京都「癒しの道」案内』(朝日新書、共著)、『発達障害への心理療法的アプ
ローチ』(創元社、編著)『村上春樹の「物語」-夢テキストとして読み解く』(新潮社)などがあり、訳書にユング『赤の書』(創元社)がある。
心理療法の実践から見えてくる現代の意識に関心を持っている。
http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/staff/2008/05/post.html
カスタマーレビュー
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トップレビュー
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2011年10月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2014年5月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まず、
著者にひとことアドバイスです。
あなたはどこか、精神を病んでいる傾向が見られるので、この手の議論を止めたほうがいい。ということです。
村上春樹については、ノーコメント。
著者にひとことアドバイスです。
あなたはどこか、精神を病んでいる傾向が見られるので、この手の議論を止めたほうがいい。ということです。
村上春樹については、ノーコメント。
2011年9月10日に日本でレビュー済み
この本は、村上春樹の最新の作品『1Q84』を中心に分析した著作という形式を取っているが、
それにとどまらないものとなっている。
村上春樹の作品がそうであるように、この本も軽い文体で、するすると読めてしまうのだが、
読んでいるうちにいつのまにか、我々が生きている社会について、それが辿ってきた変遷について考えさせられているのだ。
特に、『1Q84』についてユング理論と関係づけつつ論じている第5章から第9章は圧巻であるが、
他の村上作品などに関する論考が随所に織り込まれていて、
現代における意識、物語、生き方について重層的に物語っていくところも本書の大きな魅力であろう。
それにとどまらないものとなっている。
村上春樹の作品がそうであるように、この本も軽い文体で、するすると読めてしまうのだが、
読んでいるうちにいつのまにか、我々が生きている社会について、それが辿ってきた変遷について考えさせられているのだ。
特に、『1Q84』についてユング理論と関係づけつつ論じている第5章から第9章は圧巻であるが、
他の村上作品などに関する論考が随所に織り込まれていて、
現代における意識、物語、生き方について重層的に物語っていくところも本書の大きな魅力であろう。
2011年9月29日に日本でレビュー済み
村上春樹の作品をユング心理学の観点から解釈しながら、
現代を生きる人間の意識を論じている。
比較的平易な言葉で書かれており、読んでいて何度も「私も…」と、
つい自分自身を振り返って考えてしまった。
本書で「1Q84」をはじめとする村上春樹の小説が丁寧に読み解かれていくにつれ、
村上春樹の小説で描き出されている世界は、
まさに私自身(おそらく現代を生きるすべての人間)の心の内側そのものなのだと感じた。
現代を生きる人間の意識を論じている。
比較的平易な言葉で書かれており、読んでいて何度も「私も…」と、
つい自分自身を振り返って考えてしまった。
本書で「1Q84」をはじめとする村上春樹の小説が丁寧に読み解かれていくにつれ、
村上春樹の小説で描き出されている世界は、
まさに私自身(おそらく現代を生きるすべての人間)の心の内側そのものなのだと感じた。
2015年6月23日に日本でレビュー済み
「新しい解釈」との好評があるようだが、村上春樹の人物たちがきわめて現代的であり、いわゆる「近代意識」とは大きく異なっていることは、社会学をやっている者にはあまりにも明白。何をいまさらと思い、途中で読むのを放棄した。
また、たとえば極端に孤独で誰ともつながっていない青豆であるのに、彼女の「友人」あゆみとの表現が出てくる。精神的なつながりを持たないのに「友」?
他にも疑問を持つ表現が何か所かある。
また、たとえば極端に孤独で誰ともつながっていない青豆であるのに、彼女の「友人」あゆみとの表現が出てくる。精神的なつながりを持たないのに「友」?
他にも疑問を持つ表現が何か所かある。