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聖地Cs 単行本 – 2014/8/29

4.1 5つ星のうち4.1 7個の評価

土Cs、草Cs、木Cs、水Cs、空気Cs、牛Cs、そして──、わたしCs。新鋭の渾身作。わたしは、もう、イヤなんです。死なせるのはもう。だから、なかったことには絶対しない──。原発事故による居住制限区域内で被曝した牛たちを今も飼い続けている牧場で、東京からボランティアに来た女性が見たものは──。原発事故問題を真正面から見つめて真摯に描いた表題作と「猫の香箱を死守する党」の二篇を収録。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2014/8/29)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2014/8/29
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 195ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 410336131X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4103361312
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.8 x 1.9 x 19.8 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.1 5つ星のうち4.1 7個の評価

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上位レビュー、対象国: 日本

2015年3月9日に日本でレビュー済み
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 東日本大震災から4年の月日が経ったが復興は遠い。安部政権はかつてのように無駄な公共事業を盛んにして経済再建の旗を立てているが、被災地は置いてきぼりだ。まして原発事故によって汚染された地域はにっちもさっちもいかない状態で、住民の多くはいまだジプシーのように彷徨っている。人間がそうなのだから、動物は悲惨だ。
 「聖地Cs」は汚染された牧場でただ死を待つだけの牛たちの世話をする人々を描いた。主人公はボランティアに来た主婦。彼女自身都会での夫との生活に矛盾を抱えながら、放射能汚染にまみれた土地で、巨大な絶望のような生きた牛たちと格闘する。ピエロのようなタレント議員を横目に、牛の死体は行政に「死骸テロ」を決行する。
 もう一編「猫の香箱を死守する党」は一転都会が舞台。相楽は妻との暮らしのなかで猫のクロタロを溺愛している。非正規社員として貨物用エレベーターのエレベーター係をしている。15年勤めた文具メーカーが潰れ退職金もなく放り出されてからは非正規労働だ。妻も日々の労働に疲弊している。
 相楽は同僚である20代の平野君に誘われ、フェイスブックを始めて猫好きの人達とのやりとりを始めた。猫の香箱を死守する党という架空の政党を作って猫の写真をやりとりして楽しんでいる。猫が四肢を折りたたんで座っている、落ち着いた状態を「香箱座り」と呼ぶ(?らしい)ことに由来している。
 相楽のアパートの周辺には「お兄ちゃん」「ミケちゃん」「トラちゃん」などの猫が住んでいて、鴨下さんという女性が長年面倒を見てきている。
 あるとき相楽は、特攻服みたいな格好して日の丸はちまきした若者たちに襲われる。猫を可愛がるなどニッポン男児として恥ずべきだというのだ。彼らは護国真珠隊といって国家に命がけで尽くし忠誠心をみせるという団体だ。「在日のやつを刺して国家に忠誠心をみせろ」などと言い出してもいる。
 相楽は危ういところを野良猫の見回りをしていた女性たちに救われた。
 社会状況は、日本一党が政権にあり、岸部首相は武器輸出解禁、集団的自衛権の行使容認、防衛産業推進と、現実の日本と似た状態だ。
 野良猫の世話をし続ける鴨下さんの言葉が印象的だ。
「猫が殺される社会は、ヒトも殺される社会だ」
「水俣病って、猫が次々狂ったようになって死ぬことからはじまるのよ。」
 現実社会ではSNSで繋がったコミュニティーが中学1年生の殺害を呼び込んだが、小説ではフェイスブックのコミュニティーが、良い意味で現実の社会に繋がって猫の香箱を死守する党が社会の狂気に対峙する。しかし虐げられ希望の見えない生がテロルに走る可能性も垣間見せている。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2016年4月1日に日本でレビュー済み
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 八戸市出身の若手作家(1970(昭和45)年生まれの46歳)木村友祐氏の最新作を読んだ。最近地元紙のデーリー東北にも、前々作の2012年(第25回三島由紀夫文学賞の候補となった)「イサの氾濫」と共に紹介されていたので、それに続けて読んでみた。(2009年には「海猫ツリーハウス」(既読)で「第33回すばる文学賞」を受賞している。)オビには「震災後文学で最高の一冊」と書いてある。そんなに素晴らしいなら地元贔屓の自分としても読まずばなるまい。

 理系でも土木屋の自分は、いきなりタイトルでつまずいた。『聖地』は知っていても『Cs』がわからない。放送大学でも「化学入門」をとったが、どうも頭に残っていないらしい。そこで何時も頼りにしているカシオEX-wordを検索してみた。状況的に「セシウム」しかないのだが、そうだとハッキリ言ってくれる辞書がない。著者もはっきりとは書いていない。

 「あらゆるものに『見えないもの』が付着しているのです。土Cs、草Cs、木Cs、水Cs、空気Cs、そして─、私Cs。」

 渋谷で聞いた、昔60年安保闘争で活躍したと自負するここの牧場主仙道のアジ演説に煽られて、専業主婦しかしたことのない広美がボランティアにやってくる。最初のうちは牛たちの糞尿の多さと重さに辟易するが、演説やドキュメンタリーで見たり聞いたりした牛たちに出会うと、それもまた愛情が湧いてきて、やがて牛たちに感情移入している自分に気付く。無収入の自分が、自宅にいて夫の虐待から逃れられずにいたのに、たった3日間のボランティアだったが、最終的には自立しようとする自分の方向性をはっきりと見出すことが出来たようだ。

 牛たちも世話人たちも、皆被曝しながら被曝したものを食っているが、かといってこれらに代わる物はそこにはない。線量計は常に「ピピッ、ピピッ」とスピードを変えながら鳴り続けるが、やがて気にならなくなる。

 著者は最後に「本作品は、実在の場所と人物を参考としていますが、フィクションです。」と断り書きをしているが、ではどこまでがフィクションなのかと思うと、背筋が寒くなる思いだ。3.11から既に5年が過ぎたが、未だに帰還困難地域が存在し、作品の中に出てくるような家畜やペットの類が、人気のない町をウロウロしているかもしれないと思うと、やりきれないものがある。

 こういう作品を発表出来る実力派の若手作家が八戸から出ていることに、誇らしいものを感じる。しかもいろんな文学賞の候補になっているのだから尚更だ。次はぜひ芥川賞を目指して欲しい。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2015年1月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
原発は人間社会に存在を許されないことを静かに語りかけていると読みました。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2015年3月10日に日本でレビュー済み
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「希望の牧場」を応援しているので読んでみました。が、読解力不足かもしれませんが、筆者の意図がよくわからず、フワフワした感じしかしません。期待はずれ。残念です。
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