書籍を通じて魯山人の「すごさ」と「ひどさ」が書かれています。幼少期のトラウマ、実母の冷たい態度、要因を考えるとその後の魯山人の人格に同情する部分もあります。読後感としてはスティーブ・ジョブズを思わずにはいられません。絶対的な美意識を持ち、その実現のためには人を徹底的に攻撃したり批難する。普通の人はしないというか、できないことを周囲との関係性を気にせずに貫けたからこそ究極の世界観というのはできたと感じるところです。
This is shit !! 魯山人も言いそうです。
日本文化に影響を与えた人物といえば、茶道を大成した千利休ですが、魯山人もそれに比肩する人物であったと感じます。和食文化を体系化し、陶芸においては荒川豊蔵(志野)、金重陶陽(備前)といった後の人間国宝にまで影響を強く与えました。それでいて当の本人は織部の人間国宝の認定を断っています。いっしょにされたくないというのが本音だったのではないでしょうか。そんな逸話も含め、後の時代の私にとっては魅力ある人物に映りました。
最後に、ひとつ難を言えば、読み物としてはやや読みにくいので、星4つです。
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北大路魯山人 上 新版 単行本 – 1985/5/1
白崎 秀雄
(著)
- 本の長さ338ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1985/5/1
- ISBN-104103399031
- ISBN-13978-4103399032
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1985/5/1)
- 発売日 : 1985/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 338ページ
- ISBN-10 : 4103399031
- ISBN-13 : 978-4103399032
- Amazon 売れ筋ランキング: - 990,612位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 64,342位アート・建築・デザイン (本)
- - 131,291位趣味・実用
- - 254,030位文学・評論 (本)
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2021年5月27日に日本でレビュー済み
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2009年10月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
魯山人の作品の圧倒的な美しさ・雅さがいかに作られていったのか、周囲に居た人たちからの膨大な聞書などによって緻密に再現される。
幼少期、ドジョウを下ろせるかと養父に聞かれ、屋台でしているのを「見る」だけでやり遂げた話。
篆刻を彫る際、近視の魯山人は手元が見えていなかったが誰もが驚くほどの速さで見事に彫り上げる。
「心眼」で見ていた話。
魯山人 全盛期の星岡茶寮(料亭)の豪奢な建物・庭園、斬新で趣向を凝らした調理場や従業員の衣装、芸術にまで昇華させた「料理の美と食器の美」の追求の詳細。
並外れた天才の活躍に胸が躍る。
そしてその才能に反比例するかのような欠損した人間性。
財産目当てに結婚し、金が入らないと罵倒し、殴る。茶寮に来る女中を犯す。 妻が妊娠中に何も言わず朝鮮に渡り帰ってこない。
茶寮に食事に来た元首相を時間が遅いと追い返して、それを自慢する傲岸さ。
一人の怪物の生い立ちから死に際まで、見事な活写。
学ぶところ多し。
幼少期、ドジョウを下ろせるかと養父に聞かれ、屋台でしているのを「見る」だけでやり遂げた話。
篆刻を彫る際、近視の魯山人は手元が見えていなかったが誰もが驚くほどの速さで見事に彫り上げる。
「心眼」で見ていた話。
魯山人 全盛期の星岡茶寮(料亭)の豪奢な建物・庭園、斬新で趣向を凝らした調理場や従業員の衣装、芸術にまで昇華させた「料理の美と食器の美」の追求の詳細。
並外れた天才の活躍に胸が躍る。
そしてその才能に反比例するかのような欠損した人間性。
財産目当てに結婚し、金が入らないと罵倒し、殴る。茶寮に来る女中を犯す。 妻が妊娠中に何も言わず朝鮮に渡り帰ってこない。
茶寮に食事に来た元首相を時間が遅いと追い返して、それを自慢する傲岸さ。
一人の怪物の生い立ちから死に際まで、見事な活写。
学ぶところ多し。
2013年4月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
魯山人は、何といっても篆刻や書、料理、陶器などによって評価されるものがほとんどですが、その「人」について着目した書はほとんど無いのではないでしょうか。
本書は著者の飽くなき探究心により、多数の関係者からの聞き取りによってできた書で、今は鬼籍の人ばかりなのでいよいよ貴重です。
孤高の芸術探求家のような側面もありながら、その反面己の「箔つけ」に汲々とする魯山人の行動には最初違和感を覚えたが、
その出生の真実や、「北大路」姓を名乗るいきさつなどを読むと、「聖」と「俗」の両極を持つ人物であったのだな、と思いました。
今の時代に生きていれば、おそらくセクハラやパワハラ、いや生の川蝦を供している時点で、もしかしたら保健所が星岡茶寮を営業停止処分にもするでしょう。週刊誌に叩かれたり、ネットで炎上したりして、決して生きていけない人だと思います。
日本のあの時代、あの風土の中で存分に才能を全うした彗星のような人なんだな、と思いました。
本書は著者の飽くなき探究心により、多数の関係者からの聞き取りによってできた書で、今は鬼籍の人ばかりなのでいよいよ貴重です。
孤高の芸術探求家のような側面もありながら、その反面己の「箔つけ」に汲々とする魯山人の行動には最初違和感を覚えたが、
その出生の真実や、「北大路」姓を名乗るいきさつなどを読むと、「聖」と「俗」の両極を持つ人物であったのだな、と思いました。
今の時代に生きていれば、おそらくセクハラやパワハラ、いや生の川蝦を供している時点で、もしかしたら保健所が星岡茶寮を営業停止処分にもするでしょう。週刊誌に叩かれたり、ネットで炎上したりして、決して生きていけない人だと思います。
日本のあの時代、あの風土の中で存分に才能を全うした彗星のような人なんだな、と思いました。
2015年7月23日に日本でレビュー済み
筆者は、魯山人の私生活や性格について、誠に手厳しい筆誅ともいうべき表現をする。一方、芸術家としての魯山人を「近代の日本に於いて、世界の天才に比肩できるただ一人の天才」という、どんな魯山人賞賛者でさえしない、高い評価を下す。筆者の白崎氏は、浪漫派の持つ天才観を持っているようだ。すなわち、天才とは、世俗の道徳や規範を無視する存在だと言う様な。氏の魯山人の描写、悪魔的な集中力、魔人的な芸術手腕と私生活における狡知、悪徳等を対比させる事によって魯山人の芸術家としての存在はますます光り輝く。白崎氏は、その卓越した文章力と美術に対する深い造詣によって、それを見事な手腕でやってのけた。魯山人の伝記の代表作のひとつとして、魯山人を知ろうとするものは、必ず繙かなければならぬ本である。しかしこの書を魯山人伝の決定版とするのには、いささか躊躇を覚える。記述の信頼性に疑問があるからだ。一例をあげる。378頁から381頁の、益田鈍翁と出会いのくだり。筆者は鈍翁が魯山人に話をしなかったと推測しているが、魯山人自身「素人製陶本窯を築くべからず」で鈍翁との会話を記している。他ならぬ白崎氏自身、413頁でこの論説について触れている。(なぜか「素人本窯を築くべからず」と記している)白崎氏がこの会話に触れず、ただ推測しているだけなのは解せない。少なくともこの会話に触れてその検証をすべきだろう。魯山人が会話を捏造しているとしたら、鈍翁側から抗議が来ただろうが、その様な事は確認されていない。本書はオットー・ヤーンの「モーツアルト伝」と同じ様に、魯山人の探求の出発点である。それは、本書の価値をいささかも減じるものではない、
2009年10月6日に日本でレビュー済み
徹底した取材調査に基づき、格調高い文章で綴る魯山人伝決定版です。
天才の人間臭いところが私はむしろおもしろかった。
その人間くさいところを知ると、魯山人という人物に近づけたように感じられます。
これを読めば、他に出ている魯山人本は、読む必要はようにさえ思われます。
天才の人間臭いところが私はむしろおもしろかった。
その人間くさいところを知ると、魯山人という人物に近づけたように感じられます。
これを読めば、他に出ている魯山人本は、読む必要はようにさえ思われます。
2018年10月5日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
取材力は素晴らしいのだが、構成に問題があり読みにくい。年代順に書く必要もないが、時系列を交錯させるのならば、その効果を期待したいものである。それが不十分であるし、説明も足りていない部分があり、一読では分かりにくい。