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海辺のカフカ〈下〉 単行本 – 2002/9/12
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『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(1985)『ねじまき鳥クロニクル』(1994)に続く、1600枚の大作です。
- 本の長さ432ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2002/9/12
- 寸法14.1 x 2.2 x 19.7 cm
- ISBN-104103534141
- ISBN-13978-4103534143
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商品の説明
商品説明
かつて『アンダーグラウンド』でオウム真理教の破壊的な物語と対峙した村上春樹は、それに拮抗(きっこう)するだけの力をもつ物語の再興を自らの命題とした。その命題へのチャレンジといえるのが本書である。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の内的世界と、『ねじまき鳥クロニクル』で追求した歴史と個の関係は、より深化し、子どもの夢と大人たちのつくりあげた現実の狭間にある迷宮のなかで、さ迷い、成長していくひとりの「少年」へと結実した。そして、ギリシャ悲劇における親子のあり様や、『源氏物語』に登場する生霊などの文学的モチーフが巧みに取り入れられたストーリーは、強力な吸引力をもって読者を離さない。
読み手は、ただ作品がもつ物語の力に身を任せていれば、多彩で奇妙なキャラクターたちや、息をもつかせぬ展開が、充実した読書体験を約束してくれる。そして読後、不思議な感動を味わい、涙を流すことになるだろう。多くの悲しい運命を背負った人たち、たくさんの「死の予感」が涙を誘うのではない。この物語のなかで、子どもから大人へと成長するにしたがい失ってきたものを発見するのだ。そうした自分にとって親密な記憶が、涙とともにとめどなくあふれてくる。(中島正敏)
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2002/9/12)
- 発売日 : 2002/9/12
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 432ページ
- ISBN-10 : 4103534141
- ISBN-13 : 978-4103534143
- 寸法 : 14.1 x 2.2 x 19.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 117,163位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 2,901位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。
1979年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『ノルウェイの森』、『アンダーグラウンド』、『スプートニクの恋人』、『神の子どもたちはみな踊る』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』など。『レイモンド・カーヴァー全集』、『心臓を貫かれて』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『ロング・グッドバイ』など訳書も多数。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
下絵、二色刷り、多色刷り、と進んでいる感じ。
本作を読んでいて思ったことは色々あるけれど、演劇みたいだなあと感じたのは今までになかった気がする。
パラレルワールド的な設定はこれまでもあった。
でも、それが目の前で重なるように見えて進んでいくことはなかった。
モチーフやオマージュと言っていい挿話はこれまでもあった。
でも、原典を明らかにしつつ、触発されたその先のことを語ることはなかった。
それらが登場人物たちの会話で表されているところから、わたしは演劇を思い起こしたのかもしれない。
これまでの作品は、わからないんだけどわかったよう気がするものだったけど、本作はわかる。
わかるのだけれど、なんでわかるのかが、わたしにはわからない。
そのわからなさの残り具合に、なんというか、良いものに触れたなという満足感を得る。
君を「心の井戸」から掬い上げたミスターMのお蔭かと思います。君の物語は、もう世界的に
ネタバレバレバレで、いまさら、のこのこと、これから書く君への手紙なんて「なに言ってる
んだ、わかりきったことをつべこべ言うんじゃねーよ」とお叱りを受けそうですが、これを最
後に君への思いを、このへんで断ち切りたい心情をご理解ください。
また、君の物語には、ミスターMの他作品に登場するテーマもたくさん含まれていますが、
それには触れません。君が読んだ漱石の『坑夫』もそうですが、漱石作品にも共通したテーマ
が繰り返しでてきます。例えば、遺産相続問題、友人や夫婦関係の葛藤など、心の奥底にある
「業」です。ミスターMも似たようなテーマが繰り返されるのも同じことです。
君への「手紙」では、君の物語に絞って書いてみたいと思います。物語で日ごろ感じている
いくつかの「疑問」について、と云った方が適確かもしれません。
ざっと物語の整理だけしておきましょう。カフカ君、君を中心に、周りにいる人びと、佐伯
さん、大島さん、ナカタさん、星野青年、さくらさん。そして、夢か幻想の世界から現れたよ
うな(と云っても少しも違和感がありませんが)、「ジョニー・ウオーカー」さん、君の父親
で彫刻家です。不幸な最後をたどります。「カーネル・サンダーズ」さん。星野君にベルグソ
ン論をする哲学専攻の女性を紹介したり、ナカタさんや星野青年にアドバイスをする神でも仏
でも人間でもないかたです。あとは可愛いゴマちゃんとミミちゃんでしょうか。
そうそう君の周辺を飛び回っている「カラスと呼ばれる少年」という君の分身らしき少年も
います。黄泉の国で君に代わって、ジョニー・ウオーカーさんの両目をつつきまわすかたです。
お父さんは自分のミノとカンナで復讐されたんでしょうね。カラスはチェコ語でカフカらしい。
舞台は東京都中野区から四国の高松市、高知県の山奥へと、不思議な奇縁で皆さんが集まっ
ていきます。なぜ高松なのでしょう。君の着替えを少なくするため暖かいところを選んだこと
もありますが、やはり弘法大師空海さんがお呼びになったのでしょうか。
いずれにしても、君は、猫を殺し心臓を食べ、猫魂で笛をおつくりになっている気味悪いか
たに呪いをかけられ、遺伝子を移され、予言された言葉に追われるように家出しましたね。
幼いころの写真で、海辺で、お姉さんの片側の顔と君が写った古い写真一枚を持っていました。
その時、お父さんとの会話もなくお父さんが「なにを」しているのかわからなかったのでしょ
うね。夜行バスで一緒になった「さくら」さんに「姉」を感じてしまいます。君の場合、年上
の女性はみんな「お母さん」と「お姉さん」になるのでしょうか。
高松で、私立の「甲村記念図書館」に落ち着きます。そこで、図書館の責任者で、佐伯さん
という美人で不思議な五十二歳の女性と、大島さんという二十一歳で「血友病」で「性同一障
害」のかたにお世話になります。知的で、教養深く、古典文学から音楽までなんでもよく知っ
ている、君が尊敬する人物です。
そして、奇縁でしょうか、部屋の壁に『海辺のカフカ』という油絵がかかっています。十二
歳くらいの少年と何人かの人たちが描かれている真夏の海辺の光景です。この少年は佐伯さん
の恋人で、二十歳に亡くなった甲村君でしょう。残念ながら君ではありません。後ほど、森の
奥深いところ、夢の中か異界かでしたが、君が佐伯さんに「君だ」と云わせているだけです。
また、不思議なことに、画の「何人かの人たち」のなかにナカタさんが描かれていたのです。
佐伯さんが目撃しています。ナカタさんも記憶を失い、字も読めませんが、海の香りをかすか
に思いだす場面がありますね。
こうしてみると、君も、佐伯さんも、ナカタさんも高松に吸い寄せられていくことが、大島
さん流に言いますと「ドラマツルギー」だったのでしょう。大島さんは何でもよくご存じです。
その介添えをしたのが「入り口の石」なんです。この石の正体がどうしてもわかりません。
君は、佐伯さんが十九歳のとき(ミスターMが好きな1969年ですね)作詞作曲した『海辺
のカフカ』のなかで、この石のことにうすうす何かを感じましたね。この石は、マジックショ
ウに登場するの不思議な箱の役割を果たしているのでしょうか。ミスターMの好まれる「井戸」
や「壁」、「深い森の平らなところ」を表す神秘的な「なにか」なんでしょうね。「入り口の
石」で出口はどこなんでしょうかね。悪い人を閉じ込めてしまう「力」があるのでしょうか。
お父さんに不幸があった日、君のTシャツは血まみれでしたが、ナカタさんの衣服は血がついて
いませんでした。「入り口の石」を通じて「遊離体験」したのでしょうか。
「愛」を求める人は「なにか」のきっかけで、入り口から入り込み、また出てこられるのでし
ょうか。裏返すと石が閉じられるというんです。まあ、あまり深く考えないでおきましょう。
さて、六十歳をとっくに過ぎたナカタさんのことです。小学生のころ、1944年十月、受
け持ちの岡持先生と「お椀山」(お椀山は何かのメタファーでしょうか)へキノコ狩りに行き、
何週間も気を失ってしまいます。なぜ十六人もの生徒が失神し集団昏睡に陥ったのでしょうか。
ジュラルミンの光で未確認飛行物体と云う人もいます。わたしは白昼の稲妻ではなかったのか
と思います。佐伯さんもナカタさんも雷や雷鳴に縁のあるかたです。もしくは、前夜、ご主人
(1945年6月に戦死する)との激しい性夢をみた岡持先生の背後に、ご主人が「生き霊」
として立ち子供たちにショックを与えたのかもしれません。また、先生は手ぬぐいを見つけら
れ、恥ずかしさでナカタさんを激しく叩いた顔が夜叉のように見えたこともショックを与えた
のでしょう。子供たちは記憶しておきたくなかったのです。この事件で、ナカタさんと佐伯さ
んに、新しい人生が「入り口の石」から出てきたのでしょうか。
最後に、佐伯さん、ナカタさんはお互い失われたものとして死んでいきます。佐伯さんは、
君に『海辺のカフカ』の絵とレコードを遺します。しかし、勘違いしてはいけません。これは
君に、佐伯、甲村さんの霊を弔ってもらいたいためです。だから、君が指摘していた『海辺の
カフカ』の不調和に感じられたリフレインの和音がハーモニーを醸し、美しく変わったのです。
ナカタさんは星野青年の一部に溶けあって後継されていくことを決めましたね。
長くなるのでこのへんで終わります。まだまだ書きたいことが残っているのですが、またの
機会に譲ります。物語を、悪と善との対立構造と理解したり、父上のジョニー・ウオーカーさ
んは悪の使いであるとか、いろいろな解釈が成り立ちます。
君の創造者であるミスターMはこう云ってます。「リアリズム文学は好きではない。自我を
追い求める心理学的な小説も書きたくない。読者が楽しんでくれるような物語を書きたい。自
由にかけるのが作家である。」と云うような意味です。まさしくミスターMは「入り口の石」
という魔法箱から、悪戯っぽい、エンターテインメント的な物語や人物を、千手観音のように
、マジシャンのように掬いあげる名人なのです。君の物語に表現されるいろいろな疑問符はミ
スターMを楽しむためで、深く考える必要がないかもしれません。
この手紙は、ひっそりと君の胸にしまっておいてください。いまさら人眼につきたくないの
です。ああ、君の仲間が呼んでいます。もう君の夢や幻想におつきあいするのも疲れました。
また悩ましいミスターMが呼んでいるのです。しばし眠れそうにありません。
10代の頃に読み漁ってたあの頃みたいに一気に読んでしまいました。ファンにはぜひ読んでもらいたい小説です。
実際には出会っていない人との関りって、こういう風に繋がっているのかもしれないなー。なんて。
過去、現在、未来。そしてそれらを越えて5次元で繋がり関わっていく人々。
何回も読み返したくなる作品でした。