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「象の消滅」 短篇選集 1980-1991 単行本 – 2005/3/31
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1993年Knopf 社で編集、出版された短篇選集『The Elephant Vanishes』は英語圏で好評を博し、ロング・セラーとなっている。その日本語版がついに刊行! 英語版から著者みずから翻訳を試みた、新バージョンの「レーダーホーゼン」など初期短篇17作品。更にNew Yorkerデビュー当時を振り返る書下ろしエッセイも収録した話題作。
ニューヨーカーに選ばれ、世界で読まれ、日本に再上陸した初期短篇の数々。アメリカデビュー当時を語るエッセイなど話題満載の短篇集。
「村上春樹はまずなにを読めばいい?」「短篇をいくつか読みたい。」そんなあなたへ贈る、ニューヨーカーが選んだ村上春樹の初期短篇集。
- ISBN-104103534168
- ISBN-13978-4103534167
- 出版社新潮社
- 発売日2005/3/31
- 言語日本語
- 寸法12.4 x 2.4 x 18.8 cm
- 本の長さ426ページ
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商品の説明
出版社からのコメント
●日本でも人気がある初期短編17編を収録しています。新作は含まれず日本ではすべて文庫で読めますが、「初期短編のベスト版」ともいえるラインナップになっています。
●日本版オリジナルの書下ろしエッセイが収録されます。著者がNew Yorker誌にデビューした当時を振り返り、自作品をたっぷりと解説。著者のこの一冊に対する深い思い入れが感じられる内容で、ファン必読のエッセイになっています。
●英語版は、ニューヨークの有名な編集者であるKnopf 社のGary Fisketjon氏が作品を選定しました。日本版の巻頭には、著者との親密な交遊や世界的評価をめぐって文章を寄せてくれました。
●ファンの多い短編『レーダーホーゼン』は、日本初公開のバージョンになります。著者はこの作品を、元の日本語版を見ずに英語版をもとに新たに「翻訳」しました。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2005/3/31)
- 発売日 : 2005/3/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 426ページ
- ISBN-10 : 4103534168
- ISBN-13 : 978-4103534167
- 寸法 : 12.4 x 2.4 x 18.8 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 20,757位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 533位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。
1979年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『ノルウェイの森』、『アンダーグラウンド』、『スプートニクの恋人』、『神の子どもたちはみな踊る』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』など。『レイモンド・カーヴァー全集』、『心臓を貫かれて』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『ロング・グッドバイ』など訳書も多数。
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イメージ付きのレビュー
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
が、一部削除されていて、その部分が好きだったりしたので残念でした。
ホントにちょっとだけのたぶん数行のことなんですけど、なんでそれ、削ったの?と思って。
なので☆ひとつ分不満です。
早く、騎士団長の次の長編が読みたいのは私1人ではないはず。
それでは、いつからできるようになったのか。その確認のため購入した。
『めくらやなぎと眠る女』(書評済)の「蛍」(中央公論83年1月号初出)は『ノルウェイの森』の2-3章相当で、かつ登場人物の名前はない。
それ以降と見当をつけて、本書の「象の消滅」(文学界85年8月号初出)のなかに見つけた。
象の飼育係の渡辺昇が初めての名前のある登場人物だろう。しかし新聞記事中にあるだけなので、まだ飾りのレベルといえる。
あっさりと読んだ後に残る不安は、ムラカミワールドそのものです。
装丁のワイアーアートの象も素晴らしい。市販して欲しいと切に願います。
ELEPHANT には、「やっかいなもの」という意味がある。これはヘミングウェイが「白い象のような山並」
(『女のいない男たち』所収)で使ったアレゴリーの技法で、村上に大きな影響を与えている。
象は町のシンボルとなる。(407頁19行)
村上のこの小説では、象はシンボル(象徴)なのだ。象は、単なる動物園の象ではなく、「象徴」の象なのだ。
そして、この日本国において「象徴」とは何か? もちろん、「天皇」である。
*
WSJ の村上インタビュー(2006・12・10)から EMPEROR SYSTEM についての村上の発言部分を
引用する。
In Germany,the Nazi Party was elected more or less ......but in Japan , the Emperor system
was not a democratic system. So German people think they are kind of responsible ......
but we Japanese don't think we are responsible for the war, because the system was evil and
wrong.
天皇システムは民主制ではない、と言い、そのシステムが evil で wrong であるとは、なかなか言える
科白ではない。日本国内むけには見られないものだ。
*
「象徴」天皇の話など、「知り合ったばかりの若い男女が語り合うには話題としてあまりにも特殊だった」
(424頁)
村上の象徴についての解説は明快だ。
天皇は日本国の象徴ではあるけれど、日本国は天皇の象徴ではない。
(『スプートニクの恋人』文庫45頁)
また、「闘うならあとは国家しかないけれども、今さら国家とけんかしてもまず勝ち目はないし。」(『考える人』
2010夏 61頁)という発言も興味深い。
1985年7月にこの短編は発表されているが、昭和天皇の歴代天皇最長寿式典と同じ時期である。
渡部直己『不敬文学論序説』(1999)で、村上は黙説法と批判されている。
村上が黙説したものは、「象の消滅」だった。