村上春樹の小説は、大体5年ごとに読み返しており、読み返すごとに新たな面白みを発見します。
今回3度目の再読ですが、初読の際には、純文学でありながら、これまで以上のエンタメ的物語の牽引力と読みやすさに戸惑いに似たものを感じましたが、改めて読み返すと、これほど個性豊かの登場人物らが巻き込まれるミステリーチックな展開で読者を惹きつけながら、それでもやはり村上春樹ならではの文学的技巧に感心させられます。
今回は、村上春樹が得意とする「比喩」に注意して読み進めてみました。
渋滞に巻き込まれた高速道路上でのタクシー運転手について
「中年の運転手は、まるで舳先に立って不吉な潮目を読む老練な漁師のように、前方に途切れなく並んだ車の列を、ただ口を閉ざして見つめていた」
タクシーに設置されたオーディオについての運転手の説明について
「退役した参謀が過去の作戦について語るような口調で運転手は言った」
ふかえりの持つ何かについて
「それは風のない午後の焚火の煙みたいに、誰の目にも明らかに見て取れる」
天吾の目について
「早起きの農夫のような目をしていた」
ふかえりに対するマスコミの動きについて
「マスコミは夕暮れ時のコウモリの群れみたいに頭上を飛び回るだろう」
ふかえりの胸をみる天吾
「つい胸に視線がいってしまう。大きな渦巻の中心につい目がいってしまうのと同じように」
一方ふかえりが天吾を見る目
「天吾の目をまっすぐに見ていた。窓ガラスに顔をつけて空き家の中をのぞくみたいに」
天吾の頭に浮かぶ書き直しのアイデアについて
「太古の海における生命萌芽のざわめきのように、彼の頭の中に浮かんだり消えたりしていた」
睾丸を思い切り蹴られたときの気持ち
「そこにはただ深い無力感しかないんだ。暗くて切なくて、救いがない」
動き出したものごとについて
「ものごとは前に向かってすでに動き出していた。前にいるすべての生きものを片っ端から轢き殺していく、インド神話の巨大な車のように」
天吾が赤ん坊の頃の記憶について
「それは廃船についた蠣のように、彼の意識の壁にとんでもなく強固にへばりついていた」
天吾が数学のことを考えると切り替わる頭の回線について
「ひとつの部屋から別の部屋に移っていくような、あるいはひとつの靴から別の靴に履き替えるような感覚がそこにはあった」
すっきりしない天吾の気持ち
「厚い雲の切れ端を何かと間違えて飲み込んでしまった人のように、すっきりとしない」
天吾の年上のガールフレンドが味わう性的満足について
「彼女自身も十分な満足を味わった。帳簿の数字の複雑な操作に深い喜びを見出す有能な税理士のように」
これからBOOK2を読みかえします。
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1Q84 BOOK 1 単行本 – 2009/5/29
村上 春樹
(著)
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Murakami Haruki's long-awaited new full length novel! Runaway bestseller. In Japanese. Vol. 1 of 2
- ISBN-104103534222
- ISBN-13978-4103534228
- 出版社新潮社
- 発売日2009/5/29
- 言語日本語
- 寸法13.72 x 3.3 x 19.3 cm
- 本の長さ554ページ
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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)
「こうであったかもしれない」過去が、その暗い鏡に浮かび上がらせるのは、「そうではなかったかもしれない」現在の姿だ。書き下ろし長編小説。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2009/5/29)
- 発売日 : 2009/5/29
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 554ページ
- ISBN-10 : 4103534222
- ISBN-13 : 978-4103534228
- 寸法 : 13.72 x 3.3 x 19.3 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 29,503位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 755位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1949(昭和24)年、京都府生れ。早稲田大学文学部卒業。
1979年、『風の歌を聴け』でデビュー、群像新人文学賞受賞。主著に『羊をめぐる冒険』(野間文芸新人賞)、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(谷崎潤一郎賞受賞)、『ねじまき鳥クロニクル』(読売文学賞)、『ノルウェイの森』、『アンダーグラウンド』、『スプートニクの恋人』、『神の子どもたちはみな踊る』、『海辺のカフカ』、『アフターダーク』など。『レイモンド・カーヴァー全集』、『心臓を貫かれて』、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』、『ロング・グッドバイ』など訳書も多数。
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年10月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2024年6月10日に日本でレビュー済み
僕にとって人生初の村上春樹作品です。
正直に言います。これまで村上春樹作品の良さがあまり分からなくて、これまで何度も手に取っては途中で投げ出しを繰り返してきました。
でも、今回は絶対に読もう、と決意をしました。
誰だって初めから全部を理解できるものでは無いだろうし、そんな日は永遠にやってこないのかもしれない。それでも、別にいいのかもしれない。
そんな気持ちで読んでみました。
1冊読み切って感じたのは、分からないところがあっても最後まで読むことでどんどん面白くなっていく作品なんだな、ということです。
これまでは序盤で繰り広げられる不思議な設定やストーリー展開、性描写になかなかついていけず、そこで諦めていたけれど、読めば読むほどに物語の世界が繋がっていく感覚が面白かったです。
描かれる2つの世界がどんどん繋がっていき、終盤でもしかしたらこれは天吾の書いている作品の中の世界について書かれていたのか?と思わせられるような新たな展開が示されたりと、まだまだ理解が追いついていませんが、BOOK2も楽しんで読めそうです。
正直に言います。これまで村上春樹作品の良さがあまり分からなくて、これまで何度も手に取っては途中で投げ出しを繰り返してきました。
でも、今回は絶対に読もう、と決意をしました。
誰だって初めから全部を理解できるものでは無いだろうし、そんな日は永遠にやってこないのかもしれない。それでも、別にいいのかもしれない。
そんな気持ちで読んでみました。
1冊読み切って感じたのは、分からないところがあっても最後まで読むことでどんどん面白くなっていく作品なんだな、ということです。
これまでは序盤で繰り広げられる不思議な設定やストーリー展開、性描写になかなかついていけず、そこで諦めていたけれど、読めば読むほどに物語の世界が繋がっていく感覚が面白かったです。
描かれる2つの世界がどんどん繋がっていき、終盤でもしかしたらこれは天吾の書いている作品の中の世界について書かれていたのか?と思わせられるような新たな展開が示されたりと、まだまだ理解が追いついていませんが、BOOK2も楽しんで読めそうです。
2010年1月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
なぜニュースになるほどのベストセラーになったのだろう。
あれほど世間で話題になったのは、ノルウェイの森以来ではないだろうか。
おかげで、入手するのにしばらく時間がかかった。
やれやれ。
大好きな作家だし、多大な人気があることも承知しているが、万人受けする作家ではないような気がするのだが。
独特の展開と文章を受け入れられない読者もたくさんいただろうに。
世間よりもやや遅れて読んだ村上春樹の「1Q84」は、期待を裏切らない非常に面白い小説だった。
驚いたことに、彼が書いた以前の長編小説よりも格段に内容が「わかりやすく」なっている。
このストーリーがだめな読者は、おそらく彼のこれまでの長編作品のどれを読んでも受け入れることができないだろう。
それほど「村上臭さ」が以前より薄れている。
相変わらず、ある種のメタファーなのか、それとも読者に謎を仕掛けているのか、わかりかねる部分が多々あり、戸惑う面はある。
それでも、以前よりもストーリーに吸引力がある。
淡々とページを繰るのではなく、次の展開が待ち遠しくて先へ先へと読み進むのは初めてかもしれない。
ストーリーは、彼得意のパラレルワールド。
登場人物は、新人が書いた小説の書き直しの片棒を担がされる、小説家の卵「天吾」。
もう一人は、美貌の殺し屋「青豆」。
それぞれ過去に複雑な家庭事情を持ち、現在はそれぞれたった一人で生活を送っている。
まったく関連性がない二人の物語が、あるところから微妙に交わっていく。
ところどころに散りばめられたヒントのようなキーワードは、さながら「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」のようだ。
しかし、このストーリーは天吾と青豆という登場人物が、それぞれのゴールを目指す。
そういった点でのストーリー展開は「海辺のカフカ」の要素もある。
日本赤軍、ヤマギシ会、エホバの商人、オウム真理教。
過去に実際にあったさまざまな事象を髣髴させる団体をベースに、小説家の卵と、美貌の殺し屋のストーリーは展開する。
これは間違いなく、村上春樹の生涯のテーマである「生と死」をベースにした純愛小説である。
あの日、教室でしっかりと握られた手。
その手のぬくもりを、いつまでたっても心から消すことができなかった。
その手のぬくもりの記憶だけで、人は生きていくことができる。
思い起こせば、ノルウェイの森も大ベストセラーだった。
今回「1Q84」がこれほどの部数が売れたのも、無意識に恋愛小説を人々が求めたからなのだろうか。
上下それぞれ500ページ以上の分厚いストーリーの果てにたどり着いたのは、驚くことに村上春樹が提示する「愛」だった。
第3部が今から楽しみで仕方ない。
あれほど世間で話題になったのは、ノルウェイの森以来ではないだろうか。
おかげで、入手するのにしばらく時間がかかった。
やれやれ。
大好きな作家だし、多大な人気があることも承知しているが、万人受けする作家ではないような気がするのだが。
独特の展開と文章を受け入れられない読者もたくさんいただろうに。
世間よりもやや遅れて読んだ村上春樹の「1Q84」は、期待を裏切らない非常に面白い小説だった。
驚いたことに、彼が書いた以前の長編小説よりも格段に内容が「わかりやすく」なっている。
このストーリーがだめな読者は、おそらく彼のこれまでの長編作品のどれを読んでも受け入れることができないだろう。
それほど「村上臭さ」が以前より薄れている。
相変わらず、ある種のメタファーなのか、それとも読者に謎を仕掛けているのか、わかりかねる部分が多々あり、戸惑う面はある。
それでも、以前よりもストーリーに吸引力がある。
淡々とページを繰るのではなく、次の展開が待ち遠しくて先へ先へと読み進むのは初めてかもしれない。
ストーリーは、彼得意のパラレルワールド。
登場人物は、新人が書いた小説の書き直しの片棒を担がされる、小説家の卵「天吾」。
もう一人は、美貌の殺し屋「青豆」。
それぞれ過去に複雑な家庭事情を持ち、現在はそれぞれたった一人で生活を送っている。
まったく関連性がない二人の物語が、あるところから微妙に交わっていく。
ところどころに散りばめられたヒントのようなキーワードは、さながら「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」のようだ。
しかし、このストーリーは天吾と青豆という登場人物が、それぞれのゴールを目指す。
そういった点でのストーリー展開は「海辺のカフカ」の要素もある。
日本赤軍、ヤマギシ会、エホバの商人、オウム真理教。
過去に実際にあったさまざまな事象を髣髴させる団体をベースに、小説家の卵と、美貌の殺し屋のストーリーは展開する。
これは間違いなく、村上春樹の生涯のテーマである「生と死」をベースにした純愛小説である。
あの日、教室でしっかりと握られた手。
その手のぬくもりを、いつまでたっても心から消すことができなかった。
その手のぬくもりの記憶だけで、人は生きていくことができる。
思い起こせば、ノルウェイの森も大ベストセラーだった。
今回「1Q84」がこれほどの部数が売れたのも、無意識に恋愛小説を人々が求めたからなのだろうか。
上下それぞれ500ページ以上の分厚いストーリーの果てにたどり着いたのは、驚くことに村上春樹が提示する「愛」だった。
第3部が今から楽しみで仕方ない。
2017年1月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
保護者が宗教にどっぷり浸かってる家庭の子供はツライ。
毎日の多くの時間を宗教に費やす事を強いられてツライ。
クリスマスも初詣も行けなくてツライ。
たとえ引っ越して自分の給料で暮らし始めても宗教はどこまでと着いてくる。新しく引っ越した先の宗教の人達が家までやってきて逃がしてくれなくてツライ
選挙のために、学生時代の名簿を勝手に持ちだされ、勝手に元同級生の自宅に訪問され訪問に着いていかない事に親不孝だとなじられてツライ。
こんなツライ思いをする子供達がいなくなりますように。
毎日の多くの時間を宗教に費やす事を強いられてツライ。
クリスマスも初詣も行けなくてツライ。
たとえ引っ越して自分の給料で暮らし始めても宗教はどこまでと着いてくる。新しく引っ越した先の宗教の人達が家までやってきて逃がしてくれなくてツライ
選挙のために、学生時代の名簿を勝手に持ちだされ、勝手に元同級生の自宅に訪問され訪問に着いていかない事に親不孝だとなじられてツライ。
こんなツライ思いをする子供達がいなくなりますように。
他の国からのトップレビュー
Richard
5つ星のうち5.0
Great reading.
2013年1月7日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
It was for my wife who is Japanese, who has not read a book written in Japanese. She thought the book was great.
I just did not know that it was only first half.
I just did not know that it was only first half.
adrian Allan
5つ星のうち5.0
Great story
2014年5月27日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
this is a great story full of interesting twists and turns. I would highly recommend it to anyone who likes a good read.
Amazon Customer
5つ星のうち5.0
Five Stars
2016年3月24日にアメリカ合衆国でレビュー済みAmazonで購入
Very enjoyable to the very last word.