「神様のボート」・・実に深い題名です。
「旅がらす」にしてはピアノというお荷物を引き連れての引っ越しです。
お金の話はほとんど出てきません。リアリティのない抽象的で場違いな言葉として「養育費」という言葉がありましたが・・。
「静かな狂気」がその高い密度でもって、バッハ的な世界の美しさと響きあってる不思議。作者が「私の最も危険な小説』といったのも頷ける。ラストでゾッとし、心が震えました。
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神様のボート 単行本 – 1999/7/1
江國 香織
(著)
昔、ママは、骨ごと溶けるような恋をし、その結果あたしが生まれた。“私の宝物は三つ。ピアノ。あのひと。そしてあなたよ草子"。必ず戻るといって消えたパパを待ってママとあたしは引越しを繰り返す。“私はあのひとのいない場所にはなじむわけにいかないの"“神様のボートにのってしまったから"――恋愛の静かな狂気に囚われた母葉子と、その傍らで成長していく娘草子の遥かな旅の物語。
- 本の長さ251ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日1999/7/1
- ISBN-104103808055
- ISBN-13978-4103808053
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
「あなたとかわす約束は、それが口に出された瞬間にもう叶えられている」 もう何年も放浪の旅をしている母と娘の、小さく静かだが、狂気に満ちた危険な恋愛物語。『小説新潮』98年1月号から99年3月号まで連載。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (1999/7/1)
- 発売日 : 1999/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 251ページ
- ISBN-10 : 4103808055
- ISBN-13 : 978-4103808053
- Amazon 売れ筋ランキング: - 556,915位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 13,003位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1964年東京生まれ。1987年『草之丞の話』で毎日新聞社主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本 周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞を受賞。「409ラドクリフ」(1989年フェミナ賞)、『こうばしい日々』(1991年産経 児童出版文化賞、1992年坪田譲治文学賞)、『きらきらひかる』(1992年紫式部文学賞)、『ぼくの小鳥ちゃん』(1999年路傍の石文学賞)、『が らくた』(2007年島清恋愛文学賞)など作品多数(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 真昼なのに昏い部屋 (ISBN-13:978-4062161053)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年2月10日に日本でレビュー済み
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言葉は危険なのだとママは言う
言葉で心に触れられたと感じたら、心の、それまで誰にも触れられたことのない場所に触れられたと感じてしまったら、それはもう「アウト」なのだそうだ。
この一節を何かの解説で読み、この方の作品を読んでみたいと思いました。
「骨まで溶けるような恋」をした母と、その母と一緒に神様のボートに乗った娘の物語。
余りにも浮世離れしている感じの母ですが、娘の心情は共感出来ますし、何より作品全体に漂う空気感が、「忘れられない恋」をした事のある人には、刺さる何かがある物語だと思います。
言葉で心に触れられたと感じたら、心の、それまで誰にも触れられたことのない場所に触れられたと感じてしまったら、それはもう「アウト」なのだそうだ。
この一節を何かの解説で読み、この方の作品を読んでみたいと思いました。
「骨まで溶けるような恋」をした母と、その母と一緒に神様のボートに乗った娘の物語。
余りにも浮世離れしている感じの母ですが、娘の心情は共感出来ますし、何より作品全体に漂う空気感が、「忘れられない恋」をした事のある人には、刺さる何かがある物語だと思います。
2021年8月24日に日本でレビュー済み
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情景描写が素晴らしく、人物や背景を容易に想像でき、映画のようです。江國香織さんのエッセイは読んでいましたが、小説はこれが最初です。
描写の素晴らしさ故にですが、母親の歯がヤニやらで黄色のイメージがつきました。タバコをよく吸い、コーヒーをよく飲み、チョコレート•••。逗子に行くと白いアパートが強調され、歯とのコントラストがより強調されてしまいました。そのため、人物に感情移入が全くできなかったです。
描写の素晴らしさ故にですが、母親の歯がヤニやらで黄色のイメージがつきました。タバコをよく吸い、コーヒーをよく飲み、チョコレート•••。逗子に行くと白いアパートが強調され、歯とのコントラストがより強調されてしまいました。そのため、人物に感情移入が全くできなかったです。
2023年11月30日に日本でレビュー済み
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子育て中の女性はもっと現実的、この小説はリアリズムじゃない、と書いている人もいる。だが個人的には、これ、究極の恋愛リアリズムではないか、と思う。描写が痛すぎるし、響きすぎる。
草子は、全体を暗さから救う存在であると同時に、正常と狂気の対比になっている。なぜ草子が正常なのかというと、草子は恋愛をまだ体験していないからだ。結局究極の恋愛とは狂気だと作者が考えているのがわかる。作者もまた、そういう想いを抱えて生きている人なのではないか、と想像してしまう。そういえば『間宮兄弟』にも、別れた相手が忘れられない女性が出てきた。
その一方で文庫本の巻末の能天気な解説。読者の皆さんの書評を読んでも、いろんな読み方・感じ方があるんだな、と、そういうのも面白いし、ほっとする感じもする。
追伸 前段の感想を書いた後で気が付いたが、主人公の葉子という名前、これは『あしたのジョー』のヒロインの名前と同じではないか。思わせぶりなラストは、ジョーがリングで真っ白な灰になって、死んだのか気絶しただけなのかわからないのとそっくりではないか。偶然じゃないですよね。とにかく、いろいろな意味で、参りました。
草子は、全体を暗さから救う存在であると同時に、正常と狂気の対比になっている。なぜ草子が正常なのかというと、草子は恋愛をまだ体験していないからだ。結局究極の恋愛とは狂気だと作者が考えているのがわかる。作者もまた、そういう想いを抱えて生きている人なのではないか、と想像してしまう。そういえば『間宮兄弟』にも、別れた相手が忘れられない女性が出てきた。
その一方で文庫本の巻末の能天気な解説。読者の皆さんの書評を読んでも、いろんな読み方・感じ方があるんだな、と、そういうのも面白いし、ほっとする感じもする。
追伸 前段の感想を書いた後で気が付いたが、主人公の葉子という名前、これは『あしたのジョー』のヒロインの名前と同じではないか。思わせぶりなラストは、ジョーがリングで真っ白な灰になって、死んだのか気絶しただけなのかわからないのとそっくりではないか。偶然じゃないですよね。とにかく、いろいろな意味で、参りました。
2021年1月3日に日本でレビュー済み
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一昨年初めて読み終えた時、価値観をひっくり返されるほど衝撃を受け、そして気付けば一番好きな物語になっていた神様のボート。
環境を変えたことをキッカケに新品を購入し再読しましたが、衝撃だらけだった前回とは違いじっくりと読むことができ、終盤は号泣し、より一層好きになりました。
メリーバッドエンドという言葉がありますが、それとはまた違う一見ハッピーエンドに見えるようで実は圧倒的なバッドエンドという演出はさすが江國氏というところでしょうか。(もちろん解釈によりますが)
そしてそのバッドエンドの報われなさがとても心に響きます。
もしこれから読まれる方がいたら、関東各所の地名や公園などが登場するので、GoogleMapのストリートビューを片手にぽちぽち調べながら読むのがおすすめです。
本当に葉子と草子と一緒に旅しているような気分になれます。
言葉が心にしみた桃井先生と言葉なんか必要なかったあのひとという対比、城址公園の並木道や暗い森と呼ばれた逗子の歩道の小さなトンネル、ピアノの音色(実際には聞こえないけれど)、全てが大好きです。
環境を変えたことをキッカケに新品を購入し再読しましたが、衝撃だらけだった前回とは違いじっくりと読むことができ、終盤は号泣し、より一層好きになりました。
メリーバッドエンドという言葉がありますが、それとはまた違う一見ハッピーエンドに見えるようで実は圧倒的なバッドエンドという演出はさすが江國氏というところでしょうか。(もちろん解釈によりますが)
そしてそのバッドエンドの報われなさがとても心に響きます。
もしこれから読まれる方がいたら、関東各所の地名や公園などが登場するので、GoogleMapのストリートビューを片手にぽちぽち調べながら読むのがおすすめです。
本当に葉子と草子と一緒に旅しているような気分になれます。
言葉が心にしみた桃井先生と言葉なんか必要なかったあのひとという対比、城址公園の並木道や暗い森と呼ばれた逗子の歩道の小さなトンネル、ピアノの音色(実際には聞こえないけれど)、全てが大好きです。
2016年6月6日に日本でレビュー済み
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読んでいるうちに涙が止まらなくなった
冷静に考えたら特に泣ける内容ではないのかもしれないけど
母と娘が旅をしながら暮らしていく物語です
色々と難しいこともありますが、基本的にはお互いを思いやる優しい母娘です
読んでいるうちに、自分が子供の頃を思い出して涙が出てきました
子供の考えを、子ども視点で、決して馬鹿にせずに描いています
案外こういった話は珍しいのかもしれません
ふわふわした母と、ふわふわしている事に疲れた娘の話です
話の結び方があまり気に入らなかったので☆五つはつけません
※追記
母親が恋に狂っているから、町から町へと転々としなければならず
娘が犠牲になっていると言う考え方が一般的かもしれないけど
私は、そうではないのではないかと考える。
この母親、葉子さんが元気に明るく社会生活を営みながら子供を育てるには
一つの町に定住せずに、引っ越しを繰り返すことが不可欠だったのではないだろうか。
引っ越しを繰り返すための言い訳として
「あのひとのいない場所になじむわけにいかない」だの桃井先生との約束だのを後生大事に抱えていたのだ。
葉子さんは素晴らしい両親に育てられたにも関わらず、かなり難しい少女時代を送り
それをすべて、自分自身の原因と結果だと認識している。
「ただ、どうすればいいのかわからなかった。まるでさっぱりわからなかったのだ。」と。
葉子さんはご近所さんの顔を覚えない。
仕事ならなんとかなるようだが、ものすごく頑張らないと人の顔が覚えられない性質なのだろう。
人の顔を覚えず、なじまないまま明るく暮らしていくのはたぶん2~3年が限度なのだろう。
だから引っ越しを繰り返す。
そうするしかなかった。
娘の為に我慢することもできるが、ゆっくりと限界がくる。
本当にそうするしかなかった。
これはきっと生まれながらのハンデなのだと思う。
そのハンデを抱えながら、持ち物を少なく、身軽に暮らし
掃除を得意とし、周囲の人から重宝がられ、子供を愛し、明るく、よくぞ立派に子供を育てた。
そういう話なのだと思う。
冷静に考えたら特に泣ける内容ではないのかもしれないけど
母と娘が旅をしながら暮らしていく物語です
色々と難しいこともありますが、基本的にはお互いを思いやる優しい母娘です
読んでいるうちに、自分が子供の頃を思い出して涙が出てきました
子供の考えを、子ども視点で、決して馬鹿にせずに描いています
案外こういった話は珍しいのかもしれません
ふわふわした母と、ふわふわしている事に疲れた娘の話です
話の結び方があまり気に入らなかったので☆五つはつけません
※追記
母親が恋に狂っているから、町から町へと転々としなければならず
娘が犠牲になっていると言う考え方が一般的かもしれないけど
私は、そうではないのではないかと考える。
この母親、葉子さんが元気に明るく社会生活を営みながら子供を育てるには
一つの町に定住せずに、引っ越しを繰り返すことが不可欠だったのではないだろうか。
引っ越しを繰り返すための言い訳として
「あのひとのいない場所になじむわけにいかない」だの桃井先生との約束だのを後生大事に抱えていたのだ。
葉子さんは素晴らしい両親に育てられたにも関わらず、かなり難しい少女時代を送り
それをすべて、自分自身の原因と結果だと認識している。
「ただ、どうすればいいのかわからなかった。まるでさっぱりわからなかったのだ。」と。
葉子さんはご近所さんの顔を覚えない。
仕事ならなんとかなるようだが、ものすごく頑張らないと人の顔が覚えられない性質なのだろう。
人の顔を覚えず、なじまないまま明るく暮らしていくのはたぶん2~3年が限度なのだろう。
だから引っ越しを繰り返す。
そうするしかなかった。
娘の為に我慢することもできるが、ゆっくりと限界がくる。
本当にそうするしかなかった。
これはきっと生まれながらのハンデなのだと思う。
そのハンデを抱えながら、持ち物を少なく、身軽に暮らし
掃除を得意とし、周囲の人から重宝がられ、子供を愛し、明るく、よくぞ立派に子供を育てた。
そういう話なのだと思う。
2020年5月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昔読んだこの小説がまた読みたくなって購入しました。正気ではないような主人公のキャラクターも、江國さんの透明感のある筆致の故か、すんなり感情移入することが出来ました。恋愛の静かな狂気...ここまで一人の人を愛し続けられる葉子という女性の、その後を知りたくなる作品でした。
2014年1月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主人公の母親の漂流のような生き方につき合わされた子が、しっかりした根を土に生やすような生き方にほっとする思いでした。
他の国からのトップレビュー
snow soldier
5つ星のうち5.0
The book is great and shipping condition was excellent!
2018年12月10日に英国でレビュー済みAmazonで購入
I know what a book will be like. It’s my favourite author in my country. Arrived earlier than expected, neatly wrapped as we Japanese do, very impressed.