笙野頼子氏の本を読むきっかけになった本です。だいぶ前にリアル書店で装丁と帯文に惹かれて購入しました。
端的に言うと
女人国ウラミズモに亡命した作家が、記紀神話の読みかえと書き換えを行う偉業を成し遂げて亡くなるまでの小説です。
説明を端折りすぎたけど、とにかく読んでみてください。あっ、シリーズを最初から全部読め、という意味ではないですよ。
無料のKindleアプリをダウンロードして、スマートフォン、タブレット、またはコンピューターで今すぐKindle本を読むことができます。Kindleデバイスは必要ありません。
ウェブ版Kindleなら、お使いのブラウザですぐにお読みいただけます。
携帯電話のカメラを使用する - 以下のコードをスキャンし、Kindleアプリをダウンロードしてください。
水晶内制度 単行本 – 2003/7/1
笙野 頼子
(著)
- 本の長さ263ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2003/7/1
- ISBN-104103976047
- ISBN-13978-4103976042
この商品をチェックした人はこんな商品もチェックしています
ページ 1 以下のうち 1 最初から観るページ 1 以下のうち 1
商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
原発を国家の中枢として、日本政府に黙殺された女達の、闇から生まれた女人国ウラミズモ。亡命作家は新国家のために出雲神話を書き変えるが…。古今東西の名作・迷作を友とし敵とした平成の「奇書」。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2003/7/1)
- 発売日 : 2003/7/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 263ページ
- ISBN-10 : 4103976047
- ISBN-13 : 978-4103976042
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,095,487位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 25,089位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
1956年三重県生まれ。立命館大学法学部卒業。81年「極楽」で群像新人文学賞を受賞しデビュー。91年『なにもしてない』で野間文芸新人賞、94年 「二百回忌」で三島賞、同年「タイムスリップ・コンビナート」で芥川賞、2001年『幽界森娘異聞』で泉鏡花文学賞、04年『水晶内制度』でセンス・オ ブ・ジェンダー大賞、05年『金毘羅』で伊藤整文学賞、以上の各賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 海底八幡宮 (ISBN-13: 978-4309019376 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
-
トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
レビューのフィルタリング中に問題が発生しました。後でもう一度試してください。
2018年8月18日に日本でレビュー済み
笙野頼子さんの小説は、一時期積極的に追いかけていたのですが、フォローしきれぬままに年月が過ぎていました。2003年に出版されたこの作品を15年たった今読んで、改めてこの時期の作者の筆力無双ぶりを堪能することができました。
しかしまた、思考実験としてもかなり針が振り切っている、女だけの国家とは……。本文中、どうしても観念的な印象を否めないのですが、例えば完璧な世襲制をとって核兵器を手に周囲を振り回し続ける某国や、国会中継ではどこかで見たことのある顔ばかりがならぶおなじく世襲の多い某国などの、薄気味悪さを考えれば……あながち荒唐無稽とも言い難い気もします。
ジェンダーに関して、私がつべこべ言う資格はないのですが、筆者は単に日本の現状を斬り捨てるだけだなく、自らの性についての感覚を正面から見据えようと誠実に格闘しているかのように思えます。
そして何より「4 世の尽々に・生命終わるまで」での、神話という題材から導かれる、美醜がまだ陳腐に振り分けられていない原初的イメージのぶつかり合いが圧倒的な感銘を与えてくれます。
創作家として、単に物語を創るということを超えて、価値観や制度的な面も含めての神話的構築に取り組むなど、未だかつてそれに成功した日本人の作家はいたでしょうか。(私が知らないだけかもしれませんが。)
作家ご本人からは怒られるかもしませんが、私は笙野さんが大江健三郎さんや故安部公房さんと比肩する存在だと思います。どうぞご健康に留意され、益々ご活躍されますことを、心からお祈りします。
しかしまた、思考実験としてもかなり針が振り切っている、女だけの国家とは……。本文中、どうしても観念的な印象を否めないのですが、例えば完璧な世襲制をとって核兵器を手に周囲を振り回し続ける某国や、国会中継ではどこかで見たことのある顔ばかりがならぶおなじく世襲の多い某国などの、薄気味悪さを考えれば……あながち荒唐無稽とも言い難い気もします。
ジェンダーに関して、私がつべこべ言う資格はないのですが、筆者は単に日本の現状を斬り捨てるだけだなく、自らの性についての感覚を正面から見据えようと誠実に格闘しているかのように思えます。
そして何より「4 世の尽々に・生命終わるまで」での、神話という題材から導かれる、美醜がまだ陳腐に振り分けられていない原初的イメージのぶつかり合いが圧倒的な感銘を与えてくれます。
創作家として、単に物語を創るということを超えて、価値観や制度的な面も含めての神話的構築に取り組むなど、未だかつてそれに成功した日本人の作家はいたでしょうか。(私が知らないだけかもしれませんが。)
作家ご本人からは怒られるかもしませんが、私は笙野さんが大江健三郎さんや故安部公房さんと比肩する存在だと思います。どうぞご健康に留意され、益々ご活躍されますことを、心からお祈りします。
2003年9月30日に日本でレビュー済み
「自由も倫理も性愛もない女人国家誕生!」というキャッチフレーズに、辛口の寓話を想像していたら、がつんと殴られました。「文学は終わった」と勝手に宣言するお気楽な面々と戦闘し続け、無視され続ける笙野氏の文学は、遥か遠くへ駆け去っていた! 女人国の保護牧場で差別されても何もわからず内部でちまちまプチ差別しあう男たちの姿に、自分も日本国ではそんな目にあいつつ無自覚にお気楽に生きてたのか、と衝撃を受けました。恋愛とかキャリアとかいう名のもとにうやむやになる多くの差別、偏見、人権侵害。しかし、この小説はそれだけでは終わらない。他人を斬るだけでなく、常に己に鋭い刃を向ける笙野氏(だからそれこそが文学じゃん)の出した結論は、性愛の極北に達しているとも言えるだろう。もはや男の性愛も女の性愛も二次元キャラへのキャラ萌えでしかないのか?新時代のフェミニズムを切り開く笙野氏に、息せききって駆け足でついて行くしかない。一緒に来る? 何はともあれ、一読の上、さあご一緒に「うわーっ!!」
2004年11月14日に日本でレビュー済み
~ミルキィ・イソベの装丁は、いつものように別の世界への入り口。国民が支持する神話があって、経済基盤があって国家が強固に成立する。そこで、作られる新しい国の国家戦略による神話や教育や制度。レズビアンの無い女人国。女は子供を産み育てるがセックスは唾棄される。10代の頃に女として生きにくい将来にどんよりしていた自分を思い出した。結局、私は~~社会に飼いならされてしまったのか、しかしながら。
常に異世界でも誠実であろうとする語り部に揺すぶられます。~
常に異世界でも誠実であろうとする語り部に揺すぶられます。~
2020年11月21日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
昨今の「そもそも需要の分母の少ない表現は無いことにします」というマーケッター界隈からは見向きもされないでしょう。
世間との軋轢にもがく芸術家の像があります。何故か私はこの書の読了後、椎名林檎を聴き漁るようになりました。
世間との軋轢にもがく芸術家の像があります。何故か私はこの書の読了後、椎名林檎を聴き漁るようになりました。