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博士の愛した数式 単行本 – 2003/8/28

4.4 5つ星のうち4.4 3,585個の評価

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商品説明

1990年の芥川賞受賞以来、1作ごとに確実に、その独自の世界観を築き上げてきた小川洋子。事故で記憶力を失った老数学者と、彼の世話をすることとなった母子とのふれあいを描いた本書は、そのひとつの到達点ともいえる作品である。現実との接点があいまいで、幻想的な登場人物を配す作風はそのままであるが、これまで著者の作品に潜んでいた漠然とした恐怖や不安の影は、本書には、いっさい見当たらない。あるのは、ただまっすぐなまでの、人生に対する悦びである。

家政婦として働く「私」は、ある春の日、年老いた元大学教師の家に派遣される。彼は優秀な数学者であったが、17年前に交通事故に遭い、それ以来、80分しか記憶を維持することができなくなったという。数字にしか興味を示さない彼とのコミュニケーションは、困難をきわめるものだった。しかし「私」の10歳になる息子との出会いをきっかけに、そのぎこちない関係に変化が訪れる。彼は、息子を笑顔で抱きしめると「ルート」と名づけ、「私」たちもいつしか彼を「博士」と呼ぶようになる。

80分間に限定された記憶、ページのあちこちに織りこまれた数式、そして江夏豊と野球カード。物語を構成するのは、ともすれば、その奇抜さばかりに目を奪われがちな要素が多い。しかし、著者の巧みな筆力は、そこから、他者へのいたわりや愛情の尊さ、すばらしさを見事に歌いあげる。博士とルートが抱き合うラストシーンにあふれるのは、人間の存在そのものにそそがれる、まばゆいばかりの祝福の光だ。3人のかけがえのない交わりは、一方で、あまりにもはかない。それだけに、博士の胸で揺れる野球カードのきらめきが、いつまでも、いつまでも心をとらえて離さない。(中島正敏)

内容(「MARC」データベースより)

この世界は驚きと歓びに満ちていると、博士はたったひとつの数式で示してくれた-。記憶力を失った天才数学者、と私、阪神タイガースファンの息子の3人の奇妙な関係を軸にした物語。『新潮』掲載作。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2003/8/28)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2003/8/28
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 253ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 410401303X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4104013036
  • カスタマーレビュー:
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著者について

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小川 洋子
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1962(昭和37)年、岡山県生れ。早稲田大学第一文学部卒。

1988年「揚羽蝶が壊れる時」で海燕新人文学賞を受賞。1991(平成3)年「妊娠カレンダー」で芥川賞受賞。主な著書に『やさしい訴え』『ホテル・アイリス』『沈黙博物館』『アンネ・フランクの記憶』『薬指の標本』『夜明けの縁をさ迷う人々』『猫を抱いて象と泳ぐ』等。2004年『博士の愛した数式』で読売文学賞、本屋大賞を受賞。『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、2006年『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞受賞。翻訳された作品も多く、海外での評価も高い。

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文系人間の私文系人間の私が初めて触れた「美しい数学」
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文系人間の私文系人間の私が初めて触れた「美しい数学」
 文系人間だったので数学とは無縁でした。数学がこんなにも不思議な力、美しさを持っているとは思ってもいませんでした。 本文で胸に響いたのは「友愛数」。「私」の誕生日2月20日を数字にすると220。そして博士の腕時計の裏には「学長賞 No.284」と刻まれています。この「220」と「284」が「友愛数」。220の約数の和が、280、280の約数の和が200となり滅多に存在しない組み合わせの数字ということです。数学の世界にこんなに美しく奇跡的な数字のカップルがあるなんて知りませんでした。 私も何か大切な人とつながる数字を探してしまいそうです。オススメの方1.純文学が好き。2.ゆったりカフェで読む本を探している方。3.数学に苦手意識のある方。
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