橋本治の『ひらがな日本美術史』が完結した。｢芸術新潮｣での連載最終回が2005年の11月で、こうして単行本になったのでも2007年の2月だから、今さら｢完結した｣もないものだが…
ついでに言えば、橋本治にはすでに数多くの愛読者がおられるわけで、私なんかがこの本をこんなところで紹介なんかしなくっても、読む人は読む。と言うより、もう読んだはずだ。だからこのレビューはあまり実質的な役割など果たさないとは思うのだが、そこは私なりに言葉にして納得を得たいという気持ちがあるし、まあ私ごときがアサッテのことを書いたって心あるハシモト･ファンはそんな言葉など一顧だにすまいから、少なくともそんなに大した迷惑もかけまいという心安さも手伝って、こうして図々しく開き直れるわけなのだ。まあ、我ながらくどくどしい前口上に呆れるが。
橋本治は本巻あとがきの末尾で｢なんであれ、私に十三年の間｢幸福な時間｣を与えてくれた｣ことに対して編集者たちに礼を述べているし、新聞の読書欄のインタビュー(読売07年4月19日)でも｢自分の仕事で、最も楽しかった一つ｣と話しているが、こうして長い年月シリーズの新刊が出るのを心待ちにして読み継いで来た私としても、読むたびに｢幸福な時間｣を過ごさせてもらった。
というわけで、これ以上内容について細かいことは言わない。学術的見地からの正否は知らないが、｢自分の読書経験で、最も楽しかった一つ｣ということは、掛け値なしに言える。
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