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飲めば都 単行本 – 2011/5/1
北村 薫
(著)
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- 本の長さ356ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2011/5/1
- ISBN-104104066079
- ISBN-13978-4104066070
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2011/5/1)
- 発売日 : 2011/5/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 356ページ
- ISBN-10 : 4104066079
- ISBN-13 : 978-4104066070
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,348,414位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 336,363位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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北村 薫
1949(昭和24)年、埼玉県生れ。早稲田大学ではミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、’89(平成元)年「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。’91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。作品に『ニッポン硬貨の謎』(2006年本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(’09年直木賞受賞)など:本データは『1950年のバックトス (ISBN-13:978-4101373324 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2013年11月4日に日本でレビュー済み
都ちゃん。
やらかしてます・・・。
楽しいよね。
一緒に呑みたいですわアタクシ!
お酒でなんていうのだろう。
あっ。
お酒(の失敗)で生い立ち(成長)語っている?お話。
それぞれのエピソード、タイトルともに面白すぎっ。
あはははっ。
よかったぁ!
だんな様との出会い
〜智恵子抄〜
の中の【猫の版木のトコ】
が、いいお話なの。
こういう猫の版木を幾つか作って持って行ったんです。
〜
自分の手を動かすと、次々に猫が生まれて来る。
〜〜〜
素敵な時間でした。
猫の顔の中に、お孫さんや、自分達や、知っている色んな人が重 なっているみたいでした。
やらかしてます・・・。
楽しいよね。
一緒に呑みたいですわアタクシ!
お酒でなんていうのだろう。
あっ。
お酒(の失敗)で生い立ち(成長)語っている?お話。
それぞれのエピソード、タイトルともに面白すぎっ。
あはははっ。
よかったぁ!
だんな様との出会い
〜智恵子抄〜
の中の【猫の版木のトコ】
が、いいお話なの。
こういう猫の版木を幾つか作って持って行ったんです。
〜
自分の手を動かすと、次々に猫が生まれて来る。
〜〜〜
素敵な時間でした。
猫の顔の中に、お孫さんや、自分達や、知っている色んな人が重 なっているみたいでした。
2011年9月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
楽しかった。読んでいて本当に楽しかった。途中、何度か声を出して笑ってしまった。みんなに教えてあげたくなった。
北村薫さんの作品は全て読んでいます。物語に登場する女性たちはいつも、この人にかかると本当に生き生きと活躍する。この本の中の小酒井都さんもまた然り。どうしてこんなにも女性の心が書けるのだろう。以前、町の本屋では作者を男女別に陳列していた時があった。北村薫さんの著書が女性作家に混じっていてこっそり直して帰ってきたこともあったが、並べた人の気持がわからないでもない。
会社勤めをしていた頃たびたびお酒を飲んで帰ってきたことを思い出す。職種は違うが、都さんと飲んでみたいものだ。
「いとま申して」を読んだら、北村薫という作家がどうしてこんなにすごいか、少し見えた。
北村薫さんの作品は全て読んでいます。物語に登場する女性たちはいつも、この人にかかると本当に生き生きと活躍する。この本の中の小酒井都さんもまた然り。どうしてこんなにも女性の心が書けるのだろう。以前、町の本屋では作者を男女別に陳列していた時があった。北村薫さんの著書が女性作家に混じっていてこっそり直して帰ってきたこともあったが、並べた人の気持がわからないでもない。
会社勤めをしていた頃たびたびお酒を飲んで帰ってきたことを思い出す。職種は違うが、都さんと飲んでみたいものだ。
「いとま申して」を読んだら、北村薫という作家がどうしてこんなにすごいか、少し見えた。
2012年9月10日に日本でレビュー済み
北村薫氏が書かれる日本語、相変わらず美しいですね
人の心情、季節のうつろい、会話のテンポ
落ち着いて読めるのに読み始めたら止まりません(笑)
主役の都は良くも悪くも現代の普通の女性です。
物語もその日常を描いているわけですが
読後感として「普通ってなにさ?」と思ったのでした。
社会人としてスタートしたところから数年にわたって
語られていく物語がどうにも淡白というか
一人称でありながら俯瞰しすぎな視点で語られているような。
そして最後に「この二人大丈夫かなあ…」と読者の視点で
不安を残しながら、楽しく読了しました。
北村薫氏の著作ということで期待値が高かったのもあり
星2つ。
人の心情、季節のうつろい、会話のテンポ
落ち着いて読めるのに読み始めたら止まりません(笑)
主役の都は良くも悪くも現代の普通の女性です。
物語もその日常を描いているわけですが
読後感として「普通ってなにさ?」と思ったのでした。
社会人としてスタートしたところから数年にわたって
語られていく物語がどうにも淡白というか
一人称でありながら俯瞰しすぎな視点で語られているような。
そして最後に「この二人大丈夫かなあ…」と読者の視点で
不安を残しながら、楽しく読了しました。
北村薫氏の著作ということで期待値が高かったのもあり
星2つ。
2011年8月28日に日本でレビュー済み
北村薫。覆面作家時代から、「女語り」、また「女」を主人公をする作品に異常なまでにこだわり続ける作家。作品は細やかで、常に水準以上だが、不思議なのはこのこだわりだ。単に「女」に生まれたかった人なのだろうか。それとも、もっと深層的なものがあるのだろうか。誰か心理学的に、この作家の心の「闇」に迫ってくれる人はいないだろうか?
2011年10月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
都さんが幸せになったようでよかった!…読者にこう思わせて、この本は大成功だろう。人生の経験者は経験者なりに、過ぎし日の、転んだり、笑ったり、泣いたり、もちろん飲んだり、を思い出して、胸のあたりがチクチクと痛みながらも、ほのぼのと温かい気分で読み終えて、このように生きられたらどんなに幸せだろうかとも思ったりして…。その辺を、とても丁寧に、優しく、書いてくれていて、これから人生の大海に乗り出して行く世代の人へも、さりげなく薦めたくなるような、品のいい小粋な本でもある。
2011年5月22日に日本でレビュー済み
笑った、笑った、笑った!
今年一番笑えた小説。帯に「仕事を愛する酒女子必読!」などとあり「自分は酒を飲まないし、女子でもないし、仕事は……愛して…るのか?」と思いつつも、そんなことはおよそ関係の無い面白さ。
書店で見かけたなら、一章の第一節、最初の5ページだけでも目をやってみて「笑える」かどうか試してみるといいと思えます。
それが大いに楽しめた人なら、この小説全体は更に何層倍も、その期待に応えてくれる筈です。
逆にそこで反りが合わないようならば……ちょっとその人とこの作品は、相性が悪いのかも知れません。
とても分かりやすい判別法と思えます。
なお、話の進展につれ、第三章での心に痛い"飲まずにはやっていられない"エピソードを経て、物語は酒と恋------とりわけ、いかにも北村作品らしい"本を愛する男と女の心の機微"を濃やかに描くものとなっていきます。
「酔いにまかせて意図せず内面が曝け出されてしまうこと」と、「意図を練りあげて、本や版画の作者が作品を通じて自己の中の大切なものを表現すること-----それを作中のある人物曰く、「本の蔵に住むウイスキーキャット」として編集者たちがその表現を護り、引き出し、支えること」が混じり合っての妙味が、香り高く味わい深いカクテルとして読み手に差し出されます。
男と女。「気のおけない異性の同僚」と「恋人」との狭間。夫と妻。友情と各々のプライドと。作中人物と、そのモデルとなった人物ご本人と……語られるものと、秘されるものと。許せる逸脱と、どうしても許しえない漏れでた本音と。明かされる心と、あえてつき通される嘘と。
虚実皮膜のうちに泡立つ「人と人」、その「と」が当代一の巧みさで、溢れるユーモアと笑いと共に描き出されたこの『飲めば都』という小説。
是非とも、楽しみ抜き、笑い抜き、味わい抜いてみて下さい。
これは、そういう物語だと思えます。
本を愛する人、本を愛する人々を幾度もこれ以上無く見事に描きぬいてきた北村作品を愛する人は、きっとこの小説に惹かれずにはいられない筈です。
また、過去の北村作品との関係でいえば、『飲めば都』は『朝霧』収録「走り来るもの」で描かれた痛ましくも毅然とした、知と意志とに彩られたエピソードを"より明るく、笑いに満ち満ち、時に痛みや悲しみを酒と酔いに任せての大暴れに委ねつつも、明日へ向かうエネルギーに詰まった物語"に大きく広げていった小説のようにも思えます。
出来るならば、「走り来るもの」と併せて読んでみて下さい。
最後に余談を一つ。
『空飛ぶ馬』の《私》をはじめとして、同シリーズの庄司江美、『スキップ』の桜木(一ノ瀬)真理子・柳井さん・"ニコリ"島原百合香・里見はやせ、『リセット』の弥生原優子、『街の灯』の桐原道子・"ベッキーさん"別宮みつ子、『覆面作家は二人いる』の新妻千秋、『ひとがた流し』の石川千波、北村作品の単体短編の中で押しも押されぬ傑作として揺るがぬ地位を誇る名作「ものがたり」(『水に眠る』収録)の茜など、北村作品におけるヒロインや時にヒロイン以上に輝くようにも見えるサブヒロインたちは、思いを内に秘め、その秘めた勁い想いと意志の美しさとが掛け替えのない魅力となっているわけですが。
それに比して、『飲めば都』の小酒井都さんが運命のお相手とぐっとその距離を縮めたエピソードは「内に秘めた想い」という概念に収めようとどんなに願ってどんな理屈を立てようにも収まり得ない、なかなかに北村ファンとして天を仰ぎたくなるものではあって。
しかし、そんなことなど限りなくどうでも良くなってしまう、邪魔者など馬に蹴らせて殺してしまわんとする素晴らしい勢いとエネルギーこそは、正しくこの作品固有の魅力だと思えます。
この部分については是非作品の本文を参照された上で、「お前なあ……あれを読んでそういう感想になるのか」と笑ってやって下さい。
今年一番笑えた小説。帯に「仕事を愛する酒女子必読!」などとあり「自分は酒を飲まないし、女子でもないし、仕事は……愛して…るのか?」と思いつつも、そんなことはおよそ関係の無い面白さ。
書店で見かけたなら、一章の第一節、最初の5ページだけでも目をやってみて「笑える」かどうか試してみるといいと思えます。
それが大いに楽しめた人なら、この小説全体は更に何層倍も、その期待に応えてくれる筈です。
逆にそこで反りが合わないようならば……ちょっとその人とこの作品は、相性が悪いのかも知れません。
とても分かりやすい判別法と思えます。
なお、話の進展につれ、第三章での心に痛い"飲まずにはやっていられない"エピソードを経て、物語は酒と恋------とりわけ、いかにも北村作品らしい"本を愛する男と女の心の機微"を濃やかに描くものとなっていきます。
「酔いにまかせて意図せず内面が曝け出されてしまうこと」と、「意図を練りあげて、本や版画の作者が作品を通じて自己の中の大切なものを表現すること-----それを作中のある人物曰く、「本の蔵に住むウイスキーキャット」として編集者たちがその表現を護り、引き出し、支えること」が混じり合っての妙味が、香り高く味わい深いカクテルとして読み手に差し出されます。
男と女。「気のおけない異性の同僚」と「恋人」との狭間。夫と妻。友情と各々のプライドと。作中人物と、そのモデルとなった人物ご本人と……語られるものと、秘されるものと。許せる逸脱と、どうしても許しえない漏れでた本音と。明かされる心と、あえてつき通される嘘と。
虚実皮膜のうちに泡立つ「人と人」、その「と」が当代一の巧みさで、溢れるユーモアと笑いと共に描き出されたこの『飲めば都』という小説。
是非とも、楽しみ抜き、笑い抜き、味わい抜いてみて下さい。
これは、そういう物語だと思えます。
本を愛する人、本を愛する人々を幾度もこれ以上無く見事に描きぬいてきた北村作品を愛する人は、きっとこの小説に惹かれずにはいられない筈です。
また、過去の北村作品との関係でいえば、『飲めば都』は『朝霧』収録「走り来るもの」で描かれた痛ましくも毅然とした、知と意志とに彩られたエピソードを"より明るく、笑いに満ち満ち、時に痛みや悲しみを酒と酔いに任せての大暴れに委ねつつも、明日へ向かうエネルギーに詰まった物語"に大きく広げていった小説のようにも思えます。
出来るならば、「走り来るもの」と併せて読んでみて下さい。
最後に余談を一つ。
『空飛ぶ馬』の《私》をはじめとして、同シリーズの庄司江美、『スキップ』の桜木(一ノ瀬)真理子・柳井さん・"ニコリ"島原百合香・里見はやせ、『リセット』の弥生原優子、『街の灯』の桐原道子・"ベッキーさん"別宮みつ子、『覆面作家は二人いる』の新妻千秋、『ひとがた流し』の石川千波、北村作品の単体短編の中で押しも押されぬ傑作として揺るがぬ地位を誇る名作「ものがたり」(『水に眠る』収録)の茜など、北村作品におけるヒロインや時にヒロイン以上に輝くようにも見えるサブヒロインたちは、思いを内に秘め、その秘めた勁い想いと意志の美しさとが掛け替えのない魅力となっているわけですが。
それに比して、『飲めば都』の小酒井都さんが運命のお相手とぐっとその距離を縮めたエピソードは「内に秘めた想い」という概念に収めようとどんなに願ってどんな理屈を立てようにも収まり得ない、なかなかに北村ファンとして天を仰ぎたくなるものではあって。
しかし、そんなことなど限りなくどうでも良くなってしまう、邪魔者など馬に蹴らせて殺してしまわんとする素晴らしい勢いとエネルギーこそは、正しくこの作品固有の魅力だと思えます。
この部分については是非作品の本文を参照された上で、「お前なあ……あれを読んでそういう感想になるのか」と笑ってやって下さい。
2011年7月10日に日本でレビュー済み
軽妙洒脱に物語は過ぎて、巻末に至って、ただ終わる。
職業作家が時間経過を技術で物語と化したかのような印象を受けます。
書き手が肩の力を抜いて楽しんで書いているのが伝わりますので、
読み手も構えずに手に取れば、よい暇つぶしとしての読書になるでしょう。
しかしながら、初期の作品群に接して、
この作家の作品を愛好してきた者としては、一種の危惧を抱かざるを得ません。
常に問題意識をもって己のテーマを追求せよ、とは申しません。
それは読み手にとってもなかなかしんどいことですから。
とはいえ、こだわりなくすっと読み進むことのできる文章に接すると、
その洗練さは、作家性が荒廃していく始まりなのではと恐れるのです。
ただの時間経過を見事に読ませて楽しませるのも立派な文学とは聞きますが、
わがままな一ファンとしては、それをこの作家に期待しているわけではありません。
職業作家が時間経過を技術で物語と化したかのような印象を受けます。
書き手が肩の力を抜いて楽しんで書いているのが伝わりますので、
読み手も構えずに手に取れば、よい暇つぶしとしての読書になるでしょう。
しかしながら、初期の作品群に接して、
この作家の作品を愛好してきた者としては、一種の危惧を抱かざるを得ません。
常に問題意識をもって己のテーマを追求せよ、とは申しません。
それは読み手にとってもなかなかしんどいことですから。
とはいえ、こだわりなくすっと読み進むことのできる文章に接すると、
その洗練さは、作家性が荒廃していく始まりなのではと恐れるのです。
ただの時間経過を見事に読ませて楽しませるのも立派な文学とは聞きますが、
わがままな一ファンとしては、それをこの作家に期待しているわけではありません。