ノンフイクションを書くならば、対象とした人物にしろ組織にしろ明と暗の両方を記すべきでしょう。しかし、この作品はまるで渡辺プロの宣伝文・社長渡辺晋氏の礼賛文に終始しています。晋氏に関しては欠点を一切書いていません。少なくともあれだけの芸能プロダクションを起業し、戦後の芸能界に一時代を築いた人物ならば、個性の強い面は当然あったはずで、そこから陰の部分も伺えるはずですし、その面を書いてこそ真の意味での人物史であると言えるのですが・・・・・これではまるで企業のちょうちん持ちのような記述です。又、妻の美佐氏に関してはほとんど触れていません。組織における彼女の存在はかなり大きなものだったはずですが、その面は何故か避けているように感じられます。
渡辺プロダクションそのものにしても、例えば藤木孝のように独立を目指した歌手を干したように、その経過等組織としての厳しい面が一切話題として触れられていません。最後まで繰り返し晋氏への褒め言葉が繰り返されるだけで、誠に退屈な一冊で読んだのが時間の無駄でした。新潮45と週刊新潮がこのような文章を連載し、単行本にまでしたのは驚きです。
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「芸能ビジネス」を創った男 ナベプロとその時代 単行本 – 2006/3/16
野地 秩嘉
(著)
- 本の長さ224ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/3/16
- ISBN-10410414102X
- ISBN-13978-4104141029
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/3/16)
- 発売日 : 2006/3/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 224ページ
- ISBN-10 : 410414102X
- ISBN-13 : 978-4104141029
- Amazon 売れ筋ランキング: - 33,577位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 77位タレント本(総合)
- - 78位ビジネス人物伝 (本)
- - 80位演劇 (本)
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トップレビュー
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2006年6月14日に日本でレビュー済み
少々渡辺プロダクションよりな感じが見受けられる点は
否めませんが、エンターテイメントビジネスの歴史の
一側面を学ぶ意味では役立つのではないでしょうか?
惜しまれるのは、やや功績ばかりに
日を当てすぎたのかな、と思われるところ。
逆にそれが、業界のダークな部分を際立たせて
しまっているようで、残念な気がしてなりません。
否めませんが、エンターテイメントビジネスの歴史の
一側面を学ぶ意味では役立つのではないでしょうか?
惜しまれるのは、やや功績ばかりに
日を当てすぎたのかな、と思われるところ。
逆にそれが、業界のダークな部分を際立たせて
しまっているようで、残念な気がしてなりません。
2008年5月11日に日本でレビュー済み
「ナベプロ帝国の興亡」をはじめとして、ナベプロVS日テレ戦争をきっかけとしたナベプロの栄枯盛衰については、意外にこれまで渡邊晋サイドから、っていうか渡邊晋にスポットを当てて書かれたものは少なかった。まぁ「驕る平家は久しからず」っていう文脈がみんな好きだからなぁ(ピンク・レディーから亀田一家まで、そういう商品ですから)。この本は、そういったみんなが好きなホットな文脈じゃなくって、“芸能ビジネス”ってクールな文脈であらためてナベプロおよび渡邊晋を再評価していて今様だ。このビジネスの側面から入って人物の魅力に至るっていう、いわゆる立志伝とは逆のアプローチが新鮮であり、著者の真骨頂でもある。
確かにタレントのマネージメントだけじゃなくて、番組制作、映画制作、楽曲の原盤制作とその著作権っていう収入源の確保が芸能をビジネスとして成立させた訳で。ホリプロもバーニングもジャニーズも吉本も、ナベプロが先鞭をつけたビジネスのおかげで大きくなれたんだよなぁ。
しかし、“周りをぐいぐい引っ張っていくタイプのリーダーではなく、仲間や部下たちが腕を振るえるように状況を整えることを得意としていた”って人物像はまさにベースマンだ。美佐も晋のお膳立てによって存分に本領を発揮出来た訳だし。それと“ミュージシャンの独善的な演奏を嫌っていた”っていう顧客目線ね。これって、今の“マーケティング”ってやつとは微妙に違う気がするんだよね。「客の立場に立って」っていうとき、どこまで本気で客になり切れるかっていうさ。客としてゼニの払えるパフォーマンスかどうか直感で考えることが出来るのと、所詮、客=ゼニってしか考えられないのとはまったく違うからね。
それにしても戸井 十月の植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」にも引用されていたハナ肇の、今際の際での「カツ、カツカレーも」のエピソードは超爆笑で超悲しくってサイコー!
確かにタレントのマネージメントだけじゃなくて、番組制作、映画制作、楽曲の原盤制作とその著作権っていう収入源の確保が芸能をビジネスとして成立させた訳で。ホリプロもバーニングもジャニーズも吉本も、ナベプロが先鞭をつけたビジネスのおかげで大きくなれたんだよなぁ。
しかし、“周りをぐいぐい引っ張っていくタイプのリーダーではなく、仲間や部下たちが腕を振るえるように状況を整えることを得意としていた”って人物像はまさにベースマンだ。美佐も晋のお膳立てによって存分に本領を発揮出来た訳だし。それと“ミュージシャンの独善的な演奏を嫌っていた”っていう顧客目線ね。これって、今の“マーケティング”ってやつとは微妙に違う気がするんだよね。「客の立場に立って」っていうとき、どこまで本気で客になり切れるかっていうさ。客としてゼニの払えるパフォーマンスかどうか直感で考えることが出来るのと、所詮、客=ゼニってしか考えられないのとはまったく違うからね。
それにしても戸井 十月の植木等伝「わかっちゃいるけど、やめられない!」にも引用されていたハナ肇の、今際の際での「カツ、カツカレーも」のエピソードは超爆笑で超悲しくってサイコー!