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ニッポニアニッポン 単行本 – 2001/8/1
- 本の長さ158ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2001/8/1
- ISBN-104104180025
- ISBN-13978-4104180028
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商品の説明
商品説明
17歳の鴇谷(とうや)春生は、自らの名に「鴇(とき)」の文字があることからトキへのシンパシーを感じている引きこもり少年。日本産のトキの絶滅が決定的であるにもかかわらず、中国産のトキによる保護増殖計画に嬉々とする「欺瞞」に違和感を抱いていた春生は、故郷を追われたことをきっかけに「トキの解放」を夢想しはじめる。その選択肢は「飼育、解放、密殺」のいずれか。「ニッポニア・ニッポン問題の最終解決」という自らが描いたシナリオを手に、スタンガン、手錠、催涙スプレーで武装した春生は、やがて佐渡トキ保護センターを目指す…。
「俺を一人にしたことを、この国の連中すべてに後悔させてやる」と決意する春生は、拠るべき場所もなく孤独にさいなまれながら生きる現代人の「いらだち」を増幅させた人物。現実と虚構との境界が崩れてしまった若者だ。本書がきわめてスリリングなのは、その虚構への扉が読み手にも開かれている点だ。春生が情報収集するサイトは、ほとんどが現実に存在する。「虚構」の象徴とされるインターネットが、本書では読み手と春生をリアルにつなぐ重要な接点となっている。読み手をたえず挑発し、いつしか作品世界へと巻き込んでしまう快作だ。(中島正敏)
内容(「MARC」データベースより)
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2001/8/1)
- 発売日 : 2001/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 158ページ
- ISBN-10 : 4104180025
- ISBN-13 : 978-4104180028
- Amazon 売れ筋ランキング: - 511,873位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 11,763位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
1968年生まれ。小説家。
「アメリカの夜」で第37回群像新人文学賞を受賞しデビュー。1999年『無情の世界』で第21回野間文芸新人賞、2004年『シンセミア』で第15回伊藤整文学賞および第58回毎日出版文化賞、2005年『グランド・フィナーレ』で第132回芥川賞をそれぞれ受賞した。
その他の著書に『インディヴィジュアル・プロジェクション』『ニッポニアニッポン』『プラスティック・ソウル』『映画覚書vol.1』『阿部和重対談集』『ABC 阿部和重初期短編集』『ピストルズ』など。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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もし、似たような先行作品がなかったら鴇に名前が似てるから、自分を稀有な存在と誇るひッキーのストーカー主人公が鴇奪還し殺そうとするって設定はあっぱれだったと思う。でも、すでに先行作品に(著者自身意識しているように)金閣の美に魅入られて、焼失せしめんとする三島由紀夫金閣寺という作品がこの作品の数十倍の筆力をもって、注意深く力ある流麗な筆致と心理描写で読み継がれている中で、今さらこんなことを書く意味がどこにあるのか解せない。
仮に、同じモチーフで、ひきこもりとか現代的モチーフを用いていることが評価に値するという意見があるとしたら、村上龍の「共生虫」のほうがはるかに上手。こうしたすぐれた先行作を意識したにしてはあまりに無防備で、筆力に書くと思います。
中高生は誰もが通過する届かない思慕の念を溜め込んだあまり、ドス黒い鬱屈を天然記念物のニッポニアニッポンの殺害に転化してしまうという、いびつで苛烈なロマンティシズムの破綻。比喩表現を最小限に抑えた愚直で朴訥とした文章が、私たちのの些細な負の感情を鋭敏につかみとり、かっさらうようにして滅亡への道へ誘う。
ロバート・デ・ニーロほどの魅力は、主人公にはないけれど。
少年の内面の描き方はステレオタイプで新鮮味がない。
トキと天皇制と絡めて描くのも、安易過ぎる。
もう少しひねって欲しかった。
最後のシーンに向かっていく描写にはエネルギーを感じられたし、
一気に読めた。そこは評価したい。
やたら難解な漢字がでてくるのは読みにくいし(パソコンで書くと簡単に変換してくれるからって、やりすぎな感じだ)、
作者の知的コンプレックスが見えてくる様で、
見苦しかった。
主人公・鴇谷春夫のトキに対する感情が綴られているわけなんだけど、
正直、読んでてシラけてしまった。
つまり感情移入できない。
マスコミが取り上げる類型的少年を描写してて、それが僕には食傷気味としか感じなかった。
これまでも、どこまでが現実かわからない世界の描写がすごかったですが、本作品の主人公は妄想・壊れ具合が最高です。
トキの字「鴇」を、苗字に持っているゆえに、トキにこだわる17歳の主人公。故郷で、好きな女の子との仲が、絶望になり、都会で一人暮らしをして、インターネット漬けの毎日。
そんな彼は、「ニッポニアニッポン問題の最終解決」に向けて着々と進みつづける行動(インターネットでの情報収集や、スタンガンとか危ないグッズのインターネット通販)をとります。そして、その間に入る彼の妄想全開その他の回想シーンが笑えます。
「何でトキをテーマに?」と思ったけど、日本の3つの象徴の最後のひとつという主人公の強引なこじつけにはちょっと納得できました。
最後に、後半は、いきなり、学習効果を発揮して、女子中学生に優しくなったり、これまで主人公の視点だったのが、最後の最後にいきなり他者の視点になるのが気になりました。なんか力抜けるし。
そして物語は別の人に受け継がれる?
政治的なテーマが通低にあるような気配を漂わせながら、
引きこもりな凶悪少年の妄想がついに現実へと向かう、
その一部始終が、緊張感を持って語られていくさまはなかなかの
ものがあります。
初読の際は、「うーん、つまらんかも」と思ったのですが、
しばらく経って再読したら「うーん、おもしろい」に変わって
いました。
初読の当時は、まだ、『ニッポニアニッポン』のもつ時代性を
掴みきれていなかったのかもしれません。その意味でも、じつに
同時代性を伴った作品だとは思います。
最後に、阿部氏のロリータ・コンプレックス描写は小気味いいもの
があります。 ボクは好きです、こういうの。