川上弘美さんのエッセイをまとめたものです。
新聞や雑誌に寄せたられたものたちが集う。
エッセイの主題に統一感はない。
それなのに、読んでいると、連作短編小説みたいな上質な味わい。
この作家の「味」は、やはり書き手の“顏がみえる”それなのです。
マイベストワンエッセイは、『多摩川』。
二子玉川駅から、多摩川を渡る橋をめぐる小さな散歩についてのエッセイ。
この散歩は、ぼくもとても馴染みがあるので、風景をリアルに想像できるのです。
橋を川崎市側に渡ると、「二子神社」があります。
そこに、岡本太郎さんが母上であるかの子さんに捧げた『誇り』という彫刻がある。
天空に向かってそそり立つ彫刻。
岡本太郎さんは、若き日に、パリに単身で滞在しました。
10年間も。
川上さんは、「逡巡」という言葉を綴ります。
あの巨人、岡本太郎さんでも、「逡巡」することがあったのだと。
“人はどのくらいの逡巡を生きている間に繰り返すのだろう”
川上さんのこの呟きを、ぼくは愛でたい。
そして自分に問い重ねる。
歓迎の気持ちで。
人は少しずつ変わっていくいきものなのだ。
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ゆっくりさよならをとなえる 単行本 – 2001/11/24
川上 弘美
(著)
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- 本の長さ215ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2001/11/24
- ISBN-104104412023
- ISBN-13978-4104412020
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商品の説明
商品説明
公園の芝生で寝ころんで缶ビールを飲んでいると、知らない初老の男性に声をかけられ、あげくの果てに、その男性に「あなたはわたしの妻に似ている」と言われたセイシュンの日の思い出話や、ベタベタのスパゲティナポリタン(略称スパナポ)が突然食べたくなり、町中の喫茶店を探し回るもけっきょく見つけられず、むくんだ足を引きずりながら家に帰った話など、これまでにさまざまな新聞や雑誌に連載されたエッセイ59篇を収録。どのエッセイも、彼女の日常に横たわる時間をやさしく紡ぎ取り、独特のタッチでしたためたものばかりだ。
エッセイの中には、ヘミングウェイやマルグリット・デュラスをはじめとする作家たちとの出会いのほか、川上文学の礎を築いてきた数々の書物についてのエピソードも数多く盛り込まれており、作家川上弘美の人となりや魅力を十分に感じることのできる内容となっている。
彼女は1996年に『蛇を踏む』で第115回芥川賞を受賞した後、『溺レる』で伊藤整賞と女流文学賞、『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞を受賞するなど数々の賞を獲得。日本文学のなかでも、筆力は折り紙付きの女流作家である。
彼女が連載エッセイを書いていて、最後の回になると必ず思うことがあるという。「さみしいから文章を書いているのに、書くことによってますますさみしくなる。難儀です。でも生きているから、生きのびてこられたから、さみしさも感じられるわけです。難儀もまたよろし、ですね」。(石井和人)
内容(「MARC」データベースより)
今までで一番多く足を踏み入れた店は本屋、次がスーパー、三番めは居酒屋だと思う…。川上弘美的日常を綴る最新エッセイ集。道草したみたいに愉快になれます。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2001/11/24)
- 発売日 : 2001/11/24
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 215ページ
- ISBN-10 : 4104412023
- ISBN-13 : 978-4104412020
- Amazon 売れ筋ランキング: - 970,121位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 14,513位近現代日本のエッセー・随筆
- - 88,747位ビジネス・経済 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1958年生まれ。1996年「蛇を踏む」で芥川賞。1999年『神様』で紫式部文学賞。2000年『溺レる』で伊藤整文学賞と女流文学賞。2001年『センセイの鞄』で谷崎潤一郎賞。2007年『真鶴』で芸術選奨を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 パスタマシーンの幽霊 (ISBN-13: 978-4838721009 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2007年11月20日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
川上 弘美さんの小説を初めて読んだとき、その独特のまったりして不思議な魅力に惹きこまれました。
こんな独自の世界を描き出す人はどんな人なんだろう?と思ってこの本を手に取りました。
作品と同じように緩やかに時間が流れているような、ステキなお人柄が滲み出ていて、なおかつ日常を語るその言葉の中に珠玉のひと言が巧みに散りばめられています。
「・・・でも生きているから、生きのびてこられたから、さみしさも感じられるわけです。難儀もまたよろし、ですね。」というあとがきの中の文を読んで、大きくうなずき、ボロっと涙を流しました。
こんな独自の世界を描き出す人はどんな人なんだろう?と思ってこの本を手に取りました。
作品と同じように緩やかに時間が流れているような、ステキなお人柄が滲み出ていて、なおかつ日常を語るその言葉の中に珠玉のひと言が巧みに散りばめられています。
「・・・でも生きているから、生きのびてこられたから、さみしさも感じられるわけです。難儀もまたよろし、ですね。」というあとがきの中の文を読んで、大きくうなずき、ボロっと涙を流しました。
2010年8月22日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
川上弘美さんの本は、この「ゆっくりとさよならをとなえる」と「なんとなくな日々」のエッセイしか読んだことありません。いずれも癒し系の本です。
毎日なんとなくすごしていて何が悪いという感じです。
毎日なんとなくすごしていて何が悪いという感じです。
2002年5月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
さまざまなところに発表した川上弘美のエッセー59編が掲載されている。あとがきで著者自身も言っているが、まとまりのないエッセー集になってしまうかというとさにあらずで、全編を通じて川上弘美という親しみの持てる女流作家の息づかいが聞こえてくるように著者自身を身近に感じることができる。
この人の感性が中々素晴らしいというか面白い。本が好きで、酒が好きで、ちょっと怠惰で面倒臭がりである。学校を出て直ぐに中学の理科の教諭をやっていたらしい。作家であり主婦であり大柄の女性らしい。両親との関係も、祖母との関係も優等生的ではないけれども、何とも親しみが持てる。両親からみれば良い娘らしい、といった具合で、読んでいる内に、一度会ってみたいような興味ある女性が浮かび上がってくる。
町を歩いていて突然出くわす不思議なことへの好奇心が強いからこそ作家になったのだろうか。
しょうがパンやナポリタンを懐かしんでみたり、居酒屋で見たアマガエルを見つめたり。井の頭公園への遠足の思い出やら、明石の町の思い出やらとエッセーの題材は実に雑多ではあるが、その雑多さは居酒屋でこの作者の話しを聞きながら酒を飲んでいるような気分で全く違和感がない。
文章が軽妙で飾らないが、洒落ているという点においても、中々良いエッセー集を読んだという気になる。
この人の感性が中々素晴らしいというか面白い。本が好きで、酒が好きで、ちょっと怠惰で面倒臭がりである。学校を出て直ぐに中学の理科の教諭をやっていたらしい。作家であり主婦であり大柄の女性らしい。両親との関係も、祖母との関係も優等生的ではないけれども、何とも親しみが持てる。両親からみれば良い娘らしい、といった具合で、読んでいる内に、一度会ってみたいような興味ある女性が浮かび上がってくる。
町を歩いていて突然出くわす不思議なことへの好奇心が強いからこそ作家になったのだろうか。
しょうがパンやナポリタンを懐かしんでみたり、居酒屋で見たアマガエルを見つめたり。井の頭公園への遠足の思い出やら、明石の町の思い出やらとエッセーの題材は実に雑多ではあるが、その雑多さは居酒屋でこの作者の話しを聞きながら酒を飲んでいるような気分で全く違和感がない。
文章が軽妙で飾らないが、洒落ているという点においても、中々良いエッセー集を読んだという気になる。
2015年10月28日に日本でレビュー済み
昔新品で購入しました。
川上さんのやわらかい文体がとても好きです。
エッセイでより如実に表れます。
ゆっくりとお酒が飲みたくなります(飲めないけど)。
川上さんのやわらかい文体がとても好きです。
エッセイでより如実に表れます。
ゆっくりとお酒が飲みたくなります(飲めないけど)。
2008年9月6日に日本でレビュー済み
大好きな人。川上弘美。友達になりたい人。
小説も好きだけれど、エッセイもまたいい。
作家になるために生まれてきたような人。
一人でふらりと近所のお店に入って、お酒飲んだり、
あてのあるような無いような気持ちで電車に乗ってみたり、
どうでもいいよなことにこだわってみたり、
のんびりと過ごす週末を後押ししてくれる一冊。
小説も好きだけれど、エッセイもまたいい。
作家になるために生まれてきたような人。
一人でふらりと近所のお店に入って、お酒飲んだり、
あてのあるような無いような気持ちで電車に乗ってみたり、
どうでもいいよなことにこだわってみたり、
のんびりと過ごす週末を後押ししてくれる一冊。
2012年3月26日に日本でレビュー済み
川上弘美の身辺雑記。
とても短いエッセイの寄せ集めであるが、
掌編小説を読むような感覚を味わうことができる。
川上弘美は天才だなぁ、と読むたびに思う。
角田光代も好きで、彼女は身近な人に感じるが、
川上には、そうは感じない。雲の上の人のようだ。
短い一編の中に、キラキラっとした描写を差し挟み、
アフォリズムも散りばめる。
生まれながらにして小説家だ、と言うほかないように
思うのであります。はい。
とても短いエッセイの寄せ集めであるが、
掌編小説を読むような感覚を味わうことができる。
川上弘美は天才だなぁ、と読むたびに思う。
角田光代も好きで、彼女は身近な人に感じるが、
川上には、そうは感じない。雲の上の人のようだ。
短い一編の中に、キラキラっとした描写を差し挟み、
アフォリズムも散りばめる。
生まれながらにして小説家だ、と言うほかないように
思うのであります。はい。
2014年9月26日に日本でレビュー済み
「蛇を踏む」を読んだ時には気付かなかった味わい深い魅力をこの本には感じました。短い文章なのに自然に入り込めて久しぶりに読み終わった瞬間から川上弘美さんの他の本も読んでみたくなりました。