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いつか王子駅で 単行本 – 2001/6/1

4.0 5つ星のうち4.0 35個の評価

商品の説明

内容(「MARC」データベースより)

雲を引いて駆ける名馬の幻影さながらに、一両編成の逃げ馬が、王子駅に向かって走り去る―。都電荒川線の沿線に根をおろした人びとと、あてどない借家人の「私」の日々を描き出す、滋味ゆたかな長篇。

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2001/6/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2001/6/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 164ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4104471011
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4104471010
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 35個の評価

著者について

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堀江 敏幸
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1964(昭和39)年、岐阜県生れ。1999(平成11)年『おぱらばん』で三島由紀夫賞、2001年「熊の敷石」で芥川賞、2003年「スタンス・ドット」で川端康成文学賞、2004年、同作収録の『雪沼とその周辺』で谷崎潤一郎賞、木山捷平文学賞、2006年、『河岸忘日抄』で読売文学賞を受賞。おもな著書に、『郊外へ』『いつか王子駅で』『めぐらし屋』『バン・マリーへの手紙』『アイロンと朝の詩人―回送電車III―』『未見坂』ほか。

カスタマーレビュー

星5つ中4つ
5つのうち4つ
35グローバルレーティング

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上位レビュー、対象国: 日本

2021年3月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
〇 再評=はじめて読んだ2年前には「途中で放り出されたような不全感が残る」と評して3星を付けた。その後なんとなく気になったので、もう一度読み返した。評価を全面的に改めたい。5星にする。

〇 なぜ前回は不満だったのか? 理由の第一は、前回は物語のストーリーを重視したところにある。この小説では謎の印鑑彫師との交渉、飲み屋の女将との約束、家庭教師をしている中学生との約束の3つの物語(それぞれに魅力的だ)が絡み合っている。結局のところ、中学生との約束は守られてめでたく終わりを見るが、あとのふたつは宙ぶらりんのまま終わる。これが不全感の源だった。

〇 第二は、独特の文体に馴染めなかったから。ところどころ不自然に長くつなげたセンテンスを挿入してある。わざとらしくて読んでいて居心地の悪さを感じた。

〇 なぜ今回は5星にあらためたのか? まずストーリーではなく登場人物の造型を楽しむことができたから。ここに登場するのはみな親しみやすくて生活知に富んだ良い人たちだ。それぞれに個性的であり謎もある。次に、著者の文体に馴れ、不自然に長いセンテンスの意図も理解できるようになったから。たぶん、時間で言えば一瞬の出来事をゆっくりとしっかりと追いたかったのだ。ドラマのなかにスローモーションが挿入されて強調される感じだろう。

〇 ほんとうならば、こんなに長々と論じるようなむずかしい小説ではない。東京の庶民的な下町(王子は下町と言えるのかな?)に暮らす人たちをそれぞれかなり理想化して魅力的に描いた人物群像で、深く考え込まずに気軽に読んで、余韻のようなものを楽しめば良いのだと思う。そのようなものとしては申し分ない。

前回評(2021年3月16日)=途中で放り出されたような不全感が残る

〇 この作者の文章は好きで、ほかの作品も読んでいるのだが、時々中途半端なところで放り出されたような、どこかいびつな形をした作品がままある。それが文学だ、だから小説なのだと言うのかもしれないが、「雪沼とその周辺」のような読んで気持のよい作品も書いているのだから、作者の小説観はそればかりでもないだろうのに。

〇 ともかく、この作品も何かにつけ知が勝った内容と構成で、最後は不全感を残した状態で読者は放り出される。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年3月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
競馬のイメージが、
走り去る都電(やそれを追いかける「私」)や
200m走を駈ける少女たちへの姿へと重なる。
その描かれ方は、とても面白い。
結末と言った結末のないまま、東京の下町の様子が描かれる。
ところどころに挿入される文芸批評的モノローグも秀逸であった。

ところで、、、、
個人的に、本書の中で印象に残ったシーンがあった。それは「私」がとある平日の午後にふらりとあらかわ遊園の観覧車に乗り荒川の濁った水面を眺める、という場面だったのだが。。。

これを読んで私はあらかわ遊園の観覧車にどうしても乗りたくなり、実際に足を運んで乗ってみた。以下所感だが、あらかわ遊園の観覧車は老朽化が進み、鉄籠にも錆が目立った。その日の気圧配置も影響してか、籠内にはびゅうびゅうと風が吹き込み、時おりの強風に籠はもまれ、なかなかスリリングなアトラクションであった。とてもではないが、荒川の水面を眺めてのんびり景色を楽しむという心の余裕は持てない。荒川の水面を勇気を振り絞って見下ろしたが、予想に反してこじんまりとした川幅、泥水という表現がぴったりな水の色であった。川はコンクリートの両岸に囲まれ肩身を狭そうに流れている。向こう岸には遊園を見下ろすように土気色のマンションがそびえており、こちらの岸にはややさびれかかったあらかわ遊園。両者の狭間を流れる泥水。エリア一体が古色蒼然とした風味を帯びているかのような印象を抱いた。

フィクションと現実の違いを身をもって実感した休日となったのでした。。。
9人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年9月27日に日本でレビュー済み
王子? 何処?

東京23区内といえどもなんとなく半端...いや半端にもならない独特の風情を持った王子周辺。

私はそれが好きで住んだ口ですが、この主人公もそう。

都電、飛鳥山、紙工場、テンポイント、黒電話...ちょっと昔くらいがちょうどいい王子で、

時間給講師と龍を背中に背負った彫り師や古本屋の主人、珈琲を出す飲み屋のおかみさんやら登場人物も味のある人々の物語。

飲み屋に入って居合わせた人の話を聞くともなしに聞くようなそんな気持ちになる作品でした。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2011年6月9日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
とにかく不思議な世界を感じ、そして一気に引き込まれてしまったというのが第一の感想。
物語としては主人公とその周囲の人々との日常、小さな事件、主人公の回想と現実との交錯などが綴られているもので、あまり難しい事を考えずに素直に楽しめた作品だったと感じる。

また文中登場する「サアカスの馬」…この私も遠い昔に教科書で学んだ実在作品で、まさかこんなところで再会するとは予想外!

さて、文中には「あれはどうなったんだろう?」という疑問を残したままでの場面転換があるように感じたのだが、それは読み手である私たちに”自由な想像の領域”を与えてくれたのだろう、と考えている。それは結末もまた・・・。

そして・・・
「トム木挽」…これほどの名訳(迷訳?)は誰も成しえなかった偉業かも!(笑)。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2013年4月10日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
作者は、この物語をどのように進め、どのように盛り上げてゆくのかが解っていないのかな?
とにかく、物語の進行よりも「蘊蓄」にページを割き過ぎです。「蘊蓄」のあまりの多さに
物語の本筋を忘れてしまいそうでした。「蘊蓄本」としては良いかも知れませんが、本筋に
引き込むような「魅力」や、圧倒的な「読み応え」にかけるような気がしました。
6人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2018年12月9日に日本でレビュー済み
めったに読まない類の作品であるが、読んでよかった。
戦前の島村利正や滝井幸作の作品に対する文学批評的なくだりは、自分に新たな読書対象を与えてくれた。
もちろん著者の他の作品も読みたくなった。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2011年3月16日に日本でレビュー済み
どういえばいいのだろうこの文体。この作家特有の知性と感覚がもたらす奔放な文章のようでありながら、緻密な構成と洗練されたからくりで成立している。
ふと知り合った左肩から上腕にかけてびっしりと彫られた昇り龍の刺青をもつ正吉という男。その人が置き忘れたカステラをもってさまようところからこの物語ははじまる。正真正銘の極道者なのか、そしてこの存在は何を意味しどのような仕掛けとなっているのだろう。

私を取り巻く市井の人々の日常や周辺の風景を辿りながら、島村利正、岡本綺堂、滝井耕作、徳田秋声らの言葉や文章、さらにモンゴルの民話や名勝負を演じたテンポイントやトウショウボーイなど競馬のエピソードに纏わる回想やまなざしが織り込まれ、心地いいリアリティを成立させている。だから、いつの間にか非日常の脇道に入って楽しむような長い修飾の文章を経由しては、市井の人々の日常的領域に戻るといった塩梅なのだ。換言すれば、書き手としての思弁的世界を絶えず相対化しながら別次元のリアルな世界を成立させているようでもある。確か、前作の短編『郊外へ』のなかで、そのような習性ともいうべき特質を自覚されている記述もあって可笑しかったのだが、ぼくはこの知的で洗練された文体はとても好きです。

偏執狂的な長いせりふで脱線する吉本のお笑い芸人(いけのめだか)がいるけれど、ここでは決して脱線することはなく市井の人々の日常とともにある昇り龍や身体で思考する職人の価値観やまなざしが丁寧に描かれる。つまり、日常と非日常の錯綜する中で新しく生成されるリアルな文学的地平の意味を問いかけるのだ。

それこそがまさしく感動に値するものであり傑出した文学といえる所以である。ぼくはそう思う。
7人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2006年10月3日に日本でレビュー済み
つい二年ほど前まで、王子は私の地元だった。

私だけではない、父祖代々住み暮らし、両親のそのまた両親が生まれ育った地でもある。地元民というより、土着民といった感じだ。

そんな私にとって、この本に出てくる素朴で飾り気のない、気の置けない人々は、正に昨日までの隣人であり、出てくる街並は正に故郷である。

高度経済成長やバブルの崩壊を経てなお昭和三十年代の匂いの残るこの土地で育ったものにとっては、東京の激し過ぎる変化の波もどこか遠いものだったが、さすがにに世紀を跨ぐとそうもいってられなくなってきたようだ。従って、ここに書いてあるどこか懐かしい東京というのも、いつまで残っていられるか覚束なくなってきているのが現状だ。

人通りのめっきり少なくなった商店街、迷路を思わせる曲がりくねった路地、バラックに毛の生えたような波トタンの家、黒板塀に囲まれた猫の額のような庭、零細を絵に描いたような家内工業の街工場。ページをめくる度に、街に漂う総菜の匂いや、機械を回すモーター音や、隣人たちのざっくばらんな話し声が蘇る。

地元以外の人には、二度楽しめる読み方があるので、却ってお得かも知れない。

一度は知らない街の様子を想像しながら読む。そのあと実際に都電に乗って、訪ねてみる。今はキリンビールの工場も移転するなど、本書が書かれた時点からの変化もあるので、それを確かめるのもよろしかろう。

そのあともう一度読むと、著者の視点と読者自身の視点のずれ、或は著者が書いたものと書かなかったもの、著者の創作と実際の姿の間から立ち上る立体的な街の姿が、更に読書に深みと奥行きを与えてくれるだろう。

私達の街からこんな魅力的な本を創ってくれたことを、著者に感謝したい。
19人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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