少子高齢化時代の今日、今に生きることの大切さの意味を「デンデラ」は読む人に問いかけている。日本が戦後74年をこえて人工的には4人に一人は70歳をこえ団塊の世代と言われ昭和22〜25年生まれの大半が70歳をこえた。歳をとるそれは祝うべき事柄であるが「デンデラ」に描かれるのはその当時は少なくない村社会、とりわけ人口、数百人での自給自足経済で生きる人々は60歳になるとデンデラ野に捨てられた。そして村人、家族友とはなれ無人の山あいにあって生き絶えていく。凍えそうな降り積もる雪。捨てられる山間の僻地は人が住めるところではない。まず生きるに欠かせぬ食べ物とてない。そんな中で極楽を信じる(老婆)は横たわり死の瞑想に入る。白帷子に降りしきる雪あと数時間で凍死寸前にあって予想外の事態に出会う。古びた帷子、防寒用の外衣に身をつつんだ老婆二人。それは同じ部落の山入りで死での別れをした筈の同朋だった。住む生き物といえば野うさぎか、言い伝えで知られる山の主という熊。今この目で見る人は明らかに生きた人間。何故、そこにいる。この人らは数年も前に極楽に行ってるはず?
物語では齢70歳でお山に行くことを設定しているが柳田国男の「遠野物語」には60歳の伝承を伝えており部落の特性では一律ではない。主人公、斎藤カユ。そしてかっては先人としてお山に眠っているはずの知り人、自分を入れてその数50人。
総支配に関与するのが30年前にお山に捨てられた長老、三ツ屋メイ。村の掟に逆らいてずくりで築き上げた手ずくりの隠れ家。100歳の大婆の想いとは何なのか。極楽行きとは全く正反対の執念。生きることの意味をといかけている。
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デンデラ 単行本 – 2009/6/1
佐藤 友哉
(著)
- 本の長さ331ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2009/6/1
- ISBN-104104525030
- ISBN-13978-4104525034
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2009/6/1)
- 発売日 : 2009/6/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 331ページ
- ISBN-10 : 4104525030
- ISBN-13 : 978-4104525034
- Amazon 売れ筋ランキング: - 580,586位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 155,335位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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2019年3月11日に日本でレビュー済み
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2022年4月7日に日本でレビュー済み
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映画をみてから原作があるとのことで本作を読みました。
ネタバレになるかもしれませんが、映画と本作では一部内容が異なります。
しかし映画の疑問はこれで解けると思います。
でもなぁ、熊と全力疾走の追いかけっこしたらすぐに追いつかれちゃうと思うの。
そこが違和感。
ネタバレになるかもしれませんが、映画と本作では一部内容が異なります。
しかし映画の疑問はこれで解けると思います。
でもなぁ、熊と全力疾走の追いかけっこしたらすぐに追いつかれちゃうと思うの。
そこが違和感。
2011年7月20日に日本でレビュー済み
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一言で言うと、奇抜な設定が活かしきれず、残念です。
老婆たちが、自分たちを捨てた村を襲撃するなんて、よく考えつくものだと感心したのですが、それで血みどろの復讐劇にするのではなく、熊との戦いにスライドしてしまっています。
もっと男女差別を強調して、男社会への憎悪という風にもっていけば、無理なく大殺戮のフィナーレとなったのではないかと、思います。つくづくもったいないと思います。
老婆たちが、自分たちを捨てた村を襲撃するなんて、よく考えつくものだと感心したのですが、それで血みどろの復讐劇にするのではなく、熊との戦いにスライドしてしまっています。
もっと男女差別を強調して、男社会への憎悪という風にもっていけば、無理なく大殺戮のフィナーレとなったのではないかと、思います。つくづくもったいないと思います。
2010年2月23日に日本でレビュー済み
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70歳を迎えて「お山参り」をした斉藤カユと、「赤背」という熊の視点から描かれる、おどろおどろしい物語です。
「デンデラ」とは、東北地方の高冷地で、その昔、実際におこなわれていた「口減らし」のための姨捨山を指す言葉です。山中に建てられた小屋で、死を待ちながら共同生活する風習が実際にあったようです。仏の座である「蓮台」の字が当てられており、「れんだい」が訛ったものが「デンデラ」。仏の場所=墓地という意味もあるようです。
この小説の設定は、少し違います。
70歳になり「お山参り」をした老人は、冬の過酷な山中で死ぬことで極楽浄土が約束されているというルールが「村」の生活の中で教育されており、本人もそれを誇らしいこととして確実に死ぬつもりでお山へ入ります。
しかし、なんとこの過酷な山中で生き延びてしまった老婆がおり、「デンデラ」を作ってお山へ来た老婆ばかりを助け、自分を捨てた「村」を襲撃して恨みを晴らすという目的で共同生活をしています。
70年間暮らした村の掟や価値観と180度違う価値観に支配されたデンデラで、斉藤カユが何を感じ、どのように自分自身と向き合っているかが、この小説の「読みどころ」だと思います。寒さ、空腹、疲労、疫病、ケガ、熊の襲撃、仲間の無惨な死に直面しながら、納得のいく生き様、死に様を模索する老婆たちの格闘の中に、思わず自分を置いてしまう、考えさせられる良い作品です。集団心理の発生・拡大も、優れた描写が味わえます。
また、第2の視点である熊の描写も非常に斬新です。動物の本能に対する著者の理解の深さを感じさせます。
昔話調の優しく丁寧な語り口とは裏腹に、熊との格闘シーンなど、表現が非常にグロテスクですし、風呂にも入れない老婆たちの汚れた様子には気持ち悪さを感じるかもしれません。しかし、それらに寄り添えれば、それらは「脳内リアル」として自然に受け入れられると思います。★5つでお勧めします。
「デンデラ」とは、東北地方の高冷地で、その昔、実際におこなわれていた「口減らし」のための姨捨山を指す言葉です。山中に建てられた小屋で、死を待ちながら共同生活する風習が実際にあったようです。仏の座である「蓮台」の字が当てられており、「れんだい」が訛ったものが「デンデラ」。仏の場所=墓地という意味もあるようです。
この小説の設定は、少し違います。
70歳になり「お山参り」をした老人は、冬の過酷な山中で死ぬことで極楽浄土が約束されているというルールが「村」の生活の中で教育されており、本人もそれを誇らしいこととして確実に死ぬつもりでお山へ入ります。
しかし、なんとこの過酷な山中で生き延びてしまった老婆がおり、「デンデラ」を作ってお山へ来た老婆ばかりを助け、自分を捨てた「村」を襲撃して恨みを晴らすという目的で共同生活をしています。
70年間暮らした村の掟や価値観と180度違う価値観に支配されたデンデラで、斉藤カユが何を感じ、どのように自分自身と向き合っているかが、この小説の「読みどころ」だと思います。寒さ、空腹、疲労、疫病、ケガ、熊の襲撃、仲間の無惨な死に直面しながら、納得のいく生き様、死に様を模索する老婆たちの格闘の中に、思わず自分を置いてしまう、考えさせられる良い作品です。集団心理の発生・拡大も、優れた描写が味わえます。
また、第2の視点である熊の描写も非常に斬新です。動物の本能に対する著者の理解の深さを感じさせます。
昔話調の優しく丁寧な語り口とは裏腹に、熊との格闘シーンなど、表現が非常にグロテスクですし、風呂にも入れない老婆たちの汚れた様子には気持ち悪さを感じるかもしれません。しかし、それらに寄り添えれば、それらは「脳内リアル」として自然に受け入れられると思います。★5つでお勧めします。
2013年2月24日に日本でレビュー済み
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楢山節考が姥捨て山の話なら、このデンデラは姥捨て山のその後を描いた作品です。 ある貧しい村では、老人たちは70歳をすぎると、息子に背負われ山に捨てに行かれます。 ここまでは良く聞く話です。 しかし、この作品では、捨てられた主人公、斎藤カユが、自分以前に捨てられた老婆たちに救われます。 そして49人の70歳以上の老婆で構成されたもう1つの村、「デンデラ」へ連れて行かれます。 主人公を入れて50人です。 村の長は三ツ屋メイ(100歳!)です。 70歳で捨てられたメイは30年かけてデンデラを作り上げたのです。 その目的は自分を捨てた村の人々への復讐でした。 しかし、山の主である、熊がデンデラを襲撃するに及んで、デンデラは村への襲撃どころではなくなります。 しかも、デンデラでは疫病まではやりだし、存亡の危機に瀕します
途中、ミステリー的な要素も盛り込まれ、厳しい自然との戦い、熊との死力を尽くした戦闘シーン、デンデラ内部での派閥抗争など読みどころ満載です。 作者の佐藤友哉という方の作品は今まで読んだことありませんでしたが、インパクト抜群の作品です。 高齢者しか出てきませんが、決してウェットでなく、どちらかというと爽快感を感じることができます。
途中、ミステリー的な要素も盛り込まれ、厳しい自然との戦い、熊との死力を尽くした戦闘シーン、デンデラ内部での派閥抗争など読みどころ満載です。 作者の佐藤友哉という方の作品は今まで読んだことありませんでしたが、インパクト抜群の作品です。 高齢者しか出てきませんが、決してウェットでなく、どちらかというと爽快感を感じることができます。
2012年6月5日に日本でレビュー済み
「姥捨て」された老婆たちが「デンデラ」というコミュニティを築き、サバイバル生活をする――
そこでは捨てた村に復讐を近う「襲撃派」、新しい生活を発展させたい「穏健派」が対立しており、
主人公はどちらに与することもなく、短気で怒りやすい考え無しではあるが、持ち前の直感で関わっていく。
……というあらすじである。
奇抜で興味深い設定ではあるが、これらは全てガジェットに過ぎない。
途中何度も襲いかかる羆も、デンデラを襲う疫病も、襲撃派と穏健派の対立でさえ、単なる舞台装置である。
更に、キャラクターもテーマのための記号でしかない。登場人物たちは老婆であることを作中何度も強調されるが、
70を超えた老婆たちは羆を相手に大立ち回りするし、思考や性格も若くまるで十代の少女を見ているようである。
ゆえに、「老婆たちの知恵で村に復讐する活劇」と思って読み始めると肩透かしを食らう。
肝心のテーマについては、多くを内包しており、単純に語ることはできないが、
個人的には、「個は孤である」という点が印象に残った。
登場人物たちは「姥捨て」について様々な見解を持っており、その姿に共感するも、反感を抱くも読者の考え方である。
読者としての自分は「51人目のデンデラのメンバー」として、安全な位置から思考実験に参加しているような印象を受けた。
なお、主人公が最後どうなったかはほぼ確定的に暗示されるものの明確に描写はされていない。
「その後」は読者の主義によっていくつかに分かれるだろう。不思議な作品である。
そこでは捨てた村に復讐を近う「襲撃派」、新しい生活を発展させたい「穏健派」が対立しており、
主人公はどちらに与することもなく、短気で怒りやすい考え無しではあるが、持ち前の直感で関わっていく。
……というあらすじである。
奇抜で興味深い設定ではあるが、これらは全てガジェットに過ぎない。
途中何度も襲いかかる羆も、デンデラを襲う疫病も、襲撃派と穏健派の対立でさえ、単なる舞台装置である。
更に、キャラクターもテーマのための記号でしかない。登場人物たちは老婆であることを作中何度も強調されるが、
70を超えた老婆たちは羆を相手に大立ち回りするし、思考や性格も若くまるで十代の少女を見ているようである。
ゆえに、「老婆たちの知恵で村に復讐する活劇」と思って読み始めると肩透かしを食らう。
肝心のテーマについては、多くを内包しており、単純に語ることはできないが、
個人的には、「個は孤である」という点が印象に残った。
登場人物たちは「姥捨て」について様々な見解を持っており、その姿に共感するも、反感を抱くも読者の考え方である。
読者としての自分は「51人目のデンデラのメンバー」として、安全な位置から思考実験に参加しているような印象を受けた。
なお、主人公が最後どうなったかはほぼ確定的に暗示されるものの明確に描写はされていない。
「その後」は読者の主義によっていくつかに分かれるだろう。不思議な作品である。
2011年7月7日に日本でレビュー済み
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坂東眞砂子の山姥あたりの雰囲気を期待して買ってみました。
が、小説らしい味わいも深みもなく、肉体から浮き上がって観念的なことばかり考える主人公は人形のようにスカスカで薄っぺらい。
この作家の本は初めて読みました。異色作ということなのでこれだけで判断は出来ませんが、設定から期待するような味わいはありません。老婆とは思えないくらい感覚が未熟というか…学生かお前は、みたいな。
とりあえず女性が描けているとは言えないので、桐野夏生や坂東眞砂子などを読まれている方には駄菓子みたいなもんです。
が、小説らしい味わいも深みもなく、肉体から浮き上がって観念的なことばかり考える主人公は人形のようにスカスカで薄っぺらい。
この作家の本は初めて読みました。異色作ということなのでこれだけで判断は出来ませんが、設定から期待するような味わいはありません。老婆とは思えないくらい感覚が未熟というか…学生かお前は、みたいな。
とりあえず女性が描けているとは言えないので、桐野夏生や坂東眞砂子などを読まれている方には駄菓子みたいなもんです。
2009年9月7日に日本でレビュー済み
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「姥捨て・その後」という書評で読んだら、違う。
登場人物50人の名簿は、それだけでかなりの迫力はあるけれど・・・
これは老女の物語ではない。姥捨てという形に一部の社会的弱者を反映させた寓話。
たった1つの作者の油断ぽいセリフで老女の皮がはがれた。
ん?と後戻りして読み直すと、どの人物も高齢女性とは微妙にずれる。
実際の70以上のお婆さんはもっとタフかつ柔軟です。でなけりゃ、その歳まで生き抜けない。
これはどうやら、いわゆる格差問題で「自分は下らしい」と気づいてしまったロスジェネ男子の話。
凄まじいイジメ、冷たい世間、何をやってもうまくいかない、ヤケクソ、自殺願望・・・
確かに人生は戦い、勝つ見込みがなくても前に進むのみ。でも戦い方は1つじゃないのに。
いちおう複数の選択肢は示されるが、どれも希望には遠い。
しかも無差別襲撃事件を連想させなくもない結末。かなり怖い。
同情すべき事情は見えるけど、話が通じそうもないし、ヤバそうだから距離を置こう。
そう思ってしまう自分が一番怖いのかもしれないが。
登場人物50人の名簿は、それだけでかなりの迫力はあるけれど・・・
これは老女の物語ではない。姥捨てという形に一部の社会的弱者を反映させた寓話。
たった1つの作者の油断ぽいセリフで老女の皮がはがれた。
ん?と後戻りして読み直すと、どの人物も高齢女性とは微妙にずれる。
実際の70以上のお婆さんはもっとタフかつ柔軟です。でなけりゃ、その歳まで生き抜けない。
これはどうやら、いわゆる格差問題で「自分は下らしい」と気づいてしまったロスジェネ男子の話。
凄まじいイジメ、冷たい世間、何をやってもうまくいかない、ヤケクソ、自殺願望・・・
確かに人生は戦い、勝つ見込みがなくても前に進むのみ。でも戦い方は1つじゃないのに。
いちおう複数の選択肢は示されるが、どれも希望には遠い。
しかも無差別襲撃事件を連想させなくもない結末。かなり怖い。
同情すべき事情は見えるけど、話が通じそうもないし、ヤバそうだから距離を置こう。
そう思ってしまう自分が一番怖いのかもしれないが。