この本を読み終えるのに、長い月日がかかりましたが、その価値がありました。
発売時好きな作家だったので、すぐ購入しましたが、自分の家庭の変化と登場人物の心境にリンクがあり、読みやめておりましたが、やっと読み終えました。名著です。
タウト、ノースライト、y邸の意味、登場人物も個性的で、元新聞記者の作者の説得力も相変わらず。
是非お勧めします。
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ノースライト 単行本 – 2019/2/22
横山 秀夫
(著)
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購入オプションとあわせ買い
横山ミステリー史上最も美しい謎。
熱く込み上げる感動。
一家はどこへ消えたのか?
空虚な家になぜ一脚の椅子だけが残されていたのか?
『64』から六年。待望の長編ミステリー。
一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに……。Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、浅間山を望むように置かれた古ぼけた「タウトの椅子」を除けば……。このY邸でいったい何が起きたのか?
「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門 第1位
「このミステリーがすごい! 2020年版」国内編(宝島社) 第2位
「ミステリが読みたい! 2020年版」国内篇 第2位
熱く込み上げる感動。
一家はどこへ消えたのか?
空虚な家になぜ一脚の椅子だけが残されていたのか?
『64』から六年。待望の長編ミステリー。
一級建築士の青瀬は、信濃追分へ車を走らせていた。望まれて設計した新築の家。施主の一家も、新しい自宅を前に、あんなに喜んでいたのに……。Y邸は無人だった。そこに越してきたはずの家族の姿はなく、電話機以外に家具もない。ただ一つ、浅間山を望むように置かれた古ぼけた「タウトの椅子」を除けば……。このY邸でいったい何が起きたのか?
「週刊文春ミステリーベスト10」国内部門 第1位
「このミステリーがすごい! 2020年版」国内編(宝島社) 第2位
「ミステリが読みたい! 2020年版」国内篇 第2位
- 本の長さ429ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2019/2/22
- 寸法13.9 x 3 x 19.7 cm
- ISBN-104104654027
- ISBN-13978-4104654024
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商品の説明
著者について
横山秀夫
1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、作家デビュー。2000年「動機」で日本推理作家協会賞受賞。以降、『半落ち』、『第三の時効』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』など話題作を連打する。2012年刊行の『64』は各種ベストテンを席巻し、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー最終候補やドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれた。
1957年東京生まれ。新聞記者、フリーライターを経て、1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞し、作家デビュー。2000年「動機」で日本推理作家協会賞受賞。以降、『半落ち』、『第三の時効』、『クライマーズ・ハイ』、『看守眼』など話題作を連打する。2012年刊行の『64』は各種ベストテンを席巻し、英国推理作家協会賞インターナショナル・ダガー最終候補やドイツ・ミステリー大賞海外部門第1位にも選ばれた。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2019/2/22)
- 発売日 : 2019/2/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 429ページ
- ISBN-10 : 4104654027
- ISBN-13 : 978-4104654024
- 寸法 : 13.9 x 3 x 19.7 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 233,015位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 39,194位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
著者について
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1957(昭和32)年、東京生れ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒。上毛新聞社での12年間の記者生活を経て、作家として独立。’91(平成3) 年、『ルパンの消息』がサントリーミステリー大賞佳作に選出される。’98年「陰の季節」で松本清張賞を受賞する。2000年、「動機」で日本推理作家協会賞を受賞。現在、最も注目されるミステリ作家のひとりである。(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 看守眼 (新潮文庫) (ISBN-13: 978-4101316727)』が刊行された当時に掲載されていたものです)
イメージ付きのレビュー

5 星
[善意」
横山秀夫さんの「64」とは少し趣が異なる作品でした。「64」は展開がグイグイと読む者を引っ張っていく感じのサスペンス色が強く面白い作品でした。一方この作品は謎を追う作品ではありながら、結末は人の「善意」を感じさせるものであり、読後にほっとしたというか、爽快感が残りました。
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2024年1月3日に日本でレビュー済み
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2019年3月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
あの
ノーベル賞(1921)物理学者
アルバート・アインシュタイン(1879-1955)
とも接点があった日本の数学者
矢野健太郎(1912-1993)の
エッセイ「アトリエ風の書斎にて」
を読んでいたところ
「ノースライト」
の意味を理解しました。
矢野は次のように書いています。
【私の書斎は父親ゆずりです。
父親はこの部屋を彫刻の
アトリエとして作りました。
居心地は悪くないのですが
冬は寒いのに閉口します。
もとアトリエですから、ご多分にもれず
窓が北側に、広くとってあります。
光線が変わらなくていいんですね。
おかげで南からの陽が入りません】
向坂逸郎・矢野健太郎ほか
『私の書斎』(地産出版 1978)(p.117)
矢野の専門は微分幾何で
第二次世界大戦後、米国プリンストンの
高等研究所に留学中、同じ研究所に
アインシュタインがいました。
3~4回、口をきいたことがあるそうです。
矢野の父は彫刻家で
そのアトリエは広く
モデルを使って等身大の物を作るのに
耐えうるよう床の構造もしっかりしていた由です
よって本を大量に積み上げても
床が抜けないので書斎に向いています。
つまり
「ノースライト」とは「北向きの採光」のことです。
一般に彫刻家のみならず画家のアトリエも
「ノースライト」
の設計になっていると思われます
(ただし北半球の話です)。
最初、本書のタイトルの意味が分からず
何だろうと思ったものです。
よく見ればカバー表紙に小さい文字で
"North Light" とあります。
これなら意味は瞬時に分かります。
昨年12月
AMラジオで
"North Up" というコトバを聞いたときも
瞬時には意味が分からなかったものです。
実は
私はクルマを運転するときは
地図帳または自分でかいた地図で
節目節目で確認するだけです。
レンタカーに乗るときは
まずカーナビの電源を切ります。
しかしもしカーナビを使うのであれば
必ず "North Up" にすることでしょう。
数年前
品川駅東口の外資系ホテルで
親戚と食事をしようということになり
何年かぶりに電車に乗りました。
国電を降り駅構内のコンコースで
地図を見てホテルの位置を確認しようと
したのですがどうもおかしい。
よくよく見るとその地図は
"North Up" ではなくて
「電車の進行方向 Up」 になっていたのです。
まさか
JRと京急が乗り入れている駅で
(つまり公共性の高い駅で)
"North Up" ではない地図が存在するとは
想像だにしなかったので驚くと同時に
怒髪天を衝きました。
カーナビや地図だけではなくて
社会全体までが "Heading Up" に
なっている気がしてなりません。
比喩ですが目先の半径何メートル
(数学で言うところの「近傍」)しか
見ていない人々が増えたような
印象があります。
本書も読み始めは
「いったいどこへ向かうのだろう?」
と感じました。
主人公の「近傍」の記述が多過ぎたからです。
しかし
建築家ないし(一級)建築士の仕事については
勉強になりました。
よく取材してあると感じました。
私はとくだん建築に興味が
あるわけではありませんが
20世紀最大の哲学者
ヴィトゲンシュタイン(1889-1951)も
建築を手がけたことがあったのを
記憶しています。
私でも想像がつきますが
シンプルで簡素な一切装飾のない建築です。
【追補】
ヴィトゲンシュタインが設計したのは
妹のマルガレーテ・ストーンボロー邸です。
2年かかりました。
一切装飾がなく屋根は水平、壁は垂直です。
コンクリート・ガラス・鋼材から成ります。
ヴィトゲンシュタインは
アドルフ・ロース(1870-1933)という
建築家と面識があり尊敬していたもようです。
有名人の建築つながりで
「黒い知識人」
「ファシストを批判するファシスト作家」
「鵺(ぬえ)のようなイタリアの作家」
クルツィオ・マラパルテ(1898-1957)は
カプリ島(ナポリの沖30キロ)の崖の上に
「マラパルテ邸」を建て
著名人を招き、もてなしました。
地中海を望む絶景なので現在では
観光コースになっている由です。
ヒトラーのもとで
軍需大臣を務めた
アルベルト・シュペーア(1905-1981)も
もともとはミュンヘンやベルリンで
工科大学を出た建築家です
(ドイツは伝統的に学期ごとに簡単に
大学をうつるのが可能である由)。
ヒトラー(1889-1945)自身
ウィーンの造形美術学校を受験しますが
人物を描くのが苦手で不合格となり
その際、試験官から
「キミは建築の方が向いているよ」
と言われたエピソードは有名です。
このときもし美術学校が
ヒトラーを合格させていれば
世界史はおおきく変わっていたであろうに
と思います(合格者はわずか2名でした)。
さらに建築家つながりで
ブルーノ・タウト(1880-1938)と言えば
「桂離宮をほめて
日光東照宮をけなしたドイツ人」
という知識しかなかったので
本書はこの点も勉強になりました。
しかし
最近になって
桂離宮と日光東照宮は
ほぼ同時代にほぼ同じグループの
人たちが造った建築物であり
桂離宮=簡素で美しい
日光東照宮=装飾的で醜い
という一面的な評価は変化している
‥とも聞きます。
旅行・観光・食べ歩きに一切関心がない私は
桂離宮も日光東照宮も
見たことがありません。
おそらく両者とも見ないうちに
死んでしまうことと思います
(千葉県にあるネズミやアヒルの
テーマパーク?も一回も行かないままで
死ぬだろうと思います。陸だろうと
海だろうと何の興味もないので)。
ここまで本書のキーワードを
3つ挙げました。すなはち
①North Light(タイトル)
②(一級)建築士
③ブルーノ・タウト
です。もしこれらに興味がある方なら
いっそう面白く読めることでしょう。
私が横山秀夫氏(1957-)の
良い読者であるかどうかは疑問ですが
結果として
ほとんどの作品は読んだと思います。
横山氏の印象は
サツ官の夜回りを1年365日10年間
きっちりやってきた人
という点に尽きると思います。
実際にそういうご経歴かどうかではなく
そのように推察できるほど
ディーテイルが書き込まれている人です。
「きっちり宿題をやってきた人」であり
「その場にいた人」です。
評論・歴史・哲学・思想・数学
自然科学・随筆などを別にして
「小説」に限れば私が愛読しているのは
既に亡くなった作家が圧倒的に多く
現存する作家はあまり読んでいません。
村上春樹氏(1949-)の
表現を借りるならば
【永沢という男は(中略)僕なんか
はるかに及ばないくらいの読書家だったが
死後三十年を経ていない作家の本は
原則として手にとろうとはしなかった。】
『ノルウェイの森』㊤(講談社文庫 p.66)
‥というわけではないのですが
小説は100年後も生き残って初めて小説
と思います。時代の風とか風潮という
バイアス(偏り・偏位)が消えたときに
残っているものが本当の小説でしょう。
そのひとつの目安が100年だと考えています。
指折り数えてみますと
加賀乙彦氏(1929-)
庄司薫氏(1937-)
村上春樹氏
そして
横山秀夫氏の作品はおおむね読みました。
村上龍氏(1952-)と
小林信彦氏(1932-)も何割か読みました。
海外(翻訳)も含めますと
フォーサイス氏(1938-)
フリーマントル氏(1936-)
マーチン・クルーズ=スミス氏(1942-)
は翻訳ならおおむね読みました。
もともと読書は(趣味というよりも)道楽なので
目的があって読むのではなく
楽しいから読んでいるだけです。
なかでも小説にいたっては
楽しく時間が過ごせればそれでいいので
何のテーマもなく
同じ本を繰り返し読むことのほうが多いです。
面白くない本・文体が悪い本はさっさと
紙類の日にゴミに出します。
本書が「ミステリー」の範疇に
含まれるかどうかは
ミステリーの定義によると思います。
警察も(私立)探偵も登場しない
という点では
警察小説でも探偵小説でもありません。
過去・現在・未来において
「人が死ぬか?」と問われれば
人は死にます。
では「どのようにして死ぬのか?」
「殺されるのか?」
という問いに関しては
みなさまご自分でお読みになって
ご確認していただけると幸いです。
そして本書が「ミステリー」の範疇に
含まれるかどうかディスカッション
してみるのも一興だと思います。
実は私は映画もあまり見ていません。
気に入った映画を繰り返し見ることが
多いのですが
逆にそのぶん本数はあまり見ていません。
「スターウォーズ」シリーズも
「宮崎アニメ」も
「ハリーポッター」シリーズも
「北野映画」も
1本も見たことがありません。
おそらくこのまま死ぬだろうと思います
(何の興味もないからです)。
「黒沢映画」は『羅生門』(1950)
の一本だけ何回か見ました。感想は
「これは『羅生門』ではなくて『藪の中』ではないか」
です。確かに原作は
芥川龍之介(1892-1927)『藪の中』です。
映画好きの知人の意見を借りるならば
「黒沢映画は人道的。
基本ヒューマニスティック」
という話です。
横山秀夫氏の作品もそうだと思います。
本書も基本ヒューマニスティックです。
ノーベル賞(1921)物理学者
アルバート・アインシュタイン(1879-1955)
とも接点があった日本の数学者
矢野健太郎(1912-1993)の
エッセイ「アトリエ風の書斎にて」
を読んでいたところ
「ノースライト」
の意味を理解しました。
矢野は次のように書いています。
【私の書斎は父親ゆずりです。
父親はこの部屋を彫刻の
アトリエとして作りました。
居心地は悪くないのですが
冬は寒いのに閉口します。
もとアトリエですから、ご多分にもれず
窓が北側に、広くとってあります。
光線が変わらなくていいんですね。
おかげで南からの陽が入りません】
向坂逸郎・矢野健太郎ほか
『私の書斎』(地産出版 1978)(p.117)
矢野の専門は微分幾何で
第二次世界大戦後、米国プリンストンの
高等研究所に留学中、同じ研究所に
アインシュタインがいました。
3~4回、口をきいたことがあるそうです。
矢野の父は彫刻家で
そのアトリエは広く
モデルを使って等身大の物を作るのに
耐えうるよう床の構造もしっかりしていた由です
よって本を大量に積み上げても
床が抜けないので書斎に向いています。
つまり
「ノースライト」とは「北向きの採光」のことです。
一般に彫刻家のみならず画家のアトリエも
「ノースライト」
の設計になっていると思われます
(ただし北半球の話です)。
最初、本書のタイトルの意味が分からず
何だろうと思ったものです。
よく見ればカバー表紙に小さい文字で
"North Light" とあります。
これなら意味は瞬時に分かります。
昨年12月
AMラジオで
"North Up" というコトバを聞いたときも
瞬時には意味が分からなかったものです。
実は
私はクルマを運転するときは
地図帳または自分でかいた地図で
節目節目で確認するだけです。
レンタカーに乗るときは
まずカーナビの電源を切ります。
しかしもしカーナビを使うのであれば
必ず "North Up" にすることでしょう。
数年前
品川駅東口の外資系ホテルで
親戚と食事をしようということになり
何年かぶりに電車に乗りました。
国電を降り駅構内のコンコースで
地図を見てホテルの位置を確認しようと
したのですがどうもおかしい。
よくよく見るとその地図は
"North Up" ではなくて
「電車の進行方向 Up」 になっていたのです。
まさか
JRと京急が乗り入れている駅で
(つまり公共性の高い駅で)
"North Up" ではない地図が存在するとは
想像だにしなかったので驚くと同時に
怒髪天を衝きました。
カーナビや地図だけではなくて
社会全体までが "Heading Up" に
なっている気がしてなりません。
比喩ですが目先の半径何メートル
(数学で言うところの「近傍」)しか
見ていない人々が増えたような
印象があります。
本書も読み始めは
「いったいどこへ向かうのだろう?」
と感じました。
主人公の「近傍」の記述が多過ぎたからです。
しかし
建築家ないし(一級)建築士の仕事については
勉強になりました。
よく取材してあると感じました。
私はとくだん建築に興味が
あるわけではありませんが
20世紀最大の哲学者
ヴィトゲンシュタイン(1889-1951)も
建築を手がけたことがあったのを
記憶しています。
私でも想像がつきますが
シンプルで簡素な一切装飾のない建築です。
【追補】
ヴィトゲンシュタインが設計したのは
妹のマルガレーテ・ストーンボロー邸です。
2年かかりました。
一切装飾がなく屋根は水平、壁は垂直です。
コンクリート・ガラス・鋼材から成ります。
ヴィトゲンシュタインは
アドルフ・ロース(1870-1933)という
建築家と面識があり尊敬していたもようです。
有名人の建築つながりで
「黒い知識人」
「ファシストを批判するファシスト作家」
「鵺(ぬえ)のようなイタリアの作家」
クルツィオ・マラパルテ(1898-1957)は
カプリ島(ナポリの沖30キロ)の崖の上に
「マラパルテ邸」を建て
著名人を招き、もてなしました。
地中海を望む絶景なので現在では
観光コースになっている由です。
ヒトラーのもとで
軍需大臣を務めた
アルベルト・シュペーア(1905-1981)も
もともとはミュンヘンやベルリンで
工科大学を出た建築家です
(ドイツは伝統的に学期ごとに簡単に
大学をうつるのが可能である由)。
ヒトラー(1889-1945)自身
ウィーンの造形美術学校を受験しますが
人物を描くのが苦手で不合格となり
その際、試験官から
「キミは建築の方が向いているよ」
と言われたエピソードは有名です。
このときもし美術学校が
ヒトラーを合格させていれば
世界史はおおきく変わっていたであろうに
と思います(合格者はわずか2名でした)。
さらに建築家つながりで
ブルーノ・タウト(1880-1938)と言えば
「桂離宮をほめて
日光東照宮をけなしたドイツ人」
という知識しかなかったので
本書はこの点も勉強になりました。
しかし
最近になって
桂離宮と日光東照宮は
ほぼ同時代にほぼ同じグループの
人たちが造った建築物であり
桂離宮=簡素で美しい
日光東照宮=装飾的で醜い
という一面的な評価は変化している
‥とも聞きます。
旅行・観光・食べ歩きに一切関心がない私は
桂離宮も日光東照宮も
見たことがありません。
おそらく両者とも見ないうちに
死んでしまうことと思います
(千葉県にあるネズミやアヒルの
テーマパーク?も一回も行かないままで
死ぬだろうと思います。陸だろうと
海だろうと何の興味もないので)。
ここまで本書のキーワードを
3つ挙げました。すなはち
①North Light(タイトル)
②(一級)建築士
③ブルーノ・タウト
です。もしこれらに興味がある方なら
いっそう面白く読めることでしょう。
私が横山秀夫氏(1957-)の
良い読者であるかどうかは疑問ですが
結果として
ほとんどの作品は読んだと思います。
横山氏の印象は
サツ官の夜回りを1年365日10年間
きっちりやってきた人
という点に尽きると思います。
実際にそういうご経歴かどうかではなく
そのように推察できるほど
ディーテイルが書き込まれている人です。
「きっちり宿題をやってきた人」であり
「その場にいた人」です。
評論・歴史・哲学・思想・数学
自然科学・随筆などを別にして
「小説」に限れば私が愛読しているのは
既に亡くなった作家が圧倒的に多く
現存する作家はあまり読んでいません。
村上春樹氏(1949-)の
表現を借りるならば
【永沢という男は(中略)僕なんか
はるかに及ばないくらいの読書家だったが
死後三十年を経ていない作家の本は
原則として手にとろうとはしなかった。】
『ノルウェイの森』㊤(講談社文庫 p.66)
‥というわけではないのですが
小説は100年後も生き残って初めて小説
と思います。時代の風とか風潮という
バイアス(偏り・偏位)が消えたときに
残っているものが本当の小説でしょう。
そのひとつの目安が100年だと考えています。
指折り数えてみますと
加賀乙彦氏(1929-)
庄司薫氏(1937-)
村上春樹氏
そして
横山秀夫氏の作品はおおむね読みました。
村上龍氏(1952-)と
小林信彦氏(1932-)も何割か読みました。
海外(翻訳)も含めますと
フォーサイス氏(1938-)
フリーマントル氏(1936-)
マーチン・クルーズ=スミス氏(1942-)
は翻訳ならおおむね読みました。
もともと読書は(趣味というよりも)道楽なので
目的があって読むのではなく
楽しいから読んでいるだけです。
なかでも小説にいたっては
楽しく時間が過ごせればそれでいいので
何のテーマもなく
同じ本を繰り返し読むことのほうが多いです。
面白くない本・文体が悪い本はさっさと
紙類の日にゴミに出します。
本書が「ミステリー」の範疇に
含まれるかどうかは
ミステリーの定義によると思います。
警察も(私立)探偵も登場しない
という点では
警察小説でも探偵小説でもありません。
過去・現在・未来において
「人が死ぬか?」と問われれば
人は死にます。
では「どのようにして死ぬのか?」
「殺されるのか?」
という問いに関しては
みなさまご自分でお読みになって
ご確認していただけると幸いです。
そして本書が「ミステリー」の範疇に
含まれるかどうかディスカッション
してみるのも一興だと思います。
実は私は映画もあまり見ていません。
気に入った映画を繰り返し見ることが
多いのですが
逆にそのぶん本数はあまり見ていません。
「スターウォーズ」シリーズも
「宮崎アニメ」も
「ハリーポッター」シリーズも
「北野映画」も
1本も見たことがありません。
おそらくこのまま死ぬだろうと思います
(何の興味もないからです)。
「黒沢映画」は『羅生門』(1950)
の一本だけ何回か見ました。感想は
「これは『羅生門』ではなくて『藪の中』ではないか」
です。確かに原作は
芥川龍之介(1892-1927)『藪の中』です。
映画好きの知人の意見を借りるならば
「黒沢映画は人道的。
基本ヒューマニスティック」
という話です。
横山秀夫氏の作品もそうだと思います。
本書も基本ヒューマニスティックです。
2023年10月24日に日本でレビュー済み
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アーキテクトの思考回路、みたいなものを実感できました。建築は総合芸術なのですね。
2022年8月1日に日本でレビュー済み
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建築業界に疎い読者にとっては、建築用語が散りばめられたこの作品は時々飛ばし読みをせざるを得ないと思う。
良い作品ではあると思うが、結局タウトに心酔している感があり、推理小説でも文芸作品でもなく、タウトへの自己陶酔だけが際立って見える。
以前ドラマで見たことを読み始めてから気づいたが、ドラマの内容もほとんど記憶になくノースライトの家だけが印象に残っている。
おそらくドラマを見ていなければこの家を想像する事はかなり難しい。
終わり方も綺麗ごと過ぎる。もう一度読み直してみたいという作品ではない。
良い作品ではあると思うが、結局タウトに心酔している感があり、推理小説でも文芸作品でもなく、タウトへの自己陶酔だけが際立って見える。
以前ドラマで見たことを読み始めてから気づいたが、ドラマの内容もほとんど記憶になくノースライトの家だけが印象に残っている。
おそらくドラマを見ていなければこの家を想像する事はかなり難しい。
終わり方も綺麗ごと過ぎる。もう一度読み直してみたいという作品ではない。
2023年2月26日に日本でレビュー済み
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ストーリー、とてもよくできていて楽しめました。
ただ、人が家を建てるってほとんどの人にとって人生最大の出費だと思うけど、こういう理由で建てるもんかなあ、とちょっと腑に落ちない気分もあります。
家を建てた理由、誰も住んでいない理由が、後半に判るのですが、どいう展開になるのかと前半を読んでいてワクワクしたけど、最後はふーん、という感想です。
ただ、人が家を建てるってほとんどの人にとって人生最大の出費だと思うけど、こういう理由で建てるもんかなあ、とちょっと腑に落ちない気分もあります。
家を建てた理由、誰も住んでいない理由が、後半に判るのですが、どいう展開になるのかと前半を読んでいてワクワクしたけど、最後はふーん、という感想です。
2023年9月28日に日本でレビュー済み
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たくさんの取材を重ねた上で執筆されているので、読みごたえがある。ストーリー展開にも無理がなく、人物描写にも破綻は感じられない。リアルな物語を求めている方にはぜひおすすめしたい。ノースライトという業界用語が物語の通奏低音として、いろいろな場面展開に影を落とすあたりは実に秀逸であつた。秋の読書にとてもよいと思う。
2023年11月8日に日本でレビュー済み
2020年12月 NHKでドラマ化。連載小説だった本作を、改稿を重ねて6年もかけて仕上げたという力作だけあって今までの横山作品とは違い、降り注ぐ 柔らかい光と、温かい 木の家の景観が、心象風景として余韻に残る作品です。
一級建築士 、青瀬稔が渾身の力で設計したその美しい「木の家」に、依頼主の家族は引っ越してこない‥。三千万円という費用を支払いながら行方不明の一家。そこに置かれていたブルーノ・タウトの一脚の椅子。それだけで十分読み手を刺激するテーマです。
ミステリアスな内容とは別に、バブル崩壊後の一級建築士たちの苦悩や心意気を見せてくれます。作中にもあった「ゴルゴ13のような寡黙な建築士」青瀬の男気が素敵です。
作者の横山秀雄さんは元新聞記者でした。ブルーノ・タウトのことや 建築士たちのことをよく調べて読者に分かりやすいように伝える その技量は、元新聞記者としての経験でしょう。
本書に登場する信濃追分、洗心亭、旧日向別邸、モンマルトルの丘‥それらをひとつひとつ辿りたくなります。こんな旅情が沸き起こるとは思いませんでした。そこがこの作品の真髄かもしれません。
一級建築士 、青瀬稔が渾身の力で設計したその美しい「木の家」に、依頼主の家族は引っ越してこない‥。三千万円という費用を支払いながら行方不明の一家。そこに置かれていたブルーノ・タウトの一脚の椅子。それだけで十分読み手を刺激するテーマです。
ミステリアスな内容とは別に、バブル崩壊後の一級建築士たちの苦悩や心意気を見せてくれます。作中にもあった「ゴルゴ13のような寡黙な建築士」青瀬の男気が素敵です。
作者の横山秀雄さんは元新聞記者でした。ブルーノ・タウトのことや 建築士たちのことをよく調べて読者に分かりやすいように伝える その技量は、元新聞記者としての経験でしょう。
本書に登場する信濃追分、洗心亭、旧日向別邸、モンマルトルの丘‥それらをひとつひとつ辿りたくなります。こんな旅情が沸き起こるとは思いませんでした。そこがこの作品の真髄かもしれません。