この著者の作品を読みなれた者にしても初めからしばらくは緩い感じが否めない。いっつもおんなじなんだよな、この人。
しかし読み進むうちに思い出してきた。なぜこの著者の作品を何冊も購入していたのか。
自分とは違う視線。自分とは違う態度。
森氏は自分の意見として言う時以外は断定をしない。
わからないことをわかったふりを決してしない。
それは何故か?
多分サラリーマンじゃないから?弱い立場のところで仕事をしていないから?
もちろんそのことは大きいと思う。
最初の緩いと感じた理由は、ひとつのエピソードを読み終わっても
結論も出ないし読後に達成感もないからなのだと気づく。
そこで愕然とするのは自分を含めていつも物事を結論付けるべく
正論をはかなければいけないと思うようにならされているのではないかということ。
ジャーナリズムに関わる大半の人は森氏の態度を批判こそすれ、
ポジティブには考えないだろう。
しかし森氏のアプローチの仕方は氏の生き方そのままなのだ。多分。
情報に犯されているなと猛反省を促される。
毎日小さなことでも会話の中でわかったふりをしている自分。
嘘つきである。
東京大空襲慰霊施設の事。ほかにも関係のある著書のある、と場のこと。
森氏のリポートは圧巻。
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東京番外地 単行本 – 2006/11/16
森 達也
(著)
- 本の長さ250ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/11/16
- ISBN-10410466202X
- ISBN-13978-4104662029
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/11/16)
- 発売日 : 2006/11/16
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 250ページ
- ISBN-10 : 410466202X
- ISBN-13 : 978-4104662029
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,780,166位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 10,099位紀行文・旅行記
- - 152,605位ビジネス・経済 (本)
- - 413,257位文学・評論 (本)
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著者について
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広島県生まれ。映画監督、作家。1998年にドキュメンタリー映画『A』を発表。2001年、続編の『A2』が山形国際ドキュメンタリー映画祭で特別賞・市民賞を受賞(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『極私的メディア論』(ISBN-10:4904795075)が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年5月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
東京の中で、違和感を覚える場所を、訪れてみる企画で、一つ一つが短いので、気軽に読み終える事が出来た。違和感を覚える理由について、結論を出すわけでなく、結局わからない、で終わらせるのが、森氏らしい姿勢。常に言い訳がましい文体で、スッキリしないのだけど、自分の意見を主張しないのに、私は共感を覚えた。
どこに行っても、場違いを感じさせると言う森氏。万年マイナーな作者に、今後も生暖かく注目していきたい。呉市と言う同郷の先輩でもあるし。
どこに行っても、場違いを感じさせると言う森氏。万年マイナーな作者に、今後も生暖かく注目していきたい。呉市と言う同郷の先輩でもあるし。
2015年6月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読みやすくて、ちょっとした合間にスラスラと読めます。でも扱っているテーマ自体は、とても重い問題。森さんの視点は…誰が悪い、正しいとは一切触れない。あくまで客観的に、そして少し独自の森さん流の視点から見てる。
だから押し付けがましくもないなら、読む側が自分で考えることができる。
確かにダークな場所ばかり。いろいろな歴史をはらんでいる場所。でも知らなければいけない場所。見事にそんな場所をチョイスしてます。
私は「山谷」と「屠場」が印象に残った。
だから押し付けがましくもないなら、読む側が自分で考えることができる。
確かにダークな場所ばかり。いろいろな歴史をはらんでいる場所。でも知らなければいけない場所。見事にそんな場所をチョイスしてます。
私は「山谷」と「屠場」が印象に残った。
2007年5月14日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
東京の中にあっても、多くの人たちに省みられないような、あるいは一般的には関わりあいにならないような場所を訪れ、その場所で触れることのできる人間という存在の振幅の大きさを感じたままに綴ったものである。なるほど、選ばれた15の場所は「異質な空気」を誰もが感じるだろう場所で、その意味では著者達の嗅覚には納得がいくし、十分面白いと思った。だが、それは同時に、こういう場所がどんな場所だか知りたいでしょ、だから取り上げますよ、という意図が見え隠れもする。そして、あくまでも、誰でも訪れることのできる場所を選んでいるので、「非日常体験ツアー」のルポとして読める。これは、もちろん皮肉で言っている。つまり、安全地帯としての日常を背後に持ったままで、「怖いもの見たさ」、「向こう側を覗き見る快感」といった興味本位の姿勢が見え隠れするのだ。そして、様々なことを感じ、考えてはいるが、残念ながらそれが深くない。そう自分には思えたので、その臭さが一番感じられない東京タワーの回が最も抵抗なく楽しめた。
2013年3月25日に日本でレビュー済み
『番外地』というタイトルに惹かれ読んでみたものの、そのほとんどは一般人でも立ち入ることが出来る場所で、
その点では肩すかしをくらった感じ。
あとは筆者の腕でどう料理するかだが、常に読者へ言い訳を並べるような著者の文体には辟易とした。
『下山事件』は出版過程自体に「いわく」があったため結果的にこの文体が気にならなかったが、
この本でハッキリしたことは氏の文体が私には合わないということ。
本業は映像畑の方のようなので、文章にケチをつけるのは筋違いなのかもしれないが。
蛇足ながら本書に登場する「屠場」に興味を持たれた方は、鎌田慧氏の『ドキュメント屠場』をおすすめする。
その点では肩すかしをくらった感じ。
あとは筆者の腕でどう料理するかだが、常に読者へ言い訳を並べるような著者の文体には辟易とした。
『下山事件』は出版過程自体に「いわく」があったため結果的にこの文体が気にならなかったが、
この本でハッキリしたことは氏の文体が私には合わないということ。
本業は映像畑の方のようなので、文章にケチをつけるのは筋違いなのかもしれないが。
蛇足ながら本書に登場する「屠場」に興味を持たれた方は、鎌田慧氏の『ドキュメント屠場』をおすすめする。
2007年11月26日に日本でレビュー済み
この本には本当に知らなくてはいけないことが沢山書いてあった。理不尽な犯罪被害のなれの果て、肉が食卓に並ぶまでの流れ、外国人滞在者の現実、そして一番印象に残ったのが東京大空襲の犠牲者約10万人の慰霊が関東大震災の被災者と合祀されているという事だ。なぜこの現実に目を向けないのか?マスコミは靖国問題で騒ぐ前にこういう現実をもっと広く取り上げて欲しい。そして改めて、自ら情報を取りにいき、判断することが大切だと思った。
2018年1月11日に日本でレビュー済み
東京というまちは、京都に比べ歴史そのものは浅いのかもしれないが、権力者が力をもってここを日本の都にした経緯や大政奉還という権力の移行もあった。その後戦争などを経てこの地を中心に政治経済歴史が渦巻いてきたことを意味する。その間外国人も含めていろいろな怨念もここへ鎮まられてきたと思う。最近ではブラタモリなど単なる観光だけでない街歩き街探しが流行しているが、まちの歴史を紐解くとそこには底には驚くべきものが隠されているし、まだ隠されている「番外地」的な地区もある。これを十年前にゆる~い感じでレポートしている。
2009年6月13日に日本でレビュー済み
『東京番外地』、面白いタイトルでした。メガロポリス東京が経済や文化の発展や爛熟を象徴するなら、そのエアポケットのような地域や施設を『東京番外地』と規定しています。東京以外の居住者は勿論のこと、東京で働き住まいを確保している在住者でも知らない場所ばかりが取り上げられています。それゆえ、このような企画とルポが異彩を放つのですが。
筆者の森達也氏は、『放送禁止歌』が評判を呼んだドキュメンタリー作家です。もともとテレビの映画監督をしていただけに、対象への切り込みと取材は的確です。
具体的に、章と場所を併記しますと内容が分かると思います。
要塞へと変貌する「終末の小部屋」-小菅拘置所、「眠らない街」は時代の波にたゆたう-新宿歌舞伎町、異国で繰り返される「静謐な祈り」-イスラム教の東京ジャーミイ、「縁のない骸」が永劫の記憶を発する-浅草の身元不明相談所、彼らとを隔てる「存在しない一線」-上北沢の東京都立松沢病棟、「微笑む家族」が暮らす一一五万m2の森-皇居、隣人の劣情をも断じる「大真面目な舞台」-東京地裁、「荒くれたち」は明日も路上でまどろむ-山谷、「世界一の鉄塔」が威容の元に放つもの-東京タワー、十万人の呻きは「六十一年目」に何を伝えた-東京都慰霊堂、桜花舞い「生けるもの」の宴は続く-上野動物園、高層ビルに取り囲まれる「広大な市場」-芝浦屠場、夢想と時とが交錯する「不変の聖地」-後楽園ホール、「異邦人たち」は集い関わり散ってゆく-入国管理局、私たちは生きていく、「夥しい死」の先を-多磨霊園、の15の地域・建物でした。
筆者の森達也氏は、『放送禁止歌』が評判を呼んだドキュメンタリー作家です。もともとテレビの映画監督をしていただけに、対象への切り込みと取材は的確です。
具体的に、章と場所を併記しますと内容が分かると思います。
要塞へと変貌する「終末の小部屋」-小菅拘置所、「眠らない街」は時代の波にたゆたう-新宿歌舞伎町、異国で繰り返される「静謐な祈り」-イスラム教の東京ジャーミイ、「縁のない骸」が永劫の記憶を発する-浅草の身元不明相談所、彼らとを隔てる「存在しない一線」-上北沢の東京都立松沢病棟、「微笑む家族」が暮らす一一五万m2の森-皇居、隣人の劣情をも断じる「大真面目な舞台」-東京地裁、「荒くれたち」は明日も路上でまどろむ-山谷、「世界一の鉄塔」が威容の元に放つもの-東京タワー、十万人の呻きは「六十一年目」に何を伝えた-東京都慰霊堂、桜花舞い「生けるもの」の宴は続く-上野動物園、高層ビルに取り囲まれる「広大な市場」-芝浦屠場、夢想と時とが交錯する「不変の聖地」-後楽園ホール、「異邦人たち」は集い関わり散ってゆく-入国管理局、私たちは生きていく、「夥しい死」の先を-多磨霊園、の15の地域・建物でした。