東南アジアで戦った後、戦後も居残り、日本に帰ることのなかった14人の元日本軍兵士の帰れなかった
理由とその後の人生をレポートした力作。
インドネシアで独立戦争に参加したり、ベトナムで戦ったり、異国にあって並大抵ではなかったであろう
艱難辛苦を乗り越え、現在に至った人々の話は、意外にもあっさりとしている。
60年の年月のせいか、はたまた、ここに登場する人たちがそれなりの生活をしているからか、
強がりを言っているのか、それとも諦念なのか、他人にはわかろう筈もないが、自分の生き方に
悔いを残さない確固たる意志は読み取れる。
帰れない事情、帰りたくない事情は人様々だが、戦後60年を経てやっと語れたこともあっただろう。
60年という時間は全てをそしゃくし、解釈を加えて納得した上で語るためにどうしても必要だった
時間であったのかも知れない。
現在の日本の印象を語り、「俺たちは、『太平洋戦争』ではなく、『大東亜戦争』を戦ったんだ。」
と語気を強める。
彼らの心にあって、語られなかったことが、どれほどあっただろうか‥。
日本に帰ることはなくとも、最も日本人としての心を持ち続けている人たちなのかも知れない。
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帰還せず 残留日本兵 六〇年目の証言 単行本 – 2006/7/28
青沼 陽一郎
(著)
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/7/28
- ISBN-104104668028
- ISBN-13978-4104668021
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/7/28)
- 発売日 : 2006/7/28
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 336ページ
- ISBN-10 : 4104668028
- ISBN-13 : 978-4104668021
- Amazon 売れ筋ランキング: - 359,189位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2008年6月11日に日本でレビュー済み
敗戦の混乱で、故国に戻らず、「戦地」の国を終の住み家として生きた老人達。というと何やら悲痛なものを想像するが、拍子抜けするくらいに彼らは幸せそうである。場所が東南アジアという「住み易い」土地柄だからかもしれない。ニューギニアや太平洋の孤島や、反日感情が強いフィリピンあたりでは、こうはいかなかったかもしれない。戦争の時代をくぐり抜け、人の数だけ運命と人生がある。読んでそんな感慨を抱かされるのだが、惜しむらくは著者の力不足。自分を「ぼく」呼ばわりし、随所に顔を出す余計な自分目線に著者の稚拙な意識が表れているし、軍事知識の浅さを逆手に取っているような言い草も言い訳めいているような気がしてならない。(いみじくも本を出そうとする者が、資料を集めようとせず「ウィキペディア」で手っ取り早く調べようとするなんて、みっともないじゃないか。)元兵士の言う「敵さん」という言葉に埒も無くやけに拘泥するくだりも苦笑ものだ。背伸びをしない潔さをどこか勘違いしているんじゃないか。他書を持ち出すのも憚りがあるが「散るぞ、悲しき」(梯久美子)「ロスト・オフィサー」(山田詠美)ら女性ライター達の力筆と比べれば、もどかしい上に情けない気分になる。
2021年11月25日に日本でレビュー済み
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戦争を経験した人々が次々と亡くなっていき、悲惨な経験が風化しつつある現代において、ぜひとも読む価値がある本です。