荒井晴彦に合わせたわけではないが、絲山秋子の小説。
前半の主人公の聴きたかったLPの音が擬音で表されてるところが面白い。ムルブリン、スレチレンとか、実際ユーチューブでそれを聴いたらそんな感じだった。
山下敦弘監督、山本浩司主演で、低予算で撮ったら面白くなりそうな素材。
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エスケイプ,アブセント 単行本 – 2006/12/1
絲山 秋子
(著)
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- 本の長さ140ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/12/1
- ISBN-104104669024
- ISBN-13978-4104669028
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/12/1)
- 発売日 : 2006/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 140ページ
- ISBN-10 : 4104669024
- ISBN-13 : 978-4104669028
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,347,980位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 31,563位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1966年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。住宅設備機器メーカーに入社し、2001年まで営業職として勤務する。03年「イッツ・オンリー・ トーク」で文學界新人賞を受賞。04年『袋小路の男』で川端康成文学賞、05年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、06年『沖で待つ』で芥川賞を 受賞する(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 ダーティ・ワーク (ISBN-13: 978-4087465679 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2012年6月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
どう書くかではなく、どう書かないかに拘る作家にはカズオ・イシグロがいるが、絲山秋子の場合、アプローチが違う。イシグロの場合、書かれなかったことの方に真のテーマが内包されるが、絲山の場合は省略語法により近い。頭の良い人とだし、取材力もあるので、その気になれば、いくらでも詳細に書けるのだろうが、それを最小限まで切り詰める。代わりに窮屈にならないように遊びの部分を延ばしてゆく。緩急も自在だ。語り手のセクト活動の内容などほとんど触れられない。代わりに公安との遣り取りを持ってきてリアリティーを与える。「アブセント」で双子の片割れにネガティブにそれを語らせて着地させる。語り手が本当にどこかにいるように錯覚させる。絲山が用いる他のテクニックは対位法と不在だ。それらを絡ませることも良く行われる。最初は双子の片割れが不在だし、存在が明らかになってからは9・11に対する捉え方が分かたれる。探せば他にいくらでもある。コスプレ神父が偽外人で宗教にカタチから入っているからこそ、愛のない不在なはずの説教に心が篭る。だから夫が戦場中地獄にいた婆さんがそれを消費できるのだ。
2007年2月21日に日本でレビュー済み
大大大好きな絲山秋子さんの新作。
彼女の作品にはいくつか系統があって、
これは「ニート」「逃亡くそたわけ」あたりと同じ、いわゆる「破れかぶれ系」。
ながい、ながーい道程の只中で、
どちらが来た道か、これから行く道かもわからず
暫し茫々と立ち尽くしながら、
それでもとにかく、これからまた
【何処かへ】進まなくてはならない
そんな双子の兄弟の、それぞれの【いま】を描いた二編。
絲山作品って嫌いな人は嫌いだろうと思う。
でも露悪とか自虐の奥に、
途轍もなくピュアな魂が見えるのよ、
絲山さんの作品って、
いつも。
いじらしくて
愛おしくなる。
ちなみに、本書は書店で
帯に引用されてた次のフレーズを見た瞬間
すでにKOされてました、私。
【悪いな、俺は必死だよ。 でも必死って祈ることに少しは似てないか】
彼女の作品にはいくつか系統があって、
これは「ニート」「逃亡くそたわけ」あたりと同じ、いわゆる「破れかぶれ系」。
ながい、ながーい道程の只中で、
どちらが来た道か、これから行く道かもわからず
暫し茫々と立ち尽くしながら、
それでもとにかく、これからまた
【何処かへ】進まなくてはならない
そんな双子の兄弟の、それぞれの【いま】を描いた二編。
絲山作品って嫌いな人は嫌いだろうと思う。
でも露悪とか自虐の奥に、
途轍もなくピュアな魂が見えるのよ、
絲山さんの作品って、
いつも。
いじらしくて
愛おしくなる。
ちなみに、本書は書店で
帯に引用されてた次のフレーズを見た瞬間
すでにKOされてました、私。
【悪いな、俺は必死だよ。 でも必死って祈ることに少しは似てないか】
2015年7月20日に日本でレビュー済み
京都の裏通りあたりを登場人物と歩きながら、人生は虚しいものなのだろうか、捨てたものでもないのだろうか、それとも考えるに値するものでもないのだろうか、と、洗練された言葉と共に我が身も沈殿していく快感をまたしても絲山ワールドで味わう。
2007年1月5日に日本でレビュー済み
エスケイプ
人生を棒に振るのは簡単です。
どこかで時間を止めるのです。
その惰性に生きると知らぬ間に人生が棒に振れているでしょう。
主人公は気がつきます。
自分は人生を無駄にして40歳を迎えたと。
過剰なほど饒舌な独白を携えて旅に出ます。
そして,嘘で偽で半可な人物と自分に出会います。
無茶苦茶な祈りにのせて,大事なものたちに心を添わせます。
絲山秋子お得意の「ご当地」情景がとても鮮やかでした。(今回は京都)
アブセント
エスケイプの片割れをなす小説です。
エスケイプ/アブセント
文の調子,その過剰さから絲山作品の「愛なんかいらね〜」を想起しました。
ざらっとした手触りで,触りたくないのにふれてしまう,そんな小説です。
人生を棒に振るのは簡単です。
どこかで時間を止めるのです。
その惰性に生きると知らぬ間に人生が棒に振れているでしょう。
主人公は気がつきます。
自分は人生を無駄にして40歳を迎えたと。
過剰なほど饒舌な独白を携えて旅に出ます。
そして,嘘で偽で半可な人物と自分に出会います。
無茶苦茶な祈りにのせて,大事なものたちに心を添わせます。
絲山秋子お得意の「ご当地」情景がとても鮮やかでした。(今回は京都)
アブセント
エスケイプの片割れをなす小説です。
エスケイプ/アブセント
文の調子,その過剰さから絲山作品の「愛なんかいらね〜」を想起しました。
ざらっとした手触りで,触りたくないのにふれてしまう,そんな小説です。
2008年11月25日に日本でレビュー済み
大体自分は前からウザいウザいと思っていたのよ。価値の相対化の果てに、自堕落な自分しかないことを発見したつもりで、そんなのは最初から気づいていましたよと開き直ってみても、だから何?っていう。結局人は拠って立つ価値観を持つべきなんだぁああ、とも言い切れないっていう。ほらねやっぱウザーいでしょ。
で、いいんじゃないんでしょうか。男40代、ホモ、ノンポリ、ノンラジカル、気づくの遅すぎでもいーじゃないっていう根拠は生きてるってだけで。まあいろいろあるけどさ、いろいろあるんでしょこれからも。ないかもしれないけど。なかったらやだな。
パンジャマンがファンタジーってわけでしょ。どこの神様も似たようなことするね。
人は、自分にしか救われない。でも自分ひとりで自分なんか救えんのか。
で、いいんじゃないんでしょうか。男40代、ホモ、ノンポリ、ノンラジカル、気づくの遅すぎでもいーじゃないっていう根拠は生きてるってだけで。まあいろいろあるけどさ、いろいろあるんでしょこれからも。ないかもしれないけど。なかったらやだな。
パンジャマンがファンタジーってわけでしょ。どこの神様も似たようなことするね。
人は、自分にしか救われない。でも自分ひとりで自分なんか救えんのか。
2007年5月30日に日本でレビュー済み
普通ですが、この短さで与える深さを考えると効果として素晴らしい短さと言えるのではないでしょうか?
それでも、今まで絲山作品を読んできたモノとして、「もっと」を感じずにはいられないとも思いました。
作中の人物たちの出会い、繋がり、別れをこの短さでも充分伝える絲山さんは素晴らしいです。絲山さん以外では私は知りませんし、だからこそ、新作が出ると気になり、読んでしまいます。そういう作者が同時代に生きている事に感謝。
それでも、今まで絲山作品を読んできたモノとして、「もっと」を感じずにはいられないとも思いました。
作中の人物たちの出会い、繋がり、別れをこの短さでも充分伝える絲山さんは素晴らしいです。絲山さん以外では私は知りませんし、だからこそ、新作が出ると気になり、読んでしまいます。そういう作者が同時代に生きている事に感謝。
2007年1月24日に日本でレビュー済み
絲山秋子の小説の主人公は<アレ〜、こんな人生でこの人これからどうなっちゃうんだろ〜>と絶えず思わせる人ばかりだ。
今回は極めつけでセクトに深入りして20年間地下活動をしていた40代ホモが組織を抜けて京都旅行をする話である。
ああ、どうなっちゃうんだろ〜!
こういう人には近づきたくないが、話は聴きたい。
イトヤマの小説が、現代純文学ハードードカバー、しかも薄っ!でも売れるのはどうやらここいらの<聴きたいけど近づきたくない人の話>を巧い筆致で描くからであろう。
すると実に現代的な話に聴こえるが、マルキシズムとキリスト教が主題であり、それに裏切りと偽物という逆説的な切り込みがあり、なおかつ主人公の目的が失踪した双子の兄を捜すことなので、案外古典のような物語が展開する。
それを古臭く感じないのは語り口がラノベ以上になめらかだからだろう。
そういう古典への視座も併録「アブセント」でブチ壊しにするから実にぬかりの無い作家である。
今回は極めつけでセクトに深入りして20年間地下活動をしていた40代ホモが組織を抜けて京都旅行をする話である。
ああ、どうなっちゃうんだろ〜!
こういう人には近づきたくないが、話は聴きたい。
イトヤマの小説が、現代純文学ハードードカバー、しかも薄っ!でも売れるのはどうやらここいらの<聴きたいけど近づきたくない人の話>を巧い筆致で描くからであろう。
すると実に現代的な話に聴こえるが、マルキシズムとキリスト教が主題であり、それに裏切りと偽物という逆説的な切り込みがあり、なおかつ主人公の目的が失踪した双子の兄を捜すことなので、案外古典のような物語が展開する。
それを古臭く感じないのは語り口がラノベ以上になめらかだからだろう。
そういう古典への視座も併録「アブセント」でブチ壊しにするから実にぬかりの無い作家である。