1年半前にAmazonで購入してから、なぜか積ん読だった作品。本日、夕方から一気呵成に読みました。
19歳の大学生ヒデは、28歳の額子(がくこ)の熟れきった女体に、大学を留年するほどのめり込んでしまう。
しかもヒデの女神様である額子は、日常生活も、セックスの間も、ぶっきらぼうで自分本位で、ぶっちゃけ何を考えているのかわからない。それでも前後の見境もなく額子の素晴らしい身体にのめり込むヒデの純情が印象的。
しかし、ある日、結婚を機に額子はにべもなくヒデを捨ててしまう。
それからあとの、ヒデの転落は目を覆うばかり。ただし、転落前に、ネユキこと山根ゆきという引きこもりの女子学生との短い交流があったりするが、ネユキ(※)は変な新興宗教 (全治の会) にのめり込んでしまう。
(※)ちなみにネユキ(山根ゆき)は本作の最後の方で全治の会による信者殺害事件に首謀者の一人として連座してしまい、ヒデにかなりのショックを与える。
その後、ヒデは酒に溺れ、アルコール依存症に陥ってしまう。ヒデが転落してゆく描写の迫力がすさまじい。まさしくアルコール依存症の病理の全てが細大漏らさず明かされるといった感じ。
けっきょく慢性的な飲酒の果てに、車で物損事故まで起こして警察に逮捕され、ヒデは心機一転、アルコール依存症治療のための病院に入院し、三ヵ月後に再び真っ当な人間になって退院する。
額子の実母で「よしたけ」という小さな料理屋をやっている「おばやん」の手引きもあって、多少の紆余曲折の後、ヒデは額子と再会するのだが、その額子は仕事中に事故に遭い、片腕を失い離婚していた。
いまの額子は、萩乃さんという従姉をたよって、群馬県の田舎、片品村に暮らしているという。
その片品においてヒデは額子と劇的な再会を果たす。
そして、片腕を失ったが以前よりは人間の丸くなった額子とヒデのあいだに、穏やかな大人の愛が芽生える。このエンディングの部分は素晴らしかった。まさに胸キュンでした。
いやあ、最初のほうはポルノ小説そこのけの額子とヒデの圧倒的なセックス描写がえんえんと続き、ちょっと度肝を抜かれたけれど、最後は心温まる大人の恋愛で幕という、文字どおりの「大人の愛の物語」でした。
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ばかもの 単行本 – 2008/9/1
絲山 秋子
(著)
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- 本の長さ172ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2008/9/1
- ISBN-104104669032
- ISBN-13978-4104669035
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2008/9/1)
- 発売日 : 2008/9/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 172ページ
- ISBN-10 : 4104669032
- ISBN-13 : 978-4104669035
- Amazon 売れ筋ランキング: - 667,837位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 15,330位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
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1966年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。住宅設備機器メーカーに入社し、2001年まで営業職として勤務する。03年「イッツ・オンリー・ トーク」で文學界新人賞を受賞。04年『袋小路の男』で川端康成文学賞、05年『海の仙人』で芸術選奨文部科学大臣新人賞、06年『沖で待つ』で芥川賞を 受賞する(「BOOK著者紹介情報」より:本データは『 ダーティ・ワーク (ISBN-13: 978-4087465679 )』が刊行された当時に掲載されていたものです)
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2019年3月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
2020年10月29日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
馬鹿な若者、何を考えいるかわからない女、こんなのまさに私達(男目線)の日常だ。だから共感できる。こんなにいい女に声をかけられ情愛に耽るなんてことは我が身には起こらないし、起こったこともなかったけど、バカさには共感できるし、女が何を考えいるかわからないが故のしょーもない悩みも、下世話なほど我が身のことだ。
アルコールに溺れることも、すごそこにある。すんでのところで留まっているが、足を踏み外すと向こう側に落ちてしまう稜線ギリギリのところにいたということにも気付かされる。そしてその先が描かれている。バカさに共感しただけに、冷たい汗が背中から熱を奪っていくのを感じる。アル中の心理描写はしんどい。二回目は読めなかった。しかし、実際にはそんな感じなんだろう。
しかし、そんな彼も家族には受け入れられ、どうにか身を持ち直しだす。家族は積極的に支えるわけではないし、ディテールが描かれるわけではないが、そこにある。父親の包摂する愛情が切なく、自分のそういった父性を発揮できれば良いと思う。
この本を何度か読み返してしまうのは、ヒデと額子の関係が素敵だからだ。これは読まないとわからないと思う。読み終えたときに二人の関係性を思い返すことで、なんだか幸せな気持ちになるのです。
アルコールに溺れることも、すごそこにある。すんでのところで留まっているが、足を踏み外すと向こう側に落ちてしまう稜線ギリギリのところにいたということにも気付かされる。そしてその先が描かれている。バカさに共感しただけに、冷たい汗が背中から熱を奪っていくのを感じる。アル中の心理描写はしんどい。二回目は読めなかった。しかし、実際にはそんな感じなんだろう。
しかし、そんな彼も家族には受け入れられ、どうにか身を持ち直しだす。家族は積極的に支えるわけではないし、ディテールが描かれるわけではないが、そこにある。父親の包摂する愛情が切なく、自分のそういった父性を発揮できれば良いと思う。
この本を何度か読み返してしまうのは、ヒデと額子の関係が素敵だからだ。これは読まないとわからないと思う。読み終えたときに二人の関係性を思い返すことで、なんだか幸せな気持ちになるのです。
2024年5月16日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
主人公の男(ヒデ)の性欲と堕落、恋愛の物語です。
冒頭からヒデの本音が丸出しで描かれているのと、落差の大きい展開が続くのでなので読みやすいです。
性欲の溺れる部分は想像の人物が現れたり、恋愛感情を持ったときは三人称から一人称になるレトリックもあるので、ヒデの心情はよく伝わってきます。
周りの人々との関係が崩れていくところ、得体の知れない女(額子)の振る舞いなどは、感じるところがありましたが、ヒデは好きななれまぜんでした。
冒頭からヒデの本音が丸出しで描かれているのと、落差の大きい展開が続くのでなので読みやすいです。
性欲の溺れる部分は想像の人物が現れたり、恋愛感情を持ったときは三人称から一人称になるレトリックもあるので、ヒデの心情はよく伝わってきます。
周りの人々との関係が崩れていくところ、得体の知れない女(額子)の振る舞いなどは、感じるところがありましたが、ヒデは好きななれまぜんでした。
2020年6月23日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
自分の中の柔らかい部分にひんやりと触れた。人はなんらかに依存帰属していないと真っ直ぐに生きてはいけない、社会に溶け込めない者はどのように弾かれていきたた主人公のように復活するのか、傑作
2020年6月20日に日本でレビュー済み
この作家の作品は好きです。
自立することの厳しさ・辛さ・底に流れる寂しさをこれほど突き詰めて書いてる作家はあまり居ないのではと
思っています。
私達が簡単に肩の力を抜いたら~などと思ったり言ってしまったりするのですが。
それなのに、こと生活観では食材には奥深く、料理はいともたやすく自分の世界をもってこなしている様子が凄い。
何が凄い❢と言葉が返ってきそうですが。
自分に厳しい余り相手を想う深い気持ちや、それが愛情の世界に代わると不憫なくらいに自分を捨てなおその気配すらを消去して極限と思えるひたむきさで、その想いを貫き通そうとしてる。
その想いはどうしたら・どこから・育まれて来たものかいつも私を悩ませ驚かせるのです。
このばかものには絲山秋子さんのそんなすべてのバックボーンが感じられて、またこの作者から目が離せなくなる作品でした。
私には群れない作家という印象も佐多稲子などを彷彿させてくれるのですが・・・・
これは絲山秋子評とは関係無さ過ぎでしたね。
自立することの厳しさ・辛さ・底に流れる寂しさをこれほど突き詰めて書いてる作家はあまり居ないのではと
思っています。
私達が簡単に肩の力を抜いたら~などと思ったり言ってしまったりするのですが。
それなのに、こと生活観では食材には奥深く、料理はいともたやすく自分の世界をもってこなしている様子が凄い。
何が凄い❢と言葉が返ってきそうですが。
自分に厳しい余り相手を想う深い気持ちや、それが愛情の世界に代わると不憫なくらいに自分を捨てなおその気配すらを消去して極限と思えるひたむきさで、その想いを貫き通そうとしてる。
その想いはどうしたら・どこから・育まれて来たものかいつも私を悩ませ驚かせるのです。
このばかものには絲山秋子さんのそんなすべてのバックボーンが感じられて、またこの作者から目が離せなくなる作品でした。
私には群れない作家という印象も佐多稲子などを彷彿させてくれるのですが・・・・
これは絲山秋子評とは関係無さ過ぎでしたね。
2013年10月26日に日本でレビュー済み
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さらりと乾いた筆致で、訪れる人生の不幸や不条理が、自然にすとんと伝わってくる。それを騒ぎ立てることなく諦めるでもなく
生きてゆく、愚かでいとおしい「ばかもの」の物語に一気にひきこまれました。日常に突然訪れる不条理な悲劇は、アーヴィングを彷彿させる。
生きてゆく、愚かでいとおしい「ばかもの」の物語に一気にひきこまれました。日常に突然訪れる不条理な悲劇は、アーヴィングを彷彿させる。
2014年4月15日に日本でレビュー済み
小説中に出てくる、ヒデという男の転落していく描写がすさまじい。底辺に落ちていくものと、その再生を描かせたら、右に出るものはいない
2014年2月17日に日本でレビュー済み
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本の程度大変良かったです。今後とも末長くお付き合いよろしくお願い致します