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いじわるペニス 単行本 – 2004/10/21
- 本の長さ202ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2004/10/21
- ISBN-104104712019
- ISBN-13978-4104712014
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商品の説明
著者からのコメント
私が抱えていたテーマのうちのひとつが、
「エッチしないと恋愛してるとはいえないの?」
ということです。
なんか一種の「証拠」として、もしくは人間の「本能」として。男も女も求めてしまうと思うんです。
「ねーねーアイツと付き合ってるんでしょ?」
「え~、でもまだ“してないし”~」
……とか。
婚約するためには「プロポーズ」があるように、
恋人になるためには「セックス」があるような、
そんな感じさえします。
とりあえず1度はエッチしておかないと、安心できないっていうか。なんか不安なんですよね。その不安の塊になってしまったのが、今回の咲希ちゃんです。途中から「怖い」くらいにヤりたさのカタマリになっていきます……。
……実は。
私の所に早くも何通か、メールが届いています。
「ラストがコワイ!!!!」
と……(≧∇≦;
どうもスミマセン……(≧∇≦)エヘ~。
新潮社さんからも「こりゃ正直「サイコホラー」と呼ぶほうがいいのかもしれない」とまで言われております。
恋愛で不安を抱くと、人間ってこんなふうになっちゃうのかも。
設定はものすごく特殊なのに、多くの女性の共感をいただけたのは、そういうところなのかもしれません。
抜粋
(なんで勃たないの? 私ってそんなに魅力ない?) 二十二歳の彼は二十九歳の女のカラダでは、発情しないのだろうか。 ハタチの女の子に比べれば、そりゃあ、おっぱいだって垂れてるだろうし、お尻の肉だって、弛んでいるかもしれないけれども。
私の上に乗っている由紀哉の顔を、じっと見つめた。ポークウインナみたいに小さくなったペニスを、ちんまりと私のお腹の上に乗せたまま、彼はなぜか笑っていた。苦笑いというよりは、泣き笑いみたいな顔……。 なんで笑ってるの、とまたムカッとしたけれど、それが精一杯の彼の強がりなのかもしれなかった。
そんなおち○ち○で、よく、この仕事してるね。そう言ってやりたいけど、むちゃくちゃ傷つくだろうから、言わない。それに、言い返されるのが、怖い。 「うるせぇババァ!てめぇとヤる時だけ、勃たねぇんだよ!」 そう怒鳴られそうな気がして。
由紀哉は複雑な笑顔を見せた後で、 「……ごめんね」 とだけ言った。 「……ううん、いいのよ」
これもいつものこと。私はいつでも、物わかりのいいお姉さんを、彼の前で演じている。もうこれで何度目だろう。イかない売春少年に対して、私は毎回毎回、なんで正規料金を支払ってるのだろう。
シティホテルのテレビからは、北海道の、雪で出来たクリスマスツリーが映し出されている。朝だからなのか、レポーターの声は元気いっぱいだ。
今日はクリスマス。私はクリスマスイブの相手を、お金で買ってしまった。 彼氏がいない私は、ひとりぼっちでこの朝を迎えることが、たまらなくこわかったのだ。
派遣社員の毎日は、それなりに残業もあり、忙しい。もう2年も恋人がいない淋しさは、進んで残業を引き受けることや、広めのベランダでガーデニングに励むことで、それなりに紛らわせることができた。
でも時々、独りが耐えられなくなることがある。 そんな時、私は、由紀哉を買う。
割り切った、ドライな付き合いのつもりだった。けれども、由紀哉のペニスは、割り切れていない彼の気持ちを示しているかのように、萎えている。
「俺、勃起や射精にすっごく時間がかかる。イかない時のほうが多いんだ」 そう言い訳されるけど、一度くらい、彼がイくのを見てみたかった。白い液をどろりとコンドームの液だまりの中に流し込んでもらいたかった。 「ねえ」 そそくさとゴムを外している彼に、私は、問いかけた。
☆第2話☆ ------------------------------------------------------------------------
「由紀哉クンてさあ、ひょっとして、ゲイ?」 「え」 彼は驚いたような顔をして、私を見た。一滴もザーメンなんか出てはいないコンドームを指先からぶらんと下げている。 「だって、男の人の前では、イくんでしょ?」 彼は一瞬言葉に詰まったけれど、 「俺、口でイッたことないし。男にいくらしゃぶられてもイかないよ」 「じゃあ、どうしてんの」 「……自分でオナニーすればイけるから、お客さんにはそれで納得してもらってるけど」 サラサラの茶色い髪をしている彼は、少し反抗的な目線を私に向けた。 普通に街を歩いていれば、それなりに人目を惹く、可愛いルックスの由紀哉。 由紀哉は、ウリセンボーイだった。新宿二丁目には、一晩三万円でゲイの男性に身売りをする男の子達がいる。ペニスを舐められたり舐めてあげたり。OKな子はペニスをアナルに入れたり入れられたり。 見知らぬ男達と、一夜を共にして、二万円の取り分を、得るのだ。 ウリセンを続けてもう二年目だという。 彼が身体を売る理由は、借金。車のローンがまかないきれないから。 思い切って買った、三百万円近い4WD車。けれども半年と乗らないうちに、盗まれてしまったという。もうそこにはない車のためにお金を支払い続ける惨めさが、彼をこの仕事に追い込んだらしい。 週に二回。判で押したように金曜日と土曜日だけ、彼は店に出る。 他の日は、彼は、恵比寿にある大きな病院の駐車場係をしていた。車が大好きだからこの仕事をしているのだという。 「昼番と夜番があるんだ。昼番は、病院の患者やお見舞い客がちまちま出入りするから、何かとめんどくさいんだけど、夜番は静かで、いいよ」 と言う。病院入り口付近の小さな詰め所の中、冬はミニストーブ、夏はミニ扇風機に当たりながら、出入りする車を眺めているのが楽しいという。 病院の駐車場は広く、夜間は一般にも貸し出しているのだけれど、あまり知られていないらしく、割合暇なのだという。 「あとは、急患の家族の車が来るかな」 救急車は、病院の救急窓口に付けるので駐車場には入ってこないと言う。 「救急車には、思い出がありすぎだよ」 彼はそう呟いた。
☆第3話☆ ------------------------------------------------------------------------
由紀哉の二歳離れた弟は、重い喘息で、生後すぐから入退院を繰り返していたらしい。 付き添いが必要な病院だったので、母親は不在がちになった。由紀哉は二歳から保育園に入れられ、祖母が送迎するようになった。 「大変だったのね」 「いや、俺もそりゃ少しは淋しかったけどさ、一番つらいのは、弟だからさ」 「ねえ、なんで、そんな話、私にしているの?」 「……なんでだろう?」 由紀哉も少し首を傾げた。 「ほら救急車の話したじゃん、それで思い出したんだよ。救急車、弟が何度も乗ったし」 由紀哉の瞳の中に、押し殺したような怒りがあるような気がした。 「救急車におかんが一緒に乗り込む時、すごく不安で、僕も行くと泣いたし、保育園に連れていかれたくなくて、柱にしがみついたりしていたよ」 でも母親は、弟の看病で必死だったのだろう。あまり由紀哉を構ってはくれず、突き飛ばすようにして行ってしまった。 あんまりグズっていると「お兄ちゃんのくせに、いい加減にしなさい!」とビンタが飛んできたこともあったそうだ。 二歳といえば、一番母親に甘えたい時だ。彼は、弟に母親を取られたとか、母親に拒絶された、とか思っているのではないだろうか。 週末になるたびに見知らぬ男に抱かれている彼の現実を、考えた。誰かに抱っこされることで、心の隙間を埋めているかのような。抱っこされ足りていない子どもの頃の自分を慰めているかのような……。 由紀哉は週末はウリセンバーで客を待ち、平日は駐車場で車が入ってくるのを待っている。 南の島のあちこちには、海の向こうから神様がやってくるという伝説がある。由紀哉も何かもっと違うものを本当は待っている気がした。 じっと待っていれば、何か、ものすごくいいことがやってくるかのような。心の傷を癒してくれるエピソードを彼は待っているんじゃないだろうか。 由紀哉はもういいじゃんそんなこと、とでも言いたげに、ベッドの中に潜り込み、私に抱きついてきた。 彼の指が、私の下腹部に、伸びてくる。 「なに……?」 「触りたいんだよ」 指先が、そろそろと奥の方へと潜っていく。 果てなかったお詫びのつもりなのだろうか、由紀哉の手は、蜜壺に達した。今しがたペニスを抜かれたばかりの濡れた泉の縁をぴちぴちと弾いている。 「ん……」 自然と、彼の指が入りやすいように、腰を浮かせていた。 「咲希ちゃんのアソコ、俺の好きなアソコなんだよ」 つりゅ、と指が、中まで滑り入ってきた。
著者について
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2004/10/21)
- 発売日 : 2004/10/21
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 202ページ
- ISBN-10 : 4104712019
- ISBN-13 : 978-4104712014
- Amazon 売れ筋ランキング: - 1,696,584位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 40,538位日本文学
- カスタマーレビュー:
著者について
小説家&脚本家「夢をかなえるツイッター」など著書80冊以上。Kindle&電子書籍&SNS好き。山梨県出身。
日本文芸家クラブ理事(会長・志茂田景樹さん/理事長・睦月影郎さん)
恋愛系の著作が多め。ケータイ小説ブームの頃より、電子書籍、ネット媒体での登場が多い。
ケータイ小説での代表作は「ラブリンク」「いじわるペニス」。
ラジオドラマ脚本「婚活バスは、ふるさとへ」(YBS)文化庁芸術祭優秀賞&日本民間放送連盟賞優秀賞
舞台「男おいらん」は再演を重ね、ノベライズ化&コミックノベル化&コミック化。
漫画原作「すうがくくん」エッセイ「たたかえ!てんぱりママ」では数学少年の息子との苦闘を書く。
イケメン評論家という副業でコメンテーターも。フジテレビ アウト&デラックス出演。
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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若い時に読んだら受け入れにくい内容だったかもしれないけど、ある程度の年齢(著者と同年代)の今だからこそ すんなり受け入れられた気がします。
恋愛の形って人それぞれ!こんな形の愛情表現もアリなんじゃないかなぁ。
レビューも辛口評価が多いけれど あたしは好きです 一度めより二度めに読んだ時の方が納得できたなぁ。
一度読んだ人も もう一度読んだら違う受け取り方になるかも!
自分だったらどうするだろう?って、読みながら何度も考えました。
せつないストーリー。でも読みやすい。自分の知らない世界だからこそ魅せられる作品だと思います。
本は読み手あってのものということ前提に言葉を吟味し、もう少しソフトな表現力などを身につけられた方がいいのではないでしょうか?
私自身も携帯小説を書いておりますが、ラブシーン描写では吟味に吟味を重ねて言葉を選び、なるべく誰が読んでも美しく品のあるエロティシズムを感じさせられるよう心がけています。
アマチュアの私ですら言葉の吟味を重ねているのに、プロである彼女がそれすらおざなりにしてるのはどうかと思いました。
立ち読みだけで済ませて正解でした。お金を払う価値はありません。
東南アジアでダンサーを買っても文学にはならないが、森鴎外がドイツで舞姫の経済的危機を救えば、それは文学と呼ばれるだけではなく、教科書にまで載るようになる。
芥川賞作家が性行為を描写すれば、生と性の深淵を追究した純文学大作と評価されるが、芥川賞に落選し続けて、ついには脱落した川上宗薫が性を描いても、エロ小説と呼ばれるだけで文学扱いされることはない。
内藤みかという、文学賞に無縁の女が男を買っても文学にはならず、ケータイ小説にしかならない。(ホストではなく、ドイツ人バレリーナのパトロンとなって、妊娠し、堕胎する日々を格調高い擬古文で書いたならば、そのうち教科書に載るようになるかもしれんが。)
しかし、そんな差別され抑圧され続けてきた者の魂の叫びが文学でなくて何であろうか。
物語のエピローグにおける復讐劇は、作者自身の文学界に対する復讐だろう。
何も響くものも感じるものも何もない本でした。
心にひっかかる点や、考えさせられる点がないので
流し読みできる点のみは評価してもいいかもしれません。
帯は、最近の風潮でしょうが、無理矢理に煽りすぎな気がします。
これで切なさを感じるなり、
涙MAXになる意味がさっぱりわかりません。
正直、自分の中ではかなりの駄作の部類です。