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冷血 単行本 – 2005/9/29

4.0 5つ星のうち4.0 8個の評価

登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2005/9/29)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2005/9/29
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 346ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4105014064
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4105014063
  • カスタマーレビュー:
    4.0 5つ星のうち4.0 8個の評価

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トル−マン・カポ−ティ
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2020年3月11日に日本でレビュー済み
"そのとき、眠りに落ちていたホルカムでは、その音−結果的に六人の命を絶つことになる散弾銃の四発の轟音−を耳にしたものはいなかった"1965年発刊【実際に起きた一家4人惨殺事件】に5年間の緻密取材を行って発表されたノンフィクション・ノベルの本書は、著者の代表的傑作にして『ニュージャーナリズム』の始まりの一冊。

最初に言っておくと、ごめんなさい。ノンフィクションとして事件を題材にした小説ジャンルには主に個人的先入観【事実のねつ造や美談化】【著者のふりかざす正義感】みたいなイメージから苦手としていたのですが。重ねて、ごめんなさい。本書は驚かされるくらいに傑作です。圧倒的に面白かった。

さて、そんな本書のあらすじ的な紹介は冒頭で紹介したとおりで、殺人事件として予想される『犯人探し』も意外にも始めの方であっさり開示されるわけですが。何がそんなに面白いかと言えば、二つ。一つはその【徹底取材の緻密さ】被害者と加害者のみならず、登場する全ての人(や動物)にスポットに当て、それが後半にかけて【無駄なく組み合わさってくる構成力】には尋常ではない才能と迫力を感じます。

また、もう一つは明らかに犯人の一人、ペリーに著者自らの不幸な生い立ちを重ねて寄り添っているにも関わらず、描写に関しては突き放すかの様に(私はこの態度がタイトルの意味と感じました)【書き手である自分を徹底的に作中から排除】して、『通常』は重きを置かれそうな『犯行理由や善悪』に関しては【読み手に委ねる俯瞰的態度】です。

何故なら、これは現代にも通じる、事件の度に【安易な犯人探し、正義を振りかざすマスコミ糾弾】に日々触れる世界に生きる一人として、普遍的な意味をもって考えさせられる指摘だと感じたからだ。(あと、新訳においては、あえて『差別的言葉)を残す翻訳者の姿勢、言葉の選択のこなれ具合もまったく素晴らしい)

実際の事件を題材にした圧倒的に面白い『小説』を探す人へ、また安易な善悪決めつけ報道や『正義マン』の横暴にモヤモヤする人へオススメ。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年3月13日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
殺人者の生涯を描いた出色のノンフィクション「心臓を貫かれて」(文春文庫)を彷彿とさせる、というか同一人物がモデルだと思っていたら、実は別の話だったクライム・ノベル。取材ノートが6000ページ近くに及んだだけあって、加害者、被害者の言動・内面がかなり詳細に描かれている。ノンフィクション、フィクションの垣根を取っ払って、融合させたことにより成立している世界だろう。「冷血」というタイトルから想像するほど、血も涙もないという印象は受けないが、だからこそ逆に虚無の闇の深さにたじろぐ。緻密な大書である本書を読了しても「なぜ殺されなくてはいけないのか」「なぜ殺すことになったのか」は永遠に理解できない。「死刑」によって償われるのかも。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年1月17日に日本でレビュー済み
 ティファニーで朝食をなどで有名なカポーティの作品。田舎町で起きた

事件を人々の話を基にして再構成したノンフィクションノベル。

 田舎町の描写からこの作品は始まる。地域住民から尊敬を集める農場主。

その家族と友人、使用人。当たり前の日常を送る人々。

 その一家が惨殺されるという事件が起こり、その日常は失われてしまう。

疑心暗鬼になった人々は滅多に掛けない家の鍵を掛け、仲間を疑い、噂をする。

紆余曲折の末、男たちが逮捕される。彼らはどのような心理で事に

当たったのか。彼らが絞首台へ上がるまでの取材を元に迫る・・・

というのがあらすじ。

 この小説の主題ともいえる’なぜ彼らは?’という問いに、確固たる

正解は用意されていない。幼年時の貧しさ、虐待、事故、性質、嘘、

身内との関係など、単純に読めば理由と取れることはいくつか上げられて

いるが、そのどれもが正しいのだろう。彼ら(というか彼)の供述によれば、

それは犯人同士の心理的なことにあるのだが、ただそれだけで殺意が発露

するものではなく、上述したものが関っているという考え方も出来る。

 人が殺人にいたるまでの、心の動きのひとつのケースを丹念に書き

あらわした作品として興味深く読むことが出来た。彼らの旅路や過去の

回想、田舎の人々の話が多少蛇足的に感じられたが、逮捕から供述に進む

あたりからは勢いよく読むことが出来たし、必要なことだったともわかった。
13人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年11月19日に日本でレビュー済み
読後、最初の感想は『冷血』とは、当事者であるふたりの犯人(ペリーとディック)

のみならず、犯人の家族や村の人々、裁判の関係者をふくめて『冷血なるものを共有』

していないか、ということでした。

このように読ませるのは、どちらか片方に肩入れすることなく、まんべんなく書き分け

ているからでしょう。そのために、相当の取材の蓄積があったんだろうと伺われます。

この本を読み「ノンフィクション・ノベル」に、はまりそうです。
5人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2006年10月17日に日本でレビュー済み
1950年代にアメリカ・カンザス州、平穏な町で実際に起こった 一家4人惨殺事件を題材にしたノンフィクション小説、カポーティの代表作です。
被害者の家族の描写から始まり、併行するように、加害者や周りの人々の生活や感情に触れながら物語はすすんでいきます。被害者の死の後は、中心となるのは加害者であるディックとペリー、そして併行するのは、加害者の家族であり、捜査機関や町の住民の物語です。
綿密な調査にもとづいた二人のその後の行動と巧みな登場人物の心理描写はこれだけ長い小説であるにも関わらず、読者をどんどん惹き付けて行きます。
感心するのは、どの登場人物にも感情を過分に移入する事なく冷静に第三者の目でつづったカポーティの手腕です。それによって読む人も善人、悪人と隔てる事なく加害者の内面に迫っていく事ができます。
あえてあくまでも客観的な心理描写をする事により、この本の読者がこの事件をとりまく様々な社会問題、そして司法制度や死刑制度など様々な事について自らの見解を深める事ができると思います。
8人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2008年4月1日に日本でレビュー済み
1959年11月15日深更、カンザスの片田舎で起きた一家四人惨殺事件。事件発生以前から犯人の絞首刑までを綿密に再現したノンフィクション・ノヴェルである。
1965年に発表された作品だが、カポーティは本書の執筆に先立ち、3年を費やしてノート6000ページに及ぶ資料を収集し、さらに3年近くをかけてそれを整理したといわれている。

この作品の価値は、著者の主観を一切排除して、事件を、事件前夜から、犯人二人組が絞首台を上り詰めるまで詳細に、そして多角的に再現し、あくまで客観的にひとつの物語として編み上げた点にあると思う。実際、物語は加害者、被害者、捜査官はもちろんのこと、関係する家族など周辺の人々の会話や証言、手紙など三人称多視点で成り立っている。その多層に織り込まれたドラマは、それだけでも、読むものを圧倒する。

私はセンセーショナルな犯罪もののドキュメンタリーを予想していたが、そこにあったのは、繰り返し描かれる“家族の絆”のようなものであった。
そのあたりが本書を、40年近くたった今でも圧倒的な迫力を携えながら、読む者の心の奥底に迫ってくる名著にしているのだろう。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート