特に印象深かったのをひとつ。
日本の「スーパー戦隊シリーズ」をアメリカに輸出、大部分を改変(日本の特撮映像+生身の俳優をアメリカで撮影)した「パワーレンジャー」についての記述。
あの当時(93年ごろ)、「恐竜戦隊ジュウレンジャー」がアメリカに輸出されると知った私は「やった!ついに日本の特撮が世界に認められた!!アニメと比べられて幼稚だ下等だと言われ続けた時代は終わるんだ!!」と思いました(大げさと思われるでしょうが、本当にこう思っていた。あの頃は若かった・・・)。
しかし、実際は認められても受け入れられてもいなかった。いや、アメリカの子どもたちは受け入れてくれたが、大人たちの中で戦隊を受け入れたのは仕掛人のサバン氏ただ一人だけだった。斬新な作品が欲しかったフォックスTVの人との利害が一致するまで、サバン氏が「電撃戦隊チェンジマン」で惚れ込んだ「戦隊」がアメリカ入りするまでに約8年かかっていた(昔「サンバルカンの頃から海外輸出の話が持ち上がっていた」と聞いたが、それはアメリカ以外の話だったのか・・・?)。
これは他の作品(セーラームーン、たまごっち、そしてポケモン)でも同じだったが、アメリカの大人たちは総じて戸惑った。「話は単純、特撮はチープ、他にも色々アメリカの作品とは異質な」パワーレンジャーがなぜヒットするのか、全く理解できなかったという。
そうこうしている間にもレンジャーたちはシーズンを重ね続け、最初のうちは善側スーツが「ジュウレンジャー」のままだったのが、「オーレンジャー」になり「カーレンジャー」になり、ついにはアメコミ伝統の「同じ正義と悪が延々と戦い続ける」方式から「年ごとに悪が滅び(話が完結し)、新たな正義と悪が生まれる(新たな別の話になる)」日本作品の方式に転換。そして制作が天下のディズニーになったのもつかの間、人気はどんどん落ちていき、ついには「炎神戦隊ゴーオンジャー」(の、アメリカナイズ)を最後に「パワーレンジャー」は終了したのでした(執筆時期の関係で、「菊とポケモン」ではこの完結に関する話題は触れられていない)。
・・・思えば短いようで長い栄華だったな・・・。こうやって書いているうちに、「パワーレンジャー」単体の検証書が読みたくなってきた。どこかで出してくれないかな(いや、もう出てる?)。
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菊とポケモン: グローバル化する日本の文化力 単行本 – 2010/8/1
ダブルポイント 詳細
- 本の長さ412ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2010/8/1
- ISBN-104105062212
- ISBN-13978-4105062217
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2010/8/1)
- 発売日 : 2010/8/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 412ページ
- ISBN-10 : 4105062212
- ISBN-13 : 978-4105062217
- Amazon 売れ筋ランキング: - 265,095位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 74,617位文学・評論 (本)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2011年1月14日に日本でレビュー済み
アメリカの文化人類学者によるアメリカ論。しかし、視座は日本。ポケモン、パワーレンジャー、セーラー・ムーン、たまごっちという日本発のサブカルチャーでアメリカをまさに席巻したテーマを切り口に、これらのメイド・イン・ジャパンのコンテンツがなぜアメリカ人をここまで魅了できたのかを分析する。膨大な文献調査、そして取材から得られた情報をもとに考察される著者の明晰なる思考は、ぐいぐいと読者を引き込む迫力に富んでいる。特に「ポスト・フォーディズム」という観点からの分析は、説得力があり、この本を読むと、なんかちょっと賢くなったかのようにさえ思える。
2011年12月6日に日本でレビュー済み
本書から著者が日本発のポケモンの仮想現実の世界がディズニーが作り上げたものと異なると書いている部分から引用したい。(P352)
「ディズニー化がより映画的で、中心となるキャラクター、一貫した物語性、そして米国パワーに重ね合わされる文化価値を軸に据えているのに対して、ポケモン化はよりモバイルで多様性があり、ゲームをもとにしたテクノロジーに依拠し、ネットワーク、進化、そして限りなく増殖していく世界(つまり”開いている世界”)の秩序を符号化している。たえず接触、分離、再組立てされるパーツ、パワー、攻撃、秘密、希少性、データ、特徴と性質が、電子回路そのものとして設定されたポケモンは、情報資本主義が示す方向性にあまりにもぴったりの、そしてディズニーよりもすぐれた遊びに人々をいざなう。」
まー、このように徹底した文章で日本発のポップカルチャーを分析しているのだが、アメリカ文化のグローバル化の普遍性価値観の崩壊?がもたらす影響など、文化人類学者ならでの見解を説いている。
ここまで日本発のサブカルチャーが世界に浸透しているのが驚きであり新鮮であったが、あまりにも事細かな分析を読み続けるのにかなり疲れてしまった。
「ディズニー化がより映画的で、中心となるキャラクター、一貫した物語性、そして米国パワーに重ね合わされる文化価値を軸に据えているのに対して、ポケモン化はよりモバイルで多様性があり、ゲームをもとにしたテクノロジーに依拠し、ネットワーク、進化、そして限りなく増殖していく世界(つまり”開いている世界”)の秩序を符号化している。たえず接触、分離、再組立てされるパーツ、パワー、攻撃、秘密、希少性、データ、特徴と性質が、電子回路そのものとして設定されたポケモンは、情報資本主義が示す方向性にあまりにもぴったりの、そしてディズニーよりもすぐれた遊びに人々をいざなう。」
まー、このように徹底した文章で日本発のポップカルチャーを分析しているのだが、アメリカ文化のグローバル化の普遍性価値観の崩壊?がもたらす影響など、文化人類学者ならでの見解を説いている。
ここまで日本発のサブカルチャーが世界に浸透しているのが驚きであり新鮮であったが、あまりにも事細かな分析を読み続けるのにかなり疲れてしまった。