ポピュラーサイエンスのライターって、オーケストラの指揮者みたいに見えてきますね。どちらも題材 (事実/楽譜)は決まっている訳で、あとはライター/指揮者の解釈によって見せ方/聴かせ方を変えてくる訳です。本書を読み終えると、サイモン・シン氏はただ者ではないなぁーと感じ入った次第です。
私はこれまでビッグバンに触れられた本(※1)を読み、TV番組(※2)を見てきました。それでもなお本書を読むと、新しい発見がありました。(私はすっかり本書にハマリ、週末の午後で上・下冊を読みきりました)
「科学はエラーの自己修正過程である」(カール・セーガン教授)の発言通り、ビッグバン理論が紆余曲折しつつも次第に確立していく様子がイキイキと描かれます。非常に感心したのは、資料・図・表の見せ方ですね。(ガリレオのスケッチを始めとするオリジナル資料、対立理論の勝敗表、概念の説明図、等々) オリジナル・データによっては「えっ、そんな風に見るんだ、解釈できるんだ」というモノがあり、「星の王子さま」の名言「ものごとは、心で見ないと良く見えない。いちばん大切なことは、目に見えない」を思い出した次第です。実験データも「仮説に基づく信念」がないと真実を掴み取れない訳ですね。科学におけるセレンディピティ的発見の解説にもなっているところがサスガです。
そんなわけで宇宙科学に馴染みがない方は勿論、「今さらビッグバンなんて」という科学ネタ通な方にもお薦め出来ます。
(※1)「僕らは星のかけら 原子をつくった魔法の炉を探して」(マーカス・チャウン)、「人類が知っていることすべての短い歴史」(ビル・ブライソン)は特にお薦めです。なお宇宙の始まりに関する試論を含めた超弦理論の解説本としては「はじめての“超ひも理論”― 宇宙・力・時間の謎を解く」(川合 光)が面白いでしょう。
(※2)「Cosmos Collector's Edition」のDVDボックスは、1980年の作品ではありますが、今もなお重要な作品だと思います。もし超弦理論と宇宙の始まりの関係に興味のある方は「Nova: Elegant Universe」を御覧になると良いでしょう。(英語の聴き取りが出来る方に限られますが)
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ビッグバン宇宙論 (下) 単行本 – 2006/6/22
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- 本の長さ288ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2006/6/22
- ISBN-104105393049
- ISBN-13978-4105393045
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2006/6/22)
- 発売日 : 2006/6/22
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 288ページ
- ISBN-10 : 4105393049
- ISBN-13 : 978-4105393045
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2006年6月25日に日本でレビュー済み
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2008年3月27日に日本でレビュー済み
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さて、下巻。下巻の主役はフレッド・ホイルだ。彼は、アンチビッグバンすなわち定常宇宙論の旗頭だから、変な話だが、ヒールとして最高のパーソナリティーなのだろう。まあ、定常宇宙論は彼で持ってたわけだし、一方、ビッグバン宇宙論はたくさんの役者が出て来て、決定的なヒーローがいない。これからの正しい理論はどんどんそう言う傾向が強くなるのだろう。量子論でもそうだしね。
フレッド・ホイルの定常宇宙論は何となく嫌いで、しかも、彼の書いた SF に良い印象を持っていなかったりして、科学の発展の足を引っ張った変なイギリス人という印象しか無かった。しかし、元素合成の理論で極めて重要な貢献をしていることを本書で知った。その他にも、ホイルの宇宙論は、当時としてはビッグバンより「とんでも」では決してなかったことを説得されたのは収穫だった。それに、フレッド・ホイルに焦点を当てることで、ビッグバン宇宙論の特徴にスポットライトを当てることが出来ている。まあ、彼は、ビッグバンの名付け親でもあることだし。
そこから、宇宙背景輻射の発見、COBE による背景輻射の揺らぎの発見で、ビッグバン宇宙論は確固たる地位を確立する。本書はそこまでで筆を置いている。インフレーション宇宙など、その後の発展については本文では触れていない。現在の科学の到達点として確として書けるのがこれまでとサイモン・シンは思ったのである。本書を読んでいて、それも説得的だった。
一つ、前から感じている疑問が本書を読んでも残ったままだったのが残念。それは、背景輻射が地球の運動でドップラーシフトする話だ。直接的は当然すぎるほど当然の話なのだが、これって、絶対運動を規定するのではないだろうか。相対性信奉者としては、なんとなく引っかかる。どなたか、納得させてくれませんか?
フレッド・ホイルの定常宇宙論は何となく嫌いで、しかも、彼の書いた SF に良い印象を持っていなかったりして、科学の発展の足を引っ張った変なイギリス人という印象しか無かった。しかし、元素合成の理論で極めて重要な貢献をしていることを本書で知った。その他にも、ホイルの宇宙論は、当時としてはビッグバンより「とんでも」では決してなかったことを説得されたのは収穫だった。それに、フレッド・ホイルに焦点を当てることで、ビッグバン宇宙論の特徴にスポットライトを当てることが出来ている。まあ、彼は、ビッグバンの名付け親でもあることだし。
そこから、宇宙背景輻射の発見、COBE による背景輻射の揺らぎの発見で、ビッグバン宇宙論は確固たる地位を確立する。本書はそこまでで筆を置いている。インフレーション宇宙など、その後の発展については本文では触れていない。現在の科学の到達点として確として書けるのがこれまでとサイモン・シンは思ったのである。本書を読んでいて、それも説得的だった。
一つ、前から感じている疑問が本書を読んでも残ったままだったのが残念。それは、背景輻射が地球の運動でドップラーシフトする話だ。直接的は当然すぎるほど当然の話なのだが、これって、絶対運動を規定するのではないだろうか。相対性信奉者としては、なんとなく引っかかる。どなたか、納得させてくれませんか?
2019年5月22日に日本でレビュー済み
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【戦後の天文学】米国主導の天文学会は、疑惑が多い
スギ花粉症説、地球温暖化CO2説、石油有機説、生命地球起源説、のように、一般社会常識となっているが、実は確固とした根拠が揃わないままに強引に一般化された常識理論が身近に多数ある。ビッグバン理論の暴走に疑問を感じ、50年前までに遡り、煽動の旗を振ったのはだれか?、検証に値しない計測データにも拘らず正しいと結論付けたのはだれか?、歴史的経緯を細かく辿った本書を15年振りに読み直すことにした。現実の科学界の実態は、権威ある組織のトップ科学者の煽動が、下々のひ弱な科学者の思考方向を制限している。ハッブルの遺体不明の死、ガモフの急死、ビッグバン否定証拠論文揉み消しなど、戦後の米国主導天文学会は、多くの疑惑を抱えていた。
【ビッグバン理論の曖昧さ】
ビッグバンの根拠は、①銀河の赤方偏移と距離の比例関係、②宇宙マイクロ波背景放射と密度ゆらぎ、③水素とヘリウムの比率、の3つしかない。①は、発見者ハッブル自身でさえ、「遠方銀河の赤方偏移」を、短絡的に「ドップラー効果」と決め付けることに反対していた。②について、ガモフは、1947年の論文に28Kと発表し、その後、7K、6K、と相次いで修正し、挙句には、測定値2.73Kと大きくかけ離れていることに対し、論文に3Kと書いたと言い張っていた。③については、ビッグバン初期の複雑系バタフライ効果を考えれば、いくらでも現状の比率に計算結果をフィッティングできる。その程度の曖昧な根拠であった。なぜ、1960年から1970年代に、ビッグバン理論が急に優勢になったのか?背景には、激しい米ソ宇宙開発競争によるアポロ計画遂行の時期、また、それまでノーベル賞対象外だった天文学が、1960年頃から選定範囲に含まれた時期と重なり、更に、天地創造を謳う宗教団体の援護もあり、科学者だけでなく、庶民へも、暗黙のうちに急速に受け入れられ浸透していったと思われる。
【煽動科学者】戦前はエディントン、戦後はガモフ。共に数学が不得手。
英国クエーカー教徒天文学者「アーサー・エディントン」は、第一次世界大戦中に発表されたアインシュタインの「相対性理論」を借用し英語論文を書き、直後、一般相対性理論を立証するための日食観測を行い一躍有名になった。この観測は、データ改ざん疑惑がある。科学界で確固たる地位を得たエディントンは、更に、ベルギー人司祭ジョルジュ・ルメートルの膨張宇宙と原始的原子仮説を英文翻訳し発表し、強引にビッグバン理論の先駆者に名を連ね、王立協会、全米アカデミーの権力者になった。一方、戦後、旧ソ連出身の「ジョージ・ガモフ」もまた、自身の数学的素養の無さを補うため、学生だったラルフ・アルファーに初期の宇宙の元素存在量と宇宙波背景放射温度を計算させ、1948年にαβγ論として提唱した。2人とも数学能に欠けていたが、平易な言葉で物理概念を説明することに長け、相対論やビッグバンをテーマにした煽動・啓蒙書を多く刊行した。2人とも晩年は嫌われ者だった。
【21世紀の天文学】辻褄合わせのビッグバン理論から新たな重力宇宙論再考へ
著者は、ケンブリッジ大学大学院にて素粒子物理学の博士号を取得した専門家である。当然、ビッグバン理論の立証根拠の曖昧さに気がついていたのだろう。「宇宙背景輻射の発見、COBE による背景輻射の揺らぎの発見で、ビッグバン宇宙論は確固たる地位を確立した。」ところで筆を置いた。本書が刊行された2004年には、既に、加速膨張宇宙、暗黒物質、暗黒エネルギーの予想外の観測結果が発表されており、読者としては、時間とともに何度も小規模なビッグバンが継続的に起こって物質を生成する宇宙論、重力が大きく歪む至る所で水素原子が生成される宇宙論、などの新たな宇宙論構築の話題にも触れてほしかった。今後、ホイルやツビッキーのような、政治、宗教、研究資金、ノーベル賞競争などの圧力に屈しない気骨のある正統派天文学者の輩出を期待する。
地球レベル : ニュートンの重力理論 3次元(x,y,z) 天動説
太陽系レベル: アインシュタインの重力理論 4次元(x,y,z,t) 宇宙膨張 ビッグバン
銀河レベル : 暗黒エネルギー重力理論 5次元 (x,y,z,t,g) 宇宙加速膨張 宇宙論再考
【本書の内容を裏付ける1970年当時の参考図書】
○現代物理学概論 1970年 R.B.レートン 岩波書店 「元素合成過程の詳しい解説」
○未知の百科事典 1 物理的科学の最前線 1980年 ロナルド・ダンカン 日本ブリタニカ「相対論とビッグバン」
スギ花粉症説、地球温暖化CO2説、石油有機説、生命地球起源説、のように、一般社会常識となっているが、実は確固とした根拠が揃わないままに強引に一般化された常識理論が身近に多数ある。ビッグバン理論の暴走に疑問を感じ、50年前までに遡り、煽動の旗を振ったのはだれか?、検証に値しない計測データにも拘らず正しいと結論付けたのはだれか?、歴史的経緯を細かく辿った本書を15年振りに読み直すことにした。現実の科学界の実態は、権威ある組織のトップ科学者の煽動が、下々のひ弱な科学者の思考方向を制限している。ハッブルの遺体不明の死、ガモフの急死、ビッグバン否定証拠論文揉み消しなど、戦後の米国主導天文学会は、多くの疑惑を抱えていた。
【ビッグバン理論の曖昧さ】
ビッグバンの根拠は、①銀河の赤方偏移と距離の比例関係、②宇宙マイクロ波背景放射と密度ゆらぎ、③水素とヘリウムの比率、の3つしかない。①は、発見者ハッブル自身でさえ、「遠方銀河の赤方偏移」を、短絡的に「ドップラー効果」と決め付けることに反対していた。②について、ガモフは、1947年の論文に28Kと発表し、その後、7K、6K、と相次いで修正し、挙句には、測定値2.73Kと大きくかけ離れていることに対し、論文に3Kと書いたと言い張っていた。③については、ビッグバン初期の複雑系バタフライ効果を考えれば、いくらでも現状の比率に計算結果をフィッティングできる。その程度の曖昧な根拠であった。なぜ、1960年から1970年代に、ビッグバン理論が急に優勢になったのか?背景には、激しい米ソ宇宙開発競争によるアポロ計画遂行の時期、また、それまでノーベル賞対象外だった天文学が、1960年頃から選定範囲に含まれた時期と重なり、更に、天地創造を謳う宗教団体の援護もあり、科学者だけでなく、庶民へも、暗黙のうちに急速に受け入れられ浸透していったと思われる。
【煽動科学者】戦前はエディントン、戦後はガモフ。共に数学が不得手。
英国クエーカー教徒天文学者「アーサー・エディントン」は、第一次世界大戦中に発表されたアインシュタインの「相対性理論」を借用し英語論文を書き、直後、一般相対性理論を立証するための日食観測を行い一躍有名になった。この観測は、データ改ざん疑惑がある。科学界で確固たる地位を得たエディントンは、更に、ベルギー人司祭ジョルジュ・ルメートルの膨張宇宙と原始的原子仮説を英文翻訳し発表し、強引にビッグバン理論の先駆者に名を連ね、王立協会、全米アカデミーの権力者になった。一方、戦後、旧ソ連出身の「ジョージ・ガモフ」もまた、自身の数学的素養の無さを補うため、学生だったラルフ・アルファーに初期の宇宙の元素存在量と宇宙波背景放射温度を計算させ、1948年にαβγ論として提唱した。2人とも数学能に欠けていたが、平易な言葉で物理概念を説明することに長け、相対論やビッグバンをテーマにした煽動・啓蒙書を多く刊行した。2人とも晩年は嫌われ者だった。
【21世紀の天文学】辻褄合わせのビッグバン理論から新たな重力宇宙論再考へ
著者は、ケンブリッジ大学大学院にて素粒子物理学の博士号を取得した専門家である。当然、ビッグバン理論の立証根拠の曖昧さに気がついていたのだろう。「宇宙背景輻射の発見、COBE による背景輻射の揺らぎの発見で、ビッグバン宇宙論は確固たる地位を確立した。」ところで筆を置いた。本書が刊行された2004年には、既に、加速膨張宇宙、暗黒物質、暗黒エネルギーの予想外の観測結果が発表されており、読者としては、時間とともに何度も小規模なビッグバンが継続的に起こって物質を生成する宇宙論、重力が大きく歪む至る所で水素原子が生成される宇宙論、などの新たな宇宙論構築の話題にも触れてほしかった。今後、ホイルやツビッキーのような、政治、宗教、研究資金、ノーベル賞競争などの圧力に屈しない気骨のある正統派天文学者の輩出を期待する。
地球レベル : ニュートンの重力理論 3次元(x,y,z) 天動説
太陽系レベル: アインシュタインの重力理論 4次元(x,y,z,t) 宇宙膨張 ビッグバン
銀河レベル : 暗黒エネルギー重力理論 5次元 (x,y,z,t,g) 宇宙加速膨張 宇宙論再考
【本書の内容を裏付ける1970年当時の参考図書】
○現代物理学概論 1970年 R.B.レートン 岩波書店 「元素合成過程の詳しい解説」
○未知の百科事典 1 物理的科学の最前線 1980年 ロナルド・ダンカン 日本ブリタニカ「相対論とビッグバン」
2007年4月3日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
前2作が超絶に面白かったので、こちらも期待して購入した。700ページ近くある大作であるが、あっという間に読んでしまった。
確かに宇宙論の解説本としては物足りないという意見もあるだろう。ビックバンの解説はほかにもいい本がある。だが、この本は、ビックバン理論が歴史上どうやって浮かび上がって、どうやって対立する理論を蹴散らし、最終的に確立されたかという筋を追ったもので、たいへん説得力がありドラマがある。
昔はトンデモ理論だったビックバン論が正しいと認知されるまでの過程を知るのと、
すでに認知されたビックバン論を解説したものを読むのでは、理解の深さでいうと前者の方に軍配が上がるだろう。
たとえば、現在の民主主義、たとえばアメリカの3権制度の仕組みを解説した本があったとしよう。それは確かに詳しく現状を分析しているが、面白くはないだろう。それより、古代からどうやって民主主義が成り立ってきて、なぜヨーロッパのピューリタンが新大陸にわたって国家をつくったのか、といった根本に流れる思想について解説した本の方が、はるかに示唆に富むからである。
本書もそのようなものである。
確かに宇宙論の解説本としては物足りないという意見もあるだろう。ビックバンの解説はほかにもいい本がある。だが、この本は、ビックバン理論が歴史上どうやって浮かび上がって、どうやって対立する理論を蹴散らし、最終的に確立されたかという筋を追ったもので、たいへん説得力がありドラマがある。
昔はトンデモ理論だったビックバン論が正しいと認知されるまでの過程を知るのと、
すでに認知されたビックバン論を解説したものを読むのでは、理解の深さでいうと前者の方に軍配が上がるだろう。
たとえば、現在の民主主義、たとえばアメリカの3権制度の仕組みを解説した本があったとしよう。それは確かに詳しく現状を分析しているが、面白くはないだろう。それより、古代からどうやって民主主義が成り立ってきて、なぜヨーロッパのピューリタンが新大陸にわたって国家をつくったのか、といった根本に流れる思想について解説した本の方が、はるかに示唆に富むからである。
本書もそのようなものである。
2006年11月15日に日本でレビュー済み
うーん、前の二冊(「
フェルマーの最終定理―ピュタゴラスに始まり、ワイルズが証明するまで
」「
暗号解読―ロゼッタストーンから量子暗号まで
」)が神がかって面白かったので期待していたのだけれど、思った以上にあっさりしてました。前作までは「数学者」「暗号の解読者&作成者」達が、試行錯誤やひらめきにより問題を突破していくところに興奮と感動があったんですが、今回の研究者たちは基本的に当時最新の科学機器による「忍耐強い観測」と「データ収集」により業績を上げていくもので ( というのも対象が手の届かない「大宇宙」なので仕方がないんですが ) 、宇宙論の発展 = 科学者たちの戦い、というよりは、科学技術の発達の歴史じゃないのって思えてしまうんです。ハッブルが「自作の望遠鏡で大発見をした」というので無い以上、科学機器に関する記述も並行して述べていくべきかな、と。直径うんメートルのレンズが登場したところで、それがどういう素材や製作過程を経て生み出されたのか等は全く記述がありません。人間ドラマを通して描く、という今までのスタイルにこだわりすぎたのかなとも思います。文句ばっかりですが値段相応の読み応えはありましたし、引き続き次回作が待ち遠しい作家であることには変わりません。
2019年9月11日に日本でレビュー済み
購入した金額には似合わない良品でした。
殆ど新書に近い状態なので驚いています。
有難う御座いました。
殆ど新書に近い状態なので驚いています。
有難う御座いました。
2010年3月17日に日本でレビュー済み
上巻では、ケプラー、ガリレオ、ニュートン、アインシュタインの業績を躍動性を持たせて紹介している。
発見の連続性、お互いの業績の関連がよくわかり、どのようにして物理が発展したのか
思いをはせることができる。
アインシュタインも特別な人ではなく、歴史の流れで必然的に出た理論ともいえる・・言い過ぎた・・
下巻ではさらにその後の発見を次々紹介している。
最新のところまでは紹介していないが、現在の天文学があまりに発展しすぎ、一方で宇宙が深遠すぎる
ということは伝わってきた。
この先を知りたい人は、「パラレルワールド」を読めばいいと思う。
本書だけでも、個人的にはお腹一杯だった。
発見の連続性、お互いの業績の関連がよくわかり、どのようにして物理が発展したのか
思いをはせることができる。
アインシュタインも特別な人ではなく、歴史の流れで必然的に出た理論ともいえる・・言い過ぎた・・
下巻ではさらにその後の発見を次々紹介している。
最新のところまでは紹介していないが、現在の天文学があまりに発展しすぎ、一方で宇宙が深遠すぎる
ということは伝わってきた。
この先を知りたい人は、「パラレルワールド」を読めばいいと思う。
本書だけでも、個人的にはお腹一杯だった。