混沌のなかに落ち込んでしまった人間が、
肉体を頼りに、時間を取り戻していく話、
なのかなあ、と考えた。
自分なりの解釈をするにしても、
もう少し、腰を据えてじっくり読まないと、
見えてこないな。
描写が繊細で、ひとつのエピソードが、
どこでどうつながってくるのかを、
緊張しながら読んでいたけど、
再読のときは、ずいぶん違った読み方ができると思う。
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ボディ・アーティスト 単行本 – 2002/12/1
- 本の長さ157ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2002/12/1
- ISBN-104105418033
- ISBN-13978-4105418038
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商品の説明
内容(「MARC」データベースより)
パフォーマンス・アーティスト=ボディ・アーティストであるローレンは、夫の自殺に直面し、言語とアイデンティティーの危機に晒される。ひとりの女性が変わりゆく姿を緊密に、詩のように美しい文体で描く。
登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2002/12/1)
- 発売日 : 2002/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 157ページ
- ISBN-10 : 4105418033
- ISBN-13 : 978-4105418038
- Amazon 売れ筋ランキング: - 530,935位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2006年12月5日に日本でレビュー済み
デリーロっぽくないと友人が言っていましたが、僕はこれを読んで
「これぞデリーロ!」と思いました。これまでの作品群に比べれば
分量も少なく、デリーロという基準で考えれば短篇とも言える長さ
の本作です。
短いからこそ、というわけではないのですが、濃縮された「語り」
と「騙り」に酩酊させられるほどの衝撃を受けました。読んでいる
とくらくらしてくる。と言っても気持ちのいいくらくら。
この作品は読むのではなく、「感じる」ものなのではないでしょうか。
ただ感じればいい。そうすればたくさんのものが見えてきます。
「読もう!」と身構えて読み始めると難しくなってしまうのかもしれ
ません。
本当に手垢のついた表現ですいませんが、読み終わるのがもったいな
かった。
ドン・デリーロの新機軸!たっぷりと堪能させてもらいました。
文句なしの☆5つです。
「これぞデリーロ!」と思いました。これまでの作品群に比べれば
分量も少なく、デリーロという基準で考えれば短篇とも言える長さ
の本作です。
短いからこそ、というわけではないのですが、濃縮された「語り」
と「騙り」に酩酊させられるほどの衝撃を受けました。読んでいる
とくらくらしてくる。と言っても気持ちのいいくらくら。
この作品は読むのではなく、「感じる」ものなのではないでしょうか。
ただ感じればいい。そうすればたくさんのものが見えてきます。
「読もう!」と身構えて読み始めると難しくなってしまうのかもしれ
ません。
本当に手垢のついた表現ですいませんが、読み終わるのがもったいな
かった。
ドン・デリーロの新機軸!たっぷりと堪能させてもらいました。
文句なしの☆5つです。
2003年3月23日に日本でレビュー済み
私の場合は、さまざまな書物欄や書店でみられる推薦文などから受けた印象とは異なった読後感を持ちました。簡素な文体から時間/アイデンティティ/言葉(としての名付け、名前、つながりとして意味や像をもつもの)/生といった世界を構成している事柄のあやふやさが広がってき、そのあやふやさのただ中でどういきようとするか、という女性の物語、と説明できることは確かなのですが。
感じとしては「美しい」「詩のような」という感覚とは異なりました。作家のこころみは興味深いですが女性の描写に覚えた違和感が強かった。原文で読んだら全然ちがうのだろう、と予想します。
感じとしては「美しい」「詩のような」という感覚とは異なりました。作家のこころみは興味深いですが女性の描写に覚えた違和感が強かった。原文で読んだら全然ちがうのだろう、と予想します。
2003年2月22日に日本でレビュー済み
一読して、不思議な小説だと思った。ストーリーそのものはその気になれば一行で書き尽くしてしまえそうなほど短いのに、現れる世界は深く、儚い。
夫の自殺で世界に取り残された主人公ローレンは、自分や夫の言葉を話す不思議な少年と出会い(あるいは少年が"現れ")、共に生活を送っていく。少年が話す言葉は時間や差異といった概念が崩壊した、一見してとりとめのない、ナンセンスなもの。その言葉達にローレンは意味を見つけ、見つけられず、いつしかそれでも少年に親近感をよせる。
この小説の本質は"時間"と"言葉"にあるのだなと思った。少年が話す時間の崩れた台詞。それは、もし"時間"という概念が我々になかったらどうなるのだろうという問いかけのようにも思える。"時間"に区切られ、それを認知することが当たり前の現代では、それは想像することすら難しいけれど。少年の言葉のみに留まらず、作品の随所にあらわれる"時間"や"人称"のずれ、錯綜が、今当たり前に思えるそれらの"区別"がない世界を静かに出現させる。
この小説全体を彩る言葉達は、静かで儚く、寂しさと浮遊感に満ちている。飾り立てたものではない、凄く自然な感じのする詩のような言い回しと韻律がとても美しく、気付くとその言葉達にひかれていつの間にか作品の世界の中にひきこまれていた。
激しいストーリーの流れがあるわけでもなく、涙を流すような感動があるわけでもない。ただ、静かで儚く、崩れ、再生する時間と言葉がある。とても不思議な小説だ。いつか、また読み返す日が来るんだろうなと、そんな気がする。
夫の自殺で世界に取り残された主人公ローレンは、自分や夫の言葉を話す不思議な少年と出会い(あるいは少年が"現れ")、共に生活を送っていく。少年が話す言葉は時間や差異といった概念が崩壊した、一見してとりとめのない、ナンセンスなもの。その言葉達にローレンは意味を見つけ、見つけられず、いつしかそれでも少年に親近感をよせる。
この小説の本質は"時間"と"言葉"にあるのだなと思った。少年が話す時間の崩れた台詞。それは、もし"時間"という概念が我々になかったらどうなるのだろうという問いかけのようにも思える。"時間"に区切られ、それを認知することが当たり前の現代では、それは想像することすら難しいけれど。少年の言葉のみに留まらず、作品の随所にあらわれる"時間"や"人称"のずれ、錯綜が、今当たり前に思えるそれらの"区別"がない世界を静かに出現させる。
この小説全体を彩る言葉達は、静かで儚く、寂しさと浮遊感に満ちている。飾り立てたものではない、凄く自然な感じのする詩のような言い回しと韻律がとても美しく、気付くとその言葉達にひかれていつの間にか作品の世界の中にひきこまれていた。
激しいストーリーの流れがあるわけでもなく、涙を流すような感動があるわけでもない。ただ、静かで儚く、崩れ、再生する時間と言葉がある。とても不思議な小説だ。いつか、また読み返す日が来るんだろうなと、そんな気がする。