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土曜日 (Shinchosha CREST BOOKS) 単行本 – 2007/12/1
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別格の地位を誇る英文学界の手練れマキューアンが贈る最新作、全英ベストセラー。
突発的なテロ、見知らぬ若者の激発、親友との仲違い。なにが起こっても起こらなくとも不思議ではないその日、ヘンリーの周囲は危機の予兆に満ちていた。そう、世界はあの日以来変容してしまったから――。果たして安息の日曜日は訪れるのか。名匠が優美極まる手つきで鮮やかに切り取る現代ロンドンの一日、ブッカー賞候補作。
突発的なテロ、見知らぬ若者の激発、親友との仲違い。なにが起こっても起こらなくとも不思議ではないその日、ヘンリーの周囲は危機の予兆に満ちていた。そう、世界はあの日以来変容してしまったから――。果たして安息の日曜日は訪れるのか。名匠が優美極まる手つきで鮮やかに切り取る現代ロンドンの一日、ブッカー賞候補作。
- 本の長さ351ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2007/12/1
- ISBN-104105900633
- ISBN-13978-4105900632
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2007/12/1)
- 発売日 : 2007/12/1
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 351ページ
- ISBN-10 : 4105900633
- ISBN-13 : 978-4105900632
- Amazon 売れ筋ランキング: - 683,164位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2021年12月30日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
注文する段階では全く気づかなかった、前所有者のものと思われる大きな押印が本の「天」にしてあって消そうにも消せません。こういうのは商品になるのでしょうか? 同封の説明には「押印あり」と書いてあるけど、後の祭って感じです。
2016年7月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
読書会の課題本でしたが、とても読みやすく、新たに、他の作品を読むほど、面白かったです。
2013年6月4日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
現代の小説は面白くない。登場人物のほとんどがきざで、読んでいて腹立たしくなる。
鼻持ちならないやからばかりなのだ。こういうのをトレンディドラマとかいうんだろう。
たとえばこの小説で見てゆくと、主人公のヘンリー・ペロウンは神経外科医のベテラン
である。というよりも、その分野での天才的職人である。既に名人の域に達している。
妻のロザリンダは弁護士だ。このカップルだけで十分に腹立たしいのに、長女のデイジー
は詩の才能に恵まれていて、間もなく処女詩集を出版しようとしている。詩に関する
権威ある賞も既に取っている。長男シーオはジャズ奏者として早々にその世界で認め
られた。外から見ていて、こんなに腹立たしい一家ってあるものだろうか?
この作品はこの一家の主ヘンリー・ペロウンがある土曜日の夜明けから日曜日の夜明け
にかけて過ごした24時間を描いた長編小説だ。あのジョイスの「ユリシーズ」も極めて
短時間の事を書いた大長編だが、「ユリシーズ」の形而上学的、抽象的描写に対して
本編は脳神経外科手術の具体的、写実的描写をはじめ、むしろリアリズムに徹した作品
であるといえるだろう。
しかしそうしたリアリズムに何の意味があるというのか? こいつ等が全員何らかの
才能に恵まれているのは、要するにトレンディドラマの要件を整えるという意味しか
持っていないのだ。要件を満たしてトレンディドラマが完成したところで、我々として
は一向に面白くないのである。現代からトレンディドラマが絶滅することを切に願う
ものである。
今の僕は、実験小説なんてもうたくさんだ!と思ったあの「ユリシーズ」に郷愁をすら
覚えている。「ユリシーズ」をいつかもう一度読んでみたい。
鼻持ちならないやからばかりなのだ。こういうのをトレンディドラマとかいうんだろう。
たとえばこの小説で見てゆくと、主人公のヘンリー・ペロウンは神経外科医のベテラン
である。というよりも、その分野での天才的職人である。既に名人の域に達している。
妻のロザリンダは弁護士だ。このカップルだけで十分に腹立たしいのに、長女のデイジー
は詩の才能に恵まれていて、間もなく処女詩集を出版しようとしている。詩に関する
権威ある賞も既に取っている。長男シーオはジャズ奏者として早々にその世界で認め
られた。外から見ていて、こんなに腹立たしい一家ってあるものだろうか?
この作品はこの一家の主ヘンリー・ペロウンがある土曜日の夜明けから日曜日の夜明け
にかけて過ごした24時間を描いた長編小説だ。あのジョイスの「ユリシーズ」も極めて
短時間の事を書いた大長編だが、「ユリシーズ」の形而上学的、抽象的描写に対して
本編は脳神経外科手術の具体的、写実的描写をはじめ、むしろリアリズムに徹した作品
であるといえるだろう。
しかしそうしたリアリズムに何の意味があるというのか? こいつ等が全員何らかの
才能に恵まれているのは、要するにトレンディドラマの要件を整えるという意味しか
持っていないのだ。要件を満たしてトレンディドラマが完成したところで、我々として
は一向に面白くないのである。現代からトレンディドラマが絶滅することを切に願う
ものである。
今の僕は、実験小説なんてもうたくさんだ!と思ったあの「ユリシーズ」に郷愁をすら
覚えている。「ユリシーズ」をいつかもう一度読んでみたい。
2022年3月20日に日本でレビュー済み
個人的にこれまで読んだマキューアン作品の中で一番相性が悪かったように思う。
そもそもこの作家は唯物主義のリアリズムを描く作家だが、その上のロマンやワンダーを感じられるところが好きなのだ。
が、この作品にはロマンもワンダーも無い。おぼろげに現れかけても消されてしまう。そうしたものを徹底的に否定し生きている主人公ヘンリーの目を通して語られる1DAYだからだ。
『このような左脳ばかり発達した唯物主義者(でもって世界の上位10%に属す富裕層)にとっても、911以後の世界は以前とは変わってしまった。どこからともなく忍び寄る不穏と、それらをかき消そうとする内的努力を持って存在しているのだ』という作家のメッセージはわかる。元から感受性豊かな若者を主人公にして日々の葛藤を情感たっぷりに語られたなら、それはマキューアンではないどころか三文小説になってしまいそうだから。
・・わかるのだが、唯物論に染まりきった唯物主義者の次々浮かび上がる表層意識を1日分事細かに追体験させられるのは正直キツかった。
今や雪雪崩式に厄災が起きている世界にいる私たちは、唯物主義者であろうがなかろうが、ヘンリーと同様に不穏と、それらをかき消そうとする内的努力を持って存在している。シーオ青年のように「大きく見ない。小さく考える」をほとんど誰もが毎日やっているだろう。
この2022年の現在のペロウン家の1DAYを描いてくれたら是非読みたい。
そもそもこの作家は唯物主義のリアリズムを描く作家だが、その上のロマンやワンダーを感じられるところが好きなのだ。
が、この作品にはロマンもワンダーも無い。おぼろげに現れかけても消されてしまう。そうしたものを徹底的に否定し生きている主人公ヘンリーの目を通して語られる1DAYだからだ。
『このような左脳ばかり発達した唯物主義者(でもって世界の上位10%に属す富裕層)にとっても、911以後の世界は以前とは変わってしまった。どこからともなく忍び寄る不穏と、それらをかき消そうとする内的努力を持って存在しているのだ』という作家のメッセージはわかる。元から感受性豊かな若者を主人公にして日々の葛藤を情感たっぷりに語られたなら、それはマキューアンではないどころか三文小説になってしまいそうだから。
・・わかるのだが、唯物論に染まりきった唯物主義者の次々浮かび上がる表層意識を1日分事細かに追体験させられるのは正直キツかった。
今や雪雪崩式に厄災が起きている世界にいる私たちは、唯物主義者であろうがなかろうが、ヘンリーと同様に不穏と、それらをかき消そうとする内的努力を持って存在している。シーオ青年のように「大きく見ない。小さく考える」をほとんど誰もが毎日やっているだろう。
この2022年の現在のペロウン家の1DAYを描いてくれたら是非読みたい。
2023年4月30日に日本でレビュー済み
ストーリー展開にほとんど関係ない(と思われる)部分の記述が、やたらに細かくて長く、まるで「やめられない、止まらない」お喋り好きの人の空疎な話に、延々と付き合わされているような疲労感があります。
途中で読むのを断念し、後はパラパラめくっただけなので、確たることは言えませんが、弁護士の妻、芸術家の子という設定は必要だったのかな?凡庸な主婦、子であっても特にちがいは無い気がします。
本の裏面に書かれている華々しい推薦文や、作者の知名度に騙されてはいけません。
途中で読むのを断念し、後はパラパラめくっただけなので、確たることは言えませんが、弁護士の妻、芸術家の子という設定は必要だったのかな?凡庸な主婦、子であっても特にちがいは無い気がします。
本の裏面に書かれている華々しい推薦文や、作者の知名度に騙されてはいけません。
2008年3月1日に日本でレビュー済み
主人公のヘンリーは40代後半の成功した神経外科医だ。愛する妻は弁護士で、二人の子供は芸術的才能に恵まれており、娘は詩人で息子はギタリストとして成功しており、社会的にも私生活においても実に恵まれた生活を過ごしている。
そんな彼がある土曜日の早朝に目が覚めて、エンジンから火を噴いた飛行機がロンドンの上空を飛ぶの目撃するところから物語は始まり、その土曜日の一日の出来事が描かれる。たった一日ではあるが、その中で妻との出会いまで遡る夫婦の歴史、子供や義父との関係、痴呆になった実母と過ごす時間と、ヘンリーの心情がきめ細かく描かれる。そして、終盤ではヘンリーが日中に起こした交通事故を契機に急速なクライマックスを迎えることになる。
本書のテーマは「不安定」ではないだろうか。ヘンリーは現在の生活に満足しているにも拘らず、早朝に目覚めた時から漠然とした居心地の悪さを感じている。それは初老にさしかかろうとしている自分の年齢による部分もあるが、成長して離れて行く子供や、老いていく親達と関わりの中で現在が満ち足りた状況が決して安定的なものではなく、今まさに移ろいつつあることを感じているからだと思う。その不安定さが端的に現れたのが終盤のクライマックスだと思う。
そんな彼がある土曜日の早朝に目が覚めて、エンジンから火を噴いた飛行機がロンドンの上空を飛ぶの目撃するところから物語は始まり、その土曜日の一日の出来事が描かれる。たった一日ではあるが、その中で妻との出会いまで遡る夫婦の歴史、子供や義父との関係、痴呆になった実母と過ごす時間と、ヘンリーの心情がきめ細かく描かれる。そして、終盤ではヘンリーが日中に起こした交通事故を契機に急速なクライマックスを迎えることになる。
本書のテーマは「不安定」ではないだろうか。ヘンリーは現在の生活に満足しているにも拘らず、早朝に目覚めた時から漠然とした居心地の悪さを感じている。それは初老にさしかかろうとしている自分の年齢による部分もあるが、成長して離れて行く子供や、老いていく親達と関わりの中で現在が満ち足りた状況が決して安定的なものではなく、今まさに移ろいつつあることを感じているからだと思う。その不安定さが端的に現れたのが終盤のクライマックスだと思う。
2018年9月9日に日本でレビュー済み
久しぶりのマキューアン。この作家の作品は、じっくり腰を据えて読みたいのでまだ数冊しか読めていない。
物語はロンドンに住むセレブ家族に起こるある一日を描いている。主人公は脳神経外科医。妻は弁護士。二人の子ども達もそれぞれ才能溢れる美しい大人に成長しつつある。
主人公のヘンリーペロウンは、土曜日の明け方ふと目が覚めて、窓から飛行機が炎をあげながら空港へ向かうのを目にする。
その時から彼の内部で落ち着かない何かが静かに渦を巻き始める。
その後に起きた偶発的な事故。
久しぶりにパリから帰って来る詩人デビューを控えている娘、ミュージシャンとして才能を開花させている息子、シャトーに住む有名な詩人である義父、今でも変わらず愛している妻、それらの人々が集まった時に事態は急展開を迎える。
主人公がベテランの脳神経外科医というのがポイントである。後半に起こる事態も彼の医師としての立場から解決に向かおうとする。
しかしそれは単なる奢りにしか見えない。この作品が少々鼻につくのは、登場人物が恵まれた人達であり、自分達の立場からしか事態を捉えていないことである。
それは最初の飛行機事故、これも後から意外な事実が判明する、この作品の書かれた数年前に起きた911にもつながるものが根底に潜んでいるような気がする。
ささいな事を軽くあしらったことから、主人公にふりかかる災難と言ってしまえばそれまでだが、その彼の意識下で無意識に人への選別意識が働いていることが恐ろしい。特に主人公は医師なので、彼の手術場面をことさら詳しく描くことで、彼は神のような領域に達していると読者に思わせる。
特権階級とも言える彼らのような人々が、無意識に振る舞うことで、それより底辺の人々への不満が爆破する過程を描いているような気がする。
物語としての面白さはやはりマキューアンである。
ひとつ難を言えば、訳文で主人公をヘンリーとしたり、ペロウンとなったりしていること。これは原書がそうなっているからなのか?
非常に読みづらかった。
物語はロンドンに住むセレブ家族に起こるある一日を描いている。主人公は脳神経外科医。妻は弁護士。二人の子ども達もそれぞれ才能溢れる美しい大人に成長しつつある。
主人公のヘンリーペロウンは、土曜日の明け方ふと目が覚めて、窓から飛行機が炎をあげながら空港へ向かうのを目にする。
その時から彼の内部で落ち着かない何かが静かに渦を巻き始める。
その後に起きた偶発的な事故。
久しぶりにパリから帰って来る詩人デビューを控えている娘、ミュージシャンとして才能を開花させている息子、シャトーに住む有名な詩人である義父、今でも変わらず愛している妻、それらの人々が集まった時に事態は急展開を迎える。
主人公がベテランの脳神経外科医というのがポイントである。後半に起こる事態も彼の医師としての立場から解決に向かおうとする。
しかしそれは単なる奢りにしか見えない。この作品が少々鼻につくのは、登場人物が恵まれた人達であり、自分達の立場からしか事態を捉えていないことである。
それは最初の飛行機事故、これも後から意外な事実が判明する、この作品の書かれた数年前に起きた911にもつながるものが根底に潜んでいるような気がする。
ささいな事を軽くあしらったことから、主人公にふりかかる災難と言ってしまえばそれまでだが、その彼の意識下で無意識に人への選別意識が働いていることが恐ろしい。特に主人公は医師なので、彼の手術場面をことさら詳しく描くことで、彼は神のような領域に達していると読者に思わせる。
特権階級とも言える彼らのような人々が、無意識に振る舞うことで、それより底辺の人々への不満が爆破する過程を描いているような気がする。
物語としての面白さはやはりマキューアンである。
ひとつ難を言えば、訳文で主人公をヘンリーとしたり、ペロウンとなったりしていること。これは原書がそうなっているからなのか?
非常に読みづらかった。