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密会 (Shinchosha CREST BOOKS) 単行本 – 2008/3/1

4.6 5つ星のうち4.6 18個の評価

自分はあの時、たしかに愚かだった――少しでも幸せでありたいと願う、気難しく、不器用な普通の人々。アイルランドとイギリスを舞台に、執着し、苦悩し、諦め、立直っていく男たち女たちを描いた、英語圏最高の短篇作家W・トレヴァーによる12作。
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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2008/3/1)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2008/3/1
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 278ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 410590065X
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4105900656
  • カスタマーレビュー:
    4.6 5つ星のうち4.6 18個の評価

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ウイリアム・トレヴァ−
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ひとは誰でも
5 星
ひとは誰でも
失敗したくないと思いながらへまをやり、こうしてはいけないと解っていながら愚かな真似をする。悩みのないひとはいないし、何の問題もない家庭もない。そういう、いわばあなたの隣人の、いや、あなた自身の物語がここにある。結局のところ他人の暮らしがじぶんとさほど変わりないことを知って、安心したいのだ。市井の人々の物語を読みたいのは、そんな理由からだ。CMを作るとき、登場人物の氏名・年齢はもとより、職業・家族構成・趣味なども考えるのだと聞いたことがある。トレヴァーが細かな人物設定をすると知り、それと同じだと思った。ただ彼が書くのは、B面のほうなのだ。たった三十秒ほどのフィルムから、わたしたちはどれほど多くの情報を読み取ったり、あるいは想像していることだろう。もちろん、作者の足元には遠く及ばないのだが。翻訳者のアンソロジーだった『聖母の贈り物』と比較すると皮肉っぽい文章は鳴りをひそめ、冷静な観察者としての作者が浮かび上がってくる。こちらのほうが押し付けがましくない。でも、じぶんの秘密には不安が残る。トレヴァーには、もう知られているかも知れない。 
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上位レビュー、対象国: 日本

2023年7月24日に日本でレビュー済み
イギリスの作家、ウィリアム・トレヴァーの短編集。12編収録。

どの作品も腕によりをかけた短篇(短いので、掌編っぽいですが)で、人生の一断面を切り取っていて、熟成された高級なワインを飲む感じで、いい読み心地を与えてくれる、素晴らしい短篇集でした。

この人とジョン・マクガハンは長生きしていたら、名誉ある賞を受賞していた可能性があると思っていて、そうすれば読者も増えたかもしれないので残念ですが、今後亡くなった方にも賞を授ける様になったら、多分その最右翼に位置するであろうと確信しております。

また、別の作品の所にも書き込んでおりますが、既に翻訳されておりますが、不当に絶版扱いになっている物もデジタル/フィジカルを問わず、復刊を希望しております。

人生の愚かさと悲しみに満ちた短編集。是非ご一読を。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2016年4月11日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
ウィリアム・トレヴァーはアイルランドに生まれ育った英国在住の作家。
「ほしい物リスト」に入れておいた理由は多分書評読んだからかな。
訳は読みやすくてよかったです。タイトルは「密会」。収録されているのは
「死者とともに」「伝統」「ジャスティーナの神父」「夜の外出」
「グレイリスの遺産」「孤独」「聖像」「ローズは泣いた」「大金の夢」
「路上で」「ダンス教師の音楽」「密会」の12篇。短編集です。

タイトルの「密会」より一番面白かったのは「夜の外出」。帯によると
「結婚相談所を介して一夜のデートをする貧乏写真家と美貌を残す50過ぎの
独身女。好ましい展開は半ば諦めつつ時を過ごすうちに・・・」となるんだけれど
世界各国こういうデートの時でさえ年上の女とみると、たかっちゃう、というか
甘ったれちゃう男っているんだよねって。年下といっても彼は47際。彼女は51歳。
如何いう展開をみせるのかなぁ。待ち合わせの場所というのが劇場のバー。
ナルホドね。「あと1分で開演します」のアナウンスでみないなくなるってわけだ。
バーテンは不審におもうだろうけど。やっときた風景を撮る写真家。彼が聴いたのは
「車はお持ちですか?」~お互い気の合うタイプではなかった~そうでしょうね。
待ち合わせのバーを出るとレストランへ。「なぜ車を持っているかって、2度も
訊いたんですか?」「~機材が重たいんですよ。僕自身は車を持ってないし」
「今夜のディナー、おごっていただけませんか?僕には払えないんです」
こういう展開に彼女は腹が立つかというとそうではない。「~彼女にとっても、
自分が愚かさに踏み込む場に居合わせた彼の存在は、どうでもよかった~」
「~彼らはお互いを利用したということに、別の展開になっていた場合より、
ある種の尊厳を感じていたのだ。~」。ここがトレヴァーという作家の本領のような
気がした。「~彼らが共有した満足感と同じくらい心地よい闇のなかを運ばれていく
あいだも~」生きてるって、いろんな闇を抱えながらもこういう捉え方もあるんだなぁって
視点のちょっと変わったあたたかさを感じました。

※そうそう。読んでる途中でアイルランドの白ワインに興味を覚えて早速検索。
ワインの名前はグリヌー。<ラ・コム・ドゥ・グリヌー>。アイルランドにワイン自体が
少ないっていうかワインを好まない国?のようでもあり。最近は変わったという説あるいは
税金が高いって説もあったけど。ビールのほうが有名?ギネスは黒ビール。スーパーの
取り寄せにありました。黒ビールは好きだけれど。あーんまりってかんじかな。
いずれにしても余計なことだわね。

「聖像」もよかった。~~この後の続きを先程記載しましたが消えてました。
レビューって1回のみ?なのかしらん。以前は訂正とか出来たけど。
もう一度繰り返すのはイヤだな。星の数を変えたらその次のは記載となりました。
今度は?レビュー担当者ってたくさんいらして色々なのかしらんね。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2008年4月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
アイルランド生まれで英国デヴォン州に暮らす英文学界の重鎮トレヴァーが2004年に発表した心に深く染み入る12編を収めた円熟の短編集です。著者は1928年生れで本書は76歳の時に執筆された作品であり、その後2007年にも短編集が出ているという事で、その健筆振りには本当に驚かされます。本書に収められた12編の多くは、思うようには行かない苦い人生の中で、それでもそれが必ずしも不幸だとは限らない事に気づいた男女が、ささやかな安らぎと幸せを感じる一瞬の心模様を切り取った物語になっています。『死者とともに』では、粗暴だった夫が急に亡くなった夜偶然に訪ねて来た客に思わず生前の夫への不満を吐露して心の平安を得る老妻を、『夜の外出』では、初対面のお見合いデートで互いに相手の嫌な本性を見抜きながら、険悪にならずに割り切って潔さに感謝しつつ別れて行く男女の心の高揚感を、『ダンス教師の音楽』では、お屋敷の召使として一生を送り晩年を迎えた女性の人生に常に寄り添ってきた心に鳴り響く奇跡のような音楽の調べが描かれています。私が読んで最も心に残った2編を紹介します。『孤独』:幼い頃に母の浮気相手を誤まって殺してしまった少女の心を労わりながら、放浪の旅に出て3人で生涯を過ごした両親との人生を描きます。少女が老いて独りになった時、彼女の心中に賢い老紳士が現れ両親の抱えていた真実を教えてくれます。『密会』:不倫関係の中年男女が幾度も密会を重ねるが、やがて倦み疲れ未来に訪れるであろう不幸を恐れて別れて行く。愛は壊される事なく激情に流されず穏やかに暫し思い出を胸にとどめながら。
本書に描かれる世界は静謐且つ穏やかその物で少し古めかしい印象もあって、現代社会の息吹が感じられず動きが少ない物足りなさも多少はあります。けれど、やはり普遍的な人生の真実を数多く含んだ深い感動を味わわせてくれる小説世界は、今の世の中に於いては誠に貴重でかけがえのない物だと思います。
28人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2012年3月24日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
「英語圏最高の短編小説家」とも称されるトレヴァーの2004年刊の短編小説集です。彼はアイルランド人ですから「J・ジョイスの伝統を受け継いでいるのかな」と思って読み始めました。

表題作は、不倫の中年男女が逢瀬を重ねながらもいづれは不幸になることを察して、愛し合いながら別れていく物語です。彼の作品には勝者は現れません。失意や孤独、あるいは苦悩の中に佇む人間を好んで取り上げ、苦い人生の一瞬を切り取って読者の目の前に差し出します。「これが人生というものだよ」とささやくように。

読み終わるとしみじみと深い感動が待っていました。簡潔でさりげない記述に深い意味を忍ばせるトレヴァーの技巧は読む人の理解力を試しているようです。私の好きなチェーホフやジョイスの特質である人間への暖かい眼差しはトレヴァーに正しく受け継がれていました。

うれしいことに長く読み続けられる作家がひとり加わりました。彼の「聖母の贈り物」(国書刊行会)も本作同様に優れた短編集です。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2008年6月2日に日本でレビュー済み
失敗したくないと思いながらへまをやり、
こうしてはいけないと解っていながら愚かな真似をする。
悩みのないひとはいないし、何の問題もない家庭もない。
そういう、いわばあなたの隣人の、いや、あなた自身の物語がここにある。
結局のところ他人の暮らしがじぶんとさほど変わりないことを知って、
安心したいのだ。市井の人々の物語を読みたいのは、そんな理由からだ。

CMを作るとき、登場人物の氏名・年齢はもとより、
職業・家族構成・趣味なども考えるのだと聞いたことがある。
トレヴァーが細かな人物設定をすると知り、それと同じだと思った。
ただ彼が書くのは、B面のほうなのだ。
たった三十秒ほどのフィルムから、わたしたちはどれほど多くの情報を
読み取ったり、あるいは想像していることだろう。
もちろん、作者の足元には遠く及ばないのだが。

翻訳者のアンソロジーだった
『聖母の贈り物』 と比較すると
皮肉っぽい文章は鳴りをひそめ、冷静な観察者としての
作者が浮かび上がってくる。こちらのほうが押し付けがましくない。
でも、じぶんの秘密には不安が残る。
トレヴァーには、もう知られているかも知れない。 
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5つ星のうち5.0 ひとは誰でも
2008年6月2日に日本でレビュー済み
失敗したくないと思いながらへまをやり、
こうしてはいけないと解っていながら愚かな真似をする。
悩みのないひとはいないし、何の問題もない家庭もない。
そういう、いわばあなたの隣人の、いや、あなた自身の物語がここにある。
結局のところ他人の暮らしがじぶんとさほど変わりないことを知って、
安心したいのだ。市井の人々の物語を読みたいのは、そんな理由からだ。

CMを作るとき、登場人物の氏名・年齢はもとより、
職業・家族構成・趣味なども考えるのだと聞いたことがある。
トレヴァーが細かな人物設定をすると知り、それと同じだと思った。
ただ彼が書くのは、B面のほうなのだ。
たった三十秒ほどのフィルムから、わたしたちはどれほど多くの情報を
読み取ったり、あるいは想像していることだろう。
もちろん、作者の足元には遠く及ばないのだが。

翻訳者のアンソロジーだった[[ASIN:4336048169 『聖母の贈り物』]]と比較すると
皮肉っぽい文章は鳴りをひそめ、冷静な観察者としての
作者が浮かび上がってくる。こちらのほうが押し付けがましくない。
でも、じぶんの秘密には不安が残る。
トレヴァーには、もう知られているかも知れない。 
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4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2011年9月29日に日本でレビュー済み
 日常のごくごく一部分を切り取って一連の素敵(!)な短編小説にまとめあげる素敵!な手腕をここでも発揮してくれるW.トレヴァー! 自身の体験かどうかそれは知らねど、嗚呼、知らねどけどね、作者は表題作の「密会」を始め「ローズは泣いた!」といった不倫ドラマがお得意のようで、またこれがなかなか面白いのだ。はっきりしない男がここでも描かれている、嗚呼、男子たるものとしては、まことにもって、情けねえったら、だらしねえったら、しょうがねえったらねえ!

 この作品集で、アイルランドにも婚活をめぐる結婚相談所の類がある事を知ることができて、ちょっとした驚き、桃の木だった。ひょっとして、日本の読売クラブ系の「ツバイ」の子会社だったりして!

 他の短編集にある「聖母の贈り物」とか本書の「聖像」のように、この作者は聖なるものへも興味を示す。キリスト教の奇跡モドキを信じるのはカソリックの地元アイルランドでは当然なのだろう・・・・・。

 トレヴァーの短編集は例によって60年代ポップスのアルバムが12曲入りが多かったこともあって、この作品集も12作・・・・。でもザ・ビートルズの英国オリジナル・アルバムは13曲入りなんだよなあ・・・・。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2008年4月12日に日本でレビュー済み
上質で、小説の楽しみを詰め込んだ本を出すクレストブックスシリーズ。
そんなシリーズの精神にぴったりな一冊でした。
フールズオブフォーチュンなど、しっかりとした名作で知られるトレヴァーですが、今回もいい仕事をしています。

短編集で、一つ一つがネックレスのようにつながって,一本の作品になっている感じです。
どちらかというと、暗くて哀しいストーリーが多いですが、困難な人生の中で、人の強さが際立ちます。
トレヴァーの人を愛する気持ち、困難な人生を生延びて行く人たちへの暖かい想いが伝わってきて、読んだ後澄んだ気持ちになれます。
こういう、なんでもない、敗者のにおいのする人生を取り上げて丁寧に描く辺り、トレヴァーの真骨頂なのかもしれません。
15人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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2016年9月29日に日本でレビュー済み
臨終の床に間に合わずに訪ねてきたマリア団の姉妹と未亡人のやり取り、
妻の不倫を見て見ぬふりをする元教師など、題材はわかりやすいものが多い。
しかし、たくさん書いてそぎ落とすタイプの作家らしく、文章は研磨されて無駄がなく、
特に出来事については明確に描かれていないものもあり、読みやすい作家とは言えないと思う。

一方で心理描写は丁寧である。
必ずしも共感できる人物たちではないが、心の動きをしっかり追えることで、
小説が提示する世界観を比較的好意的に受け止めることができる。
各小説の末尾に、物語の解釈の方向をそっと示すような文があるが、
19世紀の全知の語りのような押しつけがましさは全くなく、
ただ提示されただけでどう受け止めてよいかわからないような物語に、
光の方向をそっと指さすだけ、という感じだ。
単純な開かれた小説ではないところが新鮮だし、巧いと思った。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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