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サラの鍵 (Shinchosha CREST BOOKS) 単行本 – 2010/5/30

4.6 5つ星のうち4.6 40個の評価

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登録情報

  • 出版社 ‏ : ‎ 新潮社 (2010/5/30)
  • 発売日 ‏ : ‎ 2010/5/30
  • 言語 ‏ : ‎ 日本語
  • 単行本 ‏ : ‎ 423ページ
  • ISBN-10 ‏ : ‎ 4105900838
  • ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4105900830
  • 寸法 ‏ : ‎ 13.2 x 3.4 x 19.2 cm
  • カスタマーレビュー:
    4.6 5つ星のうち4.6 40個の評価

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タチアナ・ド・ロネ
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カスタマーレビュー

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上位レビュー、対象国: 日本

2023年2月18日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
恥ずかしながら、この本を読むまでヴェルディブ事件のことを知りませんでした。昨年(2022年)はこの事件から80年の節目だったので、報道もされていたはずなのに。この事件の詳細を知れば知るほど、その不条理さに怒りと悲しみが沸き上がります。直接手を下したのがナチスでなくフランス警察だったこと、しかも当初ナチスが求めていた以上の大量検挙を行ったこと、市民レベルでも密告などユダヤ人迫害に手を貸す動きがあったこと。権力による大きな差別が隣人による小さな差別を生み出し、あるいは小さな差別の積み重ねが巨大な構造的差別に結びつく。それはナチズムに限らず、日本でも部落差別や水俣病患者への迫害でみられたことです。
本作はこの歴史的事実を出発点として、事件当時と現代を行き来しながらこの問題の普遍的意味を探ろうとします。前半は、10歳のユダヤ人少女サラの視点から事件そのものを描くパートと、現代のパリに住む女性ジャーナリスト・ジュリアの視点から60年前の事件を振り返るパートが交互に描かれます。1942年7月16日早朝、サラは両親とともにヴェロドローム・ディヴェール(冬季自転車競技場)へ連行されますが、弟のミシェルは納戸に隠れ、サラは鍵をかけて「後で必ず戻って来て出してあげる」と約束します。ジュリアは雑誌の取材でヴェルディブ事件を追ううちに、それが意外なところで自分自身の家族と関わっていたことに気づきます。後半は、ジュリアがサラにつながる運命の糸をぐんぐん引き寄せていく展開で、限りなく重いストーリーなのに最後まで一気に読んでしまいました。
それにしても、言葉とはなんと強いものなのでしょうか。80年も前に遠い国で起こった悲劇が、まるで今目の前で起こっているかのような臨場感で胸に迫ってきます。それだけに、このような悲劇を引き起こす人間の愚かさ、弱さ、卑しさが自分自身にも存在することを強烈に突き付けられます。そして、だからこそそれを意識し、コントロールしなければならないと自戒を新たにさせられます。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2023年11月12日に日本でレビュー済み
歴史を彩る悲しい事実は、人間の歩みを記録する歴史の重みであり、記憶という忘れやすい痛みでもある。人為的災害たる戦争にあっては、取り返しのつかない史実の痛みを、殊更に人間は忘れがちとなる。

日本軍が絡んだ「イワノフカ村事件」とその報復ともいえる「尼港事件」しかり、「三竈島(さんそうとう)事件」や「久米島事件」などの島民虐殺しかり。ほとんどの日本人は史実それ自体を知らないか、もしくは忘れた振りをしている。

本作が描く史実、フランスの親独ヴィシー傀儡政権下で実施されたユダヤ人一斉検挙・拘束・収容所連行の「ヴェルディヴ事件」も、戦後、長らくフランスで忘れられていた痛みを伴う歴史だ。革命で王政を倒し共和政を実現させた民衆国家の、拭い難い<汚点>なのだ。

本作では1942年7月と2002年5月のパリが、同じ章・節のなかで(異なる活字フォントを使い分け)交錯して書き進められるので、読者は馴れるまで大いに戸惑うことになる。その代わり、臨場感や切実感が半端ではない。

収容所から逃れたユダヤ人少女のサラの運命は、自宅の隠し戸棚に閉じ込められた弟は無事なのか。現代(2002年)にあって少女サラのその後を追う女性記者ジュリアの執念が、やがて真実の扉を開くのか。

歴史サスペンスの要素に満ち溢れた謎解き展開にもかかわらず、物語は次々に読者の期待を裏切ってゆく。女性作家の筆は、真実はいつも非情で残酷なのだと告げるかのようだ。

それでも最後の最後に、サラが残した息子と女性記者とのロマンスの芽生えをほのかに匂わせる点は、女性作家らしい手腕だ。仲を取り持つ幼子が亡き人と同じ名前だなんて、『若草物語』みたいで感動的だもの…。

忘れられない人がいる。忘れてはいけない歴史がある。歴史は「過去を映す鏡」の役目だけでなく、「未来を指し示す道標」を兼ねているのかも知れない。
1人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年8月27日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
 想像力を欠いた狭量さや非寛容が今世界中で広がっているのではないか。
 この状況はナチスが表舞台に登場しドイツ国民に支持され出した戦前の状況を彷彿させる。
 そしてその思想はドイツ国内に留まらずフランス国内においても広がり、フランス人による自主的なユダヤ人狩りに繋がったという歴史的事実。
 ナチスが行った残虐な行為は非難するものの、自国民が進んでナチスに協力していたという現実を受け入れたくないがため、不都合な事実に目をつむり、忌まわしい汚点としてそんな事実はなかったことにしようと、事実に触れること自体タブー視され、数十年。戦後生まれの世代が増えるにつれ、そんな事実の存在さえしらない者が多数を占める現代。
 フランスで暮らす本書の著者タチアナ・ドロネ自身、その事実を1995年のシラク大統領の演説で知ったという。
 そしてその事実を今まで知らなかったという衝撃が本書執筆のきっかけとなったという。
 本書主人公の記者ジュリアは言う。
 「わたし、自分が何も知らなかったことを謝りたいんです。45歳になりながら何も知らなかったことを」

 随分前に映画版を観て感動し、いつか原作を読みたいと思ってはや数年。 
 その期待を裏切らない力強い作品でした。
 戦時中のユダヤ人迫害という歴史的事実と自身の夫や家族との関係をマッチングさせた見事な構成力で、ミステリアスな展開もあって一気に読ませる力強さを感じさせます。
 そしてラスト1ページに収斂される思いに涙します。
 原作、映画ともにお勧めします。
10人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2015年4月25日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
重い話ですが実際に起こったこととして夢中で読んでしまいました。最後の場面が感動的。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2020年4月8日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
映画を見たあとに読んだが、人間関係がよく分かり、原作の方がとても良かった。
2人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2016年10月19日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
小泉今日子さんの読売書評に惹かれて購入。
日常の中に埋没している1つ1つの物語の深さに動かされます。
自分の生き方にも少しく影響があるかも。お勧めです。
3人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2017年12月25日に日本でレビュー済み
大変興味深い話だし、フランスで実際にこんなことが行われていたとはしらなかった。
内容やストーリー運びには文句はないが、多分自分を投影してるんであろう現代劇のパートが自慢話臭くて白けた。
パリ在住のセレブアメリカ人で旦那は理想の男で、娘は知的…その上歴史の暗部に踏み込んで心痛めるビジュアルエリートジャーナリストってドンだけいいとこ取りやねん(笑)
勿論作者はそんなつもりで書いてないでしょう。が、こうして実際にあった殺人事件を扱う上で、謙虚さが見られないと言うことは、作家としてカッコつけたいがために劇的な事件を利用した「偽善者」にしか思えない。
興味深く読みはしたけど、これで作者のファンにはならん。
4人のお客様がこれが役に立ったと考えています
レポート
2013年9月17日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
まずは映画を見て感動し、本を読みました。
主人公たちは架空の人物ですが、本の中で描かれたヴェルディブのユダヤ人一斉検挙は本当にあったことです。
フランスは過去の汚点としてこの事を封印していましたが、95年のシラク大統領の演説によって、
フランス国家の過ちであると宣言し、公に認めたのです。

この本のすごさは、架空の人物であるサラがまるで本当にいたかのように感じてしまうことです。
ユダヤ人の一斉検挙は実際にあったことですし、多くの犠牲になった子供の中に、サラという名前の少女がいて、
苦しみを抱えたに違いない・・・と思ってしまいました。
そのくらいこの本にはリアリティがあります。

本を読み終えて2,3ヶ月経った今でも、サラのことが頭から離れません。
生涯、私の頭の中から、サラは消えることはないでしょう
まるで主人公ジュリアのように・・・
12人のお客様がこれが役に立ったと考えています
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