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黙祷の時間 (Shinchosha CREST BOOKS) 単行本 – 2010/8/31
ジークフリート・レンツ
(著),
松永美穂
(翻訳)
海辺の小さな町で、少年は教師に恋をした。ひと夏の二人の記憶は、やがて沈黙の時間に包まれる――本国ドイツでベストセラー、巨匠レンツの恋愛小説。
- 本の長さ137ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2010/8/31
- ISBN-104105900862
- ISBN-13978-4105900861
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2010/8/31)
- 発売日 : 2010/8/31
- 言語 : 日本語
- 単行本 : 137ページ
- ISBN-10 : 4105900862
- ISBN-13 : 978-4105900861
- Amazon 売れ筋ランキング: - 855,125位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- カスタマーレビュー:
カスタマーレビュー
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2010年8月31日に日本でレビュー済み
英語の先生の追悼式。高校生の少年は想う、愛するその人のことを。
少年の追想よりなる小説です。年上の美しい女性へ惹かれてからの
数々の記憶・・・。
最後まで謎のようなものがいくつも感じられて余韻の残る作品です。
彼女はこの時にどんな風に思っていたのだろうと感じる場面が何カ所も
ありました。
レンツの作品は、クレスト・ブックスでは3冊目になりますが、
「アルネの遺品」は、少し感じが似ているように思います。
2008年に書かれた小説だそうですが、静かでクラシカルな雰囲気の
作品です。
少年の追想よりなる小説です。年上の美しい女性へ惹かれてからの
数々の記憶・・・。
最後まで謎のようなものがいくつも感じられて余韻の残る作品です。
彼女はこの時にどんな風に思っていたのだろうと感じる場面が何カ所も
ありました。
レンツの作品は、クレスト・ブックスでは3冊目になりますが、
「アルネの遺品」は、少し感じが似ているように思います。
2008年に書かれた小説だそうですが、静かでクラシカルな雰囲気の
作品です。
2015年2月8日に日本でレビュー済み
亡き愛する人に向って、少年が回想の形で一夏の経験を語る、静謐な情愛の物語である。
主人公のクリスティアンは海辺で育った若者で、海底の石を集める父の仕事を手伝っている。追悼式の祭壇に置かれた教師シュテラの遺影を見ながら、彼女との日々を思い出し、死者となった彼女に語りかける。自分の手で触れ得ない彼女の姿を慕い求めるかのように。
本書に思春期の少年による、美しい女教師への憧れのみを読み取るのは十分ではない。描かれているのは、悲しみを通じてしか触れ得ない世界があることと、沈黙の内に秘められる幸福である。
誰かを愛するとは悲しみを胚胎することである。かけがえのない人を喪った時、自分の喪ったものの大きさに気づくばかりでなく、その人をどれほど深く愛していたかにも人は気づく。大事に思っていたからこそ、悲しいのだ。「古語では「愛し」を「かなし」と読み、更に「美し」という文字さえ「かなし」と読んだ」と、柳宗悦は書いている。悲しみには愛とか美といった意味もあったことを古人は知っていた。この小説はそれをまざまざと感じさせる。
二人は沈黙の内に交わる。沈黙こそが生者と死者をつなぐコトバだ。回想は過去を懐かしむ営みであるよりも、過ぎ去らない時の次元に置かれたかけがえのない瞬間を愛おしむ営為だ。それを学校の仲間に向けて語る言葉を持たない少年は孤独だ。
少年はこう言う、「自分たちが見つけた世界について、学校で話すことはあり得ないと、ぼくは悟った。話してしまったら、ぼくにとってすべてを意味する何かが、喪われてしまいそうだったから。ぼくたちを幸福にしたもののことは、沈黙のなかに秘めておくべきなのかもしれなかった」と。
二人の思い出を語ることによって、少年は自分が一人になってなどいないことを感じたのではないか。むしろ語ることでこそ、愛が深まってゆく。悲しみがあるから少年はシュテラを想う。手で触れ得ないからこそ、想いは一層強まる。ゆえに、語られる思い出は喜びを伴っているように感じられてならない。
主人公のクリスティアンは海辺で育った若者で、海底の石を集める父の仕事を手伝っている。追悼式の祭壇に置かれた教師シュテラの遺影を見ながら、彼女との日々を思い出し、死者となった彼女に語りかける。自分の手で触れ得ない彼女の姿を慕い求めるかのように。
本書に思春期の少年による、美しい女教師への憧れのみを読み取るのは十分ではない。描かれているのは、悲しみを通じてしか触れ得ない世界があることと、沈黙の内に秘められる幸福である。
誰かを愛するとは悲しみを胚胎することである。かけがえのない人を喪った時、自分の喪ったものの大きさに気づくばかりでなく、その人をどれほど深く愛していたかにも人は気づく。大事に思っていたからこそ、悲しいのだ。「古語では「愛し」を「かなし」と読み、更に「美し」という文字さえ「かなし」と読んだ」と、柳宗悦は書いている。悲しみには愛とか美といった意味もあったことを古人は知っていた。この小説はそれをまざまざと感じさせる。
二人は沈黙の内に交わる。沈黙こそが生者と死者をつなぐコトバだ。回想は過去を懐かしむ営みであるよりも、過ぎ去らない時の次元に置かれたかけがえのない瞬間を愛おしむ営為だ。それを学校の仲間に向けて語る言葉を持たない少年は孤独だ。
少年はこう言う、「自分たちが見つけた世界について、学校で話すことはあり得ないと、ぼくは悟った。話してしまったら、ぼくにとってすべてを意味する何かが、喪われてしまいそうだったから。ぼくたちを幸福にしたもののことは、沈黙のなかに秘めておくべきなのかもしれなかった」と。
二人の思い出を語ることによって、少年は自分が一人になってなどいないことを感じたのではないか。むしろ語ることでこそ、愛が深まってゆく。悲しみがあるから少年はシュテラを想う。手で触れ得ないからこそ、想いは一層強まる。ゆえに、語られる思い出は喜びを伴っているように感じられてならない。
2010年9月7日に日本でレビュー済み
82歳にしてこのような恋愛小説の書けるレンツというドイツ人作家の
感性の素晴らしさを感じた。ギムナジウムの高校生が20代前半(?)
の英語教師に憧れ、恋をする心理が、みずみずしく、控えめで抑えた筆
致で描かれている。二人が愛し合う場面もそれだけに美しく余韻が残る。
これほどの古典的な愛の姿を描ける作家がドイツにいることが驚異だ。
松永さんの翻訳もすばらしい。レンツやシュリンクの木彫りのような
、簡潔な文体を日本語によく移し変え、原文の味わいをそのままに感じさせてくれる。
感性の素晴らしさを感じた。ギムナジウムの高校生が20代前半(?)
の英語教師に憧れ、恋をする心理が、みずみずしく、控えめで抑えた筆
致で描かれている。二人が愛し合う場面もそれだけに美しく余韻が残る。
これほどの古典的な愛の姿を描ける作家がドイツにいることが驚異だ。
松永さんの翻訳もすばらしい。レンツやシュリンクの木彫りのような
、簡潔な文体を日本語によく移し変え、原文の味わいをそのままに感じさせてくれる。
2011年3月4日に日本でレビュー済み
日本とドイツのスキンシップの差異かと思って羨ましく思ったのが、ステディな関係ではない異性の肩や腰を抱いたりする場面。林間学校におけるフォークダンスみたいな行事にかこつけなければ触れることなんて滅相もなかったのに。ヒロインの英語教師はボーイッシュな髪型で緑色の水着姿が眩しいというので、国籍を無視して豊かな腰つきが悩ましかった7年前のグラビアアイドルをイメージしながら読み進めた(挿絵なしの小説ならではの楽しみのひとつ)。高校生の「ぼく」と彼女との性的な描写で2度ほどフレーズが頭に入った途端生々しい肉感を彷彿とすることができた。洋の東西を問わず、思春期特有の普遍的な青春が瑞々しく活写されているのだ。極論すれば、「まいっちんぐマチコ先生」で抱いたあのときめきを新潮クレスト・ブックスで再体験できたと思う。